2019年04月07日
画像を脳から取り出す技術
最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。
ひらめき力
画像を脳から取り出す技術
脳内の暗号を解読できれば夢さえ読めるはず
今、目の前にあるリンゴを射ている人の脳を分解して、隅々まで調べることができたとしても脳の中に
「リンゴの画像」を見つけることはできない。
目で見たリンゴの情報は電気信号へと変換され、脳へと送られる。
「リンゴの画像」は、脳の中では「特定の神経細胞のネットワーク(神経回路)の活動」として
表現されるのである。
この神経回路の活動を私たちが観測しても、それがリンゴを表すものだとはまずわからないという。
しかし、この「暗号」のような神経細胞の活動が意味するところを「解読」できれば、元のリンゴの画像を取り出せるはずである。
この発想を現実のものとしたのが、ATR脳情報研究所神経情報学研究室の神谷之康(かみたに やすゆき)室長だ。
神谷室長は、人がある画像を見ている時の「視覚野」の活動をfMRIを使って計測した。
視覚野とは、後頭部にある、視覚情報が処理される脳の部位である。
fMRIの画像から意味のある情報を取り出せるとは誰も思っていなかった。
神谷室長らは、実験協力者にランダムなドットでできた絵を何枚も見てもらった。
そして、視覚野の領域をいくつかに区切って、脳の活動を「パターン認識アルゴリズム」という手法を用いて分析した。
その結果、見ている画像と脳活動の間に法則性を見出すことに成功した。
そして、その法則性を利用して、ついに今どんな画像を見ているかを、脳から直接“取り出す”ことが
できたのである。
実験では、MRI装置の中で実験協力者が見ている画像が、脳活動の情報から、次々とモニター上に再現された。
神谷室長は2013年には、眠っている間の「夢」の内容を脳から取り出すことに成功している。
「将来的には、心や意識、そしてひらめきが生まれる仕組みを理解することにも繋がっていけば良いと思っています」(神谷室長)。
脳から画像を“取り出す”方法
1)脳の活動パターンを予習
脳の活動から見ている画像を取り出すためには、まず“予習”が必要だ。
実験協力者に見てもらうのは、10×10マスの「コントラストパターン」である。
細かいチェックが描かれたマスは、白黒が反転しながら、点滅する。
この方が、単純な白黒画像が反転しながら、点滅する。
この方が、単純な白黒画像よりも脳活動の差を検出しやすいのだという。
点滅するマスがランダムに配置された絵を、実験協力者に次々と見てもらい、その時の「視覚野」の活動パターンをfMRIで計測する。
400枚ほど見てもらうと、点滅するマス目と、視覚野の活動パターンの間に法則性を見出すことができるようになった。
2)視覚野の活動をスキャン
実験協力者に10×10マスの画面に描かれた絵(コントラストパターン)を見てもらい、
視覚野の活動パターンを計測する。
この時見てもらう絵は、予習で使った絵とは異なる。
全く新しい絵だ。
3)見ている絵を再構成
予習で見出した法則性を使い、実験協力者が見ている絵を、視覚野の活動パターンから再構成する。
ちなみに、実験協力者が見ている絵と同じ画像が再構成されるまでに、少なくとも4秒以上の遅れが生じる。
それは脳活動の計測に、脳の血流喧嘩を捉えるfMRIを使っているためだ。
絵を見てから、対応した血流の変化(神経細胞への血液の補給)が現れるまで、4秒ほどかかるのである。
発展コラム
念じて動かす「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」
筋肉の動きや言葉を介さずに、脳を通して直接、機械や装置を動かす技術がすでに実現している。
この技術は『BMI』と呼ばれている。
例えば、脳で考えるだけで、車椅子や義手、コンピューター画面上のカーソルやキャラクターなどを動かすことができる。
アメリカでは、脳に電極を刺して脳活動を直接的に読み取る方式(侵襲型)の研究が進んでいる。
一方、日本では、fMRIなど外部からその活動を読み取る方式(非侵襲型)が進んでいる。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
