2018年06月04日
移動手段も、金も、宿泊費も、そして尊厳もない、北朝鮮
もう、15日も経つんだ、これはおもろかった。
北の第一次官が【リビアと一緒にすんな】と力んで、次に
外務次官がベンス副大統領に向かって悪態を、女でありながら
会談場で合うか、核対核で合うか〜〜〜と
トランプ大統領が第一次官で激怒、そして外務次官で激怒が
爆発したと〜〜、
然し意外に思ったのは北の行動が素早かった。
もう北朝鮮は【三跪九叩頭】しか道はないのだ。
金正恩氏の誤算はこうして生じた…トランプ氏に封じられた
「こけおどし」と「瀬戸際戦術」
(1/4ページ)
5月26日、板門店で抱き合う
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と
韓国の文在寅大統領(韓国大統領府提供・共同)
「やるぞ、やるぞ」あるいは「やめるぞ、やめるぞ」と緊張をあおり、交渉を優位に持ち込む手口が北朝鮮が伝統的に
得意としてきた「瀬戸際戦術」だ。だが、
米朝首脳会談をめぐってトランプ米大統領が北朝鮮の
こけおどしにきっぱり「やめる」と通告したことで、その
戦術があっさり封じ込められた。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の慌てぶりは、
直後の行動にも顕著に現れた。
金正恩氏にとって誤算が生じた経緯をたどると…。
(ソウル 桜井紀雄)
「尊厳高いわが国」に無礼な!
トランプ米大統領による会談中止通告は、北朝鮮外務省の
高官が「会談の再考」をちらつかせた2つの談話が
きっかけだった。
1つ目は、北朝鮮がその日に予定していた南北閣僚級会談の
無期延期を通告した5月16日、金桂寛(ゲグァン)
第1外務次官が出した談話だ。
談話は、先に核を放棄させ、後で補償する「リビア方式」と
いう主張を「はばかることなく吐き出している」と
ボルトン米大統領補佐官を名指しで批判。
「えせ憂国の志士だ」と罵倒した。
「米国が敵視政策を終わらせることが先だ」とも要求した。
非核化は、あくまで北朝鮮が主導的に講じる措置であり、
核を手放して独裁政権が倒れたリビアと「尊厳高いわが国」を
同一視するな、一方的核廃棄を強要するな−と込められた
メッセージは非常に分かりやすい。まずは米国が
「敵視政策の解消」という見返りをよこせとも主張している。
(2/4ページ)
2つ目の談話は、女性の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が
24日に発表した。
次の標的はペンス副大統領だった。
「軍事的選択肢」が排除されたことはないと発言した
ペンス氏を「愚鈍な間抜け」呼ばわりした。
「自分たちが先に対話を求めながら、あたかもわれわれが
要請したかのように世論をミスリードしている」とも非難した。会談は金正恩氏が持ちかけたのが事実だが、
「尊厳高い」北朝鮮としては応じてやったという建前が
必要なのだろう。
「会談場で会うか、核対核の対決の場で会うかは、米国の
行動にかかっている」と捨てゼリフも吐いた。
米をやり込めた経験があだに?
韓国では、唐突な南北会談中止に慌てはしても、見慣れた
瀬戸際戦術による一時的な反発との受け止めが少なくなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は22日のトランプ氏との
会談で、北朝鮮が反発した米韓軍の共同訓練が終わる
25日以降には対話を再開できるとの見通しを示した。
だが、トランプ氏は違った。
北朝鮮が非核化措置として核実験場放棄を外国メディアに
公開した24日のその日に、金正恩氏に宛てた書簡で
米朝会談中止を通告したのだ。
「会談をやめるかも」という瀬戸際戦術に対し、
「そうまで言うなら」と背中から突き落としたようなものだ。
書簡には「金委員長が直近の声明で示した猛烈な怒りと露骨な敵意」が原因だと記している。
北朝鮮としては、外務省幹部の個人の談話の形で、
最高指導者の見解とは一線を画したつもりが、トランプ氏は、
金正恩氏の意向だと受け止めたわけだ。
(3/4ページ)
米報道を見ると、崔氏の「核対核」の常套(じょうとう)句も「核戦争も辞さないと警告した」と報告されたようだ。
言語の違いもあるが、北朝鮮外交官が使い慣れた悪態や
こけおどしの言葉は、皮肉なことに想定外の破壊力を
発揮したことになる。
金桂寛氏、崔氏ともに対米交渉のエキスパートとされ、
核問題をめぐる6カ国協議などで米高官をやり込めてきた
経験を持つ。だからこそ、過去の米高官らと同じようにトランプ氏も
焦るはずだと高をくくっていたのかもしれない。
意外な形で予測的中?
