2019年05月21日
THE SECOND STORY 俊也と真梨 <7 プロポーズ>
プロポーズ
真梨は度々僕の部屋に来るようになった。真梨の学校はあと2年残っていた。そろそろ就活に入るころだ。僕はだんだん焦りだしていた。真梨の頭の中には避妊という言葉はなかった。僕は真梨にそれを言い出せなかった。なぜか傷つくだろうという気がしていた。
叔父に「妊娠しました。結婚させてください。」は通用しないだろう。出来るだけ早く婚約までこぎつけなければならなかった。
僕は、いい家の息子だった。そしていい学校を出ていい会社で働いていた。容姿だってそれなりのはずだった。子供の時にはきれいな子といわれて育った。一見非の打ちどころのない男だった。
でも実際はちがった。僕は母の連れ子で実父は母を刺して殺人未遂で逮捕された男だ。母と離婚し僕の親権を渡すことを条件に大金を受取った男だ。誰も僕に話さないが僕はその程度のことを調べる手立ては知っていた。
叔父や叔母はこの経緯をよく知っているはずだ。そんな男を叔父が愛娘の婿として認めるとは思えなかった。
それに真梨と結婚するということは真梨の家の事業も継承することになる。それはそれで面倒なことだった。叔父がコツコツと積み重ねてきたものを壊すわけにはいかない、けっこう荷の重い仕事だった。僕はサラリーマンとして出世したい欲も有った。仕事には手ごたえを感じていたのだ。
なぜ、あの時真梨を縛り付けるような言葉を言ってしまったのだろう。真梨から見れば立派なプロポーズだ。言葉では真梨を縛り付けていたが現実に縛られているのは僕だった。
僕は独占欲が少ない子供だった。いつも弟のことを考えていた。母がいつも弟のことを考えていたからだ。弟を大切にすることが僕の存在そのものだった。いつだって弟あっての僕だった。少なくとも母の中ではそうだった。
僕は人目を惹く大学を選んだ。そして外資系という、ちょっと特別感のある就職をした。田原の家で最も序列が低いことへの劣等感の裏返しだった。
真梨は親族の中でも、たった一人の女の子だった。親族の集まりでは、はにかんであまりしゃべらないのに、いつも話題の中心だった。そんな女の子を独占したいと思ったのだろうか?
あの時、突然、真梨に対する執着心がむくむくと湧いてきた。真梨が他の男とこんな時間をもつのは耐えられない。ただ、そう思った。
真梨は僕と結婚することが当たり前だと思っていた。それしか考えていなかった。僕は見事に真梨のトラップにハマって出られなかった。あの時真梨は「初めてはお兄ちゃんがいい。」と言ったけれど結局のところちょうどいい男を捕まえて逃れられないようにしてしまった。困ったことに僕はこのことに幸福感を感じていた。
ある日、夕飯が終わってみんなでゆっくりしているときに「ちょっとお願い事があるんですが。」と切り出した。余りにも硬い雰囲気で言い出したので叔父は仕事の話か何かと思ったようで、「ちょっと飲もうか?」と言ってウィスキーを取り出した。
「いや、真梨ちゃんのことなんですが、学校あと2年残ってますよね。」というと叔父は「せっかく合格できたんだから卒業したらどうかと思ってるんだ。勉強自体が嫌なわけじゃないんだし。俊也にも心配かけるね。」といった。
「真梨ちゃんは将来どうするのかなと気になって・・・。」というと叔父は「あの時は俊也のおかげで助かった。今後のことはゆっくり考えればいいと思ってるよ。とにかく今は卒業が目標じゃないかな?ね、真梨」と話が違う方向へ向いてしまう。
僕は話題を戻そうとして「卒業はもちろん大切なんだけど、真梨ちゃんは他の道も考えてるんじゃないかなと思って。」というと叔父は怪訝そうな顔をして「真梨、なにかしたいことが見つかったのかね?」と聞いた。
僕が「恋愛とか」と言いかけただけで叔父は嫌な顔をした。「まだまだだよ。卒業してからでも十分間に合う。そんなこと急ぐことじゃないじゃないか。俊也何が言いたいんだ?」ともう怒りだしそうになっている。僕は一気にひるんでしまった。
真梨が「パパ あのね、わたしがお兄ちゃんをだましてレイプしたの。」と口を挟んだ。叔母は「えっ、レイプ?」と目を三角にして立ち上がった。僕は真梨に「ちょっと、真梨、ややこしくなるから黙ってて。」と言った。
途端に「何が黙れだ!お前一体何をしたんだ、本当のところを詳しく説明しろ!さっきから何をぐずぐず言ってるんだ!」叔父は完全に噴火していた。真梨はまた大声で「だから、わたしがお兄ちゃんをだましたの!無理やり抱きついたのよ!」と怒鳴った。
叔父は、きょとんとして黙っていた。叔母は両手で顔を覆って肩を震わせていた。なんだかえらい修羅場になってしまった。僕は「叔母さん、すみません。必ず幸せにします。申し訳ないです。」と謝った。
自分でも、なんで謝っているのかわからなかったが、とにかく叔母に泣き止んでもらいたかった。叔母は涙を流していた。そして、声を殺して嗚咽しているように見えたが次の瞬間、もう耐えられないとばかりに笑いだした。
叔母の大笑いで叔父の顔が一気に緩んだ。「なんで、もっと早く言わないんだ。もう長いのか?」と詰問口調になった。僕が「すみません。なんとなく言いにくくて。」と答えると、叔母は叔父に「おんなじよ。おんなじなんよ。」といった。
途端に叔父は軟弱な煮え切らない顔になって「だいたい、なんで急に真梨なんだ。いままで真梨ちゃんだったじゃないか。とにかく、きちんと婚約してくれ。心臓が持たん。」といった。
続く
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僕は、いい家の息子だった。そしていい学校を出ていい会社で働いていた。容姿だってそれなりのはずだった。子供の時にはきれいな子といわれて育った。一見非の打ちどころのない男だった。
でも実際はちがった。僕は母の連れ子で実父は母を刺して殺人未遂で逮捕された男だ。母と離婚し僕の親権を渡すことを条件に大金を受取った男だ。誰も僕に話さないが僕はその程度のことを調べる手立ては知っていた。
叔父や叔母はこの経緯をよく知っているはずだ。そんな男を叔父が愛娘の婿として認めるとは思えなかった。
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なぜ、あの時真梨を縛り付けるような言葉を言ってしまったのだろう。真梨から見れば立派なプロポーズだ。言葉では真梨を縛り付けていたが現実に縛られているのは僕だった。
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真梨が「パパ あのね、わたしがお兄ちゃんをだましてレイプしたの。」と口を挟んだ。叔母は「えっ、レイプ?」と目を三角にして立ち上がった。僕は真梨に「ちょっと、真梨、ややこしくなるから黙ってて。」と言った。
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