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2019年06月06日
家族の木 THE SECOND STORY 俊也と真梨 <22 深紅の通夜>
深紅の通夜
叔母の通夜は自宅で行われた。叔母は仏間に真っ白な布団で眠っていた。叔父は二階へ上がったかと思うと、何か箪笥を開け閉めする音をさせた。いったい何をしているのだろうと思い名が舞っていると叔母の若い時の着物を持ってきた。
その着物は僕たちが見たこともないものだった。もう何年もしまいっぱなしになっていたものだろう。叔父は深紅の着物を叔母が眠る布団の上に広げた。仏間は一気に華やかな雰囲気になった。
僧侶は多少驚いたようだが叔父は「この衣装は妻の母が嫁入り用として作ったものです。実は結婚当初私は経済力がなくて結婚式を挙げることができなかったんです。それで妻は一度もこの衣装に手を通すことがありませんでした。今でも、この美しさですから、その当時ならどんなに美しかったかと思うと妻が可愛そうでして。どうぞ、この衣装を着て旅立たせてやってください。」と丁重に頼んだ。
僧侶は「構いません。大往生ですからな。華やかなお見送りの方が故人も喜ばれるでしょう。」といった。僕たちは叔母の最期を深く悲しんでいたが年齢から言えば大往生の部に入るのだろう。少し気分が軽くなった。
叔父は通夜の間中、しょっちゅう叔母の顔にかかっている白い布をはずして顔をのぞいた。そのたびに叔母がほほ笑んでいるように思えた。「真ちゃん、落ち着いて。ちゃんと待ってるから。落ち着いて」そんな声が聞こえるような気がした。
通夜は大阪の継父や母も参列して、しめやかに行われた。皆が涙を流したが叔父は泣かなかった。ただ、うつむいて数珠を合わせるだけだった。
続く
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叔父は通夜の間中、しょっちゅう叔母の顔にかかっている白い布をはずして顔をのぞいた。そのたびに叔母がほほ笑んでいるように思えた。「真ちゃん、落ち着いて。ちゃんと待ってるから。落ち着いて」そんな声が聞こえるような気がした。
通夜は大阪の継父や母も参列して、しめやかに行われた。皆が涙を流したが叔父は泣かなかった。ただ、うつむいて数珠を合わせるだけだった。
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