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2019年04月05日

睡眠の種類A

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

ひらめき力

睡眠の種類A

睡眠中の脳の活動は、覚醒時と比べてどのように違っているのだろうか?

前日、レム睡眠時とノンレム睡眠で、脳の活動状態が異なることを紹介した。
今日は、眠っている時の脳の状態をもう少し詳しく見ていこう。
まず、脳は、場所によって“眠る脳”“眠らせる脳”に分けられる。
“眠る”のは『大脳』であり、“眠らせる”のは『脳幹』などである。

大脳は、知覚や思考、運動など、ヒトの高度な活動をつかさどる部分だ。
睡眠時の大脳は、全体が一様に休むわけではなく、起きている時によく使った部分ほど活動量が低下することがわかっている。
この現象は『ローカルスリープ(局所睡眠)』と呼ばれている。

脳幹は、呼吸や心臓の働きの管理など、生命維持のための活動をつかさどる部分であり、機能を止めるわけにはいかない。
睡眠(および覚醒)を制御しているのも脳幹だ。
このため、睡眠のことを「脳(=脳幹)による脳(=大脳)のための管理技術」と表現することもある。
脳矢状断面MRI.jpg

昨日、紹介したように、ノンレム睡眠中は、脳の活動が全体的に低下している。
しかし、レム睡眠中はそうではない。
レム睡眠中は脳の多くの場所が、目が覚めている時と同じくらいの活動をするのだ。

ただし、活動パターンは覚醒時とは大きく異なる。
前頭前野の一部など、思考や判断に関わる部分の機能低下がみられ、感覚系からの入力も視床の段階でブロックされている。
感覚系から得た情報を適切に判断して注意を向けるということができない状態であり、ノンレム睡眠時と同様、意識はない。

眠る脳と、眠らせる脳

眠る脳とは、知覚や運動をつかさどる「大脳」のことだ。
眠ると基本的に活動量が低下する。
ただし、レム睡眠のときには大脳の活動は活発で、見えたり聞こえたり、動いたりする感覚が生じることがある。
これが『夢』である。

一方、眠らせる脳の中心は「脳幹」だ。
生命維持を司り、睡眠や覚醒を制御する。

睡眠の種類と脳の活動の変化

ノンレム睡眠中
脳の活動は全体的に低下
レム睡眠中
脳の活動は全体的に覚醒時と同程度。
前頭前野の一部や一次視覚野は活動低下。
逆に資格連合野は活動が活発化。
大脳辺縁系の活動により、夢は情動に富んだものとなる。
レム睡眠中には脳の多くの場所で活動が活発になっている。
この状態で目が覚めると、レム睡眠中の脳の活動が夢として認識される。

参考文献:ニュートン別冊 脳力のしくみ 2014年7月15日発行
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総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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