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CajonDrumerTetsuya
2017年に倒産したドラムメーカーでドラム職人、カホン職人をしていました。その後、新しく立ち上げたカホンメーカーに合流後、現在は木工職人、ドラム講師、カホン講師、演奏者、ドラムサークルファシリテーター等で活動しています。
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posted by fanblog

2020年08月13日

単なる補強ではない!ドラムのレインフォースメント

こんにちは。元ドラム/カホン職人のTetstuyaです。毎日暑くてバテバテです(笑)
皆様はお元気でしょうか?

以前の記事でレインフォースメントは奥深いというのを書きましたが、何が奥深いのか?というのが今回のテーマです。

レインフォースメントはドラム内側上下のエッジについている補強リングのことです。
よくヴィンテージドラムと呼ばれているものには装着されています。
RF.png
(画像はヤマハのホームページからいただきました。)

僕はヴィンテージドラムについては全然興味が無かったのですが、、サカエの工場の倉庫で60年代?70年代?のドラムがあったので、見てみるとレインフォースメントは確かに付いていました。
(因みに、、サカエリズム楽器は90年続いて2017年倒産ですので、倉庫はいろいろ古いタイコがあって歴史を感じていました。)

そう、レインフォースメントはドラムの胴体の鳴りをよくするためなるべく薄くしたための補強なのです。

以降、成型技術も進化し、薄くて強靭な胴体を作ることができ、レインフォースメントも必要なくなってきました。
YAMAHAでいえばエアバック成形という、合板を型にはめて内側からエアバックで合板を圧着していくという成型の仕方です。

ところが、時は流れて『あの頃(60年代ころ)のサウンドが欲しい』というところからヴィンテージライクなドラムを作るようになりました。

ここからはYAMAHAのスネアの話になります。

YAMAHAが現代のドラムになってから初めてレインフォースメント(以下RF)のドラムを作ったのは
BSD1550JRというジョンロビンソンのシグネチャースネアです。
BSD1550JR.png

サイズが15”×5”でバーチ4プライ+RFバーチ4プライ、ウッドフープはメイプル19プライというなかなか珍しいスペックです。
色はカバリングでホワイトマリンパールとはちょっと違うホワイトゴールドっていう色です。
正直いって僕としては、これは買っておけば良かったなーっていうスネアです。

でも、、あんまり売れなかったような、、(笑)

ジョンロビンソンは、マイケルジャクソン、チャカカーン、最近ではレディガガ、他多数。。また1985年に発売されたチャリティーシングル「We Are the World」も参加しているスタジオミュージシャン。その人が15インチというサイズをチョイスしたのが興味深いですね。

後にBSD1455NJR、BSD1465NJRなど胴体に20本のカッパーピンを埋め込んだシグネチャースネアを出しています。これもまたマニアックですな(笑)

BSD1550JRより少し遅れて発売したのはスティーブジョーダンシグネチャースネア
MSD1365SJです。
MSD1365SJ.png

「貴重な森林資源を保護しつつ、理想のスネアドラムを作ってほしい」というスティーブ・ジョーダンの希望により、再び育成が確保されている森林から得られるメイプル材を使用。4プライ、13"x 6 1/2"という薄銅で深めのサイズのシェル。上下のエッジには6プライのレインフォースメント(補強)を施し、シェルの強度アップと芯のあるサウンドを獲得しています。・・・(カタログより)

これはむっちゃ売れました。そして、、最初は手こずったんです。
BSD1550JRのRFは4プライでしたが、MSD1365SJのRFは6プライになり剛性が高くなりました。
RFを嵌める時は胴体の内側を0.3mm~0.5mmほど削るのですが、胴体もRFも大きさにバラつき(コンマ数ミリの世界ですよ)があって、削りすぎたり、削り足らなかったり、、削りすぎると補強にならないので、最初は削り足らないところで合わせてみて少しずつ微調整するのですが、無理やりでも嵌らなくもない(笑)

