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石井紘議員刺殺

右翼とトラブル情報
包丁の男、執拗に追う

　民主党の石井紘基衆院議員（６１）が２５日午前、東京都世田谷区の自宅玄関前で男に刺殺された事件で、男は逃げた石井氏を執拗に追い、最後は馬乗りになって左胸などを刺していたことが、警視庁の調べで分かった。男は当初から、石井氏を殺害する目的で襲ったとみられ、同庁は殺人事件として捜査本部を設け、男の行方を追っている。

　石井氏の事務所をたびたび訪れていた右翼団体幹部が最近、周囲に石井氏との間でトラブルがあると漏らしていたことも新たに判明し、北沢署捜査本部は、トラブルの内容や幹部の所在確認を急いでいる。

　調べでは、石井氏が午前１０時３０分過ぎ、公用車に乗り込もうと自宅玄関を出た直後、男は黒いバッグから包丁を出して近づいてきた。石井氏は「だれだ」「何するんだ」と叫び、男をかわそうと数メートル逃げたが、植木鉢につまづいて転倒。男はその石井氏に馬乗りになって左胸やあご、左手などを刺した。包丁（刃渡り約２０センチ）はその場に捨て、ゆっくり歩いて立ち去った。

　男は公用車が午前１０時２０分すぎに石井氏宅前に到着するのと同時に現場に現れ、石井氏が出てくるまでの約１０分間は、車の背後に立って待機していたという。

　現場近くでは事件の約２時間前、石井氏宅の様子をうかがっている不審な男が目撃されていた。捜査本部は、石井氏の襲撃を狙って、男が石井氏宅の出入りを確認していた可能性もあるとみている。

　一方、関係者によると、右翼団体幹部は、約１７年前に１人で右翼団体を立ち上げ、８８年には日本共産党本部にナイフを持って押しかけ、党職員２人にけがをさせたことがある。ここ数年は右翼活動はしていなかったとされるが、石井氏の議員会館の事務所には最近まで月に１、２回、地元事務所にも２，３回訪れていたという。

　この幹部は今月中旬まで世田谷区内のアパートに住んでいたが、家賃滞納などの理由で立ち退きになり、その後の所在は分かっていない。

　石井氏の死因は、司法解剖の結果、胸などを刺されたことによる失血死と判明。傷の深さは約１８センチで肺も貫き、胸壁にまで達していた。
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　石井氏の通夜は２７日午後６時、密葬は２８日午後１時から東京都世田谷区世田谷４の２７の４の勝国寺青龍殿で。