株式のトレンドの種類と特徴
株式のトレンドには、大きく分けて3つの種類があります。それぞれのトレンドの期間や特徴は以下の通りです。
・長期トレンド
数年から数十年にわたる株価の大きな動きの方向性。経済や社会の構造的な変化が影響する。例えば、高度経済成長期やバブル期、リーマンショック後の景気回復期などが長期トレンドにあたる。
・中期トレンド
数ヶ月から数年にわたる株価の中規模な動きの方向性。景気や金融政策の変化が影響する。例えば、金融緩和や金融引き締めによる株価の上昇や下落などが中期トレンドにあたる。
・短期トレンド
数日から数ヶ月にわたる株価の小規模な動きの方向性。市場の需給や心理、ニュースなどの要因が影響する。例えば、決算発表や株式分割などの個別銘柄のニュースによる株価の上昇や下落などが短期トレンドにあたる。
株式のトレンドは、上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンドの3つに分類できます。上昇トレンドとは、株価が高値を更新していく状態で、下降トレンドとは、株価が安値を更新していく状態です。横ばいトレンドとは、株価が一定の範囲内で上下する状態です。株式のトレンドは、長期、中期、短期の各レベルで発生しますが、長期トレンドが最も強力で、中期トレンドや短期トレンドは長期トレンドに従う傾向があります。
株式のサイクルの種類と特徴
株式のサイクルには、一般的に4つのステージがあります。それぞれのステージの特徴は以下の通りです。
・金融相場
不況により企業業績が悪化すると、株価は下落します。しかし、景気対策として金融緩和を行うと、余剰資金が株式市場に流れ込み、不景気なのに株価が上昇する現象が起きます。これを金融相場といいます。金融相場では、金利に敏感な銀行や証券などの金融セクターや、設備投資関連など景気敏感セクターの株が買われやすくなります。
・業績相場
金融相場の次のステージである業績相場では、金融緩和の効果により企業業績が回復に向かいます。そして、マクロ要因よりも個別銘柄の業績などのミクロ要因を背景として株価が上昇することが多くなります。業績相場では、業績がプラスになる企業や、財務体質が安定している企業が買われやすくなります。
・逆金融相場
業績相場が拡大し過ぎると、金融引き締めのステージがやってきます。これを逆金融相場といいます。金融引き締めによって金利が上昇すると、投資家の資金は株式市場から債券などの固定金利の商品に流れ込みます。そして、株式は売られるので、逆金融相場で株価は下落する傾向にあります。逆金融相場では、無借金企業などバランスシートが健全で、金利上昇の影響を受けにくい企業が買われやすくなります。
・逆業績相場
逆金融相場の次のステージである逆業績相場では、金融引き締めの影響で景気や企業業績の見通しが悪化し、株価が下落する相場です。逆業績相場では、医薬品、インフラ、生活必需品など、景気や業績との連動性が低いディフェンシブセクターの株が買われやすくなります。
株式のサイクルは、この4つのステージを繰り返しますが、その波の大きさやサイクルの長さは様々です。市場サイクルの変化の引き金となるのは、中央銀行の金融政策です。そのため、各国の金融政策会合や雇用統計など、金融政策に大きな影響を与える重要な経済指標に注目する必要があります。
株式のトレンドとサイクルの分析方法
株式のトレンドとサイクルを分析する方法には、様々な手法がありますが、ここでは代表的なものを紹介します。
・移動平均線
移動平均線とは、過去の株価の平均値をプロットした線のことです。移動平均線は、株価のトレンドを捉えるのに有効な指標です。移動平均線の期間を長くすると、長期トレンドを、短くすると、短期トレンドを表します。移動平均線は、株価が上抜けると上昇トレンド、下抜けると下降トレンドのサインとなります。また、移動平均線同士が交差すると、トレンドの転換点となります。
・マーケット・サイクル・インジケーター
マーケット・サイクル・インジケーターとは、株式市場のサイクルのステージを判断するための指標のことです。マーケット・サイクル・インジケーターには、様々な種類がありますが、代表的なものとして、景気循環指数、金利差、株価収益率、株価帳簿価格比率などがあります。これらの指標は、株式市場のサイクルの先行指標や遅行指標として、サイクルの変化を予測したり、確認したりするのに役立ちます。例えば、景気循環指数は、景気の先行指標として、サイクルの転換点を捉えるのに有効です。金利差は、金融相場や逆金融相場の発生を示すのに有効です。株価収益率や株価帳簿価格比率は、株式の割安度や割高度を測るのに有効です。
まとめ
株式のトレンドとサイクルは、株式投資において重要な要素です。株式のトレンドとサイクルを正しく理解し、分析することで、株式の動きを予測したり、適切な銘柄やセクターを選択したりすることができます。株式のトレンドとサイクルの分析には、移動平均線やマーケット・サイクル・インジケーターなどの様々な手法がありますが、それらを単独で使うのではなく、複数の指標を組み合わせて使うことが望ましいです。株式のトレンドとサイクルは、常に変化しているので、常に市場の動向に注意を払う必要があります。
前章
株式編 第10章 株式の戦略と手法:株式のインデックス投資、バリュー投資、グロース投資、モメンタム投資、コントラリアン投資
次章
株式編 第12章 株式のイベントとニュース:株式の決算発表、株主総会、株式分割、増資、減資、M&A、ニュースの影響、ニュースの分析
タグ:株式
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