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2018年02月14日

そもそも「ウミガメのスープ」ってなに?A


◆日本で「ウミガメのスープ」として定着するまで

@のニコニコ動画のウミガメスープの話でも触れられていましたが、日本で「ウミガメのスープ」を紹介したのは作家の景山民夫氏とされます。
wikipediaにもそう書かれているようですね。

雑誌『バッカス』1987年の9月号で発表したエッセイでタイトルもそのまま『海亀のスープ』です。

「水平思考」やそれに類する右脳パズルのようなものは古くからありました。
有名な多湖輝氏の「頭の体操」シリーズもベストセラーです。

しかし水平思考パズル「ウミガメのスープ」の紹介者は景山氏のようです。
今分かってる範囲では、ですが。

  エッセイが収録された単行本
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出典: 『どんな人生にも雨の日はある』 ブロンズ新社
エッセイ 「海亀のスープ」
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景山民夫さん原作で「世にも奇妙な物語」でドラマ化されたのでご存知の方も多いかもしれません。

キャスト:いかりや長介、天本英世、木内みどり、他

1987年の時点ですでに「ウミガメ」になっているわけですね。

景山氏は「元々はハーバード大学の学生が考えたゲームとかいうことで」とさらりと流しています。

もし景山氏が手間暇かけて「ウミガメ」にわざわざ改変したならそう言及しそうです。
また食材がアホウドリなど色々あると知っていたら格好のエッセイのネタになるとも思いますが、「知らずにそのまま引用している」という感じです。

同書では、多才な人類学者のライアル・ワトソンと酒を飲んで、彼がオカルトネタから寿司のコハダさえ知ってる博学振りに驚く話も出てきました。

こうした外国人との交流の中で教えてもらったり、英語文献を通して知ったのならメジャーな「アルバトロスのスープ」になりそうです。

長々とウミガメのスープの遊び方が解説されてる割には、その辺りの違いは触れられてないのです。

とりあえず、こうした「ウミガメのスープ」で受け入れられた下地があったために出版社も「ウミガメ」を選んだのかもしれません。





●食文化としてもウミガメの方が身近だった?
日本の食文化として近しいので選んだ可能性もあります。

「アホウドリのスープ」だとあまりなじみがありません。
しかし「ウミガメのスープ」なら昔から高級料理としてそこそこ食べられていて、海外航路でもよく出されたそうです。
今でもありますね。


>ウミガメとの関わりは古くからみられ、日本の童話中にも浦島太郎の説話が>あるように馴染み深い生き物である。

>また人気怪獣のモデル(ガメラ)などとしても映画などに利用されている。

>日本における食用としてのウミガメの利用は、小笠原諸島におけるアオウミ>ガメが最も有名である。

>1876年より日本領土となった小笠原諸島では、産業振興のためにアオウミガ>メ漁業が当時の農商務省により奨励された。

>アオウミガメ漁業は現在も行われているが、漁獲量は当時に比べて種の保全>を考えて上限がきめられている(養殖も試みられている)。

>沖縄県でも八重山地方を中心に一定の漁獲割り当てがあり、料理店で刺身や>汁物、から揚げなどで提供されている。

kame2.jpg

小笠原産のウミガメを使ったコンソメスープ



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出典:Wikipedia

小笠原諸島の郷土料理・ウミガメの煮物


日本ではウミガメ料理の方がメジャーだからとか、「アホウドリ」ではいまいちネーミングがしまらないからウミガメにしたみたいなこともあったんでしょうか?





