2020年05月20日
日本のコロナ対策、無為無策!?
コロナ肺炎の記事には触れたくはなかったが、ここに面白い記事があったので投稿
日本のコロナ対策が奇妙に成功とか、無為無策が功を奏したとかいろいろ
書かれているが、要はコロナウイルスは微生物だ。
日本は四方海に囲まれ、四季のはっきりした国土をもつ、インフルエンザもそうだが
ウイルス性感染症が夏に流行とかきかないし、日本は日本の大自然が守ってくれる。
今5月20日、これから雨の季節と7月には暑い夏がくる、ウイルスは乾燥に強く
湿気に弱い、それに高温が加わればなお良い。
問題はこの夏に殲滅すること、でないと秋の終わりから冬にかけて第二派が
来るかも・・・・・・・・・・
「日本のコロナ対策は奇妙に成功」と米外交誌、日本のメディアも
ようやく気づき始めて……
2020年5月19日 11時31分 デイリー新潮 尾身茂氏
記事は安倍政権に嫌味
共同通信(電子版)は5月15日、「日本のコロナ対策『奇妙な成功』 低い死亡率、
米外交誌が論評」との記事を配信した。冒頭部分を引用させていただく。
***
クルーズ船112人治療で「院内感染」ゼロ! 奇跡の「自衛隊中央病院」
《米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の
新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で
最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまく
いっているようだ」と伝えた》
次の段落で終わりという短い記事なので、記事の骨子しか触れられていない。
「もっと読みたい」という向きは多いだろう。
尾身茂氏
そこで調べてみると、ニューズウィーク日本版の公式サイトに同日付で、日本語訳の
記事が掲載されていた。
タイトルは「日本の『生ぬるい』新型コロナ対応がうまくいっている不思議」だ。
この記事から、要点をご紹介しよう。
▼日本の新型コロナウイルス対策は、何から何まで間違っているように思える。
ウイルス検査を受けた人は人口の0・185%、ソーシャル・ディスタンシングも
中途半端。国民の過半数が、政府の対応に批判的だ。
▼だが日本は、感染死亡率が世界で最も低い部類だ。直接死者数は5月14日現在で
687人。100万人あたりの死者数は、日本が5人、アメリカは258人、スペインは584人。防疫政策が評価されたドイツでさえ94人だ。これは日本がラッキーなだけなのか、
政策の成果なのか、見極めるのは難しい。
▼日本のPCR検査実施数は国際水準を大きく下回る。
5月14日までに実施された検査数は約23万件、アメリカの2・2%だ。
外国人女性が検査を行えるまで日本の病院をたらい回しにされた体験談が
外国メディアによって報じられると、国際社会は震え上がった。
▼外出制限も緩い。緊急事態宣言が発令されても、日本政府は自宅待機を強制したり、企業や店舗に閉鎖命令を発令したりすることはできない。
第2次大戦後に(アメリカが草案を作成して)制定された憲法で、国家権力が
制限されているからだ。
▼日本は自らを法治国家、そして公衆衛生の意識が高い社会と見ている。
だが国民全員が真面目に感染予防策を実行したわけでもない。
大きな懸念材料となったのはパチンコ店だ。数少ない営業店舗に入ろうとする客が
長い行列を作った。
▼しかし全体としては、相手を気遣い、人との距離を取り、握手を避け、清潔を
心掛ける日本の文化は、感染者数を抑える上で大きな役割を果たしたようだ。
▼医療従事者や感染患者に対する差別的な言動という、日本文化のよくない側面も
表面化している。そもそも日本がなぜ諸外国のような感染危機に
いたらなかったのかという大きな疑問もまだ残っている。
日本の現状を評価しているような、していないような、まさに
“奥歯に物が挟まった”ような記事――。
そんな読後感を持つ向きも少なくないだろう。だが、やはり根本は、
安倍政権に対するイヤミで貫かれていると読むべきのようだ。
感染ピークは3月27日
これまで外国メディアは、日本を批判する記事が圧倒的に多かった。
例えばBBCニュースの日本版公式サイトは4月30日、「日本の新型ウイルス検査、
少なさに疑問の声」という記事を掲載した。
執筆したのは《ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員》だ。
《日本で起きていることを理解したがっている人にとってより不可解なのは、なぜ
新型コロナウイルスの感染症COVID-19の検査がこれほど少ないのかだ。
