2020年08月14日
いいことずくめの新型コロナ「指定感染症解除」に、厚労省が後ろ向きなワケ
窪田順生:ノンフィクションライターのダイヤモンドオンラインでの記事からです。
→→本文:https://diamond.jp/articles/-/245369?page=6
「新型コロナウイルスを指定感染症から外せ」という声が強くなってきている。
たとえば、国際政治学者の三浦瑠麗氏はSNSで、「指定感染症から外すか指定レベルを下げるべきだ」と主張。出演した『ワイドナショー』(フジテレビ系)でも同様の発言をされていた。
ダイヤモンド・オンラインでも、上久保誠人・立命館大学政策科学部教授が「コロナ抑制と経済を両立する『第3の道』へ、このままでは日本がもたない」(8月6日)の中で、新型コロナを「指定感染症」から外すべきと提言されている。この他にも、多くの有識者、政治家、そして医療関係者が、現在の「第二類相当の指定感染症」から除外するか、もしくは季節性インフルエンザと同程度の五類感染症扱いにすべきだという主張をしている。
実は「経済より命を守れ」派の人たちにとっても、これは悪い話ではない。
:
コロナを「第二類相当の指定感染症」から外せば、本当に治療が必要な重症患者に医療資源を集中できるのだ。
:
さらに言ってしまうと、「経済より命を守れ」派の人たちが渇望している「いつでも、どこでも、何度でも」というPCR検査体制の拡大も、「指定感染症から外す」ことで難なく実現できる。
8月5日、日本医師会は政府に『新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大を見据えた PCR等検査体制の更なる拡大・充実のための緊急提言』を提出した。その中で、今よりPCRの検査の数を増やすためには、以下のようなことが必要だと述べている。
「PCR等検査実施の委託契約(集合・個別)の必要がないことの明確化」
実は現行の検査体制では、PCR検査を行っている病院・診療所、地域外来・検査センターは、地域の保健所と委託契約を結ぶことが求められる。つまり、PCR検査とはあくまで「行政検査」であって、医療機関はそれを代行しているという建て付けなのだ。
では、なぜこういう多重請負構造になっているのかというと、やはり新型コロナが「第二類相当の指定感染症」だからだ。結核やSARSなども含まれる第二類感染症は、感染症法に基づいて都道府県知事が定めた指定医療機関への入院、場合によっては隔離措置が取られる。そのため保健所としては、感染者の情報を自分たちでしっかりと管理したい。だから自分たちと委託契約を結んだ医療機関にしか、検査をさせないようにしてきた。
しかし、日医はその「委託契約」が不要だと述べている。それはつまり、保健所がボトルネックとなって、PCR検査を増やすことができないと言っているのと等しい。
:
4月にNHKが『誰かが倒れたら、もう終わり』(2020年4月2日)という保健所職員たちの悲痛な叫びを報じたが、そのブラックぶりはまったく改善されていない。7月22日の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、「一部保健所で対応逼迫」と指摘されている。
ただ、これがなかなか難しい。日本のコロナ対策の陣頭指揮をとっている厚生労働省健康局結核感染症課が、決してそのような話を容認しないからだ。
では、なぜ厚労省はそこまでしてコロナを指定感染症にとどめておきたいのか。いろいろなご意見があるだろうが、この組織の「出自」に関係しているのではないかと考えている。
実は、厚生労働省の前身である厚生省が1938年に設立された理由の1つは「結核撲滅」だ。当時、世界的に流行して、日本でも死亡率が高かったこの感染症に立ち向かうため、小泉親彦・陸軍省医務局長ら陸軍主導で組織された。厚労省という組織のそもそもの存在意義は、「結核撲滅」に代表される感染症対策なのだ。感染症対策といえば厚労省、厚労省といえば感染症対策なのだ。
日本政府は特に目新しい対策をするわけでもなく、かといって検査を増やすわけでもなく、じわじわと国民の間に感染を広めている。果たしてこれがどういう結果に落ちつくのかわからないが、「日本モデル」の感染データは、全て厚労省と国立感染研究所のもとに集められている。
→→本文を読んでください:https://diamond.jp/articles/-/245369?page=6
