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2022年10月04日
「イミ消費」で世の中に役立つ旅行
イミ消費というのは、モノ・コト消費を超え、自分の消費行動によって世の中に役立つと思うこ とができる消費を指します。ミシュランで評価が高いレストランなどは、地元の農場やパートナー 企業を支えるための活動をしています。お手頃な価格のランチを提供することにより仕入れ量を増やしたり、地域を助けるための募金活動にも関わっています。街一丸となって万全を期して観光 客を迎えようとしている姿に、地域全体が支え合っていると感じて感銘を受けるのです。こうした 「一体感」に旅人は心を動かされ、来年も行きたいと考えるのです。海外でエンジェル投資家が多い理由に、「奉仕」「助け合う」などの宗教上のバックグラウンドがあるのですが、富裕層旅 行者にも、実は同様の理由があるかもしれません。
観光に詳しい三菱総合研究所の観光立国実現支援チームリーダーの宮崎俊哉氏は「今こそ日本観光産業の新陳代謝のタイミングだ」と主張します。
特に、日本でも地域やサプライヤーを巻き込んだ対策と発信を強化する必要があると言います。 星野リゾートグループが提案しているマイクロツーリズム(3密を避けながら近場で過ごす旅のスタイル)や、ホームページで自社施設内のコロナ対策を紹介している事例、コロナで困った農家や 生産者の商品を個人向けに販売するサイトの事例はありますが、国や地域、そして業界全体の取 り組み施策を発信している事例はまだまだ少ないのが現状です。
海外の富裕層も、今すぐ日本に行けると言われても、新型コロナの検査も対策も緩い日本への旅行を不安に思うかもしれません。以前宮崎氏が取材した年収2億円の30代女性は、「もしかしたら今行くと、訪日外国人に対し不安感を抱く日本の人々も多いかと思う。いつまた楽しく行けるかは不安だ」と本音を漏らしました。
だからこそ、海外へ積極的に情報発信することが大事になってくるのです。「店から地域全体の取 り組み」「イミ消費の促進」といった内容を、積極的に発信するのも重要です。こうしたことの積み重ねにより、日本への旅行を希望する富裕層への情報ギャップを減らし、コロナ後のインバ ウンド観光をスムーズに再開することができるのです。
観光に詳しい三菱総合研究所の観光立国実現支援チームリーダーの宮崎俊哉氏は「今こそ日本観光産業の新陳代謝のタイミングだ」と主張します。
特に、日本でも地域やサプライヤーを巻き込んだ対策と発信を強化する必要があると言います。 星野リゾートグループが提案しているマイクロツーリズム(3密を避けながら近場で過ごす旅のスタイル)や、ホームページで自社施設内のコロナ対策を紹介している事例、コロナで困った農家や 生産者の商品を個人向けに販売するサイトの事例はありますが、国や地域、そして業界全体の取 り組み施策を発信している事例はまだまだ少ないのが現状です。
海外の富裕層も、今すぐ日本に行けると言われても、新型コロナの検査も対策も緩い日本への旅行を不安に思うかもしれません。以前宮崎氏が取材した年収2億円の30代女性は、「もしかしたら今行くと、訪日外国人に対し不安感を抱く日本の人々も多いかと思う。いつまた楽しく行けるかは不安だ」と本音を漏らしました。
だからこそ、海外へ積極的に情報発信することが大事になってくるのです。「店から地域全体の取 り組み」「イミ消費の促進」といった内容を、積極的に発信するのも重要です。こうしたことの積み重ねにより、日本への旅行を希望する富裕層への情報ギャップを減らし、コロナ後のインバ ウンド観光をスムーズに再開することができるのです。
求めているのは「本物の体験」
最近のトレンドとしては「本物の体験」を求める富裕層が多いです。インバウンド業界でよく話題 に上っている「モノ消費からコト消費」という傾向が、富裕層マーケットではより顕著に出てきます。お金を持っているので欲しいものは何でも手に入るわけですが、体験となるとその場所に 行かないとできないからです。これまで富裕層に人気だったのは、イタリアやフランスといった誰 もが知る観光地でしたが、最近ではキューバやアイスランド、クロアチアなど、これまで注目を 集めてこなかった国の人気が上昇しています。行ったことのない、何があるかもわからない国で新しい体験を求める傾向が強くなってきていて、日本も富裕層に人気上昇中の旅行先にランクイ ンしています。
富裕層が日本旅行に求めているのは食や文化、ホスピタリティなどです。訪日旅行をした富裕層に 日本旅行を選んだ理由を尋ねたところ、「本物の日本文化・伝統に触れたい」「日本人のライフ スタイルに触れたい」「日本食を楽しみたい」といったものが上位に入ってきました。そのため、日本ならではの魅力や日本でしか体験できないことを打ち出していくことが重要です。超富裕層の多い中東ですが、あちらの国では日本のことを「Planet Japan」と称することがあるようで す。日本に対して、地球外の別の惑星のように『未知なる国』というイメージを持っているそうで す。すごく神秘的で興味深く、極東の小さな国なのに独特な文化や歴史を持っていてすごいと思 われている一方で、遠すぎてよくわからないため、旅行先として候補になってきませんでした。
旅行の目的や興味関心は多様化してきているなかで、日本には、日本ならではの魅力や日本でしか得られない特別な体験など、多様な観光コンテンツが一定程度揃っているため、満足を得られているようです。一方で、今後はより幅広いコンテンツ(日本の伝統文化以外にも、自然や食、 モダンアートなど)の造成や整備を進めていくこと、また日本が発信している情報が少ない点など、今後の課題となっています。
富裕層が日本旅行に求めているのは食や文化、ホスピタリティなどです。訪日旅行をした富裕層に 日本旅行を選んだ理由を尋ねたところ、「本物の日本文化・伝統に触れたい」「日本人のライフ スタイルに触れたい」「日本食を楽しみたい」といったものが上位に入ってきました。そのため、日本ならではの魅力や日本でしか体験できないことを打ち出していくことが重要です。超富裕層の多い中東ですが、あちらの国では日本のことを「Planet Japan」と称することがあるようで す。日本に対して、地球外の別の惑星のように『未知なる国』というイメージを持っているそうで す。すごく神秘的で興味深く、極東の小さな国なのに独特な文化や歴史を持っていてすごいと思 われている一方で、遠すぎてよくわからないため、旅行先として候補になってきませんでした。
旅行の目的や興味関心は多様化してきているなかで、日本には、日本ならではの魅力や日本でしか得られない特別な体験など、多様な観光コンテンツが一定程度揃っているため、満足を得られているようです。一方で、今後はより幅広いコンテンツ(日本の伝統文化以外にも、自然や食、 モダンアートなど)の造成や整備を進めていくこと、また日本が発信している情報が少ない点など、今後の課題となっています。
