2017年10月13日
フォーマットのシフト1ーモンターギュ文法のシュガーリング1
通常、人文科学で言語学を研究する場合、人文の柱とTの逆さの認知科学の柱を並べて調節していく。また、認知科学の柱には、文系と理系の分析方法が両方含まれている。
文学作品における作者の推論を考察するには、まず、読んで思うという自然言語の情報があるため、それを作家の執筆脳とマージさせて、何れかの理系の手法に通じるようにしなければならない。ここでは、マージの手法として論理計算を想定しているため、自然言語と論理言語間にある翻訳技法を紹介する。例えば、 Richard Montagueは、PTQという論文の中で樹形図から論理式への翻訳と自然言語の表現を導く「シュガーリング」という方法を採用した。このステップを踏むことにより、テキストのダイナミズムを論理言語によって処理する方法が次第につかめてくる。同時に、Thomas Mannのイロニーが少しずつ論理文法とマージしていく。
ここでは作品を通して作者の推論を考察するために、自然言語を論理言語で表現する(またはその逆の)方法を考えていく。有名な例は、 MontagueがPTQの中で採用した翻訳技法シュガーリングである。この方法は、コンピュータ言語学でいうバージングの逆の処理になる。
Montagueは、一階の述語論理によってすベての真理条件が記述できない点を克服するために、可能世界により指示対象が決まる内包論理へと述語計算を拡張した。確かにこの方法は生成的である。まず、分析樹を定義し、次にそれを英語の文へ変換する。つまり、ここで一義的な構造が壊されていくことになる。この処理は、コンピュータ用語に相応してシュガーリングと呼ばれている。Prolog (宣言型言語で、何が計算されるのかが問題となる自然言語処理システム)などによるパージングは、この逆の処理である。
ここでは、Montague文法とパージングによる言語処理の関係およびそれらの相互作用を見ていく。こうしたステップを踏むことにより、Thomas Mannの推論自体がより具体的になっていくからである。次節と組み合わせて、テキストのダ イナミズムを論理言語で処理する方法およびその発展の様子も簡単に説明する。
花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より
文学作品における作者の推論を考察するには、まず、読んで思うという自然言語の情報があるため、それを作家の執筆脳とマージさせて、何れかの理系の手法に通じるようにしなければならない。ここでは、マージの手法として論理計算を想定しているため、自然言語と論理言語間にある翻訳技法を紹介する。例えば、 Richard Montagueは、PTQという論文の中で樹形図から論理式への翻訳と自然言語の表現を導く「シュガーリング」という方法を採用した。このステップを踏むことにより、テキストのダイナミズムを論理言語によって処理する方法が次第につかめてくる。同時に、Thomas Mannのイロニーが少しずつ論理文法とマージしていく。
ここでは作品を通して作者の推論を考察するために、自然言語を論理言語で表現する(またはその逆の)方法を考えていく。有名な例は、 MontagueがPTQの中で採用した翻訳技法シュガーリングである。この方法は、コンピュータ言語学でいうバージングの逆の処理になる。
Montagueは、一階の述語論理によってすベての真理条件が記述できない点を克服するために、可能世界により指示対象が決まる内包論理へと述語計算を拡張した。確かにこの方法は生成的である。まず、分析樹を定義し、次にそれを英語の文へ変換する。つまり、ここで一義的な構造が壊されていくことになる。この処理は、コンピュータ用語に相応してシュガーリングと呼ばれている。Prolog (宣言型言語で、何が計算されるのかが問題となる自然言語処理システム)などによるパージングは、この逆の処理である。
ここでは、Montague文法とパージングによる言語処理の関係およびそれらの相互作用を見ていく。こうしたステップを踏むことにより、Thomas Mannの推論自体がより具体的になっていくからである。次節と組み合わせて、テキストのダ イナミズムを論理言語で処理する方法およびその発展の様子も簡単に説明する。
花村嘉英(2005)「計算文学入門−Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より
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