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2019年10月11日
家族の木 THE FOURTH STORY 真と梨央 <51 駆け落ち>
駆け落ち
真也が幼稚園に通うようになったころ梨央は食欲不振になった。機嫌はいいが顔色が悪い。そういう様子は前に一度経験していた。真也の時には義母がサポートしてくれた。だが、今は義母は義父の世話をしなければならなかった。
義父の田原純一は、今は経営からは退いて一日家にいた。右足が動かない以外に特に問題はなかった。生活の不自由と言えば車が乗れないことぐらいだった。俺は時々経営の相談をしに家に行った。義母はよく義父の世話を焼いていた。この家はどうもみな世話女房だ。食事の時にはピッタリ寄り添って食べる。この生活に水を差すのも申し訳ない気がした。
梨央に家政婦を雇うことを提案した。「ありがとう、そうしてもらえると嬉しいんだけど、ママがどういうでしょうねえ。また自分が面倒を見るって言わないかと思って。」そうだ、これが難問だった。
今でも真也が行けば義父の世話はいったん中断になる。義父は特に世話が必要な体ではないので怒りはしないが、しょっちゅうになれば不自由も出てくるだろうと思った。
梨沙ちゃんは社長業で忙しい。今となればえり兆ビルのカフェや呉服店、ギャラリーなどの経営を一手にひきうけていた。梨沙ちゃんが遅くなる日は梨沙ちゃんの夫の新田詩音の夕飯は義母の世話になるようだった。
義母は頑張る性格だった。今義母に体を壊されると、やっぱり義父は困るだろう。最初は週2日だけ家政婦さんに来てもらうことにした。義母の気持ちを考えてなおかつ義母の体調を考えた苦肉の策だった。俺は、こんなに人の気持ちを汲む人間になったんだと我ながら感心した。
そんな時、俺の妹が駆け落ちをしたと連絡があった。梨央と同じ年の恵美だった。駆け落ちってこの時代にまだそんなことをする人間がいるのかと驚いた。親に反対されても結婚すればいいだけだ。なにも行方をくらまさなくても、いい大人なんだから勝手に暮らせばいいだけじゃないのか?と駆け落ちという言葉に納得がいかなかった。現に俺たち夫婦だって俺の親の意向とは違う形で暮らしている。
久しぶりに実家に帰った。継母は今までとは全く違う対応だった。丁寧に仏間に通されたので実母に線香をあげることができた。父は深く頭をさげた。俺は継母よりも、頼りない父に腹が立った。今は会長という立場にはあったが会社の経営には全くかかわっていなかった。俺は浜野興産のことも田原の義父に相談した。その方が間違いないと思っていた。
恵美は最近夜遊びをするようになっていた。習い事で知り合った友達とクラブというものに出入りしていたらしい。駆け落ちの相手はそのクラブの経営者の男だということだ。そのクラブは経営状態が悪くて経営者は夜逃げ同然に姿をくらましていた。恵美はその男に付いていったようだ。
「一緒に暮らすので安心してほしい。落ち着いたら連絡する。」というメモを残していた。500万程度あった預金は全額おろしていた。男に金を渡しているのは目に見えていた。情けなくて涙が出てきた。無事で居てほしい。できることなら幸福でいてほしいと思った。俺は警察に届けるように言ってから家に帰った。帰り際に末娘の郁美から外で会いたいとメモを渡された。
続く
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義父の田原純一は、今は経営からは退いて一日家にいた。右足が動かない以外に特に問題はなかった。生活の不自由と言えば車が乗れないことぐらいだった。俺は時々経営の相談をしに家に行った。義母はよく義父の世話を焼いていた。この家はどうもみな世話女房だ。食事の時にはピッタリ寄り添って食べる。この生活に水を差すのも申し訳ない気がした。
梨央に家政婦を雇うことを提案した。「ありがとう、そうしてもらえると嬉しいんだけど、ママがどういうでしょうねえ。また自分が面倒を見るって言わないかと思って。」そうだ、これが難問だった。
今でも真也が行けば義父の世話はいったん中断になる。義父は特に世話が必要な体ではないので怒りはしないが、しょっちゅうになれば不自由も出てくるだろうと思った。
梨沙ちゃんは社長業で忙しい。今となればえり兆ビルのカフェや呉服店、ギャラリーなどの経営を一手にひきうけていた。梨沙ちゃんが遅くなる日は梨沙ちゃんの夫の新田詩音の夕飯は義母の世話になるようだった。
義母は頑張る性格だった。今義母に体を壊されると、やっぱり義父は困るだろう。最初は週2日だけ家政婦さんに来てもらうことにした。義母の気持ちを考えてなおかつ義母の体調を考えた苦肉の策だった。俺は、こんなに人の気持ちを汲む人間になったんだと我ながら感心した。
そんな時、俺の妹が駆け落ちをしたと連絡があった。梨央と同じ年の恵美だった。駆け落ちってこの時代にまだそんなことをする人間がいるのかと驚いた。親に反対されても結婚すればいいだけだ。なにも行方をくらまさなくても、いい大人なんだから勝手に暮らせばいいだけじゃないのか?と駆け落ちという言葉に納得がいかなかった。現に俺たち夫婦だって俺の親の意向とは違う形で暮らしている。
久しぶりに実家に帰った。継母は今までとは全く違う対応だった。丁寧に仏間に通されたので実母に線香をあげることができた。父は深く頭をさげた。俺は継母よりも、頼りない父に腹が立った。今は会長という立場にはあったが会社の経営には全くかかわっていなかった。俺は浜野興産のことも田原の義父に相談した。その方が間違いないと思っていた。
恵美は最近夜遊びをするようになっていた。習い事で知り合った友達とクラブというものに出入りしていたらしい。駆け落ちの相手はそのクラブの経営者の男だということだ。そのクラブは経営状態が悪くて経営者は夜逃げ同然に姿をくらましていた。恵美はその男に付いていったようだ。
「一緒に暮らすので安心してほしい。落ち着いたら連絡する。」というメモを残していた。500万程度あった預金は全額おろしていた。男に金を渡しているのは目に見えていた。情けなくて涙が出てきた。無事で居てほしい。できることなら幸福でいてほしいと思った。俺は警察に届けるように言ってから家に帰った。帰り際に末娘の郁美から外で会いたいとメモを渡された。
続く
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