第2章:Luxury Traveler が求めるもの 「クラシック型」と「モダン型」~ 富裕旅行者2つのタイプ
JNTOの独自ヒアリング調査で、富裕層には2つのタイプが存在していることがわかりました。1 つ目のタイプは「Classic Luxury(クラシック・ラグジュアリー)」といって、とにかく何にお いても贅沢で高価なものに価値を見出す典型的なお金持ちです。2つ目のタイプは「Modern Luxury(モダン・ラグジュアリー)」で、若い世代を中心に最近どんどん増えている新しいタイ プの富裕層です。彼らは豪華、権力、富といったキーワードよりも、文化、本物、体験といったものに対して価値を見出します。
なお、富裕者の消費に関しては、「All Luxury」と「Selective Luxury」に分類されます。前者 はとにかく何に対しても贅沢かつ豪華にお金をかける人たちで、後者は興味のないことには全く お金を使わないけれど、興味のあるものには徹底的にお金を使います。何にお金をかけるのかを 選んで消費するタイプです。
従来型の「Classic Luxury」の人たちは「All Luxury」の傾向が強く、最近のトレンドである 「Modern Luxury」の人たちは「Selective Luxury」の傾向が強いと言われています。
例えば「Classic Luxury」タイプは、常にブランド服や時計を身につけ、旅行でもビジネスクラ スにしか乗らず、5つ星ホテルにしか泊まりません。一方の「Modern Luxury」はFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグのように、お金は持っているけれど興味のないものにはお金をかけません。
服装はTシャツに短パン、サンダルで、車にも乗らないけれど、サイクリングが好きだから何百万もする自転車は買う、日本に旅行した際は5つ星ホテルではなく日本でしか体験できない 高級温泉旅館に泊まる、といった具合です。「Modern Luxury」タイプは好きなものには徹底的 にお金を費やす傾向にあります。
自分の興味関心や本物の体験に対しては徹底的に投資するようです。タイプごとにアプローチ方法やプロモーションのポイントも違ってきますので、富裕層のインバウンドを誘致する際にはしっかりと把握しながら、それぞれに刺さるものを選んでケアしていく必要があります。
なお、富裕者の消費に関しては、「All Luxury」と「Selective Luxury」に分類されます。前者 はとにかく何に対しても贅沢かつ豪華にお金をかける人たちで、後者は興味のないことには全く お金を使わないけれど、興味のあるものには徹底的にお金を使います。何にお金をかけるのかを 選んで消費するタイプです。
従来型の「Classic Luxury」の人たちは「All Luxury」の傾向が強く、最近のトレンドである 「Modern Luxury」の人たちは「Selective Luxury」の傾向が強いと言われています。
例えば「Classic Luxury」タイプは、常にブランド服や時計を身につけ、旅行でもビジネスクラ スにしか乗らず、5つ星ホテルにしか泊まりません。一方の「Modern Luxury」はFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグのように、お金は持っているけれど興味のないものにはお金をかけません。
服装はTシャツに短パン、サンダルで、車にも乗らないけれど、サイクリングが好きだから何百万もする自転車は買う、日本に旅行した際は5つ星ホテルではなく日本でしか体験できない 高級温泉旅館に泊まる、といった具合です。「Modern Luxury」タイプは好きなものには徹底的 にお金を費やす傾向にあります。
自分の興味関心や本物の体験に対しては徹底的に投資するようです。タイプごとにアプローチ方法やプロモーションのポイントも違ってきますので、富裕層のインバウンドを誘致する際にはしっかりと把握しながら、それぞれに刺さるものを選んでケアしていく必要があります。
旅行費用1人100万円以上を使う富裕層とは一体どんな人たちなのか?
現在は新型コロナウイルスの感染拡大により大打撃を受けているインバウンド業界ですが、それ 以前の政府の取り組みに目を向けてみると、インバウド促進による経済活性化に注力し中でも1 人あたり単価の高い富裕層の誘致を盛んに行っていたことがわかります。富裕層とはどんな人々で、どういった思考のもと旅行をしているのでしょうか。そして、その富裕層は日本で満足をし、日本のインバウンド業界に恩恵をもたらすことになるのでしょうか。
JNTO(日本政府観光局)が膨大なリサーチをして捉えた世界の富裕層の姿、行動の実態について、またなぜ政府が『Luxury Travel』誘致に注力しているのか、JNTO市場横断プロモーション 部の小林大祐氏は次のように話しています。
政府は2020年に訪日外国人数4000万人、訪日消費額8兆円を目標に掲げています。しかし、 2019年の訪日外国人数は約3188万人、消費額は約4.8兆円という結果でしたので、特に消費額が 目標に届いていないという状況です。1人あたりの単価は中国人観光客の「爆買い」ブームをピー クに緩やかに下がっていますので、人数が増えても消費額全体は伸びないというのが現状です。そ こで、いかにして消費額を上げていくのかを考えた時に、1人あたり単価の高い「富裕層」というキーワードが浮かび上がってきました。支出する余力のある人たちは、旅行先でも価値あるもの に対してお金を惜しみません。こうした理由から、JNTOでは富裕層への取り組みに力を入れてい ます。
消費額が上がるという直接的な効果はもちろんですが、それ以外にも副次的な効果があります。 富裕層の中には社会で活躍している方々や芸能人など、トレンドを作っている人が多いため、トレ ンドセッター的な役割を果たしてくれます。彼らの間で特定の旅行先が流行りだすと、一般の旅行者や消費者もそれに追随するのです。富裕層マーケットの訴求キーワードには「特別な体験」や 「本物の価値」というものがありますが、日本はアジアの競合国をはじめとした他国にはない独 自の観光魅力を有しているため、富裕旅行者の取り込みが増加するポテンシャルは十分にあると考えています。
世界の地域別に見ると、富裕層が最も多いマーケットはアメリカで、次に多いのがヨーロッパです。そして最近勢いがあるのはアジアで、中国を中心にどんどんマーケットが大きくなっています し、将来的にはさらに市場が膨らんでいくという予測が立てられています。マーケットサイズは小さいけれど「超富裕層」が多く存在するのは、カタールやクウェート、UAEなどに代表される中東です。中東には超富裕層が多いため、富裕層の中でも1人あたり単価が特に高いということで す。
