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2018年07月21日

ブロックチェーンで“お金”の価値がなくなり、“信用”の社会がやってくる





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ブロックチェーン技術の広がりで終わるのは、これまでの国家的な中央集権社会だと、Hotaru Inc.のCo-Founder兼CEOの篠原ヒロ氏は前編で語った。


破壊の後には、必ず「創造」がある。そこで誕生するのが、篠原氏曰く「分散化社会」だという。これは一体どういうことなのか? ここで私たちはどうすればいいのか?

フジテレビで開催されたFNNプライムセミナーの後編をお届けする。





インターネットはスケールしない


次のファクターはインターネットの仕組みですね。インターネットは完全に中央集権的になっているのでスケールしません。


一つの例だと、インターネットを使っている人は全地球の半分で、そのうちスマートフォンを使っている人は27.9パーセントです。だいたい21億人で、これがいわゆるインターネットビジネスの上限値です。

これをもっと増やしたいから、グーグルもフェイスブックもドローンを飛ばしてインターネットを無料にしようとか、安いスマホを配ろうとかそういう方向にいきました。ただ、それでも70億人ぐらいしか上限はいかないですよね。

「2020年 300億デバイスがオンラインになる」

様々な統計で発表されていますけども、間もなく300億デバイスがオンラインになる。いわゆるIoTと呼ばれるものです。その世界が来た時にスマートフォンの利用者の比率はネットワーク上で9.3パーセントしかいないわけです。滅びゆく恐竜と同じわけなんです。ほとんどはデバイスになるんです。デバイスとAIです。インターネットで何かをしようという時に、向こうにいるのが人間なのかどうかわからない。

実際これまで、例えば1年半くらい前にあるクラウドサーバーインフラがダウンして、インターネットスタートアップの製品が機能不全に陥りました。と言っても「ツイッターが使えません(笑) フェイスブックに投稿してます」。そういう冗談で済んだんですけど、これから先の世界ではそれが冗談では済まされなくなる時代がやってくるんです。

AIやドローンが物流や医療、政治を担うかもしれない。その世界で中央サーバーが止まりました。中国は仮想通貨が気に入らないので全て止めました、アラブの国々はインターネットを遮断してYouTubeを見られなくします。こんな判断を中央集権にさせてしまえる技術基盤であるインターネットが、どこまでも広がるとは思えないのです。

だから中央集権型ではない次世代型の大規模ネットワーク社会、これがやってこないといけない。分散化されたP2P型の社会インフラが始まるわけです。

IOT×ブロックチェーンによる自律分散化社会


そして3つ目のファクターが個人的には1番大きな変化だと思っています。いわゆるICOというものです。「資金調達の手段もまたP2Pの時代と突入した」と。ブロックチェーン企業に限定していますけども、すでにVC(ベンチャーキャピタル)が出資する3.5倍くらいがICOで集まっています。


ICOでこの世からなくなるのは、「出資」と「寄付」という言葉だと思っています。

このふたつをなぜ人類は分けたのでしょう?だからこんなにややこしい世界になったのだと思っています。

例えば地球の環境を汚しているけれど、時価総額世界一という株が売れるんです。なぜなら今月すぐに儲かるから。一方で、アフリカの内戦で自国がズタズタにされて、「少しのお金があれば子ども達が生きられるかも知れない。そのために頑張る」と言っている人には、銀行はお金を貸しません。儲からないからです。こんな世界がいつまでも続くと思いますか?

困っている人がいて、この100円を100円で渡すことができれば救える命があるわけですよ。今までそれができなかったんです。もちろん銀行があるおかげでよかったことがたくさんあるけれども、銀行があることで5000円以上でないと国際送金できない仕組みがある。だから、この100円をよく分からない団体に預けて寄付するしかなかったんです。

でも仮想通貨がある今、この瞬間にどこかで困っている人に直接、ほぼそのままの金額を送金することが可能です。さらにその記録はブロックチェーンに載るので永久に残るんです。募金箱に100円入れるのとは違うんです。

自分の100円がある人に送られたというのが永久に残る。これが何を意味するのかというと、僕たちの子孫が歩く道、全部が青信号になる社会がくる可能性があるということです。ブロックチェーン上に残された信用という記録は永久に消えないんです。





はっきり言って、お金の価値がなくなる未来が来る


仮想通貨によるマイクロペイメントというのはその方向性や意思がはっきりと残るので、はっきり言って、お金の価値は無くなります。お金ではなくて、それを何に使ったのかという信用の記録が価値になります。


100万円ポケットに入れた人と、100万人の人を救った記録がブロックチェーンにある人が、お腹が痛くて倒れました。自動運転の救急車はどちらをピックアップするでしょうか?もちろんその時のアルゴリズムや倫理などで判断されると思うのですが、自分だったら何に価値を置くかははっきりしています。誰を助けた方が人類にとってプラスかどうかです。

すごく主観的なことであり、人によって価値観は異なりますが、少なくとも僕は、「ただただ金儲けのために生きている人間」と「そうではなく、何か明確な目的にコミットをして、その記録をアルゴリズムが認識できるデータとして残している人間」がいるとしたら、後者を選択するだろうと思います。

