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2021年10月05日
スタインウェイができるまで(あるピアノの伝記)
『スタインウェイができるまで〜 あるピアノの伝記』
PIANO THE MAKING OF A STEINWAY CONCERT GRAND JAMES BARRON
ジェイムズ バロン[著] 忠平美幸[訳]
グロトリアンに関する書籍について
【グロトリアンに関する図書はほとんど無い】
私はこのサイトで「グロトリアン」というピアノについて記事を書かせていただいていますが、実は「グロトリアン」に関する文献は数少ないです。日本語訳にされているものはまずありません。皆無と言っていいでしょう。「グロトリアン」の公式サイトでも在庫切れで入手は困難です。あの「amazon」でさえ「グロトリアン grotrian 」と言うキーワードで検索してもヒットしません。
だから、「グロトリアン」について説明されているサイトのほとんどの説明文は、「グロトリアン」の公式サイトか、誰かが書いた文章を、そのまま引用したり、その方たちが自分なりに改編して書かれていることばかりである。”リストの妻、クララが愛したピアノ”だとか、どのサイトを見ても請け売りの言葉しか見つからない。どこも同じことが書いてあります。
では何故、関連した文献が無いか、何故、私がわざわざこんなサイトで紹介しているかというと、そもそも「グロトリアン」というピアノは、優れた歴史あるピアノでありながら、一流のピアノに位置付けられていないからです。
世界的に有名な「ショパン国際ピアノコンクール」の公式ピアノとして採用されたとか、そうしたレベルで尺度を測るしかありません。
【発想の転換】
このサイトをご覧になっていただいている方はもうご存知だと思いますが、そんなグロトリアンの歴史を紐解いていくには、グロトリアンを発祥とするスタインウェイに関する書籍を調べて行けば、その片鱗の一部を知ることができるのです。世界的に有名なスタインウェイに関する書籍であれば、少なからず間違いなく存在します。まさに「発想の転換」です。視点・見方を変えてみるのです。これはある方との出来事がきっかけで気付かされたことです。
まだ、この本は読み終えていませんが、ざっと目を通したところでは、この本にもグロトリアンに関することはあまり書かれていないような気がしましたが、きっと何かが見つかると思うので楽しみにして読んでみようと思います。
難しいことばかりで飽きてくると思いますので、「ショパン国際ピアノコンクール」や日本国内で開催される「国際ピアノコンクール」にも参加し、数々の受賞歴を持つギリシャ出身のAlexia Mouzaさんの演奏をご覧ください。使用しているピアノはYAMAHAです。
ピアンノのランキング(レイティング)について
ピアノには「レイティング」というものがあります。簡単に言うとランク付けのことです。しかも公式に位置付けているものはこの世にはありません。
【レイティングとは】
ランク付けと簡単に言っても誤解されてはいけないので、まず「レイティング」について説明しておきます。
ラリー・ファイン(1950年生まれ)というアメリカのピアノ技術者の著書『The Piano Book』に彼なりにまとめ上げた世界のピアノのランク付けのような本があります。洋書ですので英語でしか書いてないので読むのはかなり難しいです。私が押している楽天ブックスでも取り扱っていませんし、ネットで購入できるのは「amzon」ぐらいでしょうか。大体2,000円前後で販売されていますが、まず読まれる方はいないので特に紹介はしません。目休めにどんな本か画像だけ貼っておきます。
【Group1からGroup4】
レイティングについては、Group1からGroup4までの4つのグループに分けられています。(あくまでのラリー・ファイン氏の著書によるものです)
この格付けは、ピアノの能力が優れているとか劣っているということではありません。
目的や価格帯によるカテゴリで分類されたものです。
簡単にGroup1からGroup4については以下の通りです。
Group1:Highest quality performance pianos
最高に優れた品質とパフォーマンスを目指して製造されているピアノメーカーやブランドを指します。
以下の条件でくくられています。(引用:ラリー・ファイン氏の著書から)
Verticals(アップライトピアノ)$14,000 to $34,000
Grands(グランドピアノ) 5' to 7':$40,000 to $90,000
本当はそれぞれ調べて紹介していくと解かりやすいと思うのですが、時間も無いですし、みなさんも疲れてしまうので、以下、ズラズラと名前だけ連ねていきます。
【Group 1A】
ブリュートナー / Blüthner
ベーゼンドルファー / Bösendorfer
ファツィオリ / Fazioli
シュタイングレーバー & ゼーネ / Steingraeber & Söhne
スタインウェイ・アンド・サンズ / Steinway & Sons(Hamburg)・・・生産拠点であるハンブルグの方
【Group 1B】
ベヒシュタイン / Bechstein, C.(Concert series)
アウグスト・フェアシュター / Forster, August
グロトリアン / Grotrian
ザウター / Sauter
さて、ようやくグロトリアンが出てきたので、この辺で終わりにしてもいいのですが、YAMAHAやKAWAIが出てきますので、以降についても機械的にズラズラと並べていきます。
【Group 1C】
シゲルカワイ / Kawai, Shigeru
スタインウェイ・アンド・サンズ / Steinway & Sons(New York)・・・ニューヨーク本社の方
Group2:High-performance pianos
高いパフォーマンス性を目標に製造されているピアノメーカーやブランド
条件
Verticals(アップライトピアノ) $6,000 to $20,000
Grands(グランドピアノ) 5' to 7' $18,000 to $50,000
【Group 2A】
エストニア / Estonia
メイソン・アンド・ハムリン / Mason & Hamlin
シンメル / Schimmel(Konzert series)
【Group 2B】
ベヒシュタイン / Bechstein(Academy series)
ヘスラー / Haessler ブリュートナーのセカンドブランド
シンメル / Schimmel(Classic series)
シュルツポールマン / Schulze Pollmann
ザイラー / Seiler
スタインベルグ / Steinberg, Wilh.
