2020年06月25日
韓国、朝鮮戦争顛末記〜〜
今日のニュース、詳しくは見てないが北朝鮮の風船ゴミ爆弾は
来なかったか、対南拡声器も撤去、延坪島の向かい側の砲門はまだ
開いたままか・・・
朝鮮戦争70年】金日成勝算「2週間で全土を制圧」
2020.6.25 09:30国際朝鮮半島 激動 朝鮮半島
北朝鮮・開城(ケソン)の南北共同連絡事務所が爆破されるなど、
2018年以降の対話路線が暗礁に乗り上げ、にわかに緊張が高まる
韓国と北朝鮮。両国の分断体制を決定づけた朝鮮戦争は25日、
開戦から70年を迎えた。
民族統一を目指す朝鮮半島の動きはどのようにして大国を巻き込み、
膨大な被害を生む泥沼の戦争と化したのか。そして、
現在の朝鮮半島政治にどんな影響を与えているのだろか。
(外信部 時吉達也、ソウル 桜井紀雄)
行き詰まる米ソ主導の統治
■開戦までの経過
第二次世界大戦終戦直前の1945年8月。
朝鮮半島を米ソで分割し、日本軍の武装解除を分担するための
「北緯38度線」での線引きは、米陸軍省内のわずか30分の議論で
定められたという。
半島をちょうど二分し、首都ソウルを南側に組み入れられるという
単純な理由だった。
分割はあくまで一時的なものであり、米英ソは同12月、5年以内の
信託統治を経て朝鮮独立を認めるモスクワ協定に合意した。しかし、
協定に沿って開催された米ソの協議は、自国に友好的な臨時政府の
樹立を狙う双方の意見が衝突し、間もなく無期休会となった。
米ソ主導の統治が行き詰まるなか、各占領地域で影響力拡大を図る
両国の明暗が分かれる。
安全保障の一環として朝鮮を重視するソ連が積極的な経済支援を進める
一方、政策が定まらないまま南朝鮮入りした米国は、議会が
復興資金支出に難色を示し、朝鮮人の独立運動にも苦慮した。
負担を軽減すべく、米国は設立間もない国際連合に朝鮮問題を付託。
47年11月、国連監視の下、南北両地域で選挙を実施すると決まった。だが、北朝鮮への国連代表の立ち入りをソ連が拒み、結局、
選挙は南朝鮮のみで実施された。
48年8月、李承晩(イ・スンマン)を初代大統領とする大韓民国が、
国連に従った半島唯一の合法政府として独立を宣言。
北朝鮮は対抗して翌月、朝鮮民主主義人民共和国樹立を宣言し、
互いに“分断国家”の一歩を踏み出した。
どちらも民族統一を模索する中、北朝鮮を率いる
金日成(キム・イルソン)は49年以降、共産主義陣営を主導する
ソ連に、韓国侵攻を繰り返し打診する。
「2週間、長くとも2カ月以内に全土を制圧できる」。
鉱物資源が豊富で、日本統治時代に発電所が建設された北朝鮮は
国力・軍事力で韓国を圧倒していた。
しかし、ソ連の指導者、スターリンは認めなかった。
49年8月に2番目の核保有国となり米国との緊張が高まる中、
軍事行動は米ソ全面戦争につながりかねないとの懸念があった。
国共内戦に勝利したばかりの中国・毛沢東も同様に、台湾攻略など
内政の課題を抱え、支援に消極的だった。
50年に入り、情勢が動き出す。米国務長官アチソンは、西太平洋の
防衛圏からの韓国除外を表明。
米国不介入の観測が高まる中、スターリンはモスクワを訪問した
金日成に対し、ソ連でなく中国に支援を要請するよう念押しした上で
作戦に“ゴーサイン”を出した。
ソウル陥落、国連軍反撃へ
■北の侵攻から始まった
6月25日午前4時40分。38度線に集結した北朝鮮軍は、一斉に
攻撃を開始した。
韓国側の侵攻に対する「反撃」だとする金日成の声明に従って軍は進撃、28日には李承晩が脱出した後のソウルを陥落させた。
「韓国軍は反撃の能力を全く持たず、さらなる突破の重大な危険がある」。
東京から駆け付けた総司令官、マッカーサーの現地報告を受け、
米大統領トルーマンは戦前の方針を撤回、参戦を決めた。
