2017年09月30日
一流の人は、本のどこに線を引いているのか 土井英司著 ビジネスの視点を学ぶ
前記事で取り上げた表題の件について興味がわき、Amazonのレビューを読んでみました。
やはりここにも素晴らしいレビューを書く方が存在しました。
少し長いので、かいつまんで掲載させて頂きます。
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ファーザーさん 2016年10月20日
形式: 単行本(ソフトカバー)|Amazonで購入
この本は、今までにのべ2万冊以上の本を読み、「ビジネスブックマラソン(略称BBM)」を4000号余りにわたって書いてきた(これを書いている2016/10/19現在 Vol.4471である)土井氏が、
◆1「本の読み方」、
◆2「本の選び方」、
◆3「オススメの本の紹介」
について書いた1冊である。
まさに本書は、氏のテリトリーのど真ん中を書いており、ミッションそのものを書いた一冊である。
BBM(読者数5万人超)を発行するために、年間1000冊以上も本を読んでいる土井氏であるから、文章のはしばしから著者の溢れ出る「知性」を感じる。しかも、単なる「知性」でなく実践的な奥行きの深さが感じられるのは、土井氏が経営者でもあり学んだことを積極的に実践する場・構えをもっているからであろう。
以下、◆1「本の読み方」、◆2「本の選び方」、◆3「オススメの本の紹介」の3点にわたって紹介する。
◆1.本の読み方
「1冊の本に自ら引いた「1本の線」が、ときに革新的なアイデアをもたらしたり、人生を変えてしまうほどのインパクトを持ったりすることがある。」(4p)という書き出しで始まる本書。
「本の内容がおもしろいかどうかなど、あなたのビジネスには何の関係もない」(30p)と主張する土井氏だが、本を評価する基準は、知的好奇心を満たすか(おもしろいか)、役立つかの2点だろうと思ってきた私にすれば、いきなり???の内容であった。続きを読むと、
「本はあくまで、それ自体を楽しむものではなく、人生を楽しむための「ツール」である。特に本書の「読書」は、目的をもって、のちのちのアクションにつなげるためのものだ。自分が楽しむために本を読むのではなく、自分がおもしろいと思う世界を広げたくて、本を読む。」(30p)
とある。なるほど、読書はそれ自体が目的ではなくて手段であり、役立てる対象(主)はあくまで読者自身の成長であり、読者の現実のビジネスであり、生活なのだ。読書のビフォー&アフターでいかなる自己の変容・広がり・成長があったのかこそが大事であるということ。この前提は忘れてはなるまいと思った。
この前提から考えると、土井氏の言う「本を読むという行為においては、「最初から最後まですべて読むべき」という思い込みがあるだろう。 しかし、本は全部読まなくていい」(33p)という主張はうなずける。読書の「主(あるじ)」は本ではなく「読者」であるからだ。私にも、「すべて読むべき」というか「読んだ方がよい」という思い込みがあったが、それから解放されて気が楽になった。
「速読なんていらない」という項目もあるが、これにも多くの読者は???(読みたい本・読むべき本がたくさんあるのにスピードを上げる他ないでしょ)だろう。しかし、先の前提から考えると、「その目的に関係ある情報以外は拾わなくてすむので、読むスピードは自然に速くなる」(63p)わけである。
「「分厚い本」に挑むコツ」という項目もあり、読む前からひるんでしまうような分厚い本も、「手元においておき、必要なときに、必要なだけつまみ食いすればいい」(181p)と考えれば、「なんだそれでいいのか。」と、棄権というか敬遠すべきではないな思えた。長年本棚に積ん読になっている、マズローの『完全なる経営』をつまみ食いしてみようかと思った。