チャールズ R ウォルター / Walter, Charles R.
ヤマハ / YAMAHA("S" series)
【Group 2C】
ボールドウィン / Baldwin(grands)
ボヘミア / Bohemia
イルムラー / Irmler ブリュートナーのプロデュースのブランド
ケンブル / Kemble
ペトロフ / Petrof
フォーゲル / Vogel
Group3:Better quality consumer-grade pianos
品質の良い一般向け(consumer-grade)に製造されたピアノメーカーやブランド
条件:
Verticals(アップライトピアノ)$3,500 to $12,000
Grands(グランドピアノ) 5' to 7' $9,000 to $34,000
【Group 3A】
ボストン / Boston(Kawai with Steinway)
カワイ / Kawai(verticals and RX series grands)
ペルツィーナ / Perzina(verticals)・・・映画「戦場のピアニスト」で有名
プレンバーガー / Pramberger, J.P.(Samick)・・・スタインウェイ(NY)で設計・技術マネージャー「プレンバーガー」氏が、同社を退社し創業
アルバート・ウェーバー / Weber, Albert(Young Chang)
ヤマハ / Yamaha(verticals and C series grands)
ユンチャン / Young Chang(Platinum Edition)
【Group 3B】
ボールドウィン / Baldwin(verticals)
エセックス / Essex(Young Chang/Korea with Steinway)・・・スタインウェイのサブランド
カワイ / Kawai(GM and GE series grands)
クナーベ / Knabe, Wm.(Samick)・・・グロトリアンと同じく「シンギングトーン」が特徴。
ウェーバー / Weber(Sovereign series)(Young Chang)
ヤマハ / Yamaha(GB and GC grands)
ユンチャン / Young Chang(Professional Artist series)
【Group 3C】
コーラー&キャンベル / Kohler & Campbell(Millennium series)(Samick)
プレンバーガー / Pramberger, J.(Samick)
Group4:Medium quality consumer-grade pianos
一般向けに製造されている中品質のピアノ
条件
Verticals(アップライトピアノ)$2,500 to $7,000
Grands(グランドピアノ) 5' to 7' $6,000 to $19,000
【Group 4A】
ブロードマン / Brodmann・・・ベーゼンドルファーから独立した職人や技師たちが創業
エベル カール / Ebel, Carl(Perzina)
ハインツマン / Heintzman
メイ・ベルリン / May Berlin
ペルツィーナ / Perzina(grands)
ゲルハルト・スタインベルグ / Steinberg, Gerh.(Perzina)
【Group 4B】
エベレット / Everett(grands)(Dongbei)
ハレットデイビス / Hallet, Davis(grands)(Dongbei)
ノルディスカ / Nordiska(grands)(Dongbei)
ストーリー&クラーク / Story & Clark(grands)(Dongbei)
ウェインバッハ / Weinbach(grands)(Dongbei/Petrof)・・・ペトロフ(Petrof)の低価格ブランド
【Group 4C】
バーグマン / Bergmann(Young Chang)
エセックス / Essex(Pearl River or Young Chang/China with Steinway)
ハイルン / Hailum
コーラー&キャンベル / Kohler & Campbell(except Millennium series)(Samick)
ヘンリー F.ミラー / Miller, Henry F.(Pearl River)
パラティーノ / Palatino(AXL)
パールリバー / Pearl River 珠江ピアノ
レミントン / Remington(Samick)
リットミュラー / Ritmüller(Pearl River)・・・1795年ドイツ創業の当時最高級のブランド
サムイック / Samick 三益楽器
Steigerman(Premium series)(Hailun)
ウェーバー / Weber(Legend series)(Young Chang)
【Group 4D】
ホバート M.ケーブル / Cable, Hobart M.(Sejung)
クリストフォリ / Cristofori(Sejung)
エベレット / Everett(verticals)(Dongbei)
ファルコーネ / Falcone(Sejung)
ガルブランセン / Gulbransen(Sejung)
ハレットデイビス / Hallet, Davis(verticals)(Dongbei)
ハミルトン / Hamilton(Sejung/Baldwin)
ハードマンペック / Hardman, Peck(Beijing)
オットー・マイスター / Meister, Otto(Beijing)
ノルディスカ / Nordiska(verticals)(Dongbei)
ジョージ・シュテック / Steck, Geo.(Sejung)
Steigerman(Beijing)
ストーリー&クラーク / Story & Clark(verticals)(Dongbei)
スズキ / Suzuki(Artfield)
Shanghai Artfield Piano Co., Ltd.
ヴィヴァーチェ / Vivace(Sejung)
ウーリッツァー / Wurlitzer(Sejung/Baldwin)
ワイマン / Wyman(Beijing)
最後に(まだ始まってもいませんが)
さて、みなさんのお持ちのピアノはありましたでしょうか。
ひとつずつもう少し調べてみると面白いかもしれません。
暇があったら、別記事として書かせていただきます。
それから、そもそもピアノの起源はチェンバロで「ピアノ」という名の由来はイタリア語の「グラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」(gravicembalo col piano e forte)から来ています。
私はチェンバロの方が芸術品としても美しく、ピアノよりもさらに好きです。
今日はこの辺にしておきます。
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後の追記は、いつものやつです。興味のある方だけ読んでください。
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