北朝鮮の報道から推定すると、中止通告を受けた24日、
金正恩氏は東部、江原(カンウォン)道の視察に
いそしんでいたようだ。
全くの不意打ちだった状況が浮かぶ。
すぐさま自身の「委任」の形で、金桂寛氏に釈明の談話を
出させた。
「首脳会談は切実に必要」だとつづり、会談に応じた
トランプ氏の「勇断」をたたえたり、非核化をめぐる
「トランプ方式」に期待していたことを打ち明けたりと、
恋人に別れ話を切り出されたかのように追いすがった。
東海岸の元山(ウォンサン)の視察に移っていたとみられる
25日には、文氏に「すぐ会いたい」と伝え、翌日には
2回目の首脳会談を行い、抱き合って融和をアピールした。
閣僚級会談を一方的にキャンセルしたことなどどこ吹く風で、
使いやすい友人を呼びつけたがごとき振る舞いだ。ただ、
25日以降には対話再開という文氏の予測は意外な形で
的中したことになる。
(4/4ページ)
元山のホテルには、核実験場廃棄の取材に来ていた
外国報道陣が滞在していた。
金正恩氏が報道陣と会見するサプライズ演出も想定できたが、
内心それどころではなかっただろう。
制裁で圧迫され続けている金正恩氏にとって
「会談をやめるかも」とポーズは見せても本当にやめるという
選択肢はなかったらしい。一方、
トランプ氏は、会談を見送れば、制裁維持と軍事的圧迫という
路線に立ち戻ればよく、金正恩氏より失うものは
はるかに少ない。今回の会談中止騒動は、最初から主導権が
どちらにあったのかという現実をまざまざと見せつけた。
北の第一次官が【リビアと一緒にすんな】と力んで、次に
外務次官がベンス副大統領に向かって悪態を、女でありながら
会談場で合うか、核対核で合うか〜〜〜と
トランプ大統領が第一次官で激怒、そして外務次官で激怒が
爆発したと〜〜、
然し意外に思ったのは北の行動が素早かった。
もう北朝鮮は【三跪九叩頭】しか道はないのだ。
金正恩氏の誤算はこうして生じた…トランプ氏に封じられた
「こけおどし」と「瀬戸際戦術」
(1/4ページ)
5月26日、板門店で抱き合う
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)と
韓国の文在寅大統領(韓国大統領府提供・共同)
「やるぞ、やるぞ」あるいは「やめるぞ、やめるぞ」と緊張をあおり、交渉を優位に持ち込む手口が北朝鮮が伝統的に
得意としてきた「瀬戸際戦術」だ。だが、
米朝首脳会談をめぐってトランプ米大統領が北朝鮮の
こけおどしにきっぱり「やめる」と通告したことで、その
戦術があっさり封じ込められた。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の慌てぶりは、
直後の行動にも顕著に現れた。
金正恩氏にとって誤算が生じた経緯をたどると…。
(ソウル 桜井紀雄)
「尊厳高いわが国」に無礼な!