同様に、「「速く読む」ことの価値がないと同じく「読んだ冊数」にも価値はない。私自身も2万冊を読んできたことに価値を置いていない。それを「どういかしたか」にこそ価値がある。本を通して新しいことを知り、ビジネスで実践したり、社会のために役立つ仕事をしたときにはじめて、喜びを感じる」(64p)という主張にもうなずけた。私も教育関連の本だけで2,500冊を超える本を読んできたが、冊数にこだわるのはもう止めようと素直に思えた。2万冊を読んできた土井氏がそう言うのだから。
このように、本書はずいぶん「私の本の読み方」を向上させてくれた。
これ以外にも、
○「「古典」を読むと考える力がつく」として「「古典」は、重要にもかかわらず多くの人が敬遠している分野だ。しかし、競争優位性を得るためには、ぜひ吸収したいところだ。」(182p)
○「複数の人たちが同じビジネス書を読んだとしても、理解の深さはまるでちがう。線を引く箇所もちがう。 この決定的な差をもたらすのが、(目的意識というよりは)基礎教養だ。〜教養に挑もう」(184p)
○「料理人は、かつては「卑しい仕事」のひとつだった。しかし味を探求し、教養を身につけ、最高の料理にたどり着いた料理人たちは、いまでは「カリスマシェフ」として尊敬されるようになった。 「学び」こそが、人生を開き、人々に喜びを運ぶのだ」(187p)
などなど、書き切れないぐらいのヒントや変容を、私にもたらした。
さらに、土井氏は言う。
「さまざまな本を読み、いい線が自分のなかに蓄積されてくると、やがて連鎖する読書の楽しみが理解できるようになる。 本書で紹介した例で言えば、決算書の見事な構造に気づくと、今度は実際にジョンソン・エンド・ジョンソンがどんな経営をしてきたのか知りたくなる。 そこで、調べてみると、ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人で社長を務めた新将命氏の『経営の教科書』という絶好の本があることを知る。 次に、P&Gを研究してみる。ユニ・チャームを分析してみる。さらに、業態を変えて無印良品のマネジメントを学んでみる。ここでマネジメントの重要性を再認識し、ドラッカーの『マネジメント』を読み返してみると、前回は得られなかった新たな発見ができる。 こうした、思考の横展開が始まると、読書はもう尽きることがなくなる。知らないことへの「恐怖」は、知らないことを知る「喜び」へと変化している。ここまでたどり着ければ、本書の役割は終わったかもしれない。」(179p)
ここまで到達できれば、確かに素晴らしい境地だと思う。私は、教育書に限定して言えば、このような経験は何度もしている。目の前の子どもを教え育てるというミッションが、より高い指導法を求めてさまざまな先行研究(本)をひもとくように強力に促すからだ。
がしかし、ビジネス書に限定すれば、ここで紹介されている本で読み終えているのは、『経営の教科書』オンリーである。教員である私とのミッションの違いとはいえ、ビジネス書の読書量においてはとても太刀打ちできない。したがって、ビジネス書について、どの本がオススメかは、本書のオススメ本を参考にしたい。
◆2.本の選び方
出版社からBBMに紹介して欲しいと毎日10〜15冊程度のビジネス書が届くという土井氏。その中から読むべき本を選び、「1日平均3冊を読」み、「概ねその3冊からよい線が引けた1冊を選び、自身の発行するメールマガジン「BBM」に書評を書いている」(p43)という。
毎日毎日「読むべき本は何か」という問題に取り組んでいる土井氏の説く「読むべき本を立ち読みで見抜く11の戦略」は、「本の選び方」言い換えれば「選ぶ眼を磨く」とっておきの方法と言っていいだろう。
「1 経営者本は「創業者」か「中興の祖」を選ぶ
2 「プロフィール」で本物か偽物か見極める
3 著者は「一流の変態」を選ぶ
