重賞の動脈硬化の治療では、本人の血管が使えなくなった時に、人工血管に置き換える手術をすることがあります。人工血管と本物の血管との決定的な違いが、内皮細胞の有無。本物の血管には内皮細胞があり、それが血液を流す働きをしています。しかし、人工血管は単なる血管なので、血管が詰まってうまく血液が流れないことがあるのです。
このため、ひざから下の手術では、人工血管は使わず、必ず本人の体の別のところから静脈を取ってきてつなぎます。ひざから下は心臓から遠いので、人工血管ではスムーズに血液が流れず、すぐに詰まってしまいます。これに対して、本物の血管を使えば、内皮細胞が血流を流す働きをしてくれるのです。
このように、内皮細胞は血流を良くするために欠かせない、重要な司令塔なのです。
血管に関する様々な情報の中で、特に大事なのが一酸化窒素。喫煙や糖尿病の病気、ストレスなどは、内皮細胞を痛めますが、それに対抗するのが一酸化窒素です。内皮細胞から一酸化窒素がきちんと出ているかどうかが、血管が強く若いかどうかの目安になります。
悪い生活習慣によって一酸化窒素が出なくなると、内皮細胞はどんどん傷めつけられ、血管は固く、ごわごわになっていきます。「血管を内側から強くする」とは、この内皮細胞を鍛えて、活性化させることなのです。
高齢になり、硬くなってしまった血管を、生まれたての赤ちゃんのような状態に戻すことはできませんが、何歳からでも改善できることはあります。 一口に「血管が硬くなる」と言っても、二つの意味があります。一つは、血管そのものが物質として硬くなる老化現象で、これはどうしようもありません。もう一つは、血管の収縮の度合いで、これは改善できるのです。
血管の収縮の度合いが緩くなり、血液が通りやすくなる状態になると、物質としての硬さは同じでも、機能的に柔らかくなった状態だといえます。 高齢になっても、血管を機能的にやわらかくすることは可能です。そのためには、血管にダメージを与えられない食事、血管を鍛える運動、ストレスをためない生活をして、内皮細胞がきちんとその機能を果たす血管にすることが大事なのです。
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