「リネンの春」を描いていた谷ま乃ゆり先生の新作「ゆぴ太の恋人」のご紹介です。
2023年5月から漫画サイト「となりのヤングジャンプ」にて連載中です。Web連載なので8月22日現在、過去6話分は全部読めます。
作品内容はこんな感じ。
「売れない漫画家・黛菫の住む部屋の真上には、 若くて美人の女の子・いおが住んでいる。 ある日、いおが自分の作品の“熱心”なファンだと 気がつく。これは偶然?、それとも…!? 隣人サスペンス・ラブストーリー!!」
売れない漫画家のペンネームが「ゆぴ太」です。「灼熱魔法少女りず」をまんがアプリで連載中です。
謎の隣人が「佐藤いお」ちゃん。可愛い。
谷ま乃先生は女性のパンツを描かせると抜群に上手い人ですが、そのパンツを拾うことから二人が急接近していきます。しかし、何か不穏な空気が漂うこの作品、ミステリ仕立てになっています。
最大の謎は、隣人である「佐藤いお」の正体ですが、それについては第1話からすでに情報が開示されています。以後、管理人による考察というかネタばれ的な記述が始まりますので、未読の方はここまでね。
さて、よろしいでしょうか。
それではいきなりですが、「佐藤いお」の正体について3択です。正解を選んでください。
1 熱心なファンである「ゆの」さん
2 前任の担当者の関係者
3 現担当編集の中野氏の関係者
正解は、全部違います。
「佐藤いお」の正体は、「ぺろりん」です。あの「変な生き物」ね。
1話で名前を名乗るシーンがありますが、名前がすでに正体を示しています。
いお。ちょっと変わった名前ですが、当然意味があってこの名前がつけられています。
イオと表記すると分かりやすいですね。木星の第1衛星の名前です。名前の由来はギリシア神話の登場人物に由来します。その人物はゼウスの恋人であり、牝牛に姿を変えられた経歴があります。ちなみにゼウスはローマ神話ではジュピターです。
ここまで言うと、勘の良い方はタイトルの意味も分かると思います。はい、ゆぴ太は「ジュピター(木星)」に由来します。ローマ神話ではジュピター(ユピテル)の正妻はユーノーです。「ゆの」さん、けっこう重要な人みたいですね。
いおが「ぺろりん」であることを示すものは他にもいくつか描かれています。
スマホの待ち受け画面やキーホルダーに「ぺろりん」が使われています。
作中で「3話の配信から1日たっていない」と言っているので、待ち受け画面はともかく、キーホルダーは自作なのでしょうか?
分かり易すぎるので、ミスリードかもしれないという疑問もありますね。
りずちゃんのタトゥ?については、「彫った」とは言っていないので、どうやって「入れた」のかは不明です。
さて。
「いお」が「ぺろりん」なら、何の目的で「ゆぴ太」に接近したのでしょうか。
偶然でしょうか。いや、そんなわけないよね。
「いお」は連載中のマンガの今後の展開を知っています。登場人物のひとりだからですね。
作品の登場人物が作者自身に接近して行うことは、基本的に「作品世界の改変」です。
「ぺろりん」にとって、改変したい、改変しなければならない展開が見えているのかもしれない。
リアル世界に目を向けると、ゆぴ太先生は前作2本が打ち切りで終わっていて、今回が三度目の正直、という瀬戸際にいます。今の連載が成功しなければ後がない状況です。
このあたりが、「ぺろりん」側にもリンクしている可能性があります。
「ぺろりん」も後が無い。でも直接自分で作品を改変することはNGで、作者の自由意思に近い形で誘導して、望ましい結末を手に入れたい。そんな感じかな。
ということを考えながら6話まで読み進めています。
ここに書かなかった「ぺろりん」に関する考察はまた機会があれば。
じつはこの連載を知ったのはほんの数日前なので、谷ま乃ゆり先生の新作が久しぶり読めて浮かれています。
今後もますますのご活躍を祈念いたします。
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