4連休をお楽しみの皆様
今回は、コロナに関する情報で一説を挙げましたが決して断定するものではなく、科学的根拠と冷静な視点から判断すべき問題であるということを再確認しておきます
前作は、新疆ウイグル自治区の弾圧問題を取り上げました わずか2年前の弾圧情報からは想像ができないスピードでの弾圧、その非人道的な内容に恐れを抱きました。
しかし間近で恐れを感じていたのは、香港人だったのではないでしょうか。
そう。
今作は、「香港デモ〜香港国家安全法施行」を取り上げます 前作と違い、非人道的な内容ではありません。
ただ、弾圧を知ってからこの香港市民の人口4分の1以上が参加したと推計される長期間に及ぶデモは、まさに香港市民の人権と尊厳を争った”聖戦”だったに違いありません。
香港デモによって成人人口の約3分の1がPTSD(心的外傷ストレス障害)の症状を経験したと推計されました。-医学誌ランセット-CNN報道
このまま歴史に埋もれてしまうかもしれない香港市民の思いを再度確認し、我々日本人はそれが対岸の火事でないことを再認識する一日としましょう。
最後までお付き合いください。
まずは軽く歴史認識をおさらいします。
一国二制度 一国二制度とは、1つの国の中に2つの制度があるという意味で使われています。
香港はイギリスの植民地でした。
1842年アヘン戦争から150年以上もの間、イギリスが植民地として統治してきましたが、1997年に中国に返還されました。
その時にイギリスと中国の間で「一国二制度を50年間続ける」と決める文書にサインをしました。
つまり、1997年-2047年までの50年間です。
一国二制度というのは、香港が社会主義国の中国にいながら、特別行政区として「高度な自治」が認められている制度のことを指します。
中国は外交と防衛は担当するけれど、それ以外のことは全て任せるというのが「高度な自治」だったのです。
そのため、香港では民主主義、言論の自由、集会の自由、報道の自由、教育の自由が認められていましたし、通貨もパスポートも別でした。
一国二制度というのは、国に準じるようなものだったのです。
なぜそのような制度になったかというと”激変緩和措置”
当時、繁栄を遂げていた香港を「そのまま吸収できれば、大きな国益となる」と考えた中国は、イギリスの法制度や資本主義で生きてきた人が中国の社会主義に適用することを不安視して国外へ逃亡したり、企業が撤退することを恐れました。
そのため「今、生きている人。外資さん。50年間はこのままです。だから安心して居てくださいね。」という措置だったのです。
しかし、中国は考えました。
完全に自由を与えれば、社会主義が揺らぐ危険性があります。
そのため「将来的に行政官の選挙は普通選挙に移行する」という条件付きで市民を一旦納得させ、選挙委員(共産党の息がかかった委員)しか投票のできない選挙が実施される事となります。
2003年 国家安全条例に反対する50万人デモ 返還からわずか6年後の出来事でした。
香港政府は、違反行為として(1)中央政府転覆の意図をもって中国と交戦する外国の武装部隊に参加(2)武力によって中国の安定に危害を与える(3)扇動的な文書を出版―などを発表しました。
問題はこの(3)でした。
一国二制度で認められているはずの表現の自由や、民主主義が損なわれる内容だったのです。
これに怒った市民は50万人がデモに参加しました。
2012年 愛国教育の必修化を提言 小中学校で「共産党は素晴らしい政党だ」ということを教えようとする内容に、大勢が「洗脳」だと抗議をし、デモが発生します。
そのハンガーストライキの先頭に立ったのが、当時高校生だった黄之鋒(男性)さんと周庭(女性)さんでした。
彼らの国際的な抗議活動を受けて、香港政府は愛国教育の必修化を撤回することになりました。
2014年 民主的な選挙を求める雨傘運動 指名委員会という共産党員の息がかかった立候補者から市民が選ばされる普通選挙に対する反対運動でしたが、最終的に当局に強制排除されました。
これにより事実上、選挙における民主化の道筋は完全に途絶えました。
2015〜6年 相次ぐ書店員の失踪…? 中国共産党に批判的な本を扱っていた香港の書店関係者が相次いで失踪したあと、中国当局に拘束されていたことが判明しました。
一国二制度を無視して、表現の自由を無視して連行されたのではないかという懸念が一気に噴出したのです。
拉致から帰還した書店員は、次々に書店を畳むこととなり、共産党を批判する本は書店から完全に消えました。これにより表現の自由は香港から完全に消えることとなりました。
あなたは中国人だと思いますか 2019年に行われた調査で「あなたは中国人だと思いますか」の問に対し、若い世代はわずか1.8%しか「はい」と答えなかったそうです。
つまり「中国とは違う、香港人である」という強い意志があったんです。
2019年 香港民主化デモ 香港政府が容疑者引き渡し条例の改正案を議会に提出したことから始まります。
中国は裁判所も共産党の指導下にありますから、罪を捏造して逮捕することが出来ます。
