南アメリカ大陸の太平洋岸にある国で、地形や気候などのちがいによって、大きく3つの地域にわけられます。首都リマがある太平洋に面した海岸砂漠地帯は、乾燥気候でほとんど雨がふりません。雨季と乾季がある中央の山岳地帯には、古代遺跡がたくさん残り、アンデス山脈の東側は、一年中気温も湿度も高いアマゾン川上流のセルバとよばれる熱帯雨林が広がっています。
紀元前から古代文明がさかえていましたが、13世紀ころにクスコを中心に成立したインカ帝国は、強大な軍事力で領土を広げ、大きな勢力をもちました。しかし、1533年にスペイン軍によってほろぼされてスペインの支配下にはいり、以来約3世紀、スペインは先住民を労働力として銀を採掘し続け繁栄しました。1824年に完全独立が実現しました。
1968年のクーデターで軍師政権が生まれますが、1979年に新憲法が制定されて、民主的な政治にもどりました。1990年代には、日系2世のアルベルト・フジモリが大統領をつとめました。ペルーへの日本人移民は、ブラジルよりも9年早い、1899年のことです。現在、国民の約半数を先住民のインディオ、約3分の1を白人と先住民の混血がしめ、日系人は約8万人といわれています。
インカ帝国の中心としてさかえた地
おもな産業は、鉱業と漁業です。鉱産資源は豊かで、銅、スズ、鉛、金、銀は世界有数の産出量をほこります。漁業もペルーを代表する産業で、アンチョビー(カタクチイワシ)を加工した魚油や魚粉肥料が、多くの国に輸出されています。農産物は、さとうきび、とうもろこしなどが栽培されますが、食料の大半は輸入にたよっています。
古代案です文明の遺跡は、大きな観光収入をもたらしています。インカ帝国はアンデスの山岳地で農耕をいとなみ、太陽神を信仰していました。王都クスコには、太陽神をまつった神殿など巨石をつかった建造物が残され、高度の文明がさかえていたことを物語っています。標高2280mにつくられて石の都市マチュ・ピチュ遺跡や、インカより古い時代に、ナスカの砂漠に描かれた地上絵も有名です。
マチュ・ピチュのいせき。敵の侵略をさけるため高い山頂につくられた、インカの秘密都市だったとされる。「空中都市」などともよばれている。 Tweet
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