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突然の業務終了
年末にお小遣い稼ぎをしようと、派遣会社を通して2ヵ月間の仕事をすることになりました。
契約上社会保険の加入も必要なく、雇用保険料の支払いのみで済むため、短期の仕事としては好条件でした。
事務系の仕事ですが、納期が年内と決められており、残業、休日出勤する日々。
この辺りから派遣先の担当者の管理能力の酷さが確信に変わっていったのですが、ついに予想通りの展開に。
一生懸命働いた結果、仕事が進みすぎて契約期間残り3週間残して業務終了。
残業をストップした時点から、必死にゆっくり仕事したものの伸びてせいぜい2日。
同じ職場の派遣の方々は、業務終了前に早々に辞めて別の派遣先へシフトチェンジ。
10人いたスタッフは最後には4人だけになりました。
この4人は、派遣会社に紹介された次の派遣先に納得がいかない面々です。
勤務地が遠くなったり、給料に納得がいかなかったり。
そこで争点は「休業手当」が補償されるかどうかになりました。
派遣の休業手当とは?
派遣先都合により雇用契約満了前に休業になったり、業務終了した場合、派遣社員でも少なくとも平均賃金の6割を休業手当として支払う義務があります。(労働基準法第26条)
但し、派遣会社は別の派遣先での雇用を確保する必要があり、雇用を確保できなかった場合(この辺の条件が派遣会社によって異なる)に休業手当が支払われるという流れになります。
また、この場合派遣会社に非があるわけではないため、派遣先から支払われない限りは賃金の全額補償はかなり厳しい条件になります。
【支払い期間】
休業日から契約期間満了まで、または次の派遣先での就労開始まで
【休業手当の計算方法】
(小数点以下50銭未満切捨て、50銭以上切上げ)
1)直近3ヵ月間賃金総額(基本給、残業、手当含む)÷ 3ヵ月間の総暦日数 × 60% × 休業日数
2)直近3ヵ月間賃金総額(時間給、残業、手当含む)÷ 3ヵ月間の労働日数 × 60% × 休業日数
【手続き方法】
派遣社員自身が申請手続きをする必要はなく、一般的には給料の支払いと同様にまとめて支払われます。
休業手当の支払い拒否
本来派遣先が補償すべきところですが、派遣先はこれを拒否。
残業手当の時間区分など、お金にはケチな印象が既にあったのですが、これまた確信に変わりました。
この派遣先の補償拒否によって、派遣会社も休業手当を支払わない方針となりました。
派遣会社の言い分としては、就業規則にのっとり、それに該当するため派遣会社に支払いの義務はないとのこと。
日本では「派遣法」というものができたとこの時に知ったのですが、結局のところ、この派遣会社では休業手当という法律で守られるべき制度は就業規則によって無いものにできるということでした。
【派遣先の言い分】
派遣先と派遣会社との話合いで決定済とのことで、休業手当の支払いを拒否。
そもそも残業や休日出勤をさせたり、進捗状況をきちんと管理できていないことが問題ですが、こちらから管理者との話し合いができる場はありませんでした。
結局納期前に仕事を早く終わらせることができ、人件費も削減できたので、この会社にとっては得しかありません。
【派遣会社の言い分】
”派遣スタッフ就業規則”に明記の通り、「業務の都合上、派遣先及び就業場所の変更を命ずることがある。これを派遣スタッフが拒否した場合は自己都合退職として扱う」とのこと。
初めての派遣だったため、この規則に驚きました。
まさか短期バイトのつもりで来ていた仕事でこの規則が適用されるとは。
派遣スタッフが別の派遣先の仕事内容が嫌だったり、賃金に納得できなくても、この規則の範疇であれば異動命令ができるという内容。
正社員の異動であればあり得る話ですが、派遣スタッフにも異動があることに驚きでした。
こちとら短期バイトのつもりで行っていましたので・・・
日本は労働者の立場が弱いのだと感じた日でした。
労働基準監督署へ相談
業務終了前日に休業手当が支払われないことを通告されたことと、別の派遣会社から出向していたスタッフは休業手当が支払われることを聞いたこともあり、管轄の労働基準監督署(労基)へ相談に行きました。
事前準備としては、雇用契約書や経緯、口頭でのやりとりもメール化して、証拠として残るようにしました。
別の派遣スタッフの方は、電話相談をしたようで、こちらは夕方以降や週末、祝日の時間帯で対応してくれます。
⇒厚生労働省「労働条件相談ホットライン」
労基の方は親身になって話を聞いてくれますが、派遣法などの法律については詳しくなく、別の部署の派遣法に詳しい方を紹介してくれました。
結論として、この派遣会社は法律上違法ではない判断となりましたが、最終的には労基の判断となり、派遣会社に「休業手当請求の申請」という流れになりました。
相談後の流れ
1)労基でもらった申請書のフォーマットを参考に、自身で派遣会社宛の請求書を作成します。
2)請求日から7日後を目安に振り込み締め切りを設定し簡易書留で派遣会社に送付します。(配達記録が残るため、領収書は大切に保管)
3)期限までに振込がされなかった場合、再度労基へ。(就業規則などの資料を印刷して提出)
4)弁護士などの第三者仲介の「あっせん」申請へ。(個人で弁護士相談となると有料がほとんどですが、この制度は無料で行えます)
当事者は別室で待機し、弁護士などの仲介者が代理となって話し合いで解決へと導きます。
5)あっせんで解決しない場合は、労働審判、労働裁判の流れとなりますが、裁判まで行くと費用が高額になるため、今回の件ではあまり現実的ではありません。