●もう一つの可能性 「不思議の国のアリス」のニセウミガメ
文化背景的に考えていくと「ウミガメ」は水平思考パズルにぴったりする要素もあります。

辞書によればアホウドリのalbatrossには「重くのしかかるもの」「何かの妨げ、ハンディキャップとなるもの」の意味もあります。


成句
an albatross around one’s neck
回避できない重荷

she was an albatross around his neck
彼女は、彼に一生ついてまわる劫罰だった


謎かけ問題の「アホウドリのスープ」の内容からすると、こうした意味合いを感じさせるものがいいでしょう。
なんせタブーである人肉食の重みがあります。

しかし「背景の意味」まで考えるとウミガメもけっこうハマるのです

「不思議の国のアリス」には「代用ウミガメ」も出てきて「ウミガメのスープの歌」も歌います。
詳しい方なら「元ネタ」と言えばアリスを連想されるかもしれませんね。

本文が「プロジェクト杉田玄白」にありました! 参考までに。


訳者によって代用ウミガメの名前は「にせの」「うみがめもどき」「ウミガメ風」などと色々です。
それでもすべて「まがいもの」「にせもの」であることが共通しています。

外見も挿絵のように頭は牛で手にひれ、長い尻尾がある奇妙な姿です。

代用ウミガメ

Alice_par_John_Tenniel_35.png


出典:Wikipedia





これについてヤフー知恵袋でも質問されていました。


「不思議の国のアリス」という物語に出てくる『にせウミガメ』について教えて下さい。

どうして『にせウミガメ』は、あんな奇妙な姿をしているのですか。

名前の由来も分かったら教えて下さい



以下がベストアンサーです。



その昔、イギリスでウミガメのスープが大変人気になった事があります。

ところが、ウミガメは希少種であったために高価であり、なかなか皆の口には入りませんでした。

さらにウミガメを捕ることも法律で禁止されたのです。

そこで、レストランでは仔牛の頭を使ってウミガメのスープに模したスープを作って Mock Turtle(代用海ガメ)Soupとして提供するようになったのです。

けして偽物としてあったのではなく、”がんもどき”は鳥の雁を模した「もどき」ものであり雁の偽物でないのと同じです。

しかし、不思議の国のアリスのお話の中で、Mock Turtle(代用海ガメ)と云う言葉から甲羅を背負った仔牛みたいな奇妙なキャラクターを作り出したのです。

『不思議の国のアリス』の文章そのものは、非常に平易な英語で書かれていますが、そのなかには無数の英語に依存した掛詞や駄洒落が散りばめられています。

要するに『にせウミガメ』は、言葉の遊びから生まれたお笑いキャラクターだから、あんな奇妙な姿をしているのだと思って下さい



「代用」「ニセ」とか名前が付いて頭部が牛なのは現実を踏まえていたわけですね。

ダイヨウウミガメという名前どおりの架空の動物を創り上げたと。

ここで気付きませんか?

「本物のウミガメの肉にみせかける」というごまかしなわけです。

そう。

「ウミガメのスープ」の「ウミガメの肉とごまかされて食べる」「にせものの肉」のモチーフにどんぴしゃりじゃないですか。

これだ!

と言いたい所ですが問題があります。
「日本はそうした文化的な背景は共有していない」事実です。

要するに過去に「ニセウミガメ肉の流行」があり「ニセウミガメの肉」の意味合いが通じるからこそ、キャロルの代用ウミガメにも深みやリアリティが出てくるのでしょう。

あちらの方は

しかしわれわれはそうした背景は共有していません。
だからこそ「なんでニセウミガメ? 変な格好なの?」と疑問を抱き智恵袋でも質問するわけです。

説明されれば、ふーん、そうなんだねと理解を深められるかもしれません。
しかし日本では「ニセウミガメの肉」にそうした感覚はないでしょう。

終戦後にメチルアルコールが食用アルコールの代替品に使われて事故が起きたとか、鯨肉が手に入りにくいのでニセモノも出回ってるとか、高級マツタケのニセモノとか、精進料理の素食(見た目は肉そっくりだけど実は野菜などで作られてる)の方がまだ理解できるでしょう。

仮に「ウミガメ」に改変したのが英語圏の人ならそこまで考えてウミガメのスープに変えたのかは知りません。

もし「ウミガメ」に変更したのが日本人なら、「不思議の国アリス」のウミガメからとった可能性もあるでしょう。

しかし裏の文化的な意味合いまで分かって導入したかは疑問です。


◆オリジナルは誰が考えたのか?

「ウミガメのスープ」の発祥についてはいまいち分かっていません。

「ハーバード大学の学生が考えた」というのも流布しているであって確証があるわけではありません

パズル集を出して人気に火をつけたとされるスローン氏もあくまでコンパイラー(編集者)であって厳密には著者ではありません。

面白い発想のパズルを取捨選択して上手くまとめたわけですね。

人力検索はてなでも元ネタを探してる人が居て、スローン氏に直接メールして聞いた話も出てきます(もうリンク切れですが)。



そこでもやはりスローン氏が考えたわけでもないし、ハーバードの学生が考えたという話も真偽不明だとのことです。


他にも「Twenty question」と呼ばれるクイズの形式が影響したのではないかとも言われます。

これはウミガメのスープと同じく出題者に「はい」「いいえ」で答えられる質問を最高で20回繰り返し、正解を探るというゲームです。

日本でも「二十の扉」としてNHKなどで放送されて人気になりました。




●現実の事故が元ネタか?

