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2021年12月07日
三角の恋
三角の恋
俺、真鍋 和也は猛烈に好きな女性がいる。
奥野 麻衣。 名前の文字からしてとても可愛い。そしていい香りがするように思う。文体でも気持ち悪さが出てしまった。
俺と奥野は同じクラスメイトだということしか接点がない。
いつも窓際でボーと外を眺めている彼女。
長い黒髪にグラスのようなきれいな瞳。絶世の美少女とはこのことだと俺は思う。
何をやっても様になる。本を読む姿。人と話す姿。掃除をしている姿。
そのすべてが愛おしい。
うちの学校では、ミスコンなんてないが、間違いなく一番になるだろう。
高畑〇希や橋本〇奈に負けないぐらいのポテンシャルを持ち合わせている。
毎日彼女のことで頭がいっぱいで、何も集中できない。
しかしそんな彼女には色々なうわさがある。1年上の先輩と付き合ってる。1年後輩の子の彼氏を寝取っている。パパ活や売春、あげくブルセラを売る?なんてのもあった。(いつの時代?)
先生も彼女を問題児扱いをし、見放している。決して成績が悪かったり、素行が悪りわけでもないのに。
ミステリアスな部分が多い分、うわさが尾を引いている。
人間、人違うと意味もなく嫌う傾向がある。自分以外の趣味に走る人間は化け物でもみたいに扱う。
だが俺は知っている。彼女の秘密を。寝取りやパパ活なんてそんな生易しいものじゃない。
ある日、学校一のヤンキーたちが彼女を取り囲んでいた。おれはその後をこっそりついていった。いや・・・どっかで救出するチャンスを窺っていたんだ。ほんと。
で、校舎裏までいった。そしたらさっきのヤンキーどもが山積みになっていた。
最初は、学園のヒーローが助けたんだと思っていた。しかし実際は、彼女がやったのだ。その証拠に、拳にを握りしめ、その手は血で汚れていた。
いや・・・なんだこれ・・・・・
後でわかったことがある。
彼女はこの学園の「裏番