国連安全保障理事会もマッカーサーを最高司令官とする国連軍の派兵を
追認し、その主体は米軍となった。
国連軍の反撃開始後も北朝鮮の勢いは止まらず韓国領の9割以上を奪う
なか、局面を変えたのは9月の「仁川(インチョン)上陸作戦」だった。
国連軍は、干潟が広く船による上陸に不向きな地形を利用すれば
「奇襲効果が高い」と判断。
南部に兵を集中させていた北朝鮮軍の背後を突いた。10日ほどで
ソウルを奪還すると、10月以降は38度線を越え北上。中朝国境に
迫った。
苦境の北朝鮮に手を差し伸べるのか。米ソの衝突を避けたい
スターリンは「戦争が不可避なら、今起こったほうがいい。数年後には
日本軍国主義が米国の同盟国として復活する」と中国に参戦を促した。
共産党幹部らの反対を押し切り毛沢東が派遣した義勇軍は、人海戦術で
国連軍を翻弄した。
ソウルを取り返す場面もあったが、51年に入ると国連軍の反撃を受け、戦線は38度線付近で膠着(こうちゃく)状態に陥った。
51年7月に始まった休戦会談では、捕虜の扱いをめぐり交渉が
難航する。
翌年に大統領選を控え安易な妥協が許されない米国と、米軍を半島に
とどめておくことで東欧での覇権争いを優位に進めたいソ連の思惑も
交錯し、協議は長期化。各地で消耗戦が続き、被害は拡大の
一途をたどった。
53年3月のスターリンの死去を経て、休戦交渉はようやく加速。
最後まで合意を拒んだ李承晩には、米国が復興援助などを表明することで休戦に反対しないと約束させた。
7月27日、板門店(パンムンジョム)で国連軍、北朝鮮軍、中国軍の
3者が休戦協定に調印。軍・民間計500万人以上が死傷したと
推定される戦いが、幕を閉じた。
南北首脳に「戦争認識の差」
■対話路線限界、高まる緊張
「二度と戦争がない平和の朝鮮半島をつくることは、国家の責務だ」。
今月初め、韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)は、朝鮮戦争の
戦死者らを追悼する「顕忠日」の演説でこう力を込めた。
文の両親は、朝鮮戦争の渦中に北朝鮮東部、興南(フンナム)から
米軍の貨物船で命からがら逃れてきた。
分断され、故郷に帰れないことから、韓国では「失郷民」と呼ぶ。
文にとって失郷民を両親に持つことが政界に身を投じ、対北融和を信念とする原点となった。
2018年9月に訪朝し、朝鮮労働党委員長、
金正恩(キム・ジョンウン)と軍事的緊張緩和で合意すると、
感極まった様子で「あらゆる戦争の脅威をなくすことで合意した」と
宣言した。だが、
北朝鮮は現在、開城の南北共同連絡事務所を爆破するなど、文の対話の
成果である南北合意をほごにする動きに出ている。
30代の金正恩にとって朝鮮戦争は祖父、金日成の代の歴史でしかない。制裁解除や経済協力など“今”の期待に応じようとしない文に怒りを
ぶつけているのだ。
文がこだわる朝鮮戦争の終戦宣言より、自国が「核保有国」と
認定された上での大国、米国との核軍縮交渉の実現に傾倒してきた。
朝鮮戦争をめぐる認識の格差が南北決裂の背後に横たわっている。ただ、北朝鮮では、朝鮮戦争は「祖国解放戦争」だと教育され、南側地域の
未完の解放を意味する「赤化統一」が国是であることに変わりはない。
韓国大統領府など韓国側施設を模した建物を使った軍事訓練を
重ねていることはそれを裏付けている。
だが、米韓軍との戦力差は開く一方だ。現実を認めているからこそ、
金日成の時代から戦力差を埋め、米軍の攻撃を抑止できる核兵器開発に
着手してきた。
韓国全土への侵攻は無理だとの現実と国是の間にジレンマを抱えている。
同盟国の「公平な費用負担」を主張する米大統領、トランプが韓国に
在韓米軍の駐留経費負担の大幅増を求めて折り合わず、在韓米軍の
縮小懸念もくすぶり続けている。
朝鮮半島の安保情勢は混迷しながら、分断はますます長期化していく。
