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2014年07月31日

週休4日の「ゆるい就職」は定着するのか?

週休4日の「ゆるい就職」は定着するのか?



メンバー全員がニートで、
株主かつ取締役でもあるという新しいコンセプトで話題となった
「NEET株式会社」が、
ユニークな企画を立ち上げました。
その名も「ゆるい就職」。
週休4日で月収15万円を目指すという派遣事業です。
こうした「緩い」働き方は定着するのでしょうか?

 

現在の就労形態は、
正社員か非正規社員かという区分はありますが、
基本的にはフルタイムで雇用されるか、
アルバイトのように時間単位で働くかのいずれかになります。
日本の会社では、
会社に所属している人とそうでない人がはっきりと分かれており、
プロジェクトによって、
あるいは人によって、
会社への関わり方が異なるという形態はあまり好まれません。

 

もう少し多様な働き方ができないかという視点で考え出されたのが、
今回、
立案された週休4日、
月収15万円という派遣事業です。
この就労形態がうまく成立するのかは、
派遣社員を受け入れる企業次第ではありますが、
価値観やライフスタイルの多様化が進む時代にあっては、
こうした就労形態が存在するのも悪くありません。

 

この考え方は、
社会全体として見れば、
一種のワークシェアリングと解釈することもできます。
仕事の内容をしっかりと明文化し、
責任の所在をはっきりさせることができれば、
様々な雇用形態の人が、
仕事をうまく分担しながらプロジェクトに関わることが可能となります。
そうすれば、
従来よりも多くの人に雇用の機会が与えられることになるでしょう。

 

このところ日本では労働市場に大きな変化が起こっています。
これまでとはうって変わって、
人手不足が大変深刻な状況になっているのです。

 

建設業界で人手不足になっているのは、
大型の公共事業が相次いでいるからですが、
外食産業などにおける人手不足の原因は、
若年層労働人口の減少であり、
これは構造的な問題です。
人手不足に苦しむ企業の中には、
とにかく人を確保しようと積極的に正社員化を進めるところも出てきました。

 

正社員としてフルタイムで働くことがもっとも理想的な状態と考えるのであれば、
そして、
職種にそれほどこだわらないのであれば、
今後は正社員への道は容易に開けそうです。
逆に、
人手不足であるが故に、
企業側は労働者の就労形態についてより柔軟に対処する必要が出てくるとも考えられます。

 

人手不足をうまく利用し
「ゆるい就職」
で提唱しているような就労形態を定着させることができれば、
日本人の新しい働き方というものが見えてくるかもしれません。





ニートだけの会社、
ガバナンス論に一石



メンバー全員がニートで、
株主かつ取締役というまったく新しいコンセプトの会社が11月に設立される。
会社名は「NEET株式会社」で、
10月30日に東京都内において会社発足のための発起人による押印式が行われた。
 「日本全国のニートが集まり、
既成概念や常識に束縛されない自由で新しい会社を作ると」宣言しているが、
早速ネットなどでは「お遊びに過ぎない」「ニートがただ集まっても無意味」など批判の声も出ている。
この会社がうまくいくのかは未知数ではあるものの、
全員が株主でかつ取締役というコンセプトは、
会社は誰のものかという議論に一石を投じる可能性があり、
一部からは大きな注目を集めている。
株式会社は数ある会社形態のひとつだが、
現在もっとも普及している形態といってよい。
株式会社の特徴は、
会社の所有者を株主と規定し、
会社の最終的な経済的責任は株主が負うとした点である。
一方経営は所有とは分離され、
株主から委託された経営者が行う。
経営者は経済的な責任は負わなくてよいが、
会社が行った行為に対しては法的な責任を負う。
従業員はいずれの責任も負う必要はない代わりに、
経営や所有に関与する権限がない。



株式会社が普及した理由
株式会社が普及した最大の理由は、
所有権と経営権の分離にある。
合名会社や合資会社などでは(戦前の財閥は皆そうであったが)、
特定の人物が経済的、法的、
道義的責任をすべて負わなければならず、
よほどの人材でなければ会社の社主はつとまらない。
だが所有と経営を分けてしまえば、
お金はあるがマネジメント能力がない人は所有(投資)だけ、
マネジメント能力はあるがお金がない人は経営にだけ専念すればよく、
会社運営のハードルが下がる。
株式会社はそのようにして普及してきた。



だが最近では、
日常的に会社の業務に触れている経営者や従業員が、
その有利な立場を利用して所有者である株主の意向を無視するようになってきている。
これを是正しようというのが、
コーポレートガバナンス見直しの動きであったが、
日本では「会社は株主のモノではない」という感情的な意見が根強く、
この動きは事実上頓挫した。
だが、
日本企業に粉飾決算などの不祥事が絶えなかったり、
必要なリストラが決断できない、
あるいは正社員だけが既得権益になっているといった事例が多いのは、
経営者が正社員と結託し、
外部からのガバナンスが効かない状況を作り出していることと大きく関係している



経営と所有が分離しない形態
NEET株式会社は、
経営と所有が分離しておらず、
株式会社の形態ではあるが、
実質的には株式会社ではない。
つまり出資範囲に限定されているとはいえ、
ほぼすべての責任を全員で負うというスタイルであり、
まさに会社は従業員のモノという理想を実現した会社といえる
(本来であればパートナーシップ制など、
もっと適合性の高い形態を選択することも可能であったと思われるが、
あえて分かりやすい株式会社を選択したのだと思われる)。
普通に考えれば参加者全員の直接民主制ともいうべきガバナンス体制で、
意思決定がうまくいく可能性は限りなく低い。
その意味で
「どうせ失敗する」
という世間の批判はある意味で
「まっとう」
なものかもしれない。
だが、
従業員という絶対安全圏にいながら
所有権や経営権を主張するという根源的矛盾をクリアしているという点では、
非常に論理的である。



少なくともこうした試みは、
日本では制度疲労を起こしつつある株式会社制度や、
そこでの働き方に関して、
議論の材料を提供するひとつのきっかけにはなるだろう。

ecar
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