株式のバブルと暴落
株式のバブルとは、株式の価格が過剰に高騰する現象のことです。バブルは、新しい技術や産業の登場、経済の好調、投資家の過剰な期待などが原因で起こります。しかし、バブルはいつかは崩壊します。株式の価格が実態に合わないほど高くなると、利益確定の売りや悪いニュースによって、株式の需要が減少します。すると、株式の価格は急落し、バブルが弾けるのです。これを株式の暴落と呼びます。株式の暴落は、投資家に大きな損失をもたらし、経済にも深刻な影響を与えます。
株式のバブルと暴落の代表的な事例として、以下のものが挙げられます。
・1929年の米国株式市場の大暴落
1920年代の米国は、第一次世界大戦後の好景気や自動車やラジオなどの新技術の普及によって、株式市場が急成長しました。これを「繁栄の20年代」と呼びます。しかし、1929年10月に、株式の価格が急落しました。これを「ブラック・チューズデー」と呼びます。この暴落は、株式市場の信用取引の崩壊や銀行の倒産などを引き起こし、世界恐慌と呼ばれる大不況につながりました。
・1987年の世界同時株式暴落
1987年10月に、米国株式市場が大暴落しました。これを「ブラック・マンデー」と呼びます。この暴落は、米国の貿易赤字の拡大や金利の上昇、コンピューターによる自動売買の影響などが原因とされます。この暴落は、世界中の株式市場に波及しました。日本の株式市場も大きく下落しました。
・2000年のITバブルの崩壊
1990年代後半から2000年初頭にかけて、インターネットやIT関連の企業の株式が急騰しました。これを「ITバブル」と呼びます。ITバブルは、インターネットの普及や革新的なビジネスモデルの登場、投資家の過剰な期待などが原因で起こりました。しかし、2000年に、IT関連の企業の業績が悪化したり、株式の過剰な高値が修正されたりすると、株式の価格が急落しました。これを「ITバブルの崩壊」と呼びます。ITバブルの崩壊は、多くのIT関連の企業の倒産や失業をもたらしました。
株式のカムバック
株式のカムバックとは、株式の価格が暴落した後に回復する現象のことです。カムバックは、経済の回復や政策の効果、投資家の心理の変化などが原因で起こります。カムバックは、投資家に大きな利益をもたらすことができます。しかし、カムバックは必ず起こるとは限りません。株式の価格が暴落した後に、さらに下落することもあります。この場合、投資家は損切りをする必要があります。
株式のカムバックの代表的な事例として、以下のものが挙げられます。
・2009年の米国株式市場のカムバック
2008年に、米国の住宅市場の崩壊や金融機関の危機などが引き起こした世界金融危機によって、米国株式市場が大暴落しました。これを「リーマン・ショック」と呼びます。リーマン・ショックは、世界中の株式市場に波及しました。しかし、2009年に、米国政府や中央銀行の金融政策や財政政策の効果や、企業の業績の改善などによって、米国株式市場が回復しました。これを「米国株式市場のカムバック」と呼びます。米国株式市場のカムバックは、その後の株式市場の上昇の基礎となりました。
・2013年の日本株式市場のカムバック
2013年に、安倍晋三首相が打ち出した経済政策「アベノミクス」の効果や、日本銀行の金融緩和の強化などによって、日本株式市場が回復しました。これを「日本株式市場のカムバック」と呼びます。日本株式市場のカムバックは、日本経済のデフレ脱却や成長の期待を高めました。
・2020年の中国株式市場のカムバック
2020年に、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中の株式市場が大暴落しました。これを「コロナショック」と呼びます。コロナショックは、経済活動の停滞や企業の業績の悪化などをもたらしました。しかし、2020年の後半に、中国の経済が早期に回復し、新興産業やテクノロジー関連の企業が成長したことによって、中国株式市場が回復しました。これを「中国株式市場のカムバック」と呼びます。中国株式市場のカムバックは、中国の経済の強さや株式市場の魅力を示しました。
伝説的な投資家とその戦略
株式投資において成功した伝説的な投資家として、以下の人物が挙げられます。
・ウォーレン・バフェット
米国の投資家で、バークシャー・ハサウェイ社のCEOです。彼は、長期的に成長する優良企業の株式を安く買って、高く売るという戦略で、巨額の資産を築きました。彼は、「株式は所有する企業の一部である」という考え方を持ち、企業の本質や価値を分析することに重きを置きます。彼は、「株式の価格は短期的には投票機であるが、長期的には計量器である」という言葉で、株式の価格が市場の心理に左右されることを指摘しました。彼は、「恐怖するときには貪欲であり、貪欲なときには恐怖する」という言葉で、市場の感情に逆行することの重要性を説きました。
・ピーター・リンチ