ひらめき力
画像を脳から取り出す技術
脳内の暗号を解読できれば夢さえ読めるはず
今、目の前にあるリンゴを射ている人の脳を分解して、隅々まで調べることができたとしても脳の中に
「リンゴの画像」を見つけることはできない。
目で見たリンゴの情報は電気信号へと変換され、脳へと送られる。
「リンゴの画像」は、脳の中では「特定の神経細胞のネットワーク(神経回路)の活動」として
表現されるのである。
この神経回路の活動を私たちが観測しても、それがリンゴを表すものだとはまずわからないという。
しかし、この「暗号」のような神経細胞の活動が意味するところを「解読」できれば、元のリンゴの画像を取り出せるはずである。
この発想を現実のものとしたのが、ATR脳情報研究所神経情報学研究室の神谷之康(かみたに やすゆき)室長だ。
神谷室長は、人がある画像を見ている時の「視覚野」の活動をfMRIを使って計測した。
視覚野とは、後頭部にある、視覚情報が処理される脳の部位である。
fMRIの画像から意味のある情報を取り出せるとは誰も思っていなかった。
神谷室長らは、実験協力者にランダムなドットでできた絵を何枚も見てもらった。
そして、視覚野の領域をいくつかに区切って、脳の活動を「パターン認識アルゴリズム」という手法を用いて分析した。
その結果、見ている画像と脳活動の間に法則性を見出すことに成功した。
そして、その法則性を利用して、ついに今どんな画像を見ているかを、脳から直接“取り出す”ことが
できたのである。
実験では、MRI装置の中で実験協力者が見ている画像が、脳活動の情報から、次々とモニター上に再現された。
神谷室長は2013年には、眠っている間の「夢」の内容を脳から取り出すことに成功している。
「将来的には、心や意識、そしてひらめきが生まれる仕組みを理解することにも繋がっていけば良いと思っています」(神谷室長)。
脳から画像を“取り出す”方法
1)脳の活動パターンを予習
脳の活動から見ている画像を取り出すためには、まず“予習”が必要だ。
実験協力者に見てもらうのは、10×10マスの「コントラストパターン」である。
細かいチェックが描かれたマスは、白黒が反転しながら、点滅する。
この方が、単純な白黒画像が反転しながら、点滅する。
この方が、単純な白黒画像よりも脳活動の差を検出しやすいのだという。
点滅するマスがランダムに配置された絵を、実験協力者に次々と見てもらい、その時の「視覚野」の活動パターンをfMRIで計測する。
400枚ほど見てもらうと、点滅するマス目と、視覚野の活動パターンの間に法則性を見出すことができるようになった。
2)視覚野の活動をスキャン
実験協力者に10×10マスの画面に描かれた絵(コントラストパターン)を見てもらい、
視覚野の活動パターンを計測する。
この時見てもらう絵は、予習で使った絵とは異なる。
全く新しい絵だ。
3)見ている絵を再構成
予習で見出した法則性を使い、実験協力者が見ている絵を、視覚野の活動パターンから再構成する。
ちなみに、実験協力者が見ている絵と同じ画像が再構成されるまでに、少なくとも4秒以上の遅れが生じる。
それは脳活動の計測に、脳の血流喧嘩を捉えるfMRIを使っているためだ。
絵を見てから、対応した血流の変化(神経細胞への血液の補給)が現れるまで、4秒ほどかかるのである。
発展コラム
念じて動かす「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」
筋肉の動きや言葉を介さずに、脳を通して直接、機械や装置を動かす技術がすでに実現している。
この技術は『BMI』と呼ばれている。
例えば、脳で考えるだけで、車椅子や義手、コンピューター画面上のカーソルやキャラクターなどを動かすことができる。
アメリカでは、脳に電極を刺して脳活動を直接的に読み取る方式(侵襲型)の研究が進んでいる。
一方、日本では、fMRIなど外部からその活動を読み取る方式(非侵襲型)が進んでいる。
参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
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