2014年09月03日
万葉集でも詠まれた景勝地なのに…
今日は
【万葉集でも詠まれた景勝地なのに…】
をお届けします。
奈良県吉野町の歴史的景勝地として知られる
「宮滝」
で深刻な問題が起きている。
インターネット上で
「飛び込みスポット」
と有名になってしまい、
県外から
「度胸試し」
に訪れる若者たちが殺到しているのだ。
過去には、
飲酒後に飛び込んだり、
高さ約20メートルの橋からダイブしたりして死亡したという報告もある。
県などは3年前から周辺にフェンスやロープを張り、
夏場には巡視員を配置するなどして対策に乗り出しているが、
無謀な挑戦者は後を絶たない。
“いたちごっこ”状態に、
地元関係者らは頭を悩ませている。(橋本昌宗)
宮滝は、
吉野川の両岸に高さ1〜7メートルの巨岩、
奇岩がせり出した独特の景観で知られる。
水の色は美しいエメラルドグリーンで、飛鳥時代には
「吉野離宮」
があったとされ、
「万葉集」や
「懐風藻」
などでも多く詠まれている。
ところが、
現代では
「飛び込みスポット」
としてすっかり有名になってしまった。
若者たちの間では“度胸試し”にと互いにあおり合い、
より高い位置からの飛び込みを競う無謀な挑戦が後を絶たない。
奈良県警などによると、
平成13〜23年の間に宮滝で飛び込みなどで死亡したのは11人。
河原で仲間とバーベキューを楽しんで飲酒もした後に飛び込んだり、
川から高さ約20メートルの橋から飛び込んで死亡したというケースもあった。
宮滝地区を管轄する吉野消防署の村中健司副署長は、こう警告する。
「川の上では水面からほぼ垂直に岩が出ているため、
川の中もそうなっていると思いがちだが、
場所によっては口を上に向けたつぼのようになっていて水中に捕まることができる岩がないところがある」
流れが複雑で、救助隊員も「命がけ」
村中副署長によると、
吉野川は一見すれば穏やかなように見えるが、
実は流れは非常に速い。
「水は上流から下流に流れるだけでなく、
岩にぶつかることで流れが複雑になっている。
渦を巻いて最深約9メートルの川底へ向かう流れもある」
と指摘する。
川に飛び込んで流れに巻き込まれた際、
必死に岩に捕まろうとしたができずに川底まで引き込まれ、
おぼれてしまう−というケースもあるという。
村中副署長は、
「真夏でも、
川の深いところは驚くほど水が冷たい。
まして飲酒をしていれば、
一気に体が動かなくなってしまう。
飲酒後に飛び込むのは自殺行為です。
絶対にやめてほしい」
と呼びかける。
こうした複雑な川の流れに加えて、
地区特有の切り立った岩が、
救助をする側にとっても難しくしている。
現場でははしごや階段などの
「構造物」
を作ることができないため、
救助隊員は水難救助技術だけでなく、
人を抱えて岩をよじ登る山岳救助技術も必要とされている。
村中副署長は、
「救助する隊員たちも命がけです」
と明かした。
万全の対策で死者はなくなったが…
宮滝で死亡事故が相次いだことを受けて、
県などは平成23年から対策に乗り出した。
高さ20メートルの橋には、
フェンスをよじ登ることができないように、
頂上部に
「忍者返し」
を設置。
さらに、
河原から
「飛び込みスポット」
へつながる道には新たにフェンスも設けた。
岩場にもロープやテープを張り、
「徹底的な対策を行った」
(県担当者)という。
しかし、
それでも8月に男性1人が死亡する事故が発生してしまった。
新たな対策に迫られた県などは、
「飛び込みスポット」
への道沿いにセンサーを設置した。
人を感知すれば、
「フェンスから先は立ち入り禁止です」
「岩肌がもろく、切り傷などを作る方が多くなっております」
などと自動的に呼びかける装置も導入した。
さらには、
平日は3人、
土日祝日や8月のお盆の時期には常時5人の巡視員も配置。
河原でバーベキューなどを楽しむ観光客らに積極的に注意喚起を呼びかけるようにした。
こうした対策が奏功して24年以降は宮滝地区での死者はなくなったが、