例えばUAEのエリートたちは大学を卒業した直後の初任給が約1000万円で、医療費や教育費、固定資産税、相続税などが一切かからないため、お金がどんどん貯まっていくそうです。彼らの中には、昼間からショッピングモールのカフェでのんびりしている人がすごく多い。なぜなら、お茶 をしながら電話で仕事の指示を出して、細かい仕事は部下や外国からの移民労働者に任せているからです。お金も時間もある彼らですが、イスラム教徒なので「お酒を飲んではいけない」「ギャンブルをしてはいけない」など、自国では厳しい戒律のもとで暮らしています。普段の生活では欲 求を制限している分、海外に出た時ぐらいは少し羽を伸ばしたいという方も実は多い。お金と時間があって旅行好きとなると、マーケットとしては非常に有効ですので、JNTOとしては昨年から 中東マーケットの開拓に取り組んでいます。
明確なプロモーションを打ち出すため、JNTOではまず調査に基づいたターゲットの定義づけをし ています。「お金を持っている」「海外旅行をよくする」「旅行先でお金をたくさん使ってくれる」 人に絞り込みます。さらに「海外旅行先で1人1回あたり100万円消費する人」をプロモーション ターゲトットとなる富裕旅行者と位置付けました。昨年の訪日外国人の1人あたり単価が約15万円でしたので、100万円という金額が現実からかけ離れているように感じられるかもしれませんが、調査によると実際にこれだけのお金を1回の旅行で使っている人がそれなりの規模で存在する ということもわかっています。
富裕層の多い「欧米豪」マーケットの中でもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラ リアの5市場に限定した調査では、1年間で1回以上海外旅行をしている人が、約3億4100万人い たという結果が出ています。そのうち、1回あたり100万円を使った人は全体の1%、つまり約 340万人存在するという数字が割り出されました。3億4100万人の人が海外旅行で消費した額は 年間35.8兆円ですので、1%の富裕旅行者は全体の13%に相当する約4.7兆円を消費していること がわかります。JNTOではこの4.7兆円が狙いに行くマーケットだということを整理してプロモー ション活動をしています。
さらに国別の数字を見てみると、やはり最も大きな富裕旅行市場はアメリカで、人数・消費額と もに5カ国計(340万人、消費額4.7兆円)の半数以上を占めています。JNTOが行った調査では1 人あたり単価が1回136万円となっているため、現在の平均15万円と比べると約9倍であることが わかります。オーストラリアは数のボリュームは少ないのですが、1人あたり単価は296万円と なっています。
JNTO(日本政府観光局)が膨大なリサーチをして捉えた世界の富裕層の姿、行動の実態について、またなぜ政府が『Luxury Travel』誘致に注力しているのか、JNTO市場横断プロモーション 部の小林大祐氏は次のように話しています。
政府は2020年に訪日外国人数4000万人、訪日消費額8兆円を目標に掲げています。しかし、 2019年の訪日外国人数は約3188万人、消費額は約4.8兆円という結果でしたので、特に消費額が 目標に届いていないという状況です。1人あたりの単価は中国人観光客の「爆買い」ブームをピー クに緩やかに下がっていますので、人数が増えても消費額全体は伸びないというのが現状です。そ こで、いかにして消費額を上げていくのかを考えた時に、1人あたり単価の高い「富裕層」というキーワードが浮かび上がってきました。支出する余力のある人たちは、旅行先でも価値あるもの に対してお金を惜しみません。こうした理由から、JNTOでは富裕層への取り組みに力を入れてい ます。
消費額が上がるという直接的な効果はもちろんですが、それ以外にも副次的な効果があります。 富裕層の中には社会で活躍している方々や芸能人など、トレンドを作っている人が多いため、トレ ンドセッター的な役割を果たしてくれます。彼らの間で特定の旅行先が流行りだすと、一般の旅行者や消費者もそれに追随するのです。富裕層マーケットの訴求キーワードには「特別な体験」や 「本物の価値」というものがありますが、日本はアジアの競合国をはじめとした他国にはない独 自の観光魅力を有しているため、富裕旅行者の取り込みが増加するポテンシャルは十分にあると考えています。
世界の地域別に見ると、富裕層が最も多いマーケットはアメリカで、次に多いのがヨーロッパです。そして最近勢いがあるのはアジアで、中国を中心にどんどんマーケットが大きくなっています し、将来的にはさらに市場が膨らんでいくという予測が立てられています。マーケットサイズは小さいけれど「超富裕層」が多く存在するのは、カタールやクウェート、UAEなどに代表される中東です。中東には超富裕層が多いため、富裕層の中でも1人あたり単価が特に高いということで す。
例えばUAEのエリートたちは大学を卒業した直後の初任給が約1000万円で、医療費や教育費、固定資産税、相続税などが一切かからないため、お金がどんどん貯まっていくそうです。彼らの中には、昼間からショッピングモールのカフェでのんびりしている人がすごく多い。なぜなら、お茶 をしながら電話で仕事の指示を出して、細かい仕事は部下や外国からの移民労働者に任せているからです。お金も時間もある彼らですが、イスラム教徒なので「お酒を飲んではいけない」「ギャンブルをしてはいけない」など、自国では厳しい戒律のもとで暮らしています。普段の生活では欲 求を制限している分、海外に出た時ぐらいは少し羽を伸ばしたいという方も実は多い。お金と時間があって旅行好きとなると、マーケットとしては非常に有効ですので、JNTOとしては昨年から 中東マーケットの開拓に取り組んでいます。
明確なプロモーションを打ち出すため、JNTOではまず調査に基づいたターゲットの定義づけをし ています。「お金を持っている」「海外旅行をよくする」「旅行先でお金をたくさん使ってくれる」 人に絞り込みます。さらに「海外旅行先で1人1回あたり100万円消費する人」をプロモーション ターゲトットとなる富裕旅行者と位置付けました。昨年の訪日外国人の1人あたり単価が約15万円でしたので、100万円という金額が現実からかけ離れているように感じられるかもしれませんが、調査によると実際にこれだけのお金を1回の旅行で使っている人がそれなりの規模で存在する ということもわかっています。
富裕層の多い「欧米豪」マーケットの中でもアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラ リアの5市場に限定した調査では、1年間で1回以上海外旅行をしている人が、約3億4100万人い たという結果が出ています。そのうち、1回あたり100万円を使った人は全体の1%、つまり約 340万人存在するという数字が割り出されました。3億4100万人の人が海外旅行で消費した額は 年間35.8兆円ですので、1%の富裕旅行者は全体の13%に相当する約4.7兆円を消費していること がわかります。JNTOではこの4.7兆円が狙いに行くマーケットだということを整理してプロモー ション活動をしています。