→→本文:https://diamond.jp/articles/-/245369?page=6
「新型コロナウイルスを指定感染症から外せ」という声が強くなってきている。
たとえば、国際政治学者の三浦瑠麗氏はSNSで、「指定感染症から外すか指定レベルを下げるべきだ」と主張。出演した『ワイドナショー』(フジテレビ系)でも同様の発言をされていた。
ダイヤモンド・オンラインでも、上久保誠人・立命館大学政策科学部教授が「コロナ抑制と経済を両立する『第3の道』へ、このままでは日本がもたない」(8月6日)の中で、新型コロナを「指定感染症」から外すべきと提言されている。この他にも、多くの有識者、政治家、そして医療関係者が、現在の「第二類相当の指定感染症」から除外するか、もしくは季節性インフルエンザと同程度の五類感染症扱いにすべきだという主張をしている。
実は「経済より命を守れ」派の人たちにとっても、これは悪い話ではない。
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コロナを「第二類相当の指定感染症」から外せば、本当に治療が必要な重症患者に医療資源を集中できるのだ。
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さらに言ってしまうと、「経済より命を守れ」派の人たちが渇望している「いつでも、どこでも、何度でも」というPCR検査体制の拡大も、「指定感染症から外す」ことで難なく実現できる。
8月5日、日本医師会は政府に『新型コロナウイルス感染症の今後の感染拡大を見据えた PCR等検査体制の更なる拡大・充実のための緊急提言』を提出した。その中で、今よりPCRの検査の数を増やすためには、以下のようなことが必要だと述べている。
「PCR等検査実施の委託契約(集合・個別)の必要がないことの明確化」
実は現行の検査体制では、PCR検査を行っている病院・診療所、地域外来・検査センターは、地域の保健所と委託契約を結ぶことが求められる。つまり、PCR検査とはあくまで「行政検査」であって、医療機関はそれを代行しているという建て付けなのだ。
では、なぜこういう多重請負構造になっているのかというと、やはり新型コロナが「第二類相当の指定感染症」だからだ。結核やSARSなども含まれる第二類感染症は、感染症法に基づいて都道府県知事が定めた指定医療機関への入院、場合によっては隔離措置が取られる。そのため保健所としては、感染者の情報を自分たちでしっかりと管理したい。だから自分たちと委託契約を結んだ医療機関にしか、検査をさせないようにしてきた。
しかし、日医はその「委託契約」が不要だと述べている。それはつまり、保健所がボトルネックとなって、PCR検査を増やすことができないと言っているのと等しい。
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4月にNHKが『誰かが倒れたら、もう終わり』(2020年4月2日)という保健所職員たちの悲痛な叫びを報じたが、そのブラックぶりはまったく改善されていない。7月22日の新型コロナウイルス感染症対策分科会でも、「一部保健所で対応逼迫」と指摘されている。
ただ、これがなかなか難しい。日本のコロナ対策の陣頭指揮をとっている厚生労働省健康局結核感染症課が、決してそのような話を容認しないからだ。
では、なぜ厚労省はそこまでしてコロナを指定感染症にとどめておきたいのか。いろいろなご意見があるだろうが、この組織の「出自」に関係しているのではないかと考えている。
実は、厚生労働省の前身である厚生省が1938年に設立された理由の1つは「結核撲滅」だ。当時、世界的に流行して、日本でも死亡率が高かったこの感染症に立ち向かうため、小泉親彦・陸軍省医務局長ら陸軍主導で組織された。厚労省という組織のそもそもの存在意義は、「結核撲滅」に代表される感染症対策なのだ。感染症対策といえば厚労省、厚労省といえば感染症対策なのだ。
日本政府は特に目新しい対策をするわけでもなく、かといって検査を増やすわけでもなく、じわじわと国民の間に感染を広めている。果たしてこれがどういう結果に落ちつくのかわからないが、「日本モデル」の感染データは、全て厚労省と国立感染研究所のもとに集められている。
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