そしてブロックチェーンのエンジニアはこういう思想の人がとても多いと思います。我々は体感として感じています。

それが続いていくと何が起こるかということなんですが、株式会社というものがそもそも必要なくなる。これが人類最高の発明だったかもしれないけれど、すでに置き換えるものが誕生しているんです。それが新しい世界観、仮想通貨やブロックチェーン上に成り立つ社会の仕組みだと思っています。

この世界においては社会的意義が最も重要な価値を持ちます。人とAIと全てが良い人であるためのSEOをする時代がくると思います。特に寄付に関してはそうですよね。

お金を出してくれないなら、ICOすればいい


一年半前ですけども、アフリカに学校を作るプロジェクトで、僕も講師として、ヨルダンとルワンダの子供たちにビットコインを教えました。


そのとき言ったのが、「確かにパソコンもない状況でいきなり起業しろと言っても無理なのはわかっている。でもビットコインのソースコードはもうオープンソースで公開されていて、イーサリアムの開発も今日から参加することができる。言い訳なんてできない」ということです。

そして、もしお金が必要で銀行やVCが出してくれないならば、ICOをすればいいのです。「私たちはこの社会問題を解消したい。そのためにこれだけのお金が必要だ。けども銀行は貸してくれない。国家は振り向いてくれない。誰か力を貸してください」と。

仮想通貨の世界には数億を出す人はいくらでもいるし、分散化社会を信じて仮想通貨を持ち続けた富豪もたくさんいます。
それだけではなくこれから先、そこまで持っていなくてもコーヒー1杯分の500円でプロジェクトを応援しようかなと思う人はいます。そういうことがきちんとブロックチェーン上で評価される仕組みがやってくるので、こういう人も進んで出してくれる可能性があるのです。





ブロックチェーン世代の企業


僕がビットコインのブログを書いていた2014年に、僕が子供の頃に憧れていたネットスケープ創業者・マーク・アンドリューセンがこんなことを発言していました。


「パーソナルコンピュータ1975年。インターネット1993年。そして2014年にビットコインなんだ」と。ビットコインは、これに並ぶ価値だと彼は評価したわけです。

もっとすごいのが、75年当時にあった会社がマイクロソフトとかアップルですよね。90年代の会社というとアマゾンやグーグルです。次の世界一の企業です。

この流れを見て思うのは2014年以降のブロックチェーン世代の企業は、おそらくこれまでの歴史上になかった会社になると思います。アップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、それをはるかに超える価値を提供する会社になると思います。組織になると思います。

ただ同時にはっきりと思うことであり、うちのチームのメンバーにも言っていることなんですけども、そんなに儲かる会社には絶対にならないです。

時価総額でアップルを超える会社はもう出てこないでしょう。そんな中央集権で機能するほど、もう人はバカではありません。このブロックチェーンによって情報の価値が改竄されずに世界中に伝播される。通貨に秘められた嘘も暴かれていく。これから先の人たちは本当の情報をそのまま飲み込んで、自分たちで判断して行動し始めるのです。

国債を買うのか円を持ち続けるのか。ビットコインを買うのか、ICOに投資するのか。後のアルゴリズムが正しいと判断するのはどれなのかというのを、人類全体が選択していくことになる。

信用が一番の価値になる


だから恐らく世界一の時価総額の会社なんか作ることができないと思っています。ただ僕たちの分散型社会はそれ以上の価値を提供できる自信があります。この価値観は人類がこれまで持っていない新しい世界観で、これは必ず世の中を変えると確信しています。ビットコインの作者と言われている、サトシナカモトはビットコインのホワイトペーパーを投稿した時にフォーラムに書き込んでいた言葉があります。


ここに書いてあることは「銀行というのはお金の価値をちゃんと守らなければならないのに、嘘をついてばっかりいる」ということで、前後の文脈から判断して意訳するのならば、彼が言いたかったことはたった一つ。それは「これまでの歴史の中で正しかった中央集権なんて一つもない」ということです。今の国家が、企業が何年続いたか振り返ってみてください。

たった数世代続いただけで永久に続くものではないんですよ。全て置き換えられる可能性がある。スタートアップ企業が様々な企業を破壊していますけども、もうそんなレベルじゃないんです。恐らくこれからのんびりとしているあらゆる産業が置き換えられると思います。

それは悲しいことでなくて、新しい創造のための破壊だと思うので、あらゆる産業がなくなっていくでしょう。音楽やコンテンツ、金融もそうだと思います。ただこれらは、新しい時代の始まりに過ぎないと思っています。その先に本当に価値のある、信用が一番の価値になるそんな社会がやってくると思っています。

だから僕の最後のメッセージはこれです。

「あなたは、何を選択しますか?」

分散化社会がやってきました。社会は再構築されます。誰がなんと言おうと、少なくとも僕はやります。






 

引用元:FNN PRIME
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180720-00010007-fnnprimev-sci




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