そもそも弾圧もすべて警察官が主導しているので、これは当然のことです。
香港で中国に批判的な活動をしている人が、中国側に引き渡される可能性が出てきたので、ついにこれは一国二制度が破綻するとなったわけです。
これは市民だけでなく、企業関係者なども危険視しました。
中国政府は規制があやふやな面もあり、裁量次第で法律に違反したという理由で連行される可能性があったからです。
このいつ不当に捕まってもおかしくないという恐怖心から、その規模は過去類をみない数百万人規模のデモに発展します。
それにカルチャーの破壊懸念も市民にとっては耐え難いものでした。
香港ではツイッター、インスタグラム、フェイスブックなど国外のSNSが使えました。
中国ではこれらすべてのSNSは特殊なサービスを介さないと利用できず、中国企業が開発したSNSと検索サイトしか利用できなくなります。
2019年3月から香港で継続して行われたこのデモは「五大要求」の達成を目的としていました。
(1) 逃亡犯条例改正案の完全撤回
(2) 普通選挙の実現
(3) 独立調査委員会の設置
(4) 逮捕されたデモ参加者の逮捕取り下げ
(5) 民主化デモを暴動とした認定の取り消し
このうち(1) 逃亡犯条例改正案の完全撤回のみ2019年9月に取り下げられました。
1997年の香港返還以降、最大のデモとなった民主化運動は200万人以上が参加したとされ、その数は香港市民の4人に1人以上の計算となります。
香港を武力行使する現場を、世界各国の報道機関が中継することになれば、中国への締め付けが厳しくなる上に、台湾への一国二制度→一つの中国構想が崩れる懸念もあったため、警察は手出しが出来なかった。
(Wikipedia参照)
これに対する対抗措置として親中派が資金援助をして三合会を含む(日本でいう反社会勢力)白服の集団をデモ隊にあてがって、暴力行為を繰り返すようになります。
(白服が報道機関やデモ隊に対して暴力を行っている様子)
(Wikipedia参照)
2019年10月 国慶節には実弾が発射される デモ隊のターゲットとなっている政府関連施設、香港MTR、親中派の商店が次々に破壊されたことを受けて、デモ隊に向かって初めての実弾が発射され、被弾した高校生が重体となった。
覆面禁止法の制定 香港暴動以来52年ぶりの行政長官に与えられている超法規的措置である「緊急状況規則条例」を発動し、デモ隊のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止法」の制定を発表した。
これのなにが問題かというと…
現代の中国は、数億台もの監視カメラが設置されており、その映像から個人を特定する顔認証技術は世界トップクラスだそうです。
政治権力がデモに参加した個人を特定し記録し、個人データの蓄積に組み込むとなると、後に恐ろしいことが待っていると容易に想像ができます。
中国は徹底的な顔認証、個人特定監視社会 中国では、キャッシュレス決済が進み、個人の信用が数値化されています(共産党への貢献度など) それは「国家情報法」(調べたらやばさ分かります)によって組織や個人に協力を求めて、個人情報を回収できるため、最先端技術を活かした他国には出来ない取り組みです。
ネットにおける個人の特定とその評価の技術が、最先端技術(5G)により高度化し、企業の採用や結婚、恋愛、人付き合いにまで応用されることがあるそうです 個人特定能力の発達が犯罪捜査と防止という枠組みを超えて、社会一般の経済行為にも及ぶ超監視社会なのです 個人の信用がポイント化されており、それが低いと電車やタクシーなどにすら乗ることが出来ないので、日常生活を送るためにも共産党への社会貢献は必須なのです。
歴史的にみても多くの革命と反乱を繰り返し、膨大な人口を管理するための試行錯誤の末だとしても、なかなか理解する事の出来ない不自由さです
中国の監視カメラ企業と通信機器大手が米から排除される理由 今、あらゆる個人情報が中国側に流れると、この個人特定監視社会の枠組みに入れられるリスクがあるということだからです。
香港国家安全法により、外国人が中国外から香港民主派支援や中国共産党を批判する言動をした場合、同法に抵触する恐れがあり、香港ならびに立ち入った瞬間に逮捕されて中国本土へ強制送還される可能性があるということです。
何の罪もなかったウイグル自治区の人間がエジプトで拘束され、中国へ強制送還された一件からみても、一度政府にマークされてしまえば、中国との友好国に立ち入っただけでも連行されるリスクがあるという問題にまで発展するからですね。
なぜ監視カメラ企業や通信機器会社が、世界各国から排除されるかというと、こういった背景もあったんですね。
5G時代の覇権争いが激化する一方で、こうした個人特定力の戦争も見え隠れしてきているのです。
2019年11月 米上院が香港人権・民主主義法案を可決 今回の香港における民主主義の妨害に携わった人間のアメリカ合衆国における資産凍結や、アメリカへの参入拒否など
2019年12月までに1万6000発もの催涙弾が発射された それまでに逮捕された人は6000人を超え、学生や生徒が3分の1を占め、小学生も含まれていたそう。
