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田中絹代(1909~1977)
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田中 絹代(たなか きぬよ)は、大正・昭和期の日本の女優・映画監督。黎明期から日本映画界を支えた大スターであり、日本映画史を代表する大女優の一人。山口県下関市丸山町に四男四女の末娘として生まれる。呉服商などを営む傍ら20軒ほども貸し家を持つ裕福な家であったが、絹代が3歳になって間もない1912年、父が病死。その後母は藤表製造業を営んでいたが、使用人に有り金を持ち逃げされるなどの災難に遭い、一家の生活は徐々に暗転。1916年、下関市立王江尋常小学校に入学、経済的困窮で充分な通学ができない状況だった。幼少時より、琵琶を習い、1919年に、大阪楽天地の琵琶少女歌劇の舞台に立つ。兄が松竹大阪支社で給仕として働いていた関係で、1924年に松竹下加茂撮影所に入所し、野村芳亭監督の『元禄女』でデビュー。まもなく、当時新進監督だった清水宏に『村の牧場』の主役に抜擢。松竹蒲田撮影所に移った後の1927年、五所平之助監督の『恥しい夢』が好評を博し、その後、当時の人気スター鈴木傳明とのコンビで売り出し、松竹のドル箱スターとなり、会社の幹部に昇進する。また、五所監督による日本初のトーキー映画、『マダムと女房』に主演した。特に、上原謙とのコンビで1938年に公開された『愛染かつら』は空前の大ヒットとなり、シリーズ化された。1940年には、溝口健二監督の『浪花女』(共演:高田浩吉)に出演し、終戦後も、同監督の『女優須磨子の恋』や小津安二郎監督の『風の中の牝鶏』などに出演し、高い評価を得、1947年、1948年と連続して毎日映画コンクール女優演技賞を連続受賞する。1952年に溝口監督が絹代のために温めてきた企画である『西鶴一代女』に主演する。この作品はヴェネツィア国際映画祭で国際賞を受賞し、女優として完全復活を果たす。翌1953年には同じコンビで『雨月物語』を製作、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞する。映画監督業への進出を志し、成瀬巳喜男監督の『あにいもうと』(1953年)には「監督見習い」として加わり、同年『恋文』を監督。日本で二人目の女性監督の誕生であった。その後も、木下惠介監督の『楢山節考』、小津監督の『彼岸花』、京マチ子主演の『流転の王妃』の演出など、常に映画界をリードする活躍。出演映画において世界三大映画祭(カンヌ・ヴェネツィア・ベルリン)の全てを受賞し、三冠を達成。また、日本で二人目の女性映画監督でもある。
●晩年考
1970年の『樅ノ木は残った』に出演以降、テレビドラマにも活躍の場を広げ、『前略おふくろ様』の主人公の母親役やNHK朝の連続テレビ小説『雲のじゅうたん』のナレーションなどで親しまれた。同年、紫綬褒章受章。1974年に主演した、熊井啓監督の映画『サンダカン八番娼館 望郷』の円熟した演技は世界的に高く評価され、ベルリン国際映画祭銀熊賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞した。1977年3月21日、肺癌が転移した脳腫瘍のため67歳で死去。遺作はテレビドラマ『前略おふくろ様』。最晩年、借金を抱えて困窮していた田中の面倒は唯一の親戚である又従弟小林正樹監督が看ていた。病床についた田中は「目が見えなくなっても、やれる役があるだろうか」と見舞いに来た者に尋ねたという。死後、勲三等瑞宝章が授与された。同年3月31日、映画放送人葬が行われ、5000人が参列した。
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DVD『愛染かつら』総集編
(1938年、松竹、野村浩将監督、田中絹代・上原謙主演、NHKエンタープライズ)
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映画『楢山節考』
(1958年、松竹、木下惠介監督、田中絹代主演)
★「恋多き女性」としても有名で、清水宏監督との同棲生活と破局、慶應義塾大学野球部の花形スターだった水原茂とのロマンスなどは大きな話題となった。・・・その波乱に富んだ一生は、1987年に市川崑監督、吉永小百合主演で『映画女優』というタイトルで映画化されたらしい。・・・知ってる??
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