2017年10月31日
《その100》 単項の算術演算子
単項の算術演算子
単項+演算子 … 数学で +x, +y などと書くときの "+"
単項-演算子 … 数学で -x, -y などと書くときの "-"
次のクラス C は、三つの整数値データメンバを持っています。このクラス C を例に、単項+演算子、単項−演算子についてチェックしてみようと思います。
class C {
int a_;
int b_;
int c_;
public:
C(int a, int b, int c) : a_(a), b_(b), c_(c) { }
int a() { return a_; }
int b() { return b_; }
int c() { return c_; }
C operator+() const { return *this; }
/*
↑ 単項+演算子の定義
( 自分自身の値を返す。)
*/
C operator-() const { return C(-a_, -b_, -c_); }
/*
↑ 単項-演算子の定義
( データメンバの符号を反転した C型オブジェクトを作成し、その値を返す。)
*/
};
◆単項−演算子はデータメンバの符号を反転した C型オブジェクトの値を返しますが、もとのオブジェクトのデータメンバはそのままです。
例えば
C p( 1, 2, 3);
C q( 10, 20, 30);
q = -p;
のような場合、C型オブジェクト q には p のデータメンバを反転した値が代入されますが、p 自体のデータメンバは変化しません。
q = -p; // q … (-1, -2, -3);
q = -(-p); // q … ( 1, 2, 3);
q = -(-(-p)); // q … (-1, -2, -3);
q の値は反転しますが、p の値は変化しません。
それが、単項+演算子 の仕様です。
◆組込み型の場合と同じ仕様になっていることを、次の整数型の場合で確認しておきます。
int a = 10;
int b = 20;
b = -a; // b … -10;
b = -(-a); // b … 10;
b = -(-(-a)); // b … -10;
b の値は反転しますが、a の値は変化しません。
それが、単項−演算子 の仕様です。
◆これは反則になりますが、単項−演算子を次のように定義すると仕様が変わります。
C& operator-() { a_ = -a_; b_ = -b_; c_ = -c_; return *this; }
参照を返すということの意味が少し確認できるのではないでしょうか。
C p( 1, 2, 3);
-p; // p … (-1, -2, -3);
-p; // p … ( 1, 2, 3);
-p; // p … (-1, -2, -3);
p 自身のデータメンバの値が反転します。
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