激化する警察官の暴力的抑圧行為に、さらに市民の火と怒りは盛り上がります。
新型コロナウイルスや黒人デモは中国政府にとって追い風? これからは陰謀論といわれてしまいかねないので、あくまではそういう一説があるというだけに留めます。 2020年に入ってからは、新型コロナウイルス流行の影響で民主化要求デモが相次いで中止となり、多くの規制が入りました。 勢いをなくしたデモ活動は、それ以降の複数の民主派を逮捕することで更に沈静化していきます。
公共の場所で5人以上が集まることを禁止すると発表したため、これにより事実上、抗議集会やデモは行えなくなりました。
世界が新型コロナウイルスとの戦いに集中せざるを得ない状況となり、香港の存在感が国際世論から遠ざかっていきます。
民主化デモの影響で棚上げされていた国歌条例案を再び審議再開 中国本土の法律である国家安全法が香港に適用される可能性が浮上 これにより集会の自由は一切なくなり、一国二制度の崩壊すなわち香港の終わりを迎える可能性が急浮上してしまうのです。
これが一時話題になった「香港の死」というワードでした。
猛烈に反対したのは、イギリスです。 50年というルールを定めたにも関わらず、一国二制度の根幹を揺るがす法案の適用に憤りを隠せませんでした。
この間に起きたデモは、容赦ない逮捕合戦が始まりました。
これを受けて米国務長官は、香港の自治と自由を根本的に損なうとし、貿易面での優遇措置を撤廃する構えをみせました。 しかし、この頃からTikTokを利用したトランプ選挙集会の大妨害や、激化する黒人デモ集会によって国際世論だけでなく、米国からの関心も薄れていきます。
※のちに黒人デモの扇動は中国共産党の諜報機関が資金援助をし、多くの武器や作戦を指示していたことが調査の結果分かっています。
これを受けてトランプ大統領は「中国共産党体制が悲劇的な死を悪用した。笑止千万なプロパガンダには誰もだまされない。」と非難し、TikTok規制案が浮上したり、米通信機器の排除をするに至るのです。
新型コロナウイルスの世界的流行によって中国がひとり勝ちしている要素がある。
- (1)「コロナ対策」という新たな輸出品目ができた
- (2)香港の民主化運動から国際世論をそらせた
- (3)米海軍が活動停止中に、中国海軍が東シナ海や南シナ海で不穏な動き
- (4)欧米諸国との5G派遣争いでリード
(1)中国は新型コロナの感染拡大を抑え込んだとして、感染拡大リスクの高い国へ医療チームの派遣や医療物資の提供などを行っています。
医療インフラが脆弱な国に「コロナ対策」を輸出することで中国依存を高める狙いがあるとの見方もあり、その多くの新興国はヨーロッパとの連帯ではなく、中国抜きではみずからを守ることすら出来ないと発言しています。
これらは新興国だけでなく、医療崩壊をおこしたイタリアに対してもそうで、それらを含めて莫大な利益を得ているとされています。
(3)米中新冷戦の第6章から引用 - 中国軍の感染者皆無 (CNN)、中国軍は既にワクチンを開発しており実用化していた可能性も報道されています。
(4)世界で最多の感染者、死者を出しているアメリカではロックダウンによる経済ダメージが深刻で、国内経済の立て直しが急務となり、国内ITインフラ整備に全力を注げなくなってしまう可能性がありました。なにより国の財政悪化も著しい。
イギリスでは「5Gアンテナが新型コロナを広めている」というデマが拡散されており、すでに大量の携帯アンテナへの放火や破壊が行われてしまっている。
中国はその間にも、「ニューインフラ」の整備を発表し、アリババやファーウェイの代表者がこの政策の指示を表明し、着々と官民一体で拡大路線に舵を取れている。
BCG接種率またはファクターXといわれる謎の多いコロナウイルスは、アジア人が極端に重症率が低いデータもでており、未だに欧米諸国で「武漢ウイルス研究所起源説」が大勢に支持される理由でもあります。
コロナパニックで得をした事実がいくつもあることは、独裁国家として素早い政策対応ができることから、パンデミック下において自由民主主義国よりも有利だったという面で、偶然すべてが重なった上で優位に立った可能性もあります。
そのためこの陰謀論にも近い特定の説に対しては、科学的根拠と冷静な見方が必要になりそうです。
6月30日 香港国家安全維持法案が可決 香港の議会を通さずの全会一致で可決となりましたが、何より問題なのは記事作成段階で法律の内容が公表されていないことでした。
つまり、終身刑などの刑が盛り込まれている可能性も指摘されたため、民主活動家の代表格だった周庭さんや黄之鋒さんらが民主派政党を離脱し、一連の騒動は終結してしまった。このあとに香港政府は学生・生徒が学校で「政治的な活動に関わること」を禁止しています。
香港の自由はなくなり、香港デモ関連の情報は現地から受け取ることがなくなりました。
も何年後かに香港いったら捕まりそう
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