2015年06月30日
〜天才と呼ばれた男に待ち受ける終焉の鐘〜 脱出の糸口は!?
不完全燃焼の1年目を終えた柿谷曜一朗。確かな評価を得ながら起用されなかった理由とは?
指揮官も柿谷の能力を高く評価するが、起用されるのは攻守のタスクをこなせる人材。
柿谷曜一朗が所属するバーゼルは、7日に行なわれたスイスカップの決勝でFCシオンに0-3で敗れ、3年連続の準優勝。今年も二冠達成は果たせなかった。しかしリーグでは6連覇を成し遂げ、相変わらずスイス国内では絶対的な存在として君臨している。
柿谷はこの試合でもベンチ外だった。シーズン前に華々しく迎えられ、ファンからの期待も大きかったものの、最後までポジション争いを勝ち抜くことができなかった。
入団会見ではパウロ・ソウザ監督が「いいタイミングでペナルティエリアに飛び込めてゴールを取れる選手で、攻撃的な3つのポジションでプレーできる。ゴールにつながるプレーをしてくれたら嬉しい」と語っており、今でも「とてもフレンドリーで、朗らかな人間だ。サッカー選手としては必要なすべてを持っている。技術レベルが高く、スピードもある」とその素質は高く認められている。
しかし、それでも出番はなかなか与えられない。それはなぜか。29節・ルツェルン戦前の記者会見で登場した柿谷は「後半戦、チームにも上手く入っていけて、プレーの仕方にも慣れてきたという感覚はある」と手応えを口にしながらも、プレー機会が少ないことに関しては「言葉で説明するのは難しい。毎日準備して待っている。でも起用されている選手はみんな、しっかりとした結果を残している。たぶん、そこに要因があるのかも」と自身の置かれた境遇をそう説明していた。では、その“結果”とはなんだろうか。
ゴールやアシストという数字は目に見えた分かりやすい結果だ。しかしそれだけではない。プロセスのないところに結果はないからだ。数字だけで見るならば、頻繁に起用されている選手すべてがゴールやアシストといった結果を残しているわけではない。彼らはチームの結果に必要な攻守両面でのプロセスを監督の要求通りに表現することができるからこそ起用されるのだ。
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不完全燃焼の1年目を終えた柿谷曜一朗。確かな評価を得ながら起用されなかった理由とは?
スイスでの1年目は不完全燃焼に終わった。来季へ向け、柿谷はいかなる選択をするのだろうか? (C) Getty Images
起用されない現状に、来季に向けた選択は?
もちろん柿谷にしかできないプレーもある。ボールを扱う技術は誰にも負けないし、裏に抜け出すスピードとタイミングは他の選手が簡単に真似できるものではない。ゴール前でのアイデアも豊富だ。しかし、その武器をどうチームで活かせるかが問題だった。
バーゼルは国内で圧倒的な存在感を放つ王者。対戦相手はどこもまずは守備を固めてくる。スペースがないなかでの戦いを余儀なくされる。そのため辛抱強くポゼッションをしながら、タイミングのいいコンビネーションプレーで守備を崩すか、相手を凌駕する個人技で突破口を開くかが求められる。
前線で不用意にボールを失うことは、相手にカウンターチャンスを与えることになってしまう。チームのゲームプランを完全に理解し、勝負どころを見誤らないことが重要になる。
冬のプレシーズンでP・ソウザは柿谷に最適なポジションを見つけようと、2トップへの変更プランも考えていた。スペースがあり、前を向いた状態でボールを持つことができれば、柿谷は輝く。サイドではボールロストが致命的なミスになることもあるが、FWの位置なら取り返しもつく。しかし結局、このプランも幻に終わってしまった。
ビッククラブ初挑戦となるP・ソウザには、不確定要素の高い戦い方を選べなかったという事情もある。「私は結果で測られている。そのための決断をしなければならない」と話していたことがあった。そしてバーゼル攻撃陣には豊富なタレントが揃っている。CFのポジションには、キャプテンのシュトレーラーと急成長を遂げている17歳のエンボロ、サイドには昨季リーグ得点王のガシィと、鋭いドリブルと卓越したフィニッシュワークが持ち味のゴンザレスがいる。
彼らはそれぞれが自分の得意なプレーだけではなく、チームが求めるハードワークで相手を追い込むプレーも高いレベルでこなす。P・ソウザは彼らを選択し、そして結果を残した。主力の欠場時も、自分たちの戦い方を壊さない攻守両面で働ける選手が重宝された。
多くの人に絶賛されるだけの素質を持ちながら、出場機会を得られないジレンマ。バスラーツァイトゥング紙では「柿谷が現在置かれている状況に将来性を見出せなくなり、この夏にクラブを去りたいと言い出しても大きな驚きはない」と見解を示していた。
スポーツディレクターのゲオルグ・ハイツは「柿谷サイドからなんらかのアプローチは受けていない。しかし彼の今の状況が幸せなわけではない」とコメント。シーズンが終了した今、今後に向けての分析が行われるようだ。
