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2018年02月15日

日露戦争 ロシアの鉄道輸送の逸話

日露戦争の頃の話です。

日本側は開戦前にロシアとの戦争になった場合のシュミレーションを立てていました。
ロシア側は物資と兵員の輸送にあたって、モスクワからのシベリア鉄道を使うのは間違いありません。

しかし鉄道は単線であり、民間の利用客で混雑し、モスクワとの距離の問題もあります。
往復の時間と列車の最大積載量などをひっくるめ、おおよそのロシア側の動員力を割り出していました。

しかし実際に開戦となると、ロシア側の動員力は日本の予想を遥かに上回ります。
速度、人員数を含めて倍以上でした。

別に日本の参謀本部が計算の仕方を間違っていたわけではありません。
そこにはロシア側の「アイデア」の冴えがありました。


いったいどんな手段を使って、ロシアは輸送力を高めたのでしょう?














A:
 ロシアは列車がハルピンに到着すると、そのまま脱線させて現地に遺棄していたのです。
 つまり一旦貨車を戻す必要はありません。

 往復で言えば往路だけの一方通行だけ考えればよく、輸送時間は通常の半分で済みます。
 一方的にどんどん兵隊と物資を送り、現地では貨車を兵隊の宿舎や倉庫にしたり、薪にして燃やしたりと再利用しました。
 
 民間人の利用を排除したり、氷結しているバイカル湖の上に新たに線路を敷設して、
 冬場限りの線路にもしようとしたそうです。
 
 怖しい生産力ですね。対米戦の時も国力が違うなどと言われましたが、当時も国力では不利な立場でした。


 つまり「運んできた列車をそのまま現地に捨てる」という発想が、近代化したばかりで
 国力の余裕がなかった日本には予測できなかったわけですね。


 
コメント
 注意すべきは、日本側もそれなりに根拠と予測に基づいて計算している点です。
 「論理」によって考え、別に非科学的な精神論で動いたわけでもなかったわけです。

 
 しかしその論理的に筋が通っていながらも、気づかないうちに考え方に「一定の枠」がはめられていたわけですね。「自由な発想」を追及する上で覚えておいて良い逸話です。

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