4 「コンサルタント」から学ぶのは王道の戦略
5 著者が「専門外」を書いていたら避ける
6 本の「タイトル」にだまされない
7 「固有名詞」の多い本を選ぶ
8 冒頭の数ページで「いい線」を引けそうな本は買い
9 膨大な「データ」に立脚した本を選ぶ
10 「翻訳書」は良書の率が高い
11 「箇条書き」に注目する(44p)
教員の私としては、4「コンサルタント」から学ぶのは王道の戦略 が意外であった。コンサルタントは、大学の教育学部の教授のように現場経験のない人だとすれば、案外机上の空論で役立たないのではないかという危惧を常に抱いていたからだ。
言われてみれば、コンサルタントも教える仕事であり、教え方のうまいコンサルタントならば、本という形式で教えることも上手なわけである。教育学部の教授の半数以上が現場の経験のある人を採用するように変わってきているように、現場経験の上にコンサルタントをしている人もいるわけである。
確かにコンサルタントの浜口隆則氏の書いた『起業の技術』は、良書であった。『7つの習慣』のコヴィー氏も、土井氏もコンサルタントだ。この辺りの認識も変わった。
あと、「2 「プロフィール」で本物か偽物か見極める」については、出版の裏表を知り尽くした土井氏だけに秀逸である。「プロフィールを見る」という視点は、既に私はもっていた視点であったが、「見極める」まではいっていなかった自分に気づき、学びが深まった。
私自身は、「はしがき・あとがき・目次・プロフィールを読む」以外に、「本のどこでもいいから3箇所を開いて読み、その3箇所ともよい内容だったら買うというサンプル調査法」(確か教育学者の森信三氏の本から学んだ方法)でやってきたのだが、「本の選び方」がバージョンアップした。
◆3.オススメ本の紹介
80p以降に、「ビジネスパーソンに向けた、より汎用的な私なりの分類」として、次の8分野をあげ、その分野ごとに「おすすめ書籍」が簡単な要約とオススメ理由付きで紹介されている。次の8分野である。
1 会計、ファイナンス
2 戦略
3 マーケティング
4 オペレーション
5 マネンジメントとリーダーシップ
6 商品開発
7 統計
8 経済
たくさん本を読んでいないと、どの本が当たりでどの本が時間とお金のムダになるかは判別自体もつかないし、そもそも本の存在すらわからず手に取ることもできない。教育書ならそれができる私も、ビジネス書となるとお手上げである。これまでの読書経験からつかんだオススメ本が惜しげもなく公開されている。この点だけでも、本書は買いであろう。
私は、この春大学に進学する長女に、本書を贈るつもりである。
◆私は本書のどこに一つの線を引くか!?
さて、本書のどこに1つの線を引くか!である。「気になる1行」「新しい発見や役立った箇所、そして自分の考えと「ちがう」箇所」はどこか!である。しぼった段階で10箇所以上もあるが、ベストスリーのみ紹介したい。
★best3「ビジネス書を読んで、優れたビジネスモデルの秘密を知る。次に、現場に行って、それを体感したり、体に書いてあったこととのズレを探したりする。このトレーニングを繰り返すことで、世の中を見る目は、以前とは劇的にちがってくるだろう」(170p)
→ 選んだ理由…「子どものころ昆虫図鑑が大好きだった」土井氏が、図鑑で見た昆虫を、「いてもたってもいられなくなって、野や山に探しに行った」姿とぴったり重なる姿である。
ふと、25年程前に、長谷川慶太郎氏の「投資クラブ」うんぬんの本を読んで、株を始めた自分を思い出した。実際に読んだことを足で歩き、目で見て確かめるということ。そして読書のための読書で終わらせずに実際の仕事・生活の中に活かすということ。最近そのパワーが減じていたかもしれないので、「これではいけない。やっぱり大事なことだな」と思ってので引いた。(が、「自己陶酔」型?)