指揮官も柿谷の能力を高く評価するが、起用されるのは攻守のタスクをこなせる人材。
柿谷曜一朗が所属するバーゼルは、7日に行なわれたスイスカップの決勝でFCシオンに0-3で敗れ、3年連続の準優勝。今年も二冠達成は果たせなかった。しかしリーグでは6連覇を成し遂げ、相変わらずスイス国内では絶対的な存在として君臨している。
柿谷はこの試合でもベンチ外だった。シーズン前に華々しく迎えられ、ファンからの期待も大きかったものの、最後までポジション争いを勝ち抜くことができなかった。
入団会見ではパウロ・ソウザ監督が「いいタイミングでペナルティエリアに飛び込めてゴールを取れる選手で、攻撃的な3つのポジションでプレーできる。ゴールにつながるプレーをしてくれたら嬉しい」と語っており、今でも「とてもフレンドリーで、朗らかな人間だ。サッカー選手としては必要なすべてを持っている。技術レベルが高く、スピードもある」とその素質は高く認められている。
しかし、それでも出番はなかなか与えられない。それはなぜか。29節・ルツェルン戦前の記者会見で登場した柿谷は「後半戦、チームにも上手く入っていけて、プレーの仕方にも慣れてきたという感覚はある」と手応えを口にしながらも、プレー機会が少ないことに関しては「言葉で説明するのは難しい。毎日準備して待っている。でも起用されている選手はみんな、しっかりとした結果を残している。たぶん、そこに要因があるのかも」と自身の置かれた境遇をそう説明していた。では、その“結果”とはなんだろうか。
ゴールやアシストという数字は目に見えた分かりやすい結果だ。しかしそれだけではない。プロセスのないところに結果はないからだ。数字だけで見るならば、頻繁に起用されている選手すべてがゴールやアシストといった結果を残しているわけではない。彼らはチームの結果に必要な攻守両面でのプロセスを監督の要求通りに表現することができるからこそ起用されるのだ。
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不完全燃焼の1年目を終えた柿谷曜一朗。確かな評価を得ながら起用されなかった理由とは?
スイスでの1年目は不完全燃焼に終わった。来季へ向け、柿谷はいかなる選択をするのだろうか? (C) Getty Images
起用されない現状に、来季に向けた選択は?
もちろん柿谷にしかできないプレーもある。ボールを扱う技術は誰にも負けないし、裏に抜け出すスピードとタイミングは他の選手が簡単に真似できるものではない。ゴール前でのアイデアも豊富だ。しかし、その武器をどうチームで活かせるかが問題だった。
バーゼルは国内で圧倒的な存在感を放つ王者。対戦相手はどこもまずは守備を固めてくる。スペースがないなかでの戦いを余儀なくされる。そのため辛抱強くポゼッションをしながら、タイミングのいいコンビネーションプレーで守備を崩すか、相手を凌駕する個人技で突破口を開くかが求められる。
前線で不用意にボールを失うことは、相手にカウンターチャンスを与えることになってしまう。チームのゲームプランを完全に理解し、勝負どころを見誤らないことが重要になる。
冬のプレシーズンでP・ソウザは柿谷に最適なポジションを見つけようと、2トップへの変更プランも考えていた。スペースがあり、前を向いた状態でボールを持つことができれば、柿谷は輝く。サイドではボールロストが致命的なミスになることもあるが、FWの位置なら取り返しもつく。しかし結局、このプランも幻に終わってしまった。
ビッククラブ初挑戦となるP・ソウザには、不確定要素の高い戦い方を選べなかったという事情もある。「私は結果で測られている。そのための決断をしなければならない」と話していたことがあった。そしてバーゼル攻撃陣には豊富なタレントが揃っている。CFのポジションには、キャプテンのシュトレーラーと急成長を遂げている17歳のエンボロ、サイドには昨季リーグ得点王のガシィと、鋭いドリブルと卓越したフィニッシュワークが持ち味のゴンザレスがいる。
彼らはそれぞれが自分の得意なプレーだけではなく、チームが求めるハードワークで相手を追い込むプレーも高いレベルでこなす。P・ソウザは彼らを選択し、そして結果を残した。主力の欠場時も、自分たちの戦い方を壊さない攻守両面で働ける選手が重宝された。
多くの人に絶賛されるだけの素質を持ちながら、出場機会を得られないジレンマ。バスラーツァイトゥング紙では「柿谷が現在置かれている状況に将来性を見出せなくなり、この夏にクラブを去りたいと言い出しても大きな驚きはない」と見解を示していた。
スポーツディレクターのゲオルグ・ハイツは「柿谷サイドからなんらかのアプローチは受けていない。しかし彼の今の状況が幸せなわけではない」とコメント。シーズンが終了した今、今後に向けての分析が行われるようだ。
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