2019年05月17日
3.基底核の入出力と神経回路の機能B
3.基底核の入出力と神経回路の機能B
3―4;大脳基底核内の神経回路
大脳皮質から受け取った情報は,
基底核内の神経回路によりどの様に修飾されて出力されるのだろうか?
基底核の中で
視床下核ニューロンがグルタミン酸作動性,
黒質緻密部ニューロンがドーパミン作動性である以外は
全てGABA作動性(抑制性)である.
出力核である淡蒼球内節や黒質網様部のGABA作動性ニューロンは数10〜200Hzで発射しており[24, 25],
その発射頻度は次の3経路により調節されている.
@ハイパー直接路(Hyper-direct pathway);
大脳皮質から興奮性入力を受ける視床下核ニューロンが,
出力核のGABA作動性ニューロンに単シナプス性に投射する経路.
この経路は最も短時間で出力ニューロンに到達し,その発射頻度を増加させるため
基底核の抑制性出力は亢進する.
A直接路(Direct pathway);
GABAとサブスタンスPを持つ線条体ニューロンが出力核に単シナプス性に投射する経路.
ドーパミンはD1受容体を介してこの線条体ニューロン群を興奮させるため直接路の活動は亢進する.
その結果,基底核の抑制性出力は減少する.
B間接路(Indirect pathway);
GABAとエンケファリンを持つ線条体ニューロンが
多シナプス性に淡蒼球外節のGABA作動性ニューロンと
視床下核のグルタミン酸作動性ニューロンを介して出力核に投射する経路.
この経路が働くと基底核の出力は増加する.
ドーパミンはD2受容体を介してこれらの細胞を抑制するので間接路の活動は低下し,
基底核の出力は減少する.
それでは,これらの3経路はどの様な仕組みで基底核からの出力をコントロールするのであろうか.
大脳皮質からの信号はまずハイパー直接路を興奮させ,
視床―大脳皮質投射ニューロンや脳幹ニューロンを広く抑制する(a).
次に直接路を経由する信号が出力核に到達する.
直接路は基底核出力を減少させる(脱抑制)ため標的ニューロンが活動する(b).
最後に間接路の信号が出力核に到達して,標的ニューロンの活動は再び抑制される(c).
運動系ループでは,
出力核ニューロンに対するハイパー直接路〜直接路〜間接路による一連の時間的・空間的な調節作用は,
大脳皮質における不必要な運動プログラムの発現を抑制すると共に,
必要な運動プログラムを正確なタイミングで遂行するために有用であると考えられる[26].
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座
高草木 薫
参考文献
24.Hikosaka O & Wurz RH : Modification of saccadic eye movements by GABA-related substances. II. Effects of muscimol in monkey substantia nigra pars reticulata. J Neurophysiol 53 : 292― 308, 1985.
25.Meyer-Luehmann M, Thompson JF, Berridge KC & Aldridge JW : Substantia nigra pars reticulata neurons code initiation of serial pattern : implications for natural action sequences and sequential disorders. Eur J Neurosci 16 : 1599― 1608, 2002.
26.Nambu A, Tokuno H, Hamada I, Kita H, Imanishi M, Akazawa T, Ikeuchi Y & Hasegawa N : Excitatory
cortical inputs to pallidal neurons via the subthalamic nucleus in the monkey. J Neurophysiol 84 : 289―300, 2000.
3―4;大脳基底核内の神経回路
大脳皮質から受け取った情報は,
基底核内の神経回路によりどの様に修飾されて出力されるのだろうか?
基底核の中で
視床下核ニューロンがグルタミン酸作動性,
黒質緻密部ニューロンがドーパミン作動性である以外は
全てGABA作動性(抑制性)である.
出力核である淡蒼球内節や黒質網様部のGABA作動性ニューロンは数10〜200Hzで発射しており[24, 25],
その発射頻度は次の3経路により調節されている.
@ハイパー直接路(Hyper-direct pathway);
大脳皮質から興奮性入力を受ける視床下核ニューロンが,
出力核のGABA作動性ニューロンに単シナプス性に投射する経路.
この経路は最も短時間で出力ニューロンに到達し,その発射頻度を増加させるため
基底核の抑制性出力は亢進する.
A直接路(Direct pathway);
GABAとサブスタンスPを持つ線条体ニューロンが出力核に単シナプス性に投射する経路.
ドーパミンはD1受容体を介してこの線条体ニューロン群を興奮させるため直接路の活動は亢進する.
その結果,基底核の抑制性出力は減少する.
B間接路(Indirect pathway);
GABAとエンケファリンを持つ線条体ニューロンが
多シナプス性に淡蒼球外節のGABA作動性ニューロンと
視床下核のグルタミン酸作動性ニューロンを介して出力核に投射する経路.
この経路が働くと基底核の出力は増加する.
ドーパミンはD2受容体を介してこれらの細胞を抑制するので間接路の活動は低下し,
基底核の出力は減少する.
それでは,これらの3経路はどの様な仕組みで基底核からの出力をコントロールするのであろうか.
大脳皮質からの信号はまずハイパー直接路を興奮させ,
視床―大脳皮質投射ニューロンや脳幹ニューロンを広く抑制する(a).
次に直接路を経由する信号が出力核に到達する.
直接路は基底核出力を減少させる(脱抑制)ため標的ニューロンが活動する(b).
最後に間接路の信号が出力核に到達して,標的ニューロンの活動は再び抑制される(c).
運動系ループでは,
出力核ニューロンに対するハイパー直接路〜直接路〜間接路による一連の時間的・空間的な調節作用は,
大脳皮質における不必要な運動プログラムの発現を抑制すると共に,
必要な運動プログラムを正確なタイミングで遂行するために有用であると考えられる[26].
【引用文献】
大脳基底核の機能;パーキンソン病との関連において
旭川医科大学 生理学第二講座
高草木 薫
参考文献
24.Hikosaka O & Wurz RH : Modification of saccadic eye movements by GABA-related substances. II. Effects of muscimol in monkey substantia nigra pars reticulata. J Neurophysiol 53 : 292― 308, 1985.
25.Meyer-Luehmann M, Thompson JF, Berridge KC & Aldridge JW : Substantia nigra pars reticulata neurons code initiation of serial pattern : implications for natural action sequences and sequential disorders. Eur J Neurosci 16 : 1599― 1608, 2002.
26.Nambu A, Tokuno H, Hamada I, Kita H, Imanishi M, Akazawa T, Ikeuchi Y & Hasegawa N : Excitatory
cortical inputs to pallidal neurons via the subthalamic nucleus in the monkey. J Neurophysiol 84 : 289―300, 2000.
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