それでも飛び込みを行う無謀な若者は後を絶たない。
川に入ることや、
高所からの飛び込みを禁止する法律などはなく、
県担当者も
「『捕まえてみろや』とか、
『法律違反ちゃうぞ』
とすごんでみせ、
注意を無視して飛び込む人もまだまだ多い。
結果的に飛び込みはなくなっていない」
とため息をつく。
貸切バスの団体も…対策はもう限界
もともと、
宮滝地区は
「知る人ぞ知る」
場所で、
観光客が大挙して訪れるような観光地ではなかった。
「飛び込みスポット」
として全国的な注目を集めるようになって以降は、
県外から若者たちが多く訪れるようになったのは皮肉としかいいようがない。
多くはインターネットでの情報や口コミで知ったとみられ、
インターネット上では
「飛び込みの名所」
「飛び込みのメッカ」
などの言葉が並ぶ。
県によると、
7月〜9月中旬の同地区の観光客は24年は8400人だったが、
25年には1万2600人に増加。今年は7月末時点で3600人と、
前年同期(2800人)を上回っている。
多い日には、
1日1千人近くが狭い河原に押し寄せることもあり、
貸し切りバスで20人ぐらいの団体が乗り付けていたこともあったという。
県担当者は
「これ以上フェンスなどを設置するのは、
景観上の問題があるし、
川が増水したときには別の危険も生みかねない」と、
ハード面での対策の限界を指摘する。
「観光客の中でも飛び込みをするのは一部だが、
さまざまな手段を使ってひたすら注意を呼びかけ続けるしかない」
と対応に苦慮している。
地元の若者は、
「川の怖さを熟知しているから、
絶対に飛び込んだりはしない」
と話すが、
本当の川の怖さを知らない県外の若者たちは
“無謀な挑戦”を繰り返す。
地元にとっては当分、
頭の痛い夏が続きそうだ。
本日も、
最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、
「ごきげんよう!」
ecar
【万葉集でも詠まれた景勝地なのに…】
をお届けします。
奈良県吉野町の歴史的景勝地として知られる
「宮滝」
で深刻な問題が起きている。
インターネット上で
「飛び込みスポット」
と有名になってしまい、
県外から
「度胸試し」
に訪れる若者たちが殺到しているのだ。
過去には、
飲酒後に飛び込んだり、
高さ約20メートルの橋からダイブしたりして死亡したという報告もある。
県などは3年前から周辺にフェンスやロープを張り、
夏場には巡視員を配置するなどして対策に乗り出しているが、
無謀な挑戦者は後を絶たない。
“いたちごっこ”状態に、
地元関係者らは頭を悩ませている。(橋本昌宗)
宮滝は、
吉野川の両岸に高さ1〜7メートルの巨岩、
奇岩がせり出した独特の景観で知られる。
水の色は美しいエメラルドグリーンで、飛鳥時代には
「吉野離宮」
があったとされ、
「万葉集」や
「懐風藻」
などでも多く詠まれている。
ところが、
現代では
「飛び込みスポット」
としてすっかり有名になってしまった。
若者たちの間では“度胸試し”にと互いにあおり合い、
より高い位置からの飛び込みを競う無謀な挑戦が後を絶たない。
奈良県警などによると、
平成13〜23年の間に宮滝で飛び込みなどで死亡したのは11人。
河原で仲間とバーベキューを楽しんで飲酒もした後に飛び込んだり、
川から高さ約20メートルの橋から飛び込んで死亡したというケースもあった。
宮滝地区を管轄する吉野消防署の村中健司副署長は、こう警告する。
「川の上では水面からほぼ垂直に岩が出ているため、
川の中もそうなっていると思いがちだが、
場所によっては口を上に向けたつぼのようになっていて水中に捕まることができる岩がないところがある」
流れが複雑で、救助隊員も「命がけ」
村中副署長によると、
吉野川は一見すれば穏やかなように見えるが、
実は流れは非常に速い。
「水は上流から下流に流れるだけでなく、
岩にぶつかることで流れが複雑になっている。
