それでは、腸内の免疫力を活性化するにはどうしたらいいのでしょうか。
腸内環境を生きた微生物で整える「プロバイオティクス」という考え方が、十数年前、ヨーロッパから世界に
広まっていきました。 病原菌を殺す抗生物質を「アンティバイオティクス」といいます。抗生物質は確かに病
原菌を殺すのに威力を発揮しますが、病原菌とともに腸の善玉菌も殺してしまうので、おなかの調子が悪くなっ
たり、免疫力を落としたりします。抗性物質の副作用などに対する批判から、乳酸菌などを摂ることで、消化器
系のバランスを改善して体内環境を整えることによって、自然治癒力を高めて未然に病気を防ごうという考え方
です。
プロバイオティクスの代表的なものは乳酸菌、ビフィズス菌などです。 乳酸菌でぎゅうにゅうをはっこう
させたヨーグルトは、人類が7千年前から食べていたと言われている発酵食品です。
乳酸菌が長寿と関係あると始めに考えたのは、パスツール研究所のイリア、メチニコフ(1845~1916年、
ロシアの微生物学者)です。メチニコフはヨーグルトを良く食べるブルガリアに長寿者が多いことに注目し
て、1907年に【不老長寿論】という著書を出版しました。「老化は、腸内の有害な菌が引き起こす。
ヨーグルトはその害を抑制するので長寿に有効」という仮説を発表しました。 その後、様々な論争
があり、初期に開発されたヨーグルトなどプロバイオティクス製品は、ほとんどの乳酸菌外で死滅してしま
い、腸に達しないことが明らかになりました。それでも、現在では死んだ乳酸菌でも、体に作用して血圧
やコレステロール値、免疫力を正常に保つ効果があることが認められています。
もちろん、生きた乳酸菌が腸に届くほうが高いことは間違いありません。その研究は日本がパイオニアで
す。ラクトバチルス、カゼイ、シロタ株(ヤクルト菌)が耐酸性なので、胃液でもほとんど死滅することな
く、生きたまま腸に届きます。
これを開発したのが、代田稔(のちのヤクルト創始者)博士です。今から80年以上前の1930年に、京都大学
医学部の微生物学教室で、生きたまま腸に届く乳酸菌の強化培養に成功しました。 代田氏の名前を取って
「シロタ株」と名づけられたのです。 私たちもシロタ株を使った実験を行っています。
NK細胞が弱っている被験者のシロタ株入りの乳酸飲料を3週間続けて飲んでもらいました。 すると、飲
みだした直後から、NK細胞の活性が高まり、その効果は6週間維持されました。 いまでは優秀な乳酸菌が
色々開発されて、様々な商品として売り出されています。どんな種類の乳酸菌食品を取ればいいかは、それぞ
れの体質に合わせてください。 最低1週間、毎日200グラム食べ続けて便秘が解消された、風邪に
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