米国の投資家で、フィデリティ社のマゼラン・ファンドの元運用責任者です。彼は、自分がよく知っている分野や業界の株式を選び、その成長性や競争力を評価するという戦略で、驚異的なパフォーマンスを達成しました。彼は、「自分が理解できないものには投資しない」という考え方を持ち、複雑なビジネスモデルや技術の株式を避けました。彼は、「株式はストーリーである」という考え方を持ち、企業の将来の展望やビジョンを重視しました。彼は、「株式は数字である」という考え方も持ち、企業の財務状況や業績を厳しく分析しました。
・ジョージ・ソロス
ハンガリー出身の投資家で、ソロス・ファンド・マネジメント社の創設者です。彼は、市場の不均衡や非合理性を見抜き、大胆に投機するという戦略で、巨額の利益を得ました。彼は、「反フライの原理」という考え方を持ち、市場の参加者の認識が現実に影響を与えることを認めました。彼は、「市場は間違っていることが多い」という考え方を持ち、市場のトレンドに従わず、自分の見解に基づいて行動しました。彼は、「1992年のポンド危機」で、英国の通貨ポンドを売りまくり、英国政府を撤退に追い込むという快挙を成し遂げました。
株式投資の成功事例と失敗事例
株式投資において成功した事例として、以下のものが挙げられます。
・アップル社の株式
アップル社は、1980年に株式公開しました。当時の株式の価格は22ドルでした。しかし、その後、マイクロソフト社との競争に敗れたり、創業者のスティーブ・ジョブズが追放されたりするなど、苦境に陥りました。1997年には、株式の価格は3.19ドルまで下落しました。しかし、ジョブズが復帰し、iMacやiPod、iPhoneなどの革新的な製品を発売したことで、アップル社は復活しました。2020年には、株式の価格は500ドルを超え、時価総額は2兆ドルに達しました。アップル社の株式は、長期的に保有した投資家に大きな利益をもたらしました。
・アマゾン社の株式
アマゾン社は、1997年に株式公開しました。当時の株式の価格は18ドルでした。しかし、その後、2000年のITバブルの崩壊によって、株式の価格は5.97ドルまで暴落しました。多くの投資家は、アマゾン社が倒産すると考えました。しかし、アマゾン社は、オンライン書店からオンライン総合小売店に事業を拡大し、プライム会員制やAWSなどのサービスを提供することで、成長を続けました。2020年には、株式の価格は3,000ドルを超え、時価総額は1.5兆ドルに達しました。アマゾン社の株式は、長期的に保有した投資家に大きな利益をもたらしました。
株式投資において失敗した事例として、以下のものが挙げられます。
・エンロン社の株式
エンロン社は、米国のエネルギー企業で、2000年には株式の価格が90ドルを超え、時価総額は700億ドルに達しました。しかし、その後、エンロン社が巨額の負債を隠していたことが発覚しました。これは、会計不正のスキャンダルと呼ばれます。エンロン社は、2001年に破産しました。株式の価格は0.26ドルまで下落しました。エンロン社の株式は、投資家に大きな損失をもたらしました。
・日本航空社の株式
日本航空社は、日本の航空会社で、2002年に株式公開しました。当時の株式の価格は3,000円でした。しかし、その後、燃料費の高騰や国際線の競争激化、リーマン・ショックなどによって、日本航空社の経営は悪化しました。2010年には、日本航空社は破産しました。株式の価格は1円まで下落しました。日本航空社の株式は、投資家に大きな損失をもたらしました。
まとめ
この章では、株式の失敗と成功について学びました。株式のバブルと暴落は、市場の心理や経済の変動によって起こります。株式のカムバックは、経済の回復や政策の効果によって起こります。株式投資において成功した伝説的な投資家は、自分の戦略や考え方を持ち、市場の状況に応じて行動します。株式投資において成功した事例は、長期的に成長する優良企業の株式を保有することで利益を得ます。株式投資において失敗した事例は、会計不正や経営危機によって株式の価値が失われることで損失を被ります。
株式投資は、リスクとリターンのバランスが重要です。株式の価格は、常に変動します。株式投資において成功するためには、自分の目的や期間、リスク許容度を明確にし、企業の分析や市場の動向を把握することが必要です。また、株式投資において失敗しないためには、自分の判断や感情に惑わされず、冷静に損切りや利確をすることが必要です。
株式投資は、難しいものではありません。しかし、簡単なものでもありません。株式投資は、知識と経験と勇気と忍耐の結果です。株式投資に興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。株式投資は、あなたの人生を豊かにするかもしれません。
前章
株式編 第15章 株式の歴史と未来:株式の起源、発展、革新、歴史的な事件、未来の展望
次章
株式編 第17章 株式の心理学と行動ファイナンス:株式の心理的な影響、バイアス、ヒューリスティック、感情コントロール、行動ファイナンスの理論、実践
タグ:株式
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