2014年09月13日
エベレストの思い出
おはようございます、ecarです。
今日は、【エベレストの思い出】をお届けします。
女性として世界で初めてエベレストに登り、
何度目かのがん闘病を乗り越えて現在も世界各国の最高峰の山に登り続ける登山家の田部井淳子さん。
作家・林真理子氏との対談でエベレストの思い出をこう話す。
林:1975年に女性で初めてエベレストに登られたときは女性だけで15人の隊でしたっけ。でも、登頂できる人は誰と誰って決められているんでしょう?
田部井:
最初からは決まってないんです。
荷物が最終キャンプに上がって、
最後にアタックメンバーを決めるときに、
隊長が指名するんですね。
林:そこまで一緒に苦労してきた人たちが、エベレストを前にして嫉妬心もなく、「田部井さん、登ってきてね」って送り出すわけでしょう。これって友情と信頼関係がないとできないことですよね。
田部井:
みんな登りたいと思って行くわけだし、
平等にお金も出し合っているわけですけど、
あのときは6千メートルを越えてから高山病にかかった隊員が多く、
首を回すだけで頭が痛いとか、
まばたきするだけで頭が痛いとかいう状態なんですね。
ですから、
登りたいという気持ちよりも、
体が動けなくなって、
「田部井さん、頼むから行ってきてよ」
と言われて送り出されたんです。
林:そうだったんですか。でも、田部井さんがお書きになった『それでもわたしは山に登る』という本を読むと、「私が行きたい」なんて言う人もいたみたいですね。
田部井:
その前にアンナプルナという山に行ったときは、
「なんで私がアタックメンバーに選ばれないの?」
なんていう場面もありました。
林:最後に登頂する人になりたくて画策する人もいれば、はっきりと主張する人もいて、「私も平等にお金を出してきたのに」なんて文句を言う人も……。
田部井:
そうそう。
15人いれば15人みんな拍手ということは絶対にない。
それはよくわかりましたね。
林:それでも隊長としてみんなを説得して黙らせなきゃいけない場面もあるわけですね。
田部井:
命にかかわることは、
いくら責められても、
ケンカになっても、
やめると判断したときはやめなければいけない。
そういうとき隊長って孤独だと思いますね。
誰も味方してくれなくても、
ダメなものは
「ダメ」
と言わなきゃいけないですから。
林:エベレストに登ったとき、テレビ局の人も取材で同行していて、「あの人、いつもテレビ局の人のテントに入ってる」とか、「いつもあの人の横にいる」とか、嫉妬まじりで言ってくる人もいたそうですね。
田部井:1
5人の女性の隊に、
新聞社とテレビ局の人が8人ぐらいついてきたんですけど、
女同士だとああいうことはないのに、
そこに日本語がわかる男が入るだけで、
「報道班のテントの中でコーヒーを飲んでた」
とか言うんですね。
林:私なんか言いだしそうだな。下界でわりとそういうこと言ってるから(笑)。
田部井:
私なんか
「いいじゃん」
と思うわけ。
ところが、
ほかの人たちから
「副隊長のあんたがそういうことだからダメなんだよ」
って怒られるんです。
報道関係の人って、
われわれとは別の世界で、
華やかであこがれがあったのかもしれないですね。
またいいものを持ってきてるんですよ。
食べ物にしてもそうだし、
コーヒーのいい香りが漂ってくるんです。
林:それでついふらふらと……。
田部井:
という気持ちもよくわかるんです。
男がいるだけでこういう煩雑さがあるんだなと思いましたね。
本日も、最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、「ごきげんよう!」ecar
今日は、【エベレストの思い出】をお届けします。
女性として世界で初めてエベレストに登り、
何度目かのがん闘病を乗り越えて現在も世界各国の最高峰の山に登り続ける登山家の田部井淳子さん。
作家・林真理子氏との対談でエベレストの思い出をこう話す。
林:1975年に女性で初めてエベレストに登られたときは女性だけで15人の隊でしたっけ。でも、登頂できる人は誰と誰って決められているんでしょう?
田部井:
最初からは決まってないんです。
荷物が最終キャンプに上がって、
最後にアタックメンバーを決めるときに、
隊長が指名するんですね。
林:そこまで一緒に苦労してきた人たちが、エベレストを前にして嫉妬心もなく、「田部井さん、登ってきてね」って送り出すわけでしょう。これって友情と信頼関係がないとできないことですよね。
田部井:
みんな登りたいと思って行くわけだし、
平等にお金も出し合っているわけですけど、
あのときは6千メートルを越えてから高山病にかかった隊員が多く、
首を回すだけで頭が痛いとか、
まばたきするだけで頭が痛いとかいう状態なんですね。
ですから、
登りたいという気持ちよりも、
体が動けなくなって、
「田部井さん、頼むから行ってきてよ」
と言われて送り出されたんです。
林:そうだったんですか。でも、田部井さんがお書きになった『それでもわたしは山に登る』という本を読むと、「私が行きたい」なんて言う人もいたみたいですね。
田部井:
その前にアンナプルナという山に行ったときは、
「なんで私がアタックメンバーに選ばれないの?」
なんていう場面もありました。
林:最後に登頂する人になりたくて画策する人もいれば、はっきりと主張する人もいて、「私も平等にお金を出してきたのに」なんて文句を言う人も……。
田部井:
そうそう。
15人いれば15人みんな拍手ということは絶対にない。
それはよくわかりましたね。
林:それでも隊長としてみんなを説得して黙らせなきゃいけない場面もあるわけですね。
田部井:
命にかかわることは、
いくら責められても、
ケンカになっても、
やめると判断したときはやめなければいけない。
そういうとき隊長って孤独だと思いますね。
誰も味方してくれなくても、
ダメなものは
「ダメ」
と言わなきゃいけないですから。
林:エベレストに登ったとき、テレビ局の人も取材で同行していて、「あの人、いつもテレビ局の人のテントに入ってる」とか、「いつもあの人の横にいる」とか、嫉妬まじりで言ってくる人もいたそうですね。
田部井:1
5人の女性の隊に、
新聞社とテレビ局の人が8人ぐらいついてきたんですけど、
女同士だとああいうことはないのに、
そこに日本語がわかる男が入るだけで、
「報道班のテントの中でコーヒーを飲んでた」
とか言うんですね。
林:私なんか言いだしそうだな。下界でわりとそういうこと言ってるから(笑)。
田部井:
私なんか
「いいじゃん」
と思うわけ。
ところが、
ほかの人たちから
「副隊長のあんたがそういうことだからダメなんだよ」
って怒られるんです。
報道関係の人って、
われわれとは別の世界で、
華やかであこがれがあったのかもしれないですね。
またいいものを持ってきてるんですよ。
食べ物にしてもそうだし、
コーヒーのいい香りが漂ってくるんです。
林:それでついふらふらと……。
田部井:
という気持ちもよくわかるんです。
男がいるだけでこういう煩雑さがあるんだなと思いましたね。
本日も、最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、「ごきげんよう!」ecar
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