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2018年06月30日

LINEの経営陣が明かす「300億円投資」の中身とは  AIと金融に本気!

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「コミュニケーションアプリ『LINE』のリリースから7年。これまで積み上げてきたものを“デザインし直す”時期に入った」――LINEの出澤剛社長は、6月28日に開いた年次カンファレンス「LINE CONFERENCE 2018」でこう強調した。

LINE経営陣が集い、過去1年間の取り組みや実績、新戦略の説明を行うカンファレンスで、今回は音楽ストリーミングサービス「LINE MUSIC」でのミュージックビデオ配信、旅行事業への参入、韓国トップの電子コミック企業「NAVER WEBTOON」との資本・業務提携――など多岐にわたる施策が発表された。

そんな中、経営陣が特に熱量を込め、時間をかけて解説していたのが金融事業とAI(人工知能)事業に関する戦略だ。
LINEは今年1月の決算会見で、2018年度は金融・AI領域に計300億円の投資を行うことを公表。
反響を呼んでいたが、今回のカンファレンスでその一端が明らかになった。


●手数料無料化で決済に「革命」起こす

「決済に革命を起こす。財布や現金がない世界の実現を目指す」。
こう話したのは、決済サービス子会社LINE Payの長福久弘取締役COO(最高執行責任者)だ。


同社が手掛ける「LINE Pay」は14年にローンチ。
「友だち」同士での送金やバーコード決済が可能なサービスで、グローバルの登録者数は4000万人(18年4月現在)、国内での決済対応店舗は5万2000店に上る。


着実に利用者を増やしているが、国内市場では楽天の「楽天ペイ」の支持も根強い。NTTドコモやヤフーもこの分野に参入したほか、先日東証マザーズに上場を果たしたメルカリも「メルペイ」の準備を着々と進めている。

こうした競合に対抗し、決済対応店舗をさらに増やすための施策として、長福COOは「LINE Pay」の初期費用の無料化と、契約から3年間限定での決済手数料の無料化を発表した。
主に中小企業向けの施策で、店舗側の負担を極力減らすことで導入を促進する狙い。


管理用の「LINE Pay 店舗用アプリ」のリリースも合わせて発表された。店舗側が端末にダウンロード後、簡単な設定を行うだけでQRコードの読み取りと決済が可能になるもので、初期投資は不要。
店舗用の「LINE」アカウントとも連携する。来店者と「友だち」になった場合、月1000通までクーポンやキャンペーン案内などのメッセージを送信でき、販促に活用できる。


 「決済だけではなく、販促までしっかりできるのが競合との差別化要因だ」と長福COOは自信を見せる。

●「LINE Pay」が非接触決済に対応

長福COOはさらに、非接触決済への対応も発表。ジェーシービー(JCB)と提携し、2018年中にJCBの非接触決済「QUICPay」加盟店で「LINE Pay」で決済できるようにする(Android端末のみ)。

「QUICPay」の加盟店は国内72万箇所に上り、対応店舗が一気に拡大した形だ。
長福COOは「『LINE Pay』をいつでも、どこでも、誰でも使えるようにする。今年中に100万カ所への導入を目指す」と目標を語った。


一連の発表によって、投資の目的の一つに金融事業における新規顧客獲得があることがうかがえる。
ただ報道陣から出た、投資のリターンはいつ得られるのか――との質問に対し、出澤社長は「加盟店から得たデータを生かし、広告事業や金融事業に生かしたい」と答えるにとどまった。


●海外で仮想通貨取引所をオープン

金融事業ではこのほか、7月から海外で仮想通貨取引所「BITBOX(ビットボックス)」をオープンすることも発表。
規制の厳しい日本と米国を除く世界各国で提供する予定で、ビットコイン、イーサリアム、ライトコインなど30種類以上の仮想通貨を取り扱う予定。


今後について出澤社長は「日本で(仮想通貨取引所を)やらないわけではない。タイミングをみて準備していきたい」と含みを持たせたが、金融庁に申請中の「仮想通貨交換取引業者」の登録については「引き続き審査中だが、詳細についてのコメントは差し控える」とした。

●トヨタと協業、「つながるクルマ」にClova搭載

AI事業での新施策はどうか。LINEはカンファレンスで、トヨタ自動車とのAI領域における協業を正式発表した。トヨタは18年冬から、LINEの音声対話型AI「Clova」の新型車への搭載を始める。施策の名称は「Clova Auto」。

ドライバーが運転しながら口頭で車載AIと対話し、ドライブしながら家の電気を消したり、目的地の天気を調べたり、「LINE」メッセージを送受信したり、「LINE MUSIC」で音楽を再生したり――といったことが可能になるという。

●新型クラウン、カローラと話せる

 6月26日に発売された、トヨタの新型「クラウン」「カローラ スポーツ」ともLINEはAI面で連携。新型車にひもづいた「LINE」アカウントを開設し、ドライバーと「友だち」になれるサービス「LINEマイカーアカウント」を提供していく。

 マイカーと「友だち」になり、アプリ上で「ガソリン足りる?」「TDL(東京ディズニーランド)に行きたい」などと話しかけると、ガソリンの残量確認やナビの目的地設定が可能な点が特徴だ。

 カンファレンスに登壇した、トヨタの長田准常務役員は「家にいながら愛車と会話できる点が魅力。今後も対応車種を拡充する予定だ。(LINEとの)協業を深め、もっと魅力的なサービスを出していきたい」と展望を語った。

 このほか、Clovaに搭載する機能を、外部企業や開発者が作成・拡張できる「Clova Extensions Kit」を7月中に公開することも発表。先行開発に取り組んでいる東京急行電鉄(東急)は、話しかけると東急各線の運行状況を聞けるスキルを構築中。ローソンでは、Clova経由でローソンの店内ラジオが聞けるスキルを準備しているという。

●ディスプレイ付きのスマートスピーカー発売へ

 一般消費者向けには、7インチディスプレイ付きのスマートスピーカー「Clova Desk」を今冬に発売予定。画面に天気やスケジュールを表示できるほか、ビデオ通話などにも対応する。音声だけでは伝わらない情報を視覚的に補完する狙いがある。

 LINEの舛田淳取締役CSMO(最高戦略マーケティング責任者)は、「従来型のスマートスピーカーは素早いコミュニケーションができ便利だが、音声で伝えられる情報は限界がある。そのため『ちゃんと画面を見て話したい』というニーズがあったのも事実だ。今後は音声同士の対話だけでなく、話しかけた答えがテキストで帰ってくるスキルの開発も進める」と説明した。

●地道に“テックジャイアント”に対抗する

 音声対話サービスの分野では、米Appleの「Siri」、米Amazon.comの「Amazon Alexa」、米Googleの「Google Assistant」など協力なライバルが存在するが、舛田CSMOは「当社は日本人の趣味嗜好に合わせる“ローカライズ力”と、『LINE』のユーザー基盤が強み。今後も地道な積み重ねでテックジャイアントに対抗していく」と決意を込めた。

 「LINE」のリリースから7年。金融とAIを軸とする多様なビジネスに手を広げたLINEは、決済やコミュニケーションの分野で“パラダイムシフト”を起こせるか。





引用元:ITmedia ビジネスオンライン
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180629-00000028-zdn_mkt-bus_all




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