渦を巻いて最深約9メートルの川底へ向かう流れもある」
と指摘する。
川に飛び込んで流れに巻き込まれた際、
必死に岩に捕まろうとしたができずに川底まで引き込まれ、
おぼれてしまう−というケースもあるという。
村中副署長は、
「真夏でも、
川の深いところは驚くほど水が冷たい。
まして飲酒をしていれば、
一気に体が動かなくなってしまう。
飲酒後に飛び込むのは自殺行為です。
絶対にやめてほしい」
と呼びかける。
こうした複雑な川の流れに加えて、
地区特有の切り立った岩が、
救助をする側にとっても難しくしている。
現場でははしごや階段などの
「構造物」
を作ることができないため、
救助隊員は水難救助技術だけでなく、
人を抱えて岩をよじ登る山岳救助技術も必要とされている。
村中副署長は、
「救助する隊員たちも命がけです」
と明かした。
万全の対策で死者はなくなったが…
宮滝で死亡事故が相次いだことを受けて、
県などは平成23年から対策に乗り出した。
高さ20メートルの橋には、
フェンスをよじ登ることができないように、
頂上部に
「忍者返し」
を設置。
さらに、
河原から
「飛び込みスポット」
へつながる道には新たにフェンスも設けた。
岩場にもロープやテープを張り、
「徹底的な対策を行った」
(県担当者)という。
しかし、
それでも8月に男性1人が死亡する事故が発生してしまった。
新たな対策に迫られた県などは、
「飛び込みスポット」
への道沿いにセンサーを設置した。
人を感知すれば、
「フェンスから先は立ち入り禁止です」
「岩肌がもろく、切り傷などを作る方が多くなっております」
などと自動的に呼びかける装置も導入した。
さらには、
平日は3人、
土日祝日や8月のお盆の時期には常時5人の巡視員も配置。
河原でバーベキューなどを楽しむ観光客らに積極的に注意喚起を呼びかけるようにした。
こうした対策が奏功して24年以降は宮滝地区での死者はなくなったが、
それでも飛び込みを行う無謀な若者は後を絶たない。
川に入ることや、
高所からの飛び込みを禁止する法律などはなく、
県担当者も
「『捕まえてみろや』とか、
『法律違反ちゃうぞ』
とすごんでみせ、
注意を無視して飛び込む人もまだまだ多い。
結果的に飛び込みはなくなっていない」
とため息をつく。
貸切バスの団体も…対策はもう限界
もともと、
宮滝地区は
「知る人ぞ知る」
場所で、
観光客が大挙して訪れるような観光地ではなかった。
「飛び込みスポット」
として全国的な注目を集めるようになって以降は、
県外から若者たちが多く訪れるようになったのは皮肉としかいいようがない。
多くはインターネットでの情報や口コミで知ったとみられ、
インターネット上では
「飛び込みの名所」
「飛び込みのメッカ」
などの言葉が並ぶ。
県によると、
7月〜9月中旬の同地区の観光客は24年は8400人だったが、
25年には1万2600人に増加。今年は7月末時点で3600人と、
前年同期(2800人)を上回っている。
多い日には、
1日1千人近くが狭い河原に押し寄せることもあり、
貸し切りバスで20人ぐらいの団体が乗り付けていたこともあったという。
県担当者は
「これ以上フェンスなどを設置するのは、
景観上の問題があるし、
川が増水したときには別の危険も生みかねない」と、
ハード面での対策の限界を指摘する。
「観光客の中でも飛び込みをするのは一部だが、
さまざまな手段を使ってひたすら注意を呼びかけ続けるしかない」
と対応に苦慮している。
地元の若者は、
「川の怖さを熟知しているから、
絶対に飛び込んだりはしない」
と話すが、
本当の川の怖さを知らない県外の若者たちは
“無謀な挑戦”を繰り返す。
地元にとっては当分、
頭の痛い夏が続きそうだ。
本日も、
最後までお読みいただきまして感謝いたします。
ありがとうございました。
それでは、
「ごきげんよう!」
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