来なかったか、対南拡声器も撤去、延坪島の向かい側の砲門はまだ
開いたままか・・・
朝鮮戦争70年】金日成勝算「2週間で全土を制圧」
2020.6.25 09:30国際朝鮮半島 激動 朝鮮半島
北朝鮮・開城(ケソン)の南北共同連絡事務所が爆破されるなど、
2018年以降の対話路線が暗礁に乗り上げ、にわかに緊張が高まる
韓国と北朝鮮。両国の分断体制を決定づけた朝鮮戦争は25日、
開戦から70年を迎えた。
民族統一を目指す朝鮮半島の動きはどのようにして大国を巻き込み、
膨大な被害を生む泥沼の戦争と化したのか。そして、
現在の朝鮮半島政治にどんな影響を与えているのだろか。
(外信部 時吉達也、ソウル 桜井紀雄)
行き詰まる米ソ主導の統治
■開戦までの経過
第二次世界大戦終戦直前の1945年8月。
朝鮮半島を米ソで分割し、日本軍の武装解除を分担するための
「北緯38度線」での線引きは、米陸軍省内のわずか30分の議論で
定められたという。
半島をちょうど二分し、首都ソウルを南側に組み入れられるという
単純な理由だった。
分割はあくまで一時的なものであり、米英ソは同12月、5年以内の
信託統治を経て朝鮮独立を認めるモスクワ協定に合意した。しかし、
協定に沿って開催された米ソの協議は、自国に友好的な臨時政府の
樹立を狙う双方の意見が衝突し、間もなく無期休会となった。
米ソ主導の統治が行き詰まるなか、各占領地域で影響力拡大を図る
両国の明暗が分かれる。
安全保障の一環として朝鮮を重視するソ連が積極的な経済支援を進める
一方、政策が定まらないまま南朝鮮入りした米国は、議会が
復興資金支出に難色を示し、朝鮮人の独立運動にも苦慮した。
負担を軽減すべく、米国は設立間もない国際連合に朝鮮問題を付託。
47年11月、国連監視の下、南北両地域で選挙を実施すると決まった。だが、北朝鮮への国連代表の立ち入りをソ連が拒み、結局、
選挙は南朝鮮のみで実施された。
48年8月、李承晩(イ・スンマン)を初代大統領とする大韓民国が、
国連に従った半島唯一の合法政府として独立を宣言。
北朝鮮は対抗して翌月、朝鮮民主主義人民共和国樹立を宣言し、
互いに“分断国家”の一歩を踏み出した。
どちらも民族統一を模索する中、北朝鮮を率いる
金日成(キム・イルソン)は49年以降、共産主義陣営を主導する
ソ連に、韓国侵攻を繰り返し打診する。
「2週間、長くとも2カ月以内に全土を制圧できる」。
鉱物資源が豊富で、日本統治時代に発電所が建設された北朝鮮は
国力・軍事力で韓国を圧倒していた。
しかし、ソ連の指導者、スターリンは認めなかった。
49年8月に2番目の核保有国となり米国との緊張が高まる中、
軍事行動は米ソ全面戦争につながりかねないとの懸念があった。
国共内戦に勝利したばかりの中国・毛沢東も同様に、台湾攻略など
内政の課題を抱え、支援に消極的だった。
50年に入り、情勢が動き出す。米国務長官アチソンは、西太平洋の
防衛圏からの韓国除外を表明。
米国不介入の観測が高まる中、スターリンはモスクワを訪問した
金日成に対し、ソ連でなく中国に支援を要請するよう念押しした上で
作戦に“ゴーサイン”を出した。
ソウル陥落、国連軍反撃へ
■北の侵攻から始まった
6月25日午前4時40分。38度線に集結した北朝鮮軍は、一斉に
攻撃を開始した。
韓国側の侵攻に対する「反撃」だとする金日成の声明に従って軍は進撃、28日には李承晩が脱出した後のソウルを陥落させた。
「韓国軍は反撃の能力を全く持たず、さらなる突破の重大な危険がある」。
東京から駆け付けた総司令官、マッカーサーの現地報告を受け、
米大統領トルーマンは戦前の方針を撤回、参戦を決めた。
国連安全保障理事会もマッカーサーを最高司令官とする国連軍の派兵を
追認し、その主体は米軍となった。