★best2「〜コンピューターは結局、私自身が仕掛けた「原因」ではなく、10倍売れたという「結果」にしか反応できない。 人間には原因が作れる。 しかし、コンピューターには原因を作ることはできない。 原因が何かを探ることもできない。 だから、コンピューターなど敵ではない。 未来を作れるのは人間だけなのだ。」(14p)
→ 選んだ理由…コンピューターが将来の人間の仕事を奪い、人間の上位にすら置かれるのではないかといういい知れない危惧を多くの人がもっているのではないか。それを払拭してくれる力強い言葉である。私はこの部分を読んで、元気が出た。あくまで「主(あるじ)」は人間なのだ。根本において、優れているのは人間なのだ!」と思えたから。
★best1「私の書評は、その本から自分自身が何を取り込んだかを説明している。本の内容よりも、自分自身の変化を述べることにしている。」(32p)
→ BBMの愛読者の私としては、一本ならばこの箇所に線を引きたい。ビジネス書を読むというのは、自分を変化・成長させるための「投資」であるという土井氏の姿勢が端的に表現されている。だから、土井氏の書評は心に響くのだと思い至った。
今回のレビューは、書評そのものだが、私のこのレビューは、「この自分自身の変化を述べる」ように書いたつもりだが、心に響いただろうか。
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やはりここにも素晴らしいレビューを書く方が存在しました。
少し長いので、かいつまんで掲載させて頂きます。
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ファーザーさん 2016年10月20日
形式: 単行本(ソフトカバー)|Amazonで購入
この本は、今までにのべ2万冊以上の本を読み、「ビジネスブックマラソン(略称BBM)」を4000号余りにわたって書いてきた(これを書いている2016/10/19現在 Vol.4471である)土井氏が、
◆1「本の読み方」、
◆2「本の選び方」、
◆3「オススメの本の紹介」
について書いた1冊である。
まさに本書は、氏のテリトリーのど真ん中を書いており、ミッションそのものを書いた一冊である。
BBM(読者数5万人超)を発行するために、年間1000冊以上も本を読んでいる土井氏であるから、文章のはしばしから著者の溢れ出る「知性」を感じる。しかも、単なる「知性」でなく実践的な奥行きの深さが感じられるのは、土井氏が経営者でもあり学んだことを積極的に実践する場・構えをもっているからであろう。
以下、◆1「本の読み方」、◆2「本の選び方」、◆3「オススメの本の紹介」の3点にわたって紹介する。
◆1.本の読み方
「1冊の本に自ら引いた「1本の線」が、ときに革新的なアイデアをもたらしたり、人生を変えてしまうほどのインパクトを持ったりすることがある。」(4p)という書き出しで始まる本書。
「本の内容がおもしろいかどうかなど、あなたのビジネスには何の関係もない」(30p)と主張する土井氏だが、本を評価する基準は、知的好奇心を満たすか(おもしろいか)、役立つかの2点だろうと思ってきた私にすれば、いきなり???の内容であった。続きを読むと、
「本はあくまで、それ自体を楽しむものではなく、人生を楽しむための「ツール」である。特に本書の「読書」は、目的をもって、のちのちのアクションにつなげるためのものだ。自分が楽しむために本を読むのではなく、自分がおもしろいと思う世界を広げたくて、本を読む。」(30p)
とある。なるほど、読書はそれ自体が目的ではなくて手段であり、役立てる対象(主)はあくまで読者自身の成長であり、読者の現実のビジネスであり、生活なのだ。読書のビフォー&アフターでいかなる自己の変容・広がり・成長があったのかこそが大事であるということ。この前提は忘れてはなるまいと思った。
この前提から考えると、土井氏の言う「本を読むという行為においては、「最初から最後まですべて読むべき」という思い込みがあるだろう。 しかし、本は全部読まなくていい」(33p)という主張はうなずける。読書の「主(あるじ)」は本ではなく「読者」であるからだ。私にも、「すべて読むべき」というか「読んだ方がよい」という思い込みがあったが、それから解放されて気が楽になった。
「速読なんていらない」という項目もあるが、これにも多くの読者は???(読みたい本・読むべき本がたくさんあるのにスピードを上げる他ないでしょ)だろう。しかし、先の前提から考えると、「その目的に関係ある情報以外は拾わなくてすむので、読むスピードは自然に速くなる」(63p)わけである。