さらに国別の数字を見てみると、やはり最も大きな富裕旅行市場はアメリカで、人数・消費額と もに5カ国計(340万人、消費額4.7兆円)の半数以上を占めています。JNTOが行った調査では1 人あたり単価が1回136万円となっているため、現在の平均15万円と比べると約9倍であることが わかります。オーストラリアは数のボリュームは少ないのですが、1人あたり単価は296万円と なっています。
Luxury Travel(富裕層旅行)市場からの再興
コロナ禍がある程度収束したとしても、水際対策を考えると一気に数千万人規模の訪日客を受け入れることは現実的ではありません。富裕旅行者から段階的に受け入れを再開することで、国際観光を復活させていくのが合理的だと見込まれています。プライベートジェットや隔離された宿泊 施設など、安全な旅行手段を確保できる経済力があるからです。
彼らの多くは企業経営者や投資家でもあるため、日本に対する関心・好感度の向上は、日本への投資拡大につながると期待されます。またインフルエンサーである富裕層旅行者による発信は、効果絶大なプロモーションとなり、日本のブランド価値を高めることにも貢献します。
富裕層の旅行ニーズに対応するもっとも大きな狙いは観光収入の向上を通じた経済成長です。世界の富裕旅行市場は、国際観光の中でも高い成長率を示すセグメントになっています。
JNTOの調査でも、一般の訪日客の10倍以上を消費する旅行者が多数存在することが明らかになりました。
1000万円以上の消費行動が見られる層も一定数確認されています。実際、現代アートや古美術品、伝統工芸、高級衣服、宝飾品などを購買する主力は富裕層です。インバウンド富裕旅行の増加は地域の消費拡大、国民所得の向上に大きく貢献します。
彼らの多くは企業経営者や投資家でもあるため、日本に対する関心・好感度の向上は、日本への投資拡大につながると期待されます。またインフルエンサーである富裕層旅行者による発信は、効果絶大なプロモーションとなり、日本のブランド価値を高めることにも貢献します。
富裕層の旅行ニーズに対応するもっとも大きな狙いは観光収入の向上を通じた経済成長です。世界の富裕旅行市場は、国際観光の中でも高い成長率を示すセグメントになっています。
JNTOの調査でも、一般の訪日客の10倍以上を消費する旅行者が多数存在することが明らかになりました。
1000万円以上の消費行動が見られる層も一定数確認されています。実際、現代アートや古美術品、伝統工芸、高級衣服、宝飾品などを購買する主力は富裕層です。インバウンド富裕旅行の増加は地域の消費拡大、国民所得の向上に大きく貢献します。
2030年に訪日客数6000万人、15兆円
訪日観光はコロナ禍で壊滅的打撃を受けています。日本政府観光局(JNTO)が発表した2021年 12月の訪日外国人数(推計値)は、1万2100人でした。新型コロナウイルス感染症の影響が出る 前の2019年同月比では99.5%減に相当します。1月から12月までの累計は2019年比、99.2%減 (2020年比では94%減)の24万5900人となりました。
オミクロン株の登場で日本の水際対策は強化され、2021年11月30日以降は外国人の新規入国が 停止となっており、12月はその影響で前月を大きく下回っています。12月の訪日数を市場別に見 ると、中国からの1800人、インドの1200人、韓国の1100人、アメリカの1000人、それ以外は 200~300人で、二桁の国・地域も多くありました。
オミクロン株による感染再拡大で各国・地域から日本への直行便は引き続き大幅な運休・減便となっています。
2021年を1年間通して見ると、1月は4万人台、2月~6月は1万人前後と低迷、東京五輪の始 まった7月は年間最多となる5万人を超えたものの、その後は減少し、年間訪日客数の過去最低を 記録しました。 JNTOの統計にある最も古い記録は、前回の東京五輪開催の1964年、奇しくもそ の年の35万2832人をも下回る結果でした。
国・地域別では中国、ベトナム、アメリカ、韓国が2万人以上、そのほかは1万人以下でしたが、 トップ5常連の台湾や香港というヘビーリピーターのいる市場からの訪日が少なかったのが目立ち ました。総数的にはどこも2019年の1%に満たないところばかりでした。
しかしながら、欧米諸国と比べてコロナの被害抑制に成功したこともあり、各種メディアの調査 などでも、コロ ナ後に訪問したい国として日本は常に上位にランクインしています。コロナが収 束に向かえば、世界中から日本に観光客が押し寄せることが予想されます。2025年に予定されて いる大阪・関西万博で好機をつかみたいところです。
さて、政府は2030年までに訪日客数『6000万人』『15兆円』という目標を掲げていました。パ ンデミックという予想外の出来事で目標ははるか彼方に、オミクロン株による感染再拡大で、イ ンバウンド観光業界の明るい展望が描けない状況にあります。そんななか富裕層の『Luxury Travel』需要に期待が集まる理由があります。
オミクロン株の登場で日本の水際対策は強化され、2021年11月30日以降は外国人の新規入国が 停止となっており、12月はその影響で前月を大きく下回っています。12月の訪日数を市場別に見 ると、中国からの1800人、インドの1200人、韓国の1100人、アメリカの1000人、それ以外は 200~300人で、二桁の国・地域も多くありました。
オミクロン株による感染再拡大で各国・地域から日本への直行便は引き続き大幅な運休・減便となっています。
2021年を1年間通して見ると、1月は4万人台、2月~6月は1万人前後と低迷、東京五輪の始 まった7月は年間最多となる5万人を超えたものの、その後は減少し、年間訪日客数の過去最低を 記録しました。 JNTOの統計にある最も古い記録は、前回の東京五輪開催の1964年、奇しくもそ の年の35万2832人をも下回る結果でした。
国・地域別では中国、ベトナム、アメリカ、韓国が2万人以上、そのほかは1万人以下でしたが、 トップ5常連の台湾や香港というヘビーリピーターのいる市場からの訪日が少なかったのが目立ち ました。総数的にはどこも2019年の1%に満たないところばかりでした。
しかしながら、欧米諸国と比べてコロナの被害抑制に成功したこともあり、各種メディアの調査 などでも、コロ ナ後に訪問したい国として日本は常に上位にランクインしています。コロナが収 束に向かえば、世界中から日本に観光客が押し寄せることが予想されます。2025年に予定されて いる大阪・関西万博で好機をつかみたいところです。
さて、政府は2030年までに訪日客数『6000万人』『15兆円』という目標を掲げていました。パ ンデミックという予想外の出来事で目標ははるか彼方に、オミクロン株による感染再拡大で、イ ンバウンド観光業界の明るい展望が描けない状況にあります。そんななか富裕層の『Luxury Travel』需要に期待が集まる理由があります。
スイートルーム、需要に追いつかず
旅行業界には『リベンジ消費』の兆しはあるのでしょうか?
