厚生労働省は31日、職を求める人に対する求人数を示す「有効求人倍率」(季節調整値)の六月分を発表、
前月から0.09ポイント低下の1.11倍と5年8か月ぶりの低い水準になった。コロナの影響を受けて急増した失業
者らによる新規求職件数が、同18.2%増と過去最大の伸び率を記録した。 企業側が求人を絞る中で、労働市
場は「次の仕事」を見つけにくい状況に陥りつつある。 横浜市内の50代女性は4月中旬、アルバイトとして
1日10時間働いていたホテルから休業を命ぜられた。失職を想定して次の職を探していたが、ホテルを三社回
ったが、すべて断られ、飲食店でも断られた。理由はいずれも「コロナからの回復が見込めない」。
七月中旬には正式に解雇され、休業者から失業者に変わった今も求職活動を続けている。 女性は「友人か
ら借りた三か月分の生活費を返さないといけない。一刻も早く次を探したい」と焦りをにじませた。
新規求職者の内訳(現数値)をみると、会社都合で離職した人の求職数が前年同月比81.7%増の九万八千人
分にも達した。大部分はコロナの影響で企業に整理解雇などの形でリストラされた人たちとみられる。
自己都合などを含めた離職者全体でも同28.4%増えた。休業者らが収入減などを理由に、在職しながら次
の仕事を探す傾向が強まったのも原因。緊急事態宣言の影響で、パートなどをやめて「家事移動者」となって
いた女性らが求職に転じたこともある。
この結果、有効求人倍率の分母に当たる月間有効求職者数(季節調整値)は前月比5.4%増。一方、先行き
不透明感が強まる中で企業は採用を絞っており、分子に当たる月間有効求人数は1.9%減少。倍率は六か月連続
で縮小した。 日銀元審議委員の木内登英(たかひで)氏は「経済は急速に戻る可能性は相当低く、採用抑
制や人員整理、倒産が増えるだろう。雇用の悪化は今後が本番」と見通した。
一方、総務省が発表した労働力調査では、就業者数が前年同月比77万人減、中でも非正規労働者は百四万人
も減った。急増していた休業者は職場に復帰するなどして、五月の四百二十三万人から二百三十六万人に減っ
た。完全失業率(季節調整値)は前年比0.1ポイント改善し2.8%となった。
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