その理由は、簡単に言えば、眠りの質が低いと「元気で生き生きと過ごす」ことが難しくなるからです。 睡眠の質の低下は、いわゆる「睡眠負債」につながり、様々な病気のリスクを上げることになります。健康寿命の提唱者で疫学研究の第一人者である東北大学の辻一郎教授らの研究によれば、女性2万3995人を7年間追跡し、すいみん時間と乳がんの発症リスクの関係を調べた結果、平均睡眠時間が6時間以下の人は7時間の人に介して乳がんのリスクがおよそ1.6倍になることがわかっています。
この研究で示されている睡眠時間は、あくまで平均であり、必ずしも7時間寝れば睡眠の質が良いということではありませんしかし、人を対象とした睡眠の質と病気のリスクとの関係を示した重要なデータです。
これ以外に、多くの疫学研究において睡眠の質の低下が、癌の発生、脳機能の低下など重大疾患に使がる可能性が指摘されています。
実は、睡眠中には脳の中の老廃物を脳の外に洗い流す仕組みが働いています。睡眠中に脳の神経細胞の周囲の空間が広がり、神経細胞を洗い流すリンパ液の流れが大幅に増加します。すると昼間より効率よく回収できるようになり、老廃物得汚含んだリンパ液は静脈の沿って脳外へと運び出されます。子の仕組みがうまく機能しないと脳内にβアミロイドなどの蓄積が増えることhが分かっています。つまり、睡眠の質が低い状態が続くと、アルツハイマー病のリスクが高まるのです。
また、眠っている間(レム睡眠の間)に脳が記憶を整理統合していることがわかっています。これは毎日覚醒中に入ってくる情報で脳がパンクしないためには、取捨選択して古い情報を捨てるという作業が必要になるからです。「寝る子は育つ」というますが、実はこど個だけでなく「寝る大人も育つ」のです。
人生のおおよそ3分の1は眠りです。人生100年時代には、およそ33年眠るわけです。
この長い期間にわたって、毎日を元気に生き生きと過ごすためには、毎晩ぐっすりとよく眠れること、つまり良質の睡眠が不可欠です。
にもかかわらず、ヴゅ宇年期以降になると睡眠障害に悩まされる人が増えていきます。現状、日本人の40歳から59歳で約5人に1人が、60歳以上だと約3人に1人が何らかの睡眠障害を抱えているといわれています。
睡眠障害には精神生理性不眠(いわゆる不眠症)をはじめ、ムズムズ脚症候群、周期性四肢運動障害、、睡眠時無呼吸症候群、概日リズム睡眠将軍、ナルコレプシーなどがあります。
このうち、もっともみられるのが不眠症で
@ 寝付きが悪い(入眠障害) A眠ってから頻繁に目覚めてよく寝られない(中途覚醒) B早く目覚めすぎて困る(早朝覚醒) C休息感が欠如している(熟睡障害)の4種類が見られます。
こうした夜間の睡眠トラブルがあり、日中の調子が優れない状態が3か月以上続くなら、不眠症です。
一方、多少夜間に目覚めても、その後すぐ眠れ、日中は元気な人、早く目覚めても散歩などして快く過ごせる人は不眠症とは言いません。
また、不眠症の要因には、@環境要因「暑さや寒さ、明るさ、時差がある場所などのよるもの)A身体要因(年齢や性差、頻尿、痛み、かゆみなどのよるもの)B心の要因(悩みやイライラ、精神的ストレスなどのよるもの)C生活習慣要因(アルコールやニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用などによるもの)などがあります。
一方、ナルコレプシーという睡眠障害では、真昼間に突然睡魔に襲われてぐっすりと眠り込むという症状が見られます。この症状が現れる人は特定の白血球の血液型を持つことがわかっています。ナルコレプシーは他の睡眠障害とは異なり、遺伝要因による睡眠障害です。
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