この記事では、株式の倫理と社会的責任に関する4つの概念を紹介します。それぞれの定義や特徴、日本での取り組み事例などを解説します。株式投資をする際に参考にしていただければ幸いです。
ESG投資とは?
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの頭文字をとった言葉で、企業の持続可能性や社会的責任を評価する投資手法です。ESG投資では、企業の財務的なパフォーマンスだけでなく、気候変動や資源枯渇などの環境問題、人権や労働条件などの社会問題、経営陣の透明性やコンプライアンスなどのガバナンス問題にも注目します。ESG投資の目的は、企業の長期的な成長と社会的な価値の創出を両立させることです。
ESG投資は、近年、世界的に急速に拡大しています。2022年には、世界の資産運用額の約3分の1にあたる約110兆ドルがESG投資に関連していると推定されています。日本でも、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資に積極的に取り組んでおり、2022年度末には、国内株式の約30%、海外株式の約50%がESG投資に関連しています。
ESG投資のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・環境や社会に配慮した企業は、将来的に競争力や収益性が高まる可能性がある
・ESG投資は、リスクの低減や多様化にも貢献する
・ESG投資は、投資家の社会的な使命感や満足感を高める
ESG投資の課題としては、以下のようなものが挙げられます。
・ESGの評価基準や指標が統一されていない
・ESGの情報開示や報告が不十分な場合がある
・ESG投資のパフォーマンスやインパクトの測定が難しい
インパクト投資とは?
インパクト投資とは、社会的・環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動です。インパクト投資では、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを目指します。インパクト投資は、ESG投資の延長線上で急拡大しています。
インパクト投資は、世界的に注目されてきた「インパクト投資」は、日本でも急速に関心が高まっており、「新しい資本主義」の政策に盛り込まれたり、金融庁に検討会が設置されたり、スタートアップによる業界団体が設立されるなど、この1年間で具体的な動きが目立っています。
特にスタートアップの果たす役割に注目が集まっており、社会課題の解決に役立つフィンテック事業とオーバーラップする領域も増えるものとみられます。世界全体でみると、2022年10月時点の企業価値10億ドル以上の「インパクト・ユニコーン」は180社あり、そのうち4割は2021年以降にユニコーンになるなど、各国で目覚ましい成長を遂げています。
インパクト投資のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・社会的・環境的な課題解決と経済成長の両立が可能になる
・インパクト投資は、新たな市場やビジネスモデルの創出にもつながる
・インパクト投資は、投資家の社会的な使命感や満足感を高める
インパクト投資の課題としては、以下のようなものが挙げられます。
・インパクト投資の定義や基準が明確でない
・インパクト投資の情報開示や報告が不十分な場合がある
・インパクト投資のパフォーマンスやインパクトの測定が難しい
コーポレートガバナンスとは?
コーポレートガバナンスとは、企業統治を意味することで、不祥事を防ぐためや企業価値を増やすために企業内の不正を防ぐ仕組みです。コーポレートガバナンスの根拠となる法律は、法律ではなく、上場企業や中小企業には異なる強化方法があります。
コーポレートガバナンスの目的は、以下のようなものが挙げられます。
・経営者の自己利益や不正を防ぐ
・株主やステークホルダーの利益を守る
・企業の競争力や信頼性を高める
コーポレートガバナンスのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・経営者の意思決定が迅速かつ効率的になる
・株主やステークホルダーとのコミュニケーションが円滑になる
・企業の社会的責任やブランドイメージが向上する
コーポレートガバナンスの課題としては、以下のようなものが挙げられます。
・コーポレートガバナンスの導入や改善にはコストや時間がかかる
・コーポレートガバナンスの実効性や効果の測定が難しい
・コーポレートガバナンスの水準や内容が国や業界によって異なる
コーポレートソーシャルレスポンシビリティとは?
コーポレートソーシャルレスポンシビリティ(CSR)とは、企業の社会的責任を意味することで、企業が経済的な利益だけでなく、環境や社会に対しても責任を果たすことを指します。CSRは、企業の自発的な取り組みであり、法律や規制によって強制されるものではありません。
CSRの目的は、以下のようなものが挙げられます。
・企業の社会的な使命や価値観を明確にする
・企業のステークホルダーとの信頼関係を構築する
・企業の持続可能性や競争力を高める
CSRのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・CSRは、企業のイノベーションや創造性を刺激する
・CSRは、企業のリスクマネジメントやコンプライアンスを強化する
・CSRは、企業の人材の確保や育成にも貢献する
CSRの課題としては、以下のようなものが挙げられます。
・CSRの定義や基準が明確でない
・CSRの情報開示や報告が不十分な場合がある
・CSRのパフォーマンスやインパクトの測定が難しい
まとめ
この記事では、株式の倫理と社会的責任に関する4つの概念を紹介しました。それぞれの概念には、定義や特徴、メリットや課題などがあります。株式投資をする際には、これらの概念を理解し、自分の投資方針や目的に合わせて選択することが重要です。株式投資は、単にお金を増やすだけでなく、社会にも貢献することができるということを忘れないでください。
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前章
株式編 第13章 株式の国際的な側面:株式のグローバル市場、海外株式、為替の影響、通貨リスク、ヘッジ方法
次章
株式編 第15章 株式の歴史と未来:株式の起源、発展、革新、歴史的な事件、未来の展望
タグ:株式
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