ドイツや韓国と比べたとき、日本の検査件数は0を1つ付け忘れているようにみえる》
だが、評論家で「アゴラ研究所」所長の池田信夫氏は、5月9日に「アゴラ」に
掲載した「日本人が新型コロナに感染しにくいのはなぜか」で、この記事に
異議を唱えた。
《このウィングフィールド=ヘイズ記者はドイツや韓国の検査件数を調べたのかも
しれないが、普通の人は検査件数なんか知らない。
大事なのは何人死んだかである。彼が「先進国」として日本が見習うよう求めている
イギリスのコロナ死亡率は日本の100倍なのだ》
《ところが、この記事にはそれがまったく出てこない。日本の検査体制は
不十分かもしれないが、たくさん検査して3万人も死んでいるイギリスと、検査は
少なくても死者が550人の日本のどっちがいいのか。答は明らかだろう》
《要するに日本は、コロナで世界の超優等生なのだ。
安倍政権の感染症対策には国民の80%が不満らしいが、結果がすべてである。
だが日本政府は、それをPRできない。なぜこんなにうまく行っているのか、
自分でもわからないからだ》
ちなみにWHOが5月17日に発表したレポートによると、イギリスの感染者数は
24万3695人で、死者は3万4636人だ。
一方の日本は、感染者数が1万6285人で、死者は744人。前者は約15倍、後者に
至っては約46・5倍もの開きがある。
池田氏は、フォーリン・ポリシーの記事も読んだという。まずは感想を聞いた。
「私は3月からずっと、ロックダウンも自粛も必要ないと訴えてきました。
しかしメディアの論調も世論も、その逆だったように思います。
先々週くらいから、日本の報道機関から『どうして日本は感染者・死者数が
少ないのでしょうか』と取材の依頼が来るようになりました。やっと論調が
変わるかもしれないと期待をしています。
フォーリン・ポリシー誌の記事を見ると、海外メディアも日本の現状を正確に
直視できるようになってきたのかもしれません」
池田氏は、「死者の数を考えれば、これまで欧米のメディアが日本の新型コロナ対策を批判するというのは、完全なお門違いだったと思います」と指摘する。
「喩えて言えば、学校のクラスで1番成績の悪い生徒が、オール5の優等生に
『もっと勉強をしろ』と説教をするようなものです。一時期、
『日本も2週間後は、アメリカのニューヨークのようになる』という予測が、
まことしやかに語られていました。しかし、
あれから1か月以上が経ちましたが、日本国内で感染爆発は起きていません」
ただし池田氏は、4月7日に表明された緊急事態宣言の発令は
「誤りだが、当時の判断としては仕方がなかったと考えます」と一定の評価を示す。
「2月上旬に日本に入ってきたのは武漢など中国が感染源で、これは弱毒性の
ウイルスだったと考えられます。そのため日本で感染爆発は発生しませんでした。
一方、3月上旬にイタリアで起きた感染爆発は強毒性だったと考えられ、
ヨーロッパで猛威を振るってからアメリカにも伝染します」
日本は1月31日に武漢などからの入国を拒否し、中国と韓国からの全面禁止は
3月9日に行った。しかし、その他の国、特に欧米諸国は対応が遅れた。
「ヨーロッパからの入国拒否は3月21日、アメリカからの拒否は3月26日でした。
このタイムラグにより、強毒性の新型コロナウイルスが日本国内に持ち込まれたと
考えられます。感染者の数は増え、4月上旬に日本でも感染爆発が起きても
おかしくなかったのです。ところがなぜか、それは現実のものにはなりませんでした。厚生労働省の新型コロナウイルスクラスター対策班メンバー、
北海道大の西浦博教授も、3月27日が新規感染者のピークだったことを後に
認めています」
「無為無策」が最高の政策
4月7日の宣言発出は理解できるが、池田氏は「その後の自粛継続や、5月4日に
安倍首相が表明した宣言の延長は全く無意味でした」と厳しく批判する。
「安倍首相の新型コロナ対策を“無為無策”と批判する人がいますが、感染爆発が
起きていないのですから、何もしないほうが正しいのです。
むしろ安倍首相の致命的なミスは、まず『わが国は死者が非常に少ないので、特別の
政策を行う必要性を認めない』と全世界に向かって説明しなかったことです。さらに
緊急事態宣言を無意味に延長し、日本経済に甚大な被害を与えました。この2点は、
強く批判されるべきだと思います」
最後に残るのは、フォーリン・ポリシー誌の記事と同じように
「なぜ日本人は新型コロナウイルスに罹患しにくいのか」という疑問だが、池田氏は
「世界はBCGワクチンに注目しています」と解説する。
BCGワクチンは日本人ならおなじみだろうが、念のために説明しておこう。
厚生労働省の公式サイトから引用させていただく。
《BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。その効果について、
多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の
発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度
予防することができると報告されています》
あくまでも結核の発症を予防するものであり、新型コロナとは何も関係がない。
ところがデータを分析してみると、興味深い結果が明らかになったのだという。
「G20諸国で、人口100万人あたりの死亡率を計算してみると、最上位の
イタリア・アメリカ・カナダはBCG接種を義務化したことがない国であり、下位の
日本・韓国・中国・インドは今も全国民に接種している国だということが
分かるのです。特にインドのように医療サービスが潤沢ではなく、公衆衛生も
遅れている国でさえ大規模な感染爆発が起きていないのですから、専門家が
BCGワクチンに注目するのも頷けます」(同・池田氏)
世界各国でBCGの臨床試験が行われているが、特に力をいれているのが
オーストラリアとオランダだという。
「オーストラリアは染者数が少なく、国民の多くが新型コロナの抗体を持って
いないことが明らかになっています。つまり、水際防止に成功しているわけですが、
その分、一度感染を許してしまうと爆発するリスクを抱えています。
そのためBCGワクチンが救世主になるのではないかと期待を寄せているのです」
(同・池田氏)
皮肉なことに池田氏は、「日本人が新型コロナに感染しにくい理由を、日本人が
解明する可能性は低いかもしれません」と指摘する。
「仮にBCGのおかげで日本人は感染爆発が起きなかったことが明らかになったと
すると、緊急事態宣言も、『8割の接触削減』も、全く意味がなかったことに
なってしまいます。
特に政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議メンバーにとっては、
自分たちの防疫政策を全否定されることになりかねません」
せっかく感染を防いでいるのに、理由を解明して世界に説明できない。
もし事実だとすれば、これこそ日本人の奇妙な点、だろう。
週刊新潮WEB取材班
2020年5月19日 掲載
日本のコロナ対策が奇妙に成功とか、無為無策が功を奏したとかいろいろ
書かれているが、要はコロナウイルスは微生物だ。
日本は四方海に囲まれ、四季のはっきりした国土をもつ、インフルエンザもそうだが
ウイルス性感染症が夏に流行とかきかないし、日本は日本の大自然が守ってくれる。
今5月20日、これから雨の季節と7月には暑い夏がくる、ウイルスは乾燥に強く
湿気に弱い、それに高温が加わればなお良い。
問題はこの夏に殲滅すること、でないと秋の終わりから冬にかけて第二派が
来るかも・・・・・・・・・・
「日本のコロナ対策は奇妙に成功」と米外交誌、日本のメディアも
ようやく気づき始めて……
2020年5月19日 11時31分 デイリー新潮 尾身茂氏
記事は安倍政権に嫌味
共同通信(電子版)は5月15日、「日本のコロナ対策『奇妙な成功』 低い死亡率、
米外交誌が論評」との記事を配信した。冒頭部分を引用させていただく。
***
クルーズ船112人治療で「院内感染」ゼロ! 奇跡の「自衛隊中央病院」
《米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は14日、東京発の論評記事で、日本の
新型コロナウイルス感染対策はことごとく見当違いに見えるが、結果的には世界で
最も死亡率を低く抑えた国の一つであり「(対応は)奇妙にもうまく
いっているようだ」と伝えた》
次の段落で終わりという短い記事なので、記事の骨子しか触れられていない。
「もっと読みたい」という向きは多いだろう。
尾身茂氏
そこで調べてみると、ニューズウィーク日本版の公式サイトに同日付で、日本語訳の
記事が掲載されていた。
タイトルは「日本の『生ぬるい』新型コロナ対応がうまくいっている不思議」だ。
この記事から、要点をご紹介しよう。
▼日本の新型コロナウイルス対策は、何から何まで間違っているように思える。
ウイルス検査を受けた人は人口の0・185%、ソーシャル・ディスタンシングも
中途半端。国民の過半数が、政府の対応に批判的だ。
▼だが日本は、感染死亡率が世界で最も低い部類だ。直接死者数は5月14日現在で
687人。100万人あたりの死者数は、日本が5人、アメリカは258人、スペインは584人。防疫政策が評価されたドイツでさえ94人だ。これは日本がラッキーなだけなのか、
