2018年02月14日
そもそも「ウミガメのスープ」ってなに?@
一言で済ませるならウミガメのスープとはパズルゲームのことです。
しかし一般的なパズルではありません。
右脳パズル、シチュエーションパズルとか水平思考ゲームとか言われるように、普通のロジカル・シンキングでは解けず独特の想像力が必要となります。
問題文として風変わりな謎のあるストーリーを聞かされるので、ヒントに基づいて推理して真相を明らかにします。
ルールとして出題者に何度か質問できますが、質問は必ず「Yes」か「No」もしくは「関係ありません」で答えられるものでないといけません。
◆なぜウミガメのスープと呼ばれるの?
これはもっとも有名な問題が「ウミガメのスープ」を材料としているからです。
元からウミガメのスープは「水平思考 Lateral thinking」を働かせる問題として出されてきました。
「水平思考」は「AだからB」といった直線的(Vertical)に論理立てて考えるのを否定して、Lateral=(横に、水平に)考えて問題解決をしていこうとする手法です。
三段論法のように順を踏んで考えるのではなく、途中の論理を飛ばして感覚的、直感的に答えを出すところがあります。
そのため「問題文」も普通に論理的に考えたら解けません。
代表作の「ウミガメのスープ」の問題は以下のものです。
男がレストランに入り「ウミガメのスープ」を注文した。
一口スープを味わった男はレストランを飛び出して拳銃自殺してしまった。
なぜ?
話によって細部は違いますが、基本的なストーリーは上のようになります。
論理的に考えると「さっぱり分からん」になります。
答えもいくつも出来そうですね。
そこでイエス・ノーの質問を重ねて答えに近づきます。
Qスープに毒か不快な物が入ってた?
Aいいえ
Qスープを口にしたのが自殺の原因?
Aはい
Qウミガメ以外の食材が入ってた?
Aいいえ
Q男の職業は海に関係している?
Aはい
Q男の過去の経験が関係してる?
Aはい
など。
答えは以下のようになります。
A
男は船乗りである時に遭難して無人島に漂着した。
食料が無いため仲間が次々に死んでいく。
衰弱した男に一人の男が「ウミガメが見つかった」とスープを作ってくれてなんとか生き延びて救出された。
しかしレストランで本当のウミガメのスープを食べると味がまったく違う。
実は仲間は「ウミガメ」と偽って死んだ仲間の肉を食わせていたのだ。
真相に気付いた男はショックで自殺してしまった……
どうでしょう?
「分かるかそんなの!」と思われたかもしれません。
しかし水平思考パズルは大体がこの手の問題です。
そこが右脳とか水平思考ゲームといわれるところで、自由にユニークな発想を働かせて答えを出すので、一種のユーモア精神と柔らかい頭が必要なのですね。
パーティーや何人かのグループで出題するのが想定されていて、
半分ジョークや小話の面白さもまじえてわいわいやれるように期待されてるようです。
堅苦しく考えず楽しみましょうと。
過去に水平思考がブームになったのもあって、世界中に愛好者が生まれて日本にもファンが多いです。
◆「ウミガメのスープ」なのは日本だけなの?
日本版において以前から言われてきた問題があります。
すなわち「ウミガメのスープ」の元ネタはウミガメではなく「アホウドリ」だという話です。
「ウミガメの」スープとして理解しているのは日本の特殊事情だと。
IT時代のありがたいところはすぐに調べられることです。
実際に海外のウミガメのスープ事情を調べると真相が分かりました。
What is the answer to the Albatross Soup Riddle?
A man goes into a restaurant, orders albatross soup, takes a bite, and then kills himself.
What happened?
中学校の英語教科書に出てきそうなほどシンプルです。
なじみある日本語訳の文章が目に浮かびますね。
ここのAlbatrossは辞書で引けば一発で分かりますが「アホウドリ」です。
「ウミガメのスープ」の原作のポール・スローン氏の著作を検索するとさらにはっきりしました。
もう"そのまま"というか、間違えようなくアホウドリですね。
亀じゃないです。Albatross Soupです。
検索でもAlbatrossの方でバシバシ引っかかってくるので、
アホウドリの方がメジャーなのは確かなようですね。
ちょっと話はずれますが、上の書はHall of Fameですから「殿堂入り」ってことで水平思考パズルの選りすぐり、ベスト版ってことですよね。
ただしカスタマーレビューはあまり良くありません。
☆二つで「Disapointting」ってタイトル付けた人のコメントが簡にして要を得ていると思うので一部引用します。
Too many of the puzzles are more about your ability to make up some ridiculous story or tenuous connection than about problem solving.