コロナ禍で変わった点について、パレスホテル代表取締役社長の吉原大介さんの談を紹介します。
「基本的には都心にお住まいの方が、週末利用あるいはステイケーション(近場で休日を過ごす旅行スタイル)で、ホテルでゆっくりされます。それにしても、インバウンドの穴埋めをするほどの需要はない。企業の出張もまだ制限されていますし。宿泊にリベンジ消費が起きている感はないですね。
唯一あるのは、通常の部屋と比べると、スイートルームの稼働率が高いことです。コロナ禍になって、あちこち観光するというよりもホテル滞在を旅の目的にする人が増えました。お客さまのホテル滞在時間がものすごく長くなったのが、何よりも大きな変化です。
そういった背景もあり、既存の客室を一部改装してスイートルームを増設しました。広さ90平方 メートルの「プレミアスイート」を新しく6部屋造ったことで、スイートルームが18室に増えました。
実はもともと、全客室数290のうちスイートルームが12室だけでは足りず、海外の富裕層を取り逃がしていたという課題があったんです。コロナ禍が収束したら、そこはしっかり取っていきたい。
日本の『リベンジ消費』事情
野村総合研究所(NRI)では、消費者の価値観や行動の変化を定期的に把握するため、毎年12 月、日本に在住する15~69歳の男女個人約3,000名を対象とするインターネット調査「生活者年末ネット調査」を実施していています。
これまで我慢していた消費・行動意欲を爆発させるように、「コロナ禍以前よりも多く消費や行動をする現象」を「リベンジ消費」と定義した場合、「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」の割合を、リベンジ消費の度合いとして捉えることができます。同項目について、例えば「国内旅行」は7月調査では8%でしたが、12月調査では10%とやや増加しています。また美術館や博 物館の鑑賞」や「劇場でのコンサート・演劇の鑑賞」などでもこうしたリベンジ消費の傾向がやや高まっています。しかし依然としてその割合が1割未満の項目が多く、リベンジ消費の発生はか なり限定的と言えるでしょう。
さらに「コロナ禍以前の生活状態に完全に戻る」と考える人は19%で、7月調査の25%より減少 しました。また「コロナ禍以前の生活には戻らない」「コロナ禍の今と同じ生活を送り続ける」 と考える人が81%となりました。コロナ禍に突入して2年経つ中で、コロナ感染の完全収束までは我慢し、収束したら元に戻そうという「ウィズ・コロナ」期間限定の生活価値観・生活様式に ある程度ふん切りををつけたのです。リモートワークや有料動画配信などのデジタルサービスなど が生活に入り込んでくるようになり、意識や生活習慣が不可逆的に変わったと捉えるべきでしょう。
コロナ禍以前は、モノ消費よりコト消費、そしてコト消費からトキ消費(その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費)と言われていました。2021年11月の「生活者1万人アン ケート調査」の結果では、制限ある生活の中でも楽しみを見出す(=こだわり志向)傾向が強まっ ていることが見て取れます。
「プレミアム消費」スタイルです。自分のお気に入りやこだわり、相応の付加価値には対価を払う プレミアム消費スタイルの増加が見られます。業務用のビールサーバーを自宅にレンタルする人の 増加など、外出しなくても自宅で工夫しながら非日常感を楽しむ知恵が生まれています。有料動画配信サービスなど、デジタルサービスで余暇を気軽に楽しんだりするなど、新しい生活者ニーズが定着してしまいました。
非日常感を楽しむやり方はコロナ禍前のようにわざわざ外出することや他人とリアルで交流する ことで得るものではなくなり、自分なりのこだわりを見出しながら工夫して実現させることに生 活者ニーズが変化しています。このようなニューノーマル(新常態)な生活様式によって生み出さ れる消費を「ニューノーマル消費」と呼びます。
世間で言われている「リベンジ消費」を期待をしてはいけません。コロナ禍によって生活者側の デジタル化や生活様式の変化が大きく進んだことは明らかであり、企業側としてはデジタル化・生活様式変化が進んだ生活者ニーズをきちんと捉えて、マーケティングや経営を行っていく必要があります。
これまで我慢していた消費・行動意欲を爆発させるように、「コロナ禍以前よりも多く消費や行動をする現象」を「リベンジ消費」と定義した場合、「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」の割合を、リベンジ消費の度合いとして捉えることができます。同項目について、例えば「国内旅行」は7月調査では8%でしたが、12月調査では10%とやや増加しています。また美術館や博 物館の鑑賞」や「劇場でのコンサート・演劇の鑑賞」などでもこうしたリベンジ消費の傾向がやや高まっています。しかし依然としてその割合が1割未満の項目が多く、リベンジ消費の発生はか なり限定的と言えるでしょう。
さらに「コロナ禍以前の生活状態に完全に戻る」と考える人は19%で、7月調査の25%より減少 しました。また「コロナ禍以前の生活には戻らない」「コロナ禍の今と同じ生活を送り続ける」 と考える人が81%となりました。コロナ禍に突入して2年経つ中で、コロナ感染の完全収束までは我慢し、収束したら元に戻そうという「ウィズ・コロナ」期間限定の生活価値観・生活様式に ある程度ふん切りををつけたのです。リモートワークや有料動画配信などのデジタルサービスなど が生活に入り込んでくるようになり、意識や生活習慣が不可逆的に変わったと捉えるべきでしょう。
コロナ禍以前は、モノ消費よりコト消費、そしてコト消費からトキ消費(その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費)と言われていました。2021年11月の「生活者1万人アン ケート調査」の結果では、制限ある生活の中でも楽しみを見出す(=こだわり志向)傾向が強まっ ていることが見て取れます。