政策の成果なのか、見極めるのは難しい。
▼日本のPCR検査実施数は国際水準を大きく下回る。
5月14日までに実施された検査数は約23万件、アメリカの2・2%だ。
外国人女性が検査を行えるまで日本の病院をたらい回しにされた体験談が
外国メディアによって報じられると、国際社会は震え上がった。
▼外出制限も緩い。緊急事態宣言が発令されても、日本政府は自宅待機を強制したり、企業や店舗に閉鎖命令を発令したりすることはできない。
第2次大戦後に(アメリカが草案を作成して)制定された憲法で、国家権力が
制限されているからだ。
▼日本は自らを法治国家、そして公衆衛生の意識が高い社会と見ている。
だが国民全員が真面目に感染予防策を実行したわけでもない。
大きな懸念材料となったのはパチンコ店だ。数少ない営業店舗に入ろうとする客が
長い行列を作った。
▼しかし全体としては、相手を気遣い、人との距離を取り、握手を避け、清潔を
心掛ける日本の文化は、感染者数を抑える上で大きな役割を果たしたようだ。
▼医療従事者や感染患者に対する差別的な言動という、日本文化のよくない側面も
表面化している。そもそも日本がなぜ諸外国のような感染危機に
いたらなかったのかという大きな疑問もまだ残っている。
日本の現状を評価しているような、していないような、まさに
“奥歯に物が挟まった”ような記事――。
そんな読後感を持つ向きも少なくないだろう。だが、やはり根本は、
安倍政権に対するイヤミで貫かれていると読むべきのようだ。
感染ピークは3月27日
これまで外国メディアは、日本を批判する記事が圧倒的に多かった。
例えばBBCニュースの日本版公式サイトは4月30日、「日本の新型ウイルス検査、
少なさに疑問の声」という記事を掲載した。
執筆したのは《ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ東京特派員》だ。
《日本で起きていることを理解したがっている人にとってより不可解なのは、なぜ
新型コロナウイルスの感染症COVID-19の検査がこれほど少ないのかだ。
ドイツや韓国と比べたとき、日本の検査件数は0を1つ付け忘れているようにみえる》
だが、評論家で「アゴラ研究所」所長の池田信夫氏は、5月9日に「アゴラ」に
掲載した「日本人が新型コロナに感染しにくいのはなぜか」で、この記事に
異議を唱えた。
《このウィングフィールド=ヘイズ記者はドイツや韓国の検査件数を調べたのかも
しれないが、普通の人は検査件数なんか知らない。
大事なのは何人死んだかである。彼が「先進国」として日本が見習うよう求めている
イギリスのコロナ死亡率は日本の100倍なのだ》
《ところが、この記事にはそれがまったく出てこない。日本の検査体制は
不十分かもしれないが、たくさん検査して3万人も死んでいるイギリスと、検査は
少なくても死者が550人の日本のどっちがいいのか。答は明らかだろう》
《要するに日本は、コロナで世界の超優等生なのだ。
安倍政権の感染症対策には国民の80%が不満らしいが、結果がすべてである。
だが日本政府は、それをPRできない。なぜこんなにうまく行っているのか、
自分でもわからないからだ》
ちなみにWHOが5月17日に発表したレポートによると、イギリスの感染者数は
24万3695人で、死者は3万4636人だ。
一方の日本は、感染者数が1万6285人で、死者は744人。前者は約15倍、後者に
至っては約46・5倍もの開きがある。
池田氏は、フォーリン・ポリシーの記事も読んだという。まずは感想を聞いた。
「私は3月からずっと、ロックダウンも自粛も必要ないと訴えてきました。
しかしメディアの論調も世論も、その逆だったように思います。
先々週くらいから、日本の報道機関から『どうして日本は感染者・死者数が
少ないのでしょうか』と取材の依頼が来るようになりました。やっと論調が
変わるかもしれないと期待をしています。
フォーリン・ポリシー誌の記事を見ると、海外メディアも日本の現状を正確に
直視できるようになってきたのかもしれません」
池田氏は、「死者の数を考えれば、これまで欧米のメディアが日本の新型コロナ対策を批判するというのは、完全なお門違いだったと思います」と指摘する。
「喩えて言えば、学校のクラスで1番成績の悪い生徒が、オール5の優等生に
『もっと勉強をしろ』と説教をするようなものです。一時期、
『日本も2週間後は、アメリカのニューヨークのようになる』という予測が、
まことしやかに語られていました。しかし、
あれから1か月以上が経ちましたが、日本国内で感染爆発は起きていません」
