裏側を知ることで、人ははじめてその価値を知る。




何気なく見る時計の文字盤、機構、そして裏面。

その全てが職人の手作業で切り出され、埋め込まれ、組み立てられていく様を見ると、なぜ長きに渡って残り続けるブランドというものが成立するかを少し理解できる気がします。

私は時計のコレクターではありませんが、モノに対するこだわりは多少なりとも持っており、選択する基準は、多くのこだわりが存在するか、です。多くのこだわりがモノが作られる段階で込められたモノは、長きに渡って残り続ける資格を持つと思うのです。そして、それは既に単なるモノではなく、製作者の姿が形になって表れている、製作者の人生の一部のような気さえするのです。

いつか自分の時計の製作者と、そのモノを通して会話が出来たなんてことがあったら、きっとかけがえのない体験になると思います。高いけど持っててよかったと思えるモノ、それが私のモノ選びの基準です。

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時の経過とともにモデルも移り変わる。しかし、変わらない価値がPATEK PHILIPPE アニュアルカレンダーにはある。

ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲとともに世界三大高級時計メーカーの一つとして数えられる価値は、一度手に取ってすぐ「実力者」であることに誰しもが気づくだろう。気品、洗練、融合があいまって、身につけていたいと私がはじめて思わせられた時計であった。

「高級時計」という言葉は私個人的には好きではない。「高級時計」ではなく、「恒久時計」。それが、私が思うPATEK PHILIPPEである。

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正統派のイメージがあるIWC。しかし、裏の景色は老舗メーカーゆえの実力を感じさせられる、私の中では攻め時計の一面を持っている。

スイスの繊細とアメリカ技師の血と、シャフハウゼンというドイツよりの環境、それらが融合がポルトギーゼから垣間みれる気がします。

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本物を顕微鏡で見ると仕上げの高さに脱帽しますよ。ケースの中の技術の一つを垣間見れるお気に入りの動画です。

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「トリプルレトログラード」（3本のレトログラード秒針が20秒ずつのリレーする形式で1分の時を刻む）で有名なピエール・クンツの『キュピドン』。この時計との出会いは、
OPENERS様の特集「あなたの腕時計、見せてください」で脚本家の小山薫堂さんとのコラボモデルを知ったのがきっかけ。

シースルーバックからは「アダムとイヴの物語」を見ることができる。下方には平和の象徴である２羽の鳩がつかさどられ、右上にはマリッジリング、左上にはイヴをそそのかしたとされる蛇が表現されている。

この時計に出会ってから、時計の裏の世界にすっかり魅了され、私にとって時計は、時を知るためのツールから、こだわりの時計と一緒に時の経過を楽しむツールになり、時計に興味を持つ人々との会話もとても楽しいものになった。

なぜ時計一本が数百万もするものも存在するのか、それは昔から疑問でした。でも今は違います。時計一本一本の組み立てにプロフェッショナルの「手」がかかっているのを理解したから。

人は人の苦労を知った時、はじめてそのものの価値が分かる。そんな大事なことを分からせてくれた時計の世界に感謝するとともに、自分の仕事でも忘れないよう、いつかは購入したい時計の一つである。