「プレミアム消費」スタイルです。自分のお気に入りやこだわり、相応の付加価値には対価を払う プレミアム消費スタイルの増加が見られます。業務用のビールサーバーを自宅にレンタルする人の 増加など、外出しなくても自宅で工夫しながら非日常感を楽しむ知恵が生まれています。有料動画配信サービスなど、デジタルサービスで余暇を気軽に楽しんだりするなど、新しい生活者ニーズが定着してしまいました。
非日常感を楽しむやり方はコロナ禍前のようにわざわざ外出することや他人とリアルで交流する ことで得るものではなくなり、自分なりのこだわりを見出しながら工夫して実現させることに生 活者ニーズが変化しています。このようなニューノーマル(新常態)な生活様式によって生み出さ れる消費を「ニューノーマル消費」と呼びます。
世間で言われている「リベンジ消費」を期待をしてはいけません。コロナ禍によって生活者側の デジタル化や生活様式の変化が大きく進んだことは明らかであり、企業側としてはデジタル化・生活様式変化が進んだ生活者ニーズをきちんと捉えて、マーケティングや経営を行っていく必要があります。
富裕層のリベンジ・トラベル
世界では旅行需要の力強い回復が見られるようになりました。 2021年12月、世界各国の富裕層 旅行関係者が集まり商談を行うイベント「International Luxury Travel Market」(ILTM)がフランス・カンヌで開催され、1000を超える出店ブースが並び盛況を収めました。
富裕層は非常に力強い「リベンジ・トラベル」のパワーをマグマのように溜めていて、Luxury Travel(上質な観光サービス、富裕旅行)へのトレンドが見てとれます。 世界の富裕層は、旅行に何を求めているのでしょうか。
富裕層の間では数年前から「ウェルネス」(広義の健康志向) への関心が高まっています。その流れはコロナ禍でいっそう加速しました。ウェルネスという言葉は、今やスパやエステにとどまりません。肉体的な健康だけでなく、感情、精神(メンタル)、知性、職業、環境、ライフスタイル、社会的なウェルネスにまで及びます。
インバウンド向けのブランド戦略を考えるときに、日本のクオリティ高い『ウェルネス』環境は 大きな武器になりそうです。日本の上質なサービス、真心こもったホスピタリティで、富裕層のリベンジ・トラベルの熱い期待を一身に受けとめる体力を持っています。
富裕層は非常に力強い「リベンジ・トラベル」のパワーをマグマのように溜めていて、Luxury Travel(上質な観光サービス、富裕旅行)へのトレンドが見てとれます。 世界の富裕層は、旅行に何を求めているのでしょうか。
富裕層の間では数年前から「ウェルネス」(広義の健康志向) への関心が高まっています。その流れはコロナ禍でいっそう加速しました。ウェルネスという言葉は、今やスパやエステにとどまりません。肉体的な健康だけでなく、感情、精神(メンタル)、知性、職業、環境、ライフスタイル、社会的なウェルネスにまで及びます。
インバウンド向けのブランド戦略を考えるときに、日本のクオリティ高い『ウェルネス』環境は 大きな武器になりそうです。日本の上質なサービス、真心こもったホスピタリティで、富裕層のリベンジ・トラベルの熱い期待を一身に受けとめる体力を持っています。
2020年12月25日
ラグジュアリークルーズを極める1
クルーズのメッカであるアメリカでの旅行者のマーケット調査によると、クルーズ業界でラグジュアリークラスの規模や 客層のプロファイルが、よりセグメントできたのです。
客層が絞り込まれたラグジュアリー・クルーズには、世界周遊型であることが特長です。
季節に合わせた「多様な」寄港地。
その寄港地での観光やエンターテイメントに加え 船上イベントが顧客のニーズ合った内容であるが非常に重要だと気づいたのです。
すなわち、アメリカ本土から行きやすいカリブ海など のゾーン型クルーズ運航を指向するカジュアルやプレミアム・クルーズとは異なり、ラグジュアリ ー・クルーズは、長期滞在のクルーズ旅行で一粒でも二度美味しい旅のスタイル「ワン・トリップ・ ツー・バケーション」の充実度を極めることが必須でした。
クルーズにおけるワントリップ・ツー・バケーションすなわち、食事等も含めた船上イベント とエンターテイメントの質や寄港地観光の充実度が重要な要素になります。
その充足感が、リピ ーター率を高める。運航における多様な寄港地と企画力、船上におけるクルーズ旅行者の充実した「ワン・トリップ・ツー・バケーション」が乗船客の満足度による判定が事業の成功の可否を決めると言っても過言ではないことがあからさまになったのです。
カジュアルクラスやプレミアムクルーズとは異なり、長期滞在の体験型旅行の形であるラグジュアリークルーズであるがゆえに、船上での生活環境や、乗船客のライフスタイル、そして、その旅行空間に存在する人間の織り成す「相性」が最も重要な要素を占めることがより明確になったのです。
「商品・サービス」の基準は、受け手である顧客の 「主観的基準」つまりフィーリングやその時の「感情」で判断される傾向が強いのです。
ラグジュアリークラスのクルーズの平均滞在日数は約2週間。その間、見知らぬ者同士だった乗船客が顔を合わせる回数が増えていく毎に船上に於ける人間関係が多かれ少なかれ築き上げてくるのです。このような乗船客の動向を社会心理学的な視点で物事を判断する必要が出てきたのです。
どのような生活環境を有した従業員が乗船客に接するのが良いのかなどが、船上での旅行体験(商品開発)を演出する上で、顧客満足度に繋がっていくのです。
ラグジュアリークラスの客船を好む客層を押さえるには、既存のクルーズ会社やそのクルーズ船客に対して、差別化・差異化を徹底して独自化を明確にして「WoW」(ワオ!)と驚かせる「感動体験」を必要であることを認識したのです。
同業他社のラグジュアリー船社との差別化のためには何が必要か、それは将来の競争相手となる船社の分析を知ること。その上で、絞り込んだ客層にとって重要なものは何かを考え、新規会社としての既存会社との差異化・魅力度をいかにマーケットに伝えるかの答えを探求し、顧客に与えるインパクトが必要なのです。