実際に起きた飛行機事故が影響を与えたという説もあります。
ちょっとハードなネタになるので気を付けてお読みください。





ウルグアイのキリスト教系大学のラグビー選手とその家族らが、試合のためにチリに向かう途中で真冬のアンデス山中に墜落した飛行機事故です。

なぜこの事故が有名になったかと言うと、生存者が生き延びるために人肉食にまで手を染めてしまい、それがセンセーショナルに報道されたからです。

山の遭難事故ではあるのですが確かにウミガメネタを彷彿とさせるものはありますね。



極寒の雪に埋もれた山中に墜落したのですが、機体の色が雪と同じく真白のため発見が難しく、生存者がいるのに早々に捜索が打ち切られてしまったという不幸な事件でした。

生存者達もラジオで捜索打ち切りを知ったり、次々に仲間が死んでいく絶望的な状況の中、あきらめずに生還を果たしました。

人肉を食べるという極限状況にも堪えた奇跡の生還とのことで、世界中に大反響を巻き起こし、後には映画化もなされました。




ただしウミガメの話と違って、「もう食料が無いから死んだ連中の肉を食うしかない」って話し合いが持たれています。
最初から人肉と分かっていたわけで、後から真相を知って……といったことではないです。

だからこそ生き残りの一人が「自分が死んだら嫁と娘の肉を食べていいよ」と言った話とか、人肉を食べてまで生き延びることを拒否する人もいたといったことも伝わっています。

他に印象的だったのは、初めの頃は皆人肉に抵抗があったのに食べてるうちに慣れてしまい、肉の下ごしらえをしてる最中に横からつまみ食いする人もいたみたいな話です。


この事件もウミガメのスープにインスピレーションを与えた可能性はありますが、直接の元ネタかは断定できないです。
遭難事件で飢餓のあまり死体の肉を……といったケースはあちこちで発生してますから。

このアンデス山脈の遭難事件では、ローマ法王が「人肉を食べた罪は許す」といった声明を発表したそうですが、極限状態だったんだからそりゃ仕方ないでしょう。責められないと思います。


余談ですがこの事件から手塚治虫のエッセイの話を思い出しました。

『暗黒のドキュメンタリー「行き行きて神軍」』という映画評の中で触れられていたものです。

映画はカルト的な戦争犯罪の告発映画ですが、その流れの中で手塚氏は従軍されたお父様のことを書いてます。

お父様はフィリピンから復員してくると家族に戦地での苦労を語って聞かせたそうです。

知っての通り南方は補給が壊滅、人肉を食べる状況にまでに追い込まれた悲惨な戦場がいくつもありました。

フィリピンの山中でもろくに食べ物が無く、お父様が隊長を務めていた部隊は餓死者や逃亡兵が相次ぎます。

皆が食料調達に必死になりますが、小さな村がある場所を通ると、なぜか必ず部下達が「野豚」を手に入れてきたそうです。

しかも「まず隊長殿が召し上がってください」と最初に食べさせてくれたとか。


餓死者が出てる環境なのに腹いっぱい食べられるほどの「豚」が手に入る……


手塚氏はここで言葉を濁して「親父はもしかしたら極めて、恐ろしい話をしていたのかも知れない」と記し、「本当の野豚であったことを祈りたい」と結んでいます。

ちょっとホラー入ってますね。


手塚氏によるとお父様は要領が良い人で、何の才能や長所もないのになぜか周りに好かれて可愛がられるタイプだったとか。
そろばんや計算もできないのに主計少尉に任命され現地では将校扱いになるなど、上司や部下にも好かれてたそうです。

当時は横暴すぎて部下達から憎まれた上官も多かったのですが、手塚氏のお父様には部下が食料を調達してきてくれて、一番に腹いっぱい食べさせてくれてたとか。

おそらく鬼軍曹のような感じじゃなく、部下にも慕われるタイプだったのでしょう。

件の肉も本当に野豚の肉で、周りが貴重な肉をまず隊長に食べさせてあげた、みたいことかもしれません。


だいたい豚肉だったらウミガメやアホウドリと違って日本人もよく食べます。

味がおかしいとすぐ分かりそうです。

戦後に豚肉を食べたお父様が顔色を変えて外に飛び出して……みたいなことも無かったようですし。

もっとも人間の肉がどんな味がするかは知りませんが。



少し話がグロテスクな方向にずれてしまいました。

考えてみれば水平思考クイズの代名詞の「ウミガメ(アホウドリ)のスープ」自体にエゲつないネタが入ってます。

真相を追求していくとちょっとエグい方向に脱線するのは仕方ないです。

まあ大体都市伝説はえげつないのとか、おどろおどろしい話も混ざってます。

そうしたところから派生してきたのだとしたら、ちょっと怪しげな匂いをまとっているのも当然かもしれないですね。

「ハーバード大学の学生が考えた」「15分で解けるとFBIがスカウトにやってくる」とか真偽不明の尾ひれがついてるのも都市伝説っぽいですね。

ぶっちゃけウミガメ系の水平思考は論理をすっとばして奇抜な連想を働かせる所にだいご味があるので、FBIが捜査に応用したらマズいだろ……って突っ込みたくなりますが。


以下、Bに続く
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