国連軍の反撃開始後も北朝鮮の勢いは止まらず韓国領の9割以上を奪う
なか、局面を変えたのは9月の「仁川(インチョン)上陸作戦」だった。
国連軍は、干潟が広く船による上陸に不向きな地形を利用すれば
「奇襲効果が高い」と判断。
南部に兵を集中させていた北朝鮮軍の背後を突いた。10日ほどで
ソウルを奪還すると、10月以降は38度線を越え北上。中朝国境に
迫った。
苦境の北朝鮮に手を差し伸べるのか。米ソの衝突を避けたい
スターリンは「戦争が不可避なら、今起こったほうがいい。数年後には
日本軍国主義が米国の同盟国として復活する」と中国に参戦を促した。
共産党幹部らの反対を押し切り毛沢東が派遣した義勇軍は、人海戦術で
国連軍を翻弄した。
ソウルを取り返す場面もあったが、51年に入ると国連軍の反撃を受け、戦線は38度線付近で膠着(こうちゃく)状態に陥った。
51年7月に始まった休戦会談では、捕虜の扱いをめぐり交渉が
難航する。
翌年に大統領選を控え安易な妥協が許されない米国と、米軍を半島に
とどめておくことで東欧での覇権争いを優位に進めたいソ連の思惑も
交錯し、協議は長期化。各地で消耗戦が続き、被害は拡大の
一途をたどった。
53年3月のスターリンの死去を経て、休戦交渉はようやく加速。
最後まで合意を拒んだ李承晩には、米国が復興援助などを表明することで休戦に反対しないと約束させた。
7月27日、板門店(パンムンジョム)で国連軍、北朝鮮軍、中国軍の
3者が休戦協定に調印。軍・民間計500万人以上が死傷したと
推定される戦いが、幕を閉じた。
南北首脳に「戦争認識の差」
■対話路線限界、高まる緊張
「二度と戦争がない平和の朝鮮半島をつくることは、国家の責務だ」。
今月初め、韓国大統領の文在寅(ムン・ジェイン)は、朝鮮戦争の
戦死者らを追悼する「顕忠日」の演説でこう力を込めた。
文の両親は、朝鮮戦争の渦中に北朝鮮東部、興南(フンナム)から
米軍の貨物船で命からがら逃れてきた。
分断され、故郷に帰れないことから、韓国では「失郷民」と呼ぶ。
文にとって失郷民を両親に持つことが政界に身を投じ、対北融和を信念とする原点となった。
2018年9月に訪朝し、朝鮮労働党委員長、
金正恩(キム・ジョンウン)と軍事的緊張緩和で合意すると、
感極まった様子で「あらゆる戦争の脅威をなくすことで合意した」と
宣言した。だが、
北朝鮮は現在、開城の南北共同連絡事務所を爆破するなど、文の対話の
成果である南北合意をほごにする動きに出ている。
30代の金正恩にとって朝鮮戦争は祖父、金日成の代の歴史でしかない。制裁解除や経済協力など“今”の期待に応じようとしない文に怒りを
ぶつけているのだ。
文がこだわる朝鮮戦争の終戦宣言より、自国が「核保有国」と
認定された上での大国、米国との核軍縮交渉の実現に傾倒してきた。
朝鮮戦争をめぐる認識の格差が南北決裂の背後に横たわっている。ただ、北朝鮮では、朝鮮戦争は「祖国解放戦争」だと教育され、南側地域の
未完の解放を意味する「赤化統一」が国是であることに変わりはない。
韓国大統領府など韓国側施設を模した建物を使った軍事訓練を
重ねていることはそれを裏付けている。
だが、米韓軍との戦力差は開く一方だ。現実を認めているからこそ、
金日成の時代から戦力差を埋め、米軍の攻撃を抑止できる核兵器開発に
着手してきた。
韓国全土への侵攻は無理だとの現実と国是の間にジレンマを抱えている。
同盟国の「公平な費用負担」を主張する米大統領、トランプが韓国に
在韓米軍の駐留経費負担の大幅増を求めて折り合わず、在韓米軍の
縮小懸念もくすぶり続けている。
朝鮮半島の安保情勢は混迷しながら、分断はますます長期化していく。
タグ:韓国、北朝鮮
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