はっきりと「ridiculous story」と「tenuous connection 」と書いてありますね。
tenuousは希薄な、とかつながりの乏しいみたいな意味ですね。
このブログの「論理パズルの不満」でも「限定が弱い」「答えがいくつもできる」などと少し触れましたが、「なぜその答えか」みたいな必然性がやはり不足するのは否めません。
論理をあえて軽視するところから来る欠点です。
そして答えにたどり着くには「馬鹿げた」ストーリーを自分で作り出さないといけない、みたいな批判が出てきます。
ユーモア心を持って構えて笑えたら良いって気もしますが。
日本語版のウミガメ本への批判コメントにも似たものがあるので、やっぱり人間の感じることは同じようですね。
このレビュアーは続けます。
If you want to exercise your imagination, then the book is fine. If you want to develop your logical thinking it's not a good investment.
まさにそのとおりと言うか。
想像力の訓練には役立つがロジカルシンキングにはお門違いって思ってるわけですね。
水平思考自体ががその手のロジカルシンキングの限界を飛び越えて発想力をつけようって思想ですから、仕方ない点もあります。
あまり「思考訓練」とかガチガチに考えず、リラックスして楽しみながらやりましょう。
良問は笑ってしまったり小話のように独特の雰囲気があったり、発想が面白いと感心するものもあるので。
ウミガメ式パズルの問題は、ジョークや都市伝説に分類されてることもあるので、その種のものの延長と思ってもいいかも。
本題に戻ると英語版でも「ウミガメ」が無いわけではありません。
「turtle soup」バージョンでも出てきます。
日本のブログもかなり引っかかりますが。
ヤフーのフォーラムや各種サイトでもそこそこ「ウミガメのスープ」があります。
って本もありましたが、これはちょっと別の種類のパズルかもしれません。
日本語版のウミガメのスープは、わざわざ邦題に「ポール・スローンの」と冠をかぶせているようにスローン氏の本が元ネタですが、原著にあり、海外でもメジャーなアルバトロスではなくて「ウミガメ」の方を採用してるわけですね。
ちなみに「ウミガメ」の元ネタを探してる方は何人もいるようで、ニコニコ動画にもありました。
ナレーションが機械音声なので力が脱けそうになったり、ふざけ気味に作ってあるので笑ってしまうところもありますが、要所は押さえてあります。
抜き出すと
・1985年にその名も『Albatross』というアホウドリ(ウミガメ)のスープの内容を映像化したインディペンデント系のイタリア映画がある。
【基本ストーリー】
結婚十周年を記念して船旅に出た夫妻。しかし船が敵の攻撃を受けて爆発炎上、無人島に漂着。
夫は攻撃が原因で失明し後で妻も死亡してると判明。
生き残りの仲間は夫に「アホウドリの肉」を調達してきて食べさせてくれるが、救出されてからレストランでアホウドリ料理を食べた夫は真相に気付き拳銃自殺。
・世界中で基本ストーリーは同じ。登場人物など「元水兵」「漁師」「成人男性」など細部が少し違う。
・「かもめのスープ」「アホウドリ料理(サンドイッチ)」「あわびのスープ」などもある。
ここでもやはり「アホウドリ」なわけですね。
ただし動画内で「ウミガメなのは日本だけ」と言われてるのは少し違うようで、上で引用したようにタートルのスープもそこそこ見受けられました。
結論をまとめるとこんな感じでしょうか。
・「アホウドリのスープ」の方が世界ではメジャーであり、そちらが通じる。
・料理にはいくつかバリエーションが存在していてその中に「ウミガメ」もある。
・なぜか日本には古くから「ウミガメ」の方が入ってきてそちらが定着。アホウドリが元ネタと知らない人も多い。
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