プレミアムクラスから来た新しいラグジュアリークラスの客層は、アクティブな船上生活を望む傾向があります。
IT化と言われて久しい現代、今まで以上に進化したコンピューター・システムの導入や乗客の知的好奇心を満たすために、船上での多彩なカルチャー教室も重要です。日本人のクルーズ乗船客にとっては「非日常的」と思われるのですが、反対にアメリカ人クルーズ船客にとって、船上は「日常性」にあふれたもので無ければないのです。
アメリカ人乗船客にとって快適な環境を作り出すには、公用語は母国語である英語はもちろんのこと、通貨も両替不要のUSドル、食生活もハンバーガーやホットドッグも何時でも食べられること、つまり「ホーム・アウェイ・ホーム」が彼らを魅了させる標品開発のテーマなのです。つまり非日常性は長続きしないのです。
毎日フランス料理のフルコースが1週間以上続くと飽きられるといった調査結果が出たのです。これは日本人がフォークとナイフを持ってフランス料理やイタリア料理など欧米人好みの食事が毎日続くとお茶漬けやそば、焼き魚定食などの日本食が恋しくなるのと同じ心理が働く傾向があります。
好んでラグジュアリークラスの客船に乗船するゲストの心を掴むには、非日常体験を味わいつつ、ライフスタイルは日常を忘れない。そんな環境を作るよう心を砕いていくことが同業他社との差別化、顧客の方が勝手に選んでくれるクルーズ会社になることが最も大切な鍵となるのです。
( その対象とする客層に、最も近い販売網は全米の旅行代理店網のネットワークであり、それを味方に付ける必要でした。特に、クルーズ初心者にとって旅行会社が与える影響、つまり共存共栄する関係を持つことが必須です。
この様な差別化・差異化が、マーケットに周知でき、就航後のプロダクトが期待通りなら、この業界、特にラグジュアリー・マーケットでは旅行会社・ 乗船客の口コミを通してブランドの浸透は早いに違いないと確信していたのです。
幸いな事に、各種の調査、全米の旅行会社のネットワークやクルーズのリピーターとの接触から、ラグジュアリー・クルーズの分野において、その先端を担っている「ロイヤル・バイキング社」(現:バイキングクルーズライン)が 100%の支持を得ていないことを知ったのです。
その理由としては、ロイヤル・バイキング社は、このラグジュアリー・クルーズ業界で、一人勝ちの状態で有ったが、このクルーズ会社を所有するノルウェーの親会社3社が、彼らの本業である海運業での不振で、クルーズ業に対する意思の微妙な食い違いを生んでいた。
また、アメリカの事業推進の核である当時のウオーレン・ タイタス社長の引退、それに加えてサービス自体が、マンネリ化し、顧客から飽きられ、 なおかつ他に競争がない事により、傲慢になりつつある傾向があった。これは競争相手がいない一つの「独占であるが故の宿命であったのです。リピーター比率が、高くなりすぎ、乗船客の平均年齢が 65 歳を超えるほど高齢化している現実でした。
そして時代の変化に対応できるような)新しい客を取り込む仕掛けに欠ける = 船上 における旅行商品開発力の陳腐化。同業他社への人材の流失により、プロダクトに貫かれていたシステムが変容し、適切なサービスに対する訴求力に欠けていたのです。
彼らの親会社3社としての将来のビジョンが、不明確な事に対して、不安を感じていた模様でした。
既に船隊も老朽化しているにも関わらず、次世代船隊像を描ききれないこと、、特に旅行会社の多くは失望していた様子でした。
当時プリンセス・クルーズ社によるロイヤル・プリンセス号の投入のニュースはロイヤル・バイキング社の船隊の老朽化を、さらに、印象づけるものであったのです。
当時、ノルウェーの親会社が、同じく同国資本である 「ノルウェージャン・クルーズライン社」から買収などを仕掛けられ、長期的な展望を開けるような環境でなかったのです。
会社の崩壊の道を歩んでいたのだ。これらの調査を通して、ラグジュアリークルーズのみならず、世の中のすべてにおける商品やサービスの初期ブランドの構築には以下の3つのことが重要であると確認したのです。
@旅行代理店や将来の船客に対する認知 が最重要であるが、今まだ形に見えるプロダクトがない状態では「誰が」このプロジェクトを推進しようとしているか、人財(材)作戦を前面に出すこと。
Aラグジュアリー・マーケットに出るには、既存のブランドとの差異化がどこまで出来るかがポイントとの認識に至った。
Bマーケットとの接点においては、旅行代理店など販売網との共存共栄関係の 構築が不可欠との結論を出していた。
いずれにせよ、新規に始める会社が、成功するためには、このようなハードルを越え、プロダクトのブランド力を常に強化し、10 年後以降にも、この業界で定評を得るような基礎を固める事が重要との判断したのです。
客層が絞り込まれたラグジュアリー・クルーズには、世界周遊型であることが特長です。
季節に合わせた「多様な」寄港地。
その寄港地での観光やエンターテイメントに加え 船上イベントが顧客のニーズ合った内容であるが非常に重要だと気づいたのです。
すなわち、アメリカ本土から行きやすいカリブ海など のゾーン型クルーズ運航を指向するカジュアルやプレミアム・クルーズとは異なり、ラグジュアリ ー・クルーズは、長期滞在のクルーズ旅行で一粒でも二度美味しい旅のスタイル「ワン・トリップ・ ツー・バケーション」の充実度を極めることが必須でした。
クルーズにおけるワントリップ・ツー・バケーションすなわち、食事等も含めた船上イベント とエンターテイメントの質や寄港地観光の充実度が重要な要素になります。
その充足感が、リピ ーター率を高める。運航における多様な寄港地と企画力、船上におけるクルーズ旅行者の充実した「ワン・トリップ・ツー・バケーション」が乗船客の満足度による判定が事業の成功の可否を決めると言っても過言ではないことがあからさまになったのです。
カジュアルクラスやプレミアムクルーズとは異なり、長期滞在の体験型旅行の形であるラグジュアリークルーズであるがゆえに、船上での生活環境や、乗船客のライフスタイル、そして、その旅行空間に存在する人間の織り成す「相性」が最も重要な要素を占めることがより明確になったのです。