「「分厚い本」に挑むコツ」という項目もあり、読む前からひるんでしまうような分厚い本も、「手元においておき、必要なときに、必要なだけつまみ食いすればいい」(181p)と考えれば、「なんだそれでいいのか。」と、棄権というか敬遠すべきではないな思えた。長年本棚に積ん読になっている、マズローの『完全なる経営』をつまみ食いしてみようかと思った。
同様に、「「速く読む」ことの価値がないと同じく「読んだ冊数」にも価値はない。私自身も2万冊を読んできたことに価値を置いていない。それを「どういかしたか」にこそ価値がある。本を通して新しいことを知り、ビジネスで実践したり、社会のために役立つ仕事をしたときにはじめて、喜びを感じる」(64p)という主張にもうなずけた。私も教育関連の本だけで2,500冊を超える本を読んできたが、冊数にこだわるのはもう止めようと素直に思えた。2万冊を読んできた土井氏がそう言うのだから。
このように、本書はずいぶん「私の本の読み方」を向上させてくれた。
これ以外にも、
○「「古典」を読むと考える力がつく」として「「古典」は、重要にもかかわらず多くの人が敬遠している分野だ。しかし、競争優位性を得るためには、ぜひ吸収したいところだ。」(182p)
○「複数の人たちが同じビジネス書を読んだとしても、理解の深さはまるでちがう。線を引く箇所もちがう。 この決定的な差をもたらすのが、(目的意識というよりは)基礎教養だ。〜教養に挑もう」(184p)
○「料理人は、かつては「卑しい仕事」のひとつだった。しかし味を探求し、教養を身につけ、最高の料理にたどり着いた料理人たちは、いまでは「カリスマシェフ」として尊敬されるようになった。 「学び」こそが、人生を開き、人々に喜びを運ぶのだ」(187p)
などなど、書き切れないぐらいのヒントや変容を、私にもたらした。
さらに、土井氏は言う。
「さまざまな本を読み、いい線が自分のなかに蓄積されてくると、やがて連鎖する読書の楽しみが理解できるようになる。 本書で紹介した例で言えば、決算書の見事な構造に気づくと、今度は実際にジョンソン・エンド・ジョンソンがどんな経営をしてきたのか知りたくなる。 そこで、調べてみると、ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人で社長を務めた新将命氏の『経営の教科書』という絶好の本があることを知る。 次に、P&Gを研究してみる。ユニ・チャームを分析してみる。さらに、業態を変えて無印良品のマネジメントを学んでみる。ここでマネジメントの重要性を再認識し、ドラッカーの『マネジメント』を読み返してみると、前回は得られなかった新たな発見ができる。 こうした、思考の横展開が始まると、読書はもう尽きることがなくなる。知らないことへの「恐怖」は、知らないことを知る「喜び」へと変化している。ここまでたどり着ければ、本書の役割は終わったかもしれない。」(179p)
ここまで到達できれば、確かに素晴らしい境地だと思う。私は、教育書に限定して言えば、このような経験は何度もしている。目の前の子どもを教え育てるというミッションが、より高い指導法を求めてさまざまな先行研究(本)をひもとくように強力に促すからだ。
がしかし、ビジネス書に限定すれば、ここで紹介されている本で読み終えているのは、『経営の教科書』オンリーである。教員である私とのミッションの違いとはいえ、ビジネス書の読書量においてはとても太刀打ちできない。したがって、ビジネス書について、どの本がオススメかは、本書のオススメ本を参考にしたい。
◆2.本の選び方
出版社からBBMに紹介して欲しいと毎日10〜15冊程度のビジネス書が届くという土井氏。その中から読むべき本を選び、「1日平均3冊を読」み、「概ねその3冊からよい線が引けた1冊を選び、自身の発行するメールマガジン「BBM」に書評を書いている」(p43)という。
毎日毎日「読むべき本は何か」という問題に取り組んでいる土井氏の説く「読むべき本を立ち読みで見抜く11の戦略」は、「本の選び方」言い換えれば「選ぶ眼を磨く」とっておきの方法と言っていいだろう。
「1 経営者本は「創業者」か「中興の祖」を選ぶ
2 「プロフィール」で本物か偽物か見極める
3 著者は「一流の変態」を選ぶ
4 「コンサルタント」から学ぶのは王道の戦略
5 著者が「専門外」を書いていたら避ける
6 本の「タイトル」にだまされない
7 「固有名詞」の多い本を選ぶ
8 冒頭の数ページで「いい線」を引けそうな本は買い
9 膨大な「データ」に立脚した本を選ぶ
10 「翻訳書」は良書の率が高い
11 「箇条書き」に注目する(44p)
教員の私としては、4「コンサルタント」から学ぶのは王道の戦略 が意外であった。コンサルタントは、大学の教育学部の教授のように現場経験のない人だとすれば、案外机上の空論で役立たないのではないかという危惧を常に抱いていたからだ。