トランプ米大統領による会談中止通告は、北朝鮮外務省の
高官が「会談の再考」をちらつかせた2つの談話が
きっかけだった。
1つ目は、北朝鮮がその日に予定していた南北閣僚級会談の
無期延期を通告した5月16日、金桂寛(ゲグァン)
第1外務次官が出した談話だ。
談話は、先に核を放棄させ、後で補償する「リビア方式」と
いう主張を「はばかることなく吐き出している」と
ボルトン米大統領補佐官を名指しで批判。
「えせ憂国の志士だ」と罵倒した。
「米国が敵視政策を終わらせることが先だ」とも要求した。
非核化は、あくまで北朝鮮が主導的に講じる措置であり、
核を手放して独裁政権が倒れたリビアと「尊厳高いわが国」を
同一視するな、一方的核廃棄を強要するな−と込められた
メッセージは非常に分かりやすい。まずは米国が
「敵視政策の解消」という見返りをよこせとも主張している。
(2/4ページ)
2つ目の談話は、女性の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官が
24日に発表した。
次の標的はペンス副大統領だった。
「軍事的選択肢」が排除されたことはないと発言した
ペンス氏を「愚鈍な間抜け」呼ばわりした。
「自分たちが先に対話を求めながら、あたかもわれわれが
要請したかのように世論をミスリードしている」とも非難した。会談は金正恩氏が持ちかけたのが事実だが、
「尊厳高い」北朝鮮としては応じてやったという建前が
必要なのだろう。
「会談場で会うか、核対核の対決の場で会うかは、米国の
行動にかかっている」と捨てゼリフも吐いた。
米をやり込めた経験があだに?
韓国では、唐突な南北会談中止に慌てはしても、見慣れた
瀬戸際戦術による一時的な反発との受け止めが少なくなかった。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は22日のトランプ氏との
会談で、北朝鮮が反発した米韓軍の共同訓練が終わる
25日以降には対話を再開できるとの見通しを示した。
だが、トランプ氏は違った。
北朝鮮が非核化措置として核実験場放棄を外国メディアに
公開した24日のその日に、金正恩氏に宛てた書簡で
米朝会談中止を通告したのだ。
「会談をやめるかも」という瀬戸際戦術に対し、
「そうまで言うなら」と背中から突き落としたようなものだ。
書簡には「金委員長が直近の声明で示した猛烈な怒りと露骨な敵意」が原因だと記している。
北朝鮮としては、外務省幹部の個人の談話の形で、
最高指導者の見解とは一線を画したつもりが、トランプ氏は、
金正恩氏の意向だと受け止めたわけだ。
(3/4ページ)
米報道を見ると、崔氏の「核対核」の常套(じょうとう)句も「核戦争も辞さないと警告した」と報告されたようだ。
言語の違いもあるが、北朝鮮外交官が使い慣れた悪態や
こけおどしの言葉は、皮肉なことに想定外の破壊力を
発揮したことになる。
金桂寛氏、崔氏ともに対米交渉のエキスパートとされ、
核問題をめぐる6カ国協議などで米高官をやり込めてきた
経験を持つ。だからこそ、過去の米高官らと同じようにトランプ氏も
焦るはずだと高をくくっていたのかもしれない。
意外な形で予測的中?
北朝鮮の報道から推定すると、中止通告を受けた24日、
金正恩氏は東部、江原(カンウォン)道の視察に
いそしんでいたようだ。
全くの不意打ちだった状況が浮かぶ。
すぐさま自身の「委任」の形で、金桂寛氏に釈明の談話を
出させた。
「首脳会談は切実に必要」だとつづり、会談に応じた
トランプ氏の「勇断」をたたえたり、非核化をめぐる
「トランプ方式」に期待していたことを打ち明けたりと、
恋人に別れ話を切り出されたかのように追いすがった。
東海岸の元山(ウォンサン)の視察に移っていたとみられる
25日には、文氏に「すぐ会いたい」と伝え、翌日には
2回目の首脳会談を行い、抱き合って融和をアピールした。
閣僚級会談を一方的にキャンセルしたことなどどこ吹く風で、
使いやすい友人を呼びつけたがごとき振る舞いだ。ただ、
25日以降には対話再開という文氏の予測は意外な形で
的中したことになる。
(4/4ページ)
元山のホテルには、核実験場廃棄の取材に来ていた
外国報道陣が滞在していた。
金正恩氏が報道陣と会見するサプライズ演出も想定できたが、
内心それどころではなかっただろう。
制裁で圧迫され続けている金正恩氏にとって
「会談をやめるかも」とポーズは見せても本当にやめるという
選択肢はなかったらしい。一方、
トランプ氏は、会談を見送れば、制裁維持と軍事的圧迫という
路線に立ち戻ればよく、金正恩氏より失うものは
はるかに少ない。今回の会談中止騒動は、最初から主導権が
どちらにあったのかという現実をまざまざと見せつけた。
タグ:北朝鮮
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