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2019年06月01日
家族の木 THE SECOND STORY 俊也と真梨 <18 特別養子>
特別養子
純一は1歳になる直前に僕たちの子供になった。僕たちは考えた末に純一を特別養子にした。戸籍上も完全に僕たちの子供だった。絵梨4歳の年だった。
いくら小さいといっても1歳を前にした子供だ。母親を亡くして、その後の養子先であまりかまってもらえなかった経験は過酷だったのだろう。感情の起伏のない表情の薄い子供だった。僕たちは、うまくいくのだろうかと心配した。
ところが絵梨は驚くほど、この突然できた弟を可愛いがった。食事の世話もしたがったし寝るのも一緒に寝たがった。頬ずりをしたり、ごろごろ寝転んで遊んだり、純一は絵梨に触られまくって、やがては、よく笑う子供に育っていった。
絵梨は保育園でも純一をみかければ、必ず手を振って「純く~ん」と声をかけた。純一は、絵梨の姿が見えると、ぴょんぴょんはねて喜んだ。
真梨も僕もいつの間にか純一が僕らの実子のような気になっていた。叔父や叔母も、純一がいて当たり前、絵梨と純一はワンセットのような扱いになっていた。聡一とよく似た顔立ちをしていた。真梨とも、なんとなく似ていた。絵梨と純一は世間的にも、ごく普通に兄弟として受け入れられて育った。
僕も聡一もあまり深く付き合わないようにした。家族同士の接点はできるだけ減らした。そのおかげで聡一の奥さんも不自然さに気づくこともなかった。
絵梨は純一が来た日から自分のことを「姉ちゃん」と呼んだ。絵梨と純一の仲の良さは大きくなっても変わらなかった。とりわけ純一は、姉ちゃん、姉ちゃんと言って絵梨を慕った。
純一が小学校へ上がる時、叔父が純一に黒いランドセルを買ってくれた。ところが、純一は姉ちゃんと一緒がいいといってぐずった。赤いランドセルを欲しがったのだ。叔父は苦笑しながらも二人の仲の良さを喜んだ。
純一は絵梨のすることを何でもまねたがった。絵梨が小学校からの優等生で生徒会長などを務めるようになると、自然に純一もそういう活動をするようになっていた。僕も真梨も自分たちの選択が正しかったことを実感してうれしかった。
続く
純一は1歳になる直前に僕たちの子供になった。僕たちは考えた末に純一を特別養子にした。戸籍上も完全に僕たちの子供だった。絵梨4歳の年だった。
いくら小さいといっても1歳を前にした子供だ。母親を亡くして、その後の養子先であまりかまってもらえなかった経験は過酷だったのだろう。感情の起伏のない表情の薄い子供だった。僕たちは、うまくいくのだろうかと心配した。
ところが絵梨は驚くほど、この突然できた弟を可愛いがった。食事の世話もしたがったし寝るのも一緒に寝たがった。頬ずりをしたり、ごろごろ寝転んで遊んだり、純一は絵梨に触られまくって、やがては、よく笑う子供に育っていった。
絵梨は保育園でも純一をみかければ、必ず手を振って「純く~ん」と声をかけた。純一は、絵梨の姿が見えると、ぴょんぴょんはねて喜んだ。
真梨も僕もいつの間にか純一が僕らの実子のような気になっていた。叔父や叔母も、純一がいて当たり前、絵梨と純一はワンセットのような扱いになっていた。聡一とよく似た顔立ちをしていた。真梨とも、なんとなく似ていた。絵梨と純一は世間的にも、ごく普通に兄弟として受け入れられて育った。
僕も聡一もあまり深く付き合わないようにした。家族同士の接点はできるだけ減らした。そのおかげで聡一の奥さんも不自然さに気づくこともなかった。
絵梨は純一が来た日から自分のことを「姉ちゃん」と呼んだ。絵梨と純一の仲の良さは大きくなっても変わらなかった。とりわけ純一は、姉ちゃん、姉ちゃんと言って絵梨を慕った。
純一が小学校へ上がる時、叔父が純一に黒いランドセルを買ってくれた。ところが、純一は姉ちゃんと一緒がいいといってぐずった。赤いランドセルを欲しがったのだ。叔父は苦笑しながらも二人の仲の良さを喜んだ。
純一は絵梨のすることを何でもまねたがった。絵梨が小学校からの優等生で生徒会長などを務めるようになると、自然に純一もそういう活動をするようになっていた。僕も真梨も自分たちの選択が正しかったことを実感してうれしかった。
続く