でも、無理やり嵌めると胴体が割れるんですよね。。

BSD1550JRは4プライ同士でバランスがいいのか、割れることは無く比較的簡単だったんですが、MSD1365SJのRFが6プライで胴体よりも剛性が高くなったせいか、削る深さがシビアになったんでしょうね。

それともう一つ気が付いたことがあって、胴体の上下にRFを嵌めたあと、胴体を手で叩くと
『トゥーーン』って伸びのあるいい音がするんです。
嵌める前の胴体の音は
『ボヨヨ〜ン』という張りのない音。
篏合(かんごう)がきつすぎると
『トゥっ』って、伸びがない。
篏合(かんごう)が緩いと
『ボっ』って、、
張りもないし伸びもない音になります。。

これは最初に試作→増加試作としている中で気が付いたので、世の中に出回っている生産品は全て『トゥーーン』って伸びのある音がしている胴体のはずです。
このことがヒントになって、のちの
SAKAEカホン→LiMEカホンを製作したときのようにフレーム構造で
『4面すべて違う音』の構想に繋がりました。


つまり薄い合板(この場合4mm)に剛性の高いRF(この場合は6mm)のフレームを付けると、ドラムヘッドにテンションをかけるように音に張りが出て、程よいサスティーンが獲得できるっていうことです。

ま、、部品も付いてるのでどこまで影響があるかはわかりませんが(笑)

これも、、買っってた方が良かったな、、(笑)

その後、アンドレ・チェッカレリシグネチャースネア
MSD1455ACを発売。
MSD1455AC.png

メイプル4プライ(メイプルRF6プライ)14"×5.5"
こちらは内蔵ミュート、スナッピーはロングタイプ、亜鉛ダイカストフープでなかなか興味がそそられる仕様。色もライムグリーンスパークルで、ヴィンテージドラムでありがちな、、、
シルバースパークルが経年変化で変色しちゃったような色。。

いま思えば、、買っておけば良かった(笑)

そして、、ヴィンテージコンセプトというシリーズで作ったスネア。
YAMAHAがサカエリズム楽器から撤退する直前に作ったスネアですね。
VSD1460
VSD1460.jpg
メイプル4プライ(メイプルRF6プライ)14"×6"で8ラグとボルト数は少な目。
ヴィンテージサウンドを目指した仕様となっています。

これも、、買っておけば(笑)
結局、、全部もっておけば良かったですね(笑)

思入れが強いのはMSD1365SJです。一番手こずったっていうのもあるんですが、口径が小さいから難しかった?というのもあるし、胴体を手で叩いたときのトーンが一番好きなんですよね。
13"×6.5"というサイズ感がバランスがいいのかもしれない。(念のために言うと、、胴体を叩いたときに音なんで、部品付けてヘッド貼ってしまえば、別の要素が加わっているからあまり参考にならないとは思います)

現在、ヤマハではレインフォースメント仕様のスネアは無くなっていますが、他のメーカーではありますね。
工法が違うのでまったく同じようなものではないと思いますが、ヴィンテージライクな音を目指している仕様となっています。

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レインフォースメント自体がヴィンテージドラムの音作りに貢献しているかもしれませんね。
胴体は単板であったり、合板でも薄い胴体ですので反応が良いのが特徴になりますね。

ところで、SAKAEもレインフォースメントのスネア、ドラムセットを製造していました。

メイプル+ポプラ+メイプルの3プライ
RFは10〜13はメイプル4プライ、14インチ以上は6プライというTrilogy(トリロジー)シリーズ
51pij0UMpbL._AC_.jpg

もちろん、ヴィンテージライクな音を目指してのドラムです。次回はSAKAE Trilogyシリーズについて書きたいと思います。

最後までお付き合いありがとうございます。このブログがスネア選びの参考になれば嬉しいです。
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この記事へのコメント
お疲れ様です。OCDPの主材はメタルで、レインフォースメント部は木材のスネアを使ってます。情報が無いので、困ってます。
Posted by フミヤ at 2022年09月17日 22:10
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