2019年05月03日
家族の木 THE FIRST STORY 真一と梨花 <51 霹靂>
霹靂
「真ちゃん 自分が何したかわかってる?」と聞かれて梨花の顔を見た。
閉じた瞼の下から涙がにじみ出て見たこともないような悲しい顔をしていた。
腹立ちまぎれの高揚が一気に冷めた。梨花に丁寧に毛布をかけて、すごすごと服を着るしかなかった。
余りにもみじめで、その場にいるのが苦しかった。
「頭を冷やしてくる。」と言って家を出て、その夜は会社に泊まった。
その日の昼間、僕の留守中に会社で使っているクラブのホステスが家に押しかけていた。
僕の子供を妊娠したので、できることなら離婚してほしい、ダメなら養育費と慰謝料を出してほしいと梨花に直談判したのだ。
あんな世慣れた小娘にしてやられたという自己嫌悪でいらだっていた。
そんな小娘が僕の家庭に踏み込んできたのかと思うと歯がみをしたい気持ちになった。
何よりも僕をいらだたせたのは梨花があの小娘の言い分に動揺して僕との話し合いを拒絶したことだった。
梨花は喧嘩になっても絶対に僕を拒絶することは無かった。
結構言いたいことも言ってある程度納得すれば後はさっぱりした気性だった。
僕を丸め込んだことで満足して、僕も丸め込まれるのが嫌ではなかった。
僕たちは大きな喧嘩もしないし仲直りも早かった。
喧嘩さえも拒否するような態度をとられたのは初めてだった。
カッとなってマグマが一気に噴火してしまった。嫌がる梨花の膝を力づくでこじ開けた。
梨花は抵抗する気力もなくしていた。
絶対に家庭に向けてはいけない暴力を最も陰険で野蛮な方法で暴発させてしまった。
みじめな自己嫌悪から立ち直ることができなかった。その日から家へ帰れなくなった。
会社に近いビジネスホテルに泊まって悶々とする日々が続いた。
その女はいつも決まって僕達の相手をする女だった。この女がパトロンを物色しているのは分かっていた。
僕がそんなことには無縁だということは店の者も同行した社員もわかっていることだった。
僕は若い女の関心を引けるタイプではなかった。地味で面白みのない中年だったのだ。
その女と関係を持った日は前日からの疲れで風邪気味だった。
几帳面な僕は朝昼晩ときちんと風邪薬を飲んでいた。
接待ということもあって行くだけ行って早々に引き上げる予定だった。
ところが、なかなか席を立つタイミングがつかめなかった。
そんな僕を見かねた女が席を立つタイミングを作ってくれた。僕は女に礼を言ってタクシーに乗った。
その時女も一緒に乗り込んできた。付き合いでほんの少しだけ飲んだ酒が回っていた。
気が緩んでいた。そのまま女の部屋へ直行してしまった。軽い気持ちだった。
僕はもともと身持の硬い方だった。自分が妾の子だということもあって女遊びが嫌いだった。
しかし、その女は遊び慣れている感じがしていた。だからこその、この段取りの良さだと思った。
あとくされがなさそうな気がした。一度くらい女の段取りにのってもいいさとタカをくくっていた。
女を断る作業そのものが面倒だった。それが3カ月ぐらい前の出来事だった。
続く
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僕の子供を妊娠したので、できることなら離婚してほしい、ダメなら養育費と慰謝料を出してほしいと梨花に直談判したのだ。
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そんな小娘が僕の家庭に踏み込んできたのかと思うと歯がみをしたい気持ちになった。
何よりも僕をいらだたせたのは梨花があの小娘の言い分に動揺して僕との話し合いを拒絶したことだった。
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僕を丸め込んだことで満足して、僕も丸め込まれるのが嫌ではなかった。
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気が緩んでいた。そのまま女の部屋へ直行してしまった。軽い気持ちだった。
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しかし、その女は遊び慣れている感じがしていた。だからこその、この段取りの良さだと思った。
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女を断る作業そのものが面倒だった。それが3カ月ぐらい前の出来事だった。
続く
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