ただし池田氏は、4月7日に表明された緊急事態宣言の発令は
「誤りだが、当時の判断としては仕方がなかったと考えます」と一定の評価を示す。
「2月上旬に日本に入ってきたのは武漢など中国が感染源で、これは弱毒性の
ウイルスだったと考えられます。そのため日本で感染爆発は発生しませんでした。
一方、3月上旬にイタリアで起きた感染爆発は強毒性だったと考えられ、
ヨーロッパで猛威を振るってからアメリカにも伝染します」
日本は1月31日に武漢などからの入国を拒否し、中国と韓国からの全面禁止は
3月9日に行った。しかし、その他の国、特に欧米諸国は対応が遅れた。
「ヨーロッパからの入国拒否は3月21日、アメリカからの拒否は3月26日でした。
このタイムラグにより、強毒性の新型コロナウイルスが日本国内に持ち込まれたと
考えられます。感染者の数は増え、4月上旬に日本でも感染爆発が起きても
おかしくなかったのです。ところがなぜか、それは現実のものにはなりませんでした。厚生労働省の新型コロナウイルスクラスター対策班メンバー、
北海道大の西浦博教授も、3月27日が新規感染者のピークだったことを後に
認めています」
「無為無策」が最高の政策
4月7日の宣言発出は理解できるが、池田氏は「その後の自粛継続や、5月4日に
安倍首相が表明した宣言の延長は全く無意味でした」と厳しく批判する。
「安倍首相の新型コロナ対策を“無為無策”と批判する人がいますが、感染爆発が
起きていないのですから、何もしないほうが正しいのです。
むしろ安倍首相の致命的なミスは、まず『わが国は死者が非常に少ないので、特別の
政策を行う必要性を認めない』と全世界に向かって説明しなかったことです。さらに
緊急事態宣言を無意味に延長し、日本経済に甚大な被害を与えました。この2点は、
強く批判されるべきだと思います」
最後に残るのは、フォーリン・ポリシー誌の記事と同じように
「なぜ日本人は新型コロナウイルスに罹患しにくいのか」という疑問だが、池田氏は
「世界はBCGワクチンに注目しています」と解説する。
BCGワクチンは日本人ならおなじみだろうが、念のために説明しておこう。
厚生労働省の公式サイトから引用させていただく。
《BCGは結核を予防するために接種するワクチンです。その効果について、
多くの文献を総合的に評価した結果、乳幼児期にBCGを接種することにより、結核の
発症を52〜74%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64〜78%程度
予防することができると報告されています》
あくまでも結核の発症を予防するものであり、新型コロナとは何も関係がない。
ところがデータを分析してみると、興味深い結果が明らかになったのだという。
「G20諸国で、人口100万人あたりの死亡率を計算してみると、最上位の
イタリア・アメリカ・カナダはBCG接種を義務化したことがない国であり、下位の
日本・韓国・中国・インドは今も全国民に接種している国だということが
分かるのです。特にインドのように医療サービスが潤沢ではなく、公衆衛生も
遅れている国でさえ大規模な感染爆発が起きていないのですから、専門家が
BCGワクチンに注目するのも頷けます」(同・池田氏)
世界各国でBCGの臨床試験が行われているが、特に力をいれているのが
オーストラリアとオランダだという。
「オーストラリアは染者数が少なく、国民の多くが新型コロナの抗体を持って
いないことが明らかになっています。つまり、水際防止に成功しているわけですが、
その分、一度感染を許してしまうと爆発するリスクを抱えています。
そのためBCGワクチンが救世主になるのではないかと期待を寄せているのです」
(同・池田氏)
皮肉なことに池田氏は、「日本人が新型コロナに感染しにくい理由を、日本人が
解明する可能性は低いかもしれません」と指摘する。
「仮にBCGのおかげで日本人は感染爆発が起きなかったことが明らかになったと
すると、緊急事態宣言も、『8割の接触削減』も、全く意味がなかったことに
なってしまいます。
特に政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議メンバーにとっては、
自分たちの防疫政策を全否定されることになりかねません」
せっかく感染を防いでいるのに、理由を解明して世界に説明できない。
もし事実だとすれば、これこそ日本人の奇妙な点、だろう。
週刊新潮WEB取材班
2020年5月19日 掲載
タグ:日本
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