「商品・サービス」の基準は、受け手である顧客の 「主観的基準」つまりフィーリングやその時の「感情」で判断される傾向が強いのです。
ラグジュアリークラスのクルーズの平均滞在日数は約2週間。その間、見知らぬ者同士だった乗船客が顔を合わせる回数が増えていく毎に船上に於ける人間関係が多かれ少なかれ築き上げてくるのです。このような乗船客の動向を社会心理学的な視点で物事を判断する必要が出てきたのです。
どのような生活環境を有した従業員が乗船客に接するのが良いのかなどが、船上での旅行体験(商品開発)を演出する上で、顧客満足度に繋がっていくのです。
ラグジュアリークラスの客船を好む客層を押さえるには、既存のクルーズ会社やそのクルーズ船客に対して、差別化・差異化を徹底して独自化を明確にして「WoW」(ワオ!)と驚かせる「感動体験」を必要であることを認識したのです。
同業他社のラグジュアリー船社との差別化のためには何が必要か、それは将来の競争相手となる船社の分析を知ること。その上で、絞り込んだ客層にとって重要なものは何かを考え、新規会社としての既存会社との差異化・魅力度をいかにマーケットに伝えるかの答えを探求し、顧客に与えるインパクトが必要なのです。
プレミアムクラスから来た新しいラグジュアリークラスの客層は、アクティブな船上生活を望む傾向があります。
IT化と言われて久しい現代、今まで以上に進化したコンピューター・システムの導入や乗客の知的好奇心を満たすために、船上での多彩なカルチャー教室も重要です。日本人のクルーズ乗船客にとっては「非日常的」と思われるのですが、反対にアメリカ人クルーズ船客にとって、船上は「日常性」にあふれたもので無ければないのです。
アメリカ人乗船客にとって快適な環境を作り出すには、公用語は母国語である英語はもちろんのこと、通貨も両替不要のUSドル、食生活もハンバーガーやホットドッグも何時でも食べられること、つまり「ホーム・アウェイ・ホーム」が彼らを魅了させる標品開発のテーマなのです。つまり非日常性は長続きしないのです。
毎日フランス料理のフルコースが1週間以上続くと飽きられるといった調査結果が出たのです。これは日本人がフォークとナイフを持ってフランス料理やイタリア料理など欧米人好みの食事が毎日続くとお茶漬けやそば、焼き魚定食などの日本食が恋しくなるのと同じ心理が働く傾向があります。
好んでラグジュアリークラスの客船に乗船するゲストの心を掴むには、非日常体験を味わいつつ、ライフスタイルは日常を忘れない。そんな環境を作るよう心を砕いていくことが同業他社との差別化、顧客の方が勝手に選んでくれるクルーズ会社になることが最も大切な鍵となるのです。
( その対象とする客層に、最も近い販売網は全米の旅行代理店網のネットワークであり、それを味方に付ける必要でした。特に、クルーズ初心者にとって旅行会社が与える影響、つまり共存共栄する関係を持つことが必須です。
この様な差別化・差異化が、マーケットに周知でき、就航後のプロダクトが期待通りなら、この業界、特にラグジュアリー・マーケットでは旅行会社・ 乗船客の口コミを通してブランドの浸透は早いに違いないと確信していたのです。
幸いな事に、各種の調査、全米の旅行会社のネットワークやクルーズのリピーターとの接触から、ラグジュアリー・クルーズの分野において、その先端を担っている「ロイヤル・バイキング社」(現:バイキングクルーズライン)が 100%の支持を得ていないことを知ったのです。
その理由としては、ロイヤル・バイキング社は、このラグジュアリー・クルーズ業界で、一人勝ちの状態で有ったが、このクルーズ会社を所有するノルウェーの親会社3社が、彼らの本業である海運業での不振で、クルーズ業に対する意思の微妙な食い違いを生んでいた。
また、アメリカの事業推進の核である当時のウオーレン・ タイタス社長の引退、それに加えてサービス自体が、マンネリ化し、顧客から飽きられ、 なおかつ他に競争がない事により、傲慢になりつつある傾向があった。これは競争相手がいない一つの「独占であるが故の宿命であったのです。リピーター比率が、高くなりすぎ、乗船客の平均年齢が 65 歳を超えるほど高齢化している現実でした。
そして時代の変化に対応できるような)新しい客を取り込む仕掛けに欠ける = 船上 における旅行商品開発力の陳腐化。同業他社への人材の流失により、プロダクトに貫かれていたシステムが変容し、適切なサービスに対する訴求力に欠けていたのです。
彼らの親会社3社としての将来のビジョンが、不明確な事に対して、不安を感じていた模様でした。
既に船隊も老朽化しているにも関わらず、次世代船隊像を描ききれないこと、、特に旅行会社の多くは失望していた様子でした。
当時プリンセス・クルーズ社によるロイヤル・プリンセス号の投入のニュースはロイヤル・バイキング社の船隊の老朽化を、さらに、印象づけるものであったのです。
当時、ノルウェーの親会社が、同じく同国資本である 「ノルウェージャン・クルーズライン社」から買収などを仕掛けられ、長期的な展望を開けるような環境でなかったのです。
会社の崩壊の道を歩んでいたのだ。これらの調査を通して、ラグジュアリークルーズのみならず、世の中のすべてにおける商品やサービスの初期ブランドの構築には以下の3つのことが重要であると確認したのです。
@旅行代理店や将来の船客に対する認知 が最重要であるが、今まだ形に見えるプロダクトがない状態では「誰が」このプロジェクトを推進しようとしているか、人財(材)作戦を前面に出すこと。
Aラグジュアリー・マーケットに出るには、既存のブランドとの差異化がどこまで出来るかがポイントとの認識に至った。
Bマーケットとの接点においては、旅行代理店など販売網との共存共栄関係の 構築が不可欠との結論を出していた。
いずれにせよ、新規に始める会社が、成功するためには、このようなハードルを越え、プロダクトのブランド力を常に強化し、10 年後以降にも、この業界で定評を得るような基礎を固める事が重要との判断したのです。