東京ホテル朝食日記(Tokyo Hotel Breakfast journal)

　ノンアルコールカクテル・シンデレラ

・新しく配属された上司の理不尽な仕打ち
・先に出世した同僚の嫌味ネチネチ
・同窓会でドヤ顔成り上がり野郎
・理不尽なクレーマー



　それでもいつかリストラ白馬に乗った上司が天から下りてくる配属されてくる・・・はず。



　現代に生きるシンデレラ・・・それは強く哀しく・・・男



　現代にそびえ立つお城、それはホテル。

　12時までは夢の世界。12時を過ぎると終電に乗り遅れる。


　終電に乗り遅れれば夢は潰え、雑居ビルの片隅で一夜を明かさなければならない。



　男は走った。今ここで乗り遅れるのは何もしなかったのと同じだ。支払いの際、急ぎのあまり牛丼屋の割引券を落としたとか、そんなことはもう、どうでもいい。

　仮にもし王子様が「この割引券の持ち主と結婚します」と宣言したとてそれが何になろう。夜中の12時に物を落とすのがみんな美女だと思ったら大間違いだぞこの世間知らずめ。

　いや、そんなことはもうどうでもいい。乗り遅れたら全てが終わりだ。10分間のシャワーを浴びるのですら金をとられ、椅子の上で目を閉じるだけの一夜では寝返りを打つこともままならぬ。



　まだ終電は来ない。

　走って損した。

　「忙しい」とは「心を亡くす」と書く。ああシンデレラよ、君は多分金欠心を亡くしたのだ。