しかし、健康という面から見たら、本当に太っている人が悪いことなのでしょうか。太っている人と痩せている人では多少太めの人のほうが長生きする可能性が高いのです。実際、日本でも2009年に発表された厚生労働省の研究班(研究代表・辻一郎東北大学教授)の調査(宮城県の40歳以上の住民、約5万人の健康状態を12年間にわたって追跡調査した結果)でも、40歳時点で太り気味の人が最も長寿であることがわかりました。もっとも短命なのは痩せた人で、太り気味の人より6~7年短命だったのです。
40歳時点歩余命が、普通体重(BMI18・5以上25未満)で男子39・4年(つまり寿命は79・4歳)女性47・97年(寿命は87・97歳)真野に対して、太り気味(BMI25以上30未満)では男子41・64年、女性48・05年と長命でした。女性はあまり変わりませんが、男子は太り気味のほうが普通体重よりも約2歳長生きというわけです。さらに、肥満(BMI30以上)にぶんるいされた人はと言えば、男性39・41年、女性46・02年で、男性は普通体重とほぼ同じで、女性は約2年短命になっています。
もっとも短命だった痩せた人(BMI18・5未満)は男性34・54)、女性41・79年と普通体重よりも男性で約5年(太めの人よりも約7年)、女性で約6年も早死にすることになります。
ちなみに、身長1・7メートルの男性とすると、BMIは25は72・25キロ、30は86・7キロですから40歳時点で72.25キロ~86・7キロが最も町名ということになります。かなり太めなことがお判りでしょう。
これは40歳時点の体重を基準にしての調査ですが、この傾向は年齢を重ねても変わらないと思います。メタボを気にしてダイエットするほうが、かえって危険なのです。
もちろん、たんに太るのではなく、バラエテイーのある様々な食品を食べることが大切です。栄養と寿命に関しては、アメリカの栄養学者が、なぜ日本人が1番寿命が延びたのかを調査しています。彼らの結論は、日本人の寿命が延びたの主な原因は、バラエテイに富んだ食事をするようになったことだろうというものです。 戦時中、敗戦直後の日本人は食べるものに事欠いていました。主食のお米すらきちんと食べられない人がたくさんいました。戦後の復興とともに少しずつ食生活に困らなくなってきたものの、昭和20年代はまだまだ主食のコメに偏って、肉類などは高級品でした。それがどんどん豊かになり、コメだけでなくパンを食べたり、卵、肉類、魚類などなんでも豊富に食べることができるようになり、料理も日本料理だけでなく、中華、イタリアン、フレンチ、エスニックなど、バラエティに富む食事をするようになりました。
同じ先進国で豊かなドイツやフランスも、日本ほどは平均寿命が延びていません。それは、豊かであっても昔と同じものを食べていて、バラエティに富んではいないからとも考えられています。
ですから、食事は好きなものをあまりいろいろなことを気にせず食べるのがいいのです。ただし、寿司でもステーキでも、好きなものを食べるにはある程度、経済的に豊かでなければならないということになります。
アメリカでも裕福な家庭では、ステーキだけでなく、すしを食べたり、魚を食べたり、非常にバラエテイに富んだ食事をしています。そこだけ取れば、日本人と同じようなものです。アメリカで平均寿命の足引っ張っているのは、経済的に下層にいる人たちです。
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