言われてみれば、コンサルタントも教える仕事であり、教え方のうまいコンサルタントならば、本という形式で教えることも上手なわけである。教育学部の教授の半数以上が現場の経験のある人を採用するように変わってきているように、現場経験の上にコンサルタントをしている人もいるわけである。
確かにコンサルタントの浜口隆則氏の書いた『起業の技術』は、良書であった。『7つの習慣』のコヴィー氏も、土井氏もコンサルタントだ。この辺りの認識も変わった。
あと、「2 「プロフィール」で本物か偽物か見極める」については、出版の裏表を知り尽くした土井氏だけに秀逸である。「プロフィールを見る」という視点は、既に私はもっていた視点であったが、「見極める」まではいっていなかった自分に気づき、学びが深まった。
私自身は、「はしがき・あとがき・目次・プロフィールを読む」以外に、「本のどこでもいいから3箇所を開いて読み、その3箇所ともよい内容だったら買うというサンプル調査法」(確か教育学者の森信三氏の本から学んだ方法)でやってきたのだが、「本の選び方」がバージョンアップした。
◆3.オススメ本の紹介
80p以降に、「ビジネスパーソンに向けた、より汎用的な私なりの分類」として、次の8分野をあげ、その分野ごとに「おすすめ書籍」が簡単な要約とオススメ理由付きで紹介されている。次の8分野である。
1 会計、ファイナンス
2 戦略
3 マーケティング
4 オペレーション
5 マネンジメントとリーダーシップ
6 商品開発
7 統計
8 経済
たくさん本を読んでいないと、どの本が当たりでどの本が時間とお金のムダになるかは判別自体もつかないし、そもそも本の存在すらわからず手に取ることもできない。教育書ならそれができる私も、ビジネス書となるとお手上げである。これまでの読書経験からつかんだオススメ本が惜しげもなく公開されている。この点だけでも、本書は買いであろう。
私は、この春大学に進学する長女に、本書を贈るつもりである。
◆私は本書のどこに一つの線を引くか!?
さて、本書のどこに1つの線を引くか!である。「気になる1行」「新しい発見や役立った箇所、そして自分の考えと「ちがう」箇所」はどこか!である。しぼった段階で10箇所以上もあるが、ベストスリーのみ紹介したい。
★best3「ビジネス書を読んで、優れたビジネスモデルの秘密を知る。次に、現場に行って、それを体感したり、体に書いてあったこととのズレを探したりする。このトレーニングを繰り返すことで、世の中を見る目は、以前とは劇的にちがってくるだろう」(170p)
→ 選んだ理由…「子どものころ昆虫図鑑が大好きだった」土井氏が、図鑑で見た昆虫を、「いてもたってもいられなくなって、野や山に探しに行った」姿とぴったり重なる姿である。
ふと、25年程前に、長谷川慶太郎氏の「投資クラブ」うんぬんの本を読んで、株を始めた自分を思い出した。実際に読んだことを足で歩き、目で見て確かめるということ。そして読書のための読書で終わらせずに実際の仕事・生活の中に活かすということ。最近そのパワーが減じていたかもしれないので、「これではいけない。やっぱり大事なことだな」と思ってので引いた。(が、「自己陶酔」型?)
★best2「〜コンピューターは結局、私自身が仕掛けた「原因」ではなく、10倍売れたという「結果」にしか反応できない。 人間には原因が作れる。 しかし、コンピューターには原因を作ることはできない。 原因が何かを探ることもできない。 だから、コンピューターなど敵ではない。 未来を作れるのは人間だけなのだ。」(14p)
→ 選んだ理由…コンピューターが将来の人間の仕事を奪い、人間の上位にすら置かれるのではないかといういい知れない危惧を多くの人がもっているのではないか。それを払拭してくれる力強い言葉である。私はこの部分を読んで、元気が出た。あくまで「主(あるじ)」は人間なのだ。根本において、優れているのは人間なのだ!」と思えたから。
★best1「私の書評は、その本から自分自身が何を取り込んだかを説明している。本の内容よりも、自分自身の変化を述べることにしている。」(32p)
→ BBMの愛読者の私としては、一本ならばこの箇所に線を引きたい。ビジネス書を読むというのは、自分を変化・成長させるための「投資」であるという土井氏の姿勢が端的に表現されている。だから、土井氏の書評は心に響くのだと思い至った。
今回のレビューは、書評そのものだが、私のこのレビューは、「この自分自身の変化を述べる」ように書いたつもりだが、心に響いただろうか。
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