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2019年03月05日

海馬と記憶@

最終的には、心の働きの脳内メカニズムについて述べていきます。

記憶力

海馬と記憶@

個人の経験は感覚器官で感知され、『海馬』に送られる
脳イラスト海馬.jpg

記憶について理解するには、ニューロンやシナプスの機能を理解することに加えて、脳全体としてニューロンの回路がどのように働いているのかを知る必要がある。

記憶にとって特に重要なのは脳の中の海馬だと言われる。

ここまで説明してきた『LTP』も、主に海馬で研究が進められているもの。
なぜ海馬がこれほど重要視されるのだろうか?

これについて有名な話がある。

1953年、アメリカのてんかん患者HM氏は、海馬全体と大脳皮質の側頭葉の一部を手術で取り除いた。
てんかんとはニューロンの回路を流れる電気信号に異常が発生する病気で、HM氏は海馬が原因と考えられたため、切除された。
てんかん症状は収まったが、HM氏は大切なものを失ってしまった。
『記憶力』である。

手術後、HM氏は新たな出来事を全く覚えられなくなった。
人と会話しても、その時はきちんと対応でくるものの
数分後には会話の内容どころか会話したことさえ覚えていない。

つまり、エピソード記憶を新たに作ることができなくなったのである。
ただし、手術よりも数年以上前の出来事に関しては、覚えており、思い出すことができた。

HM氏の症状が示すのは、記憶を新たに作るためには、『海馬』が必要だということ。
そしてもう一つ、古い記憶の最終貯蔵庫は海馬ではないということだ。

海馬には五感を始め、あらゆる感覚器官が受け取った外界の刺激が電気信号に変換されて集まってくる。
現在では、海馬はこうして集められた信号を整理して、一時的(1ヶ月から数ヶ月程度)に記憶を蓄える働きを担っていると考えられている。

もちろんその際には、海馬のニューロンのシナプスでE-LTPやL-LTPなどの現象が頻繁に起きている。

では、海馬に一時的に蓄えられた後、記憶は最終的にどこに固定されるのだろうか?

これに関しては、大脳皮質だとする説が有力である。
50年ほど前、カナダの神経外科医ペンフィールドが、てんかんの手術の際に患者の側頭葉を電気刺激したところ、その患者は過去の出来事をありありと思い出したのである。
側頭葉のニューロンの回路に固定された記憶が、刺激を受けることで再現されたのだと考えらえている。

『海馬』という名前の由来は?
海馬とタツノオトシゴ.jpg

ヒトの脳から取り出した海馬。
海馬という名の由来には、幾つかの説がある。
タツノオトシゴのことを海馬と呼ぶ場合があり、これに似ているから、という説や、
神話で神様が乗った乗り物に似ているという説など。

海馬には目からの信号を処理する一次視覚野(後頭葉)、皮膚からなどの信号を処理する体性感覚野(後頭葉)、耳からの信号を処理する聴覚野(側頭葉)、鼻からの信号を処理する嗅覚野(前頭葉)、舌からの信号を処理する味覚野(側頭葉)は、各感覚器官から送られてきた電気情報を専門的に処理され、脳の中心付近にある海馬へと集められる。
海馬ではこれらの信号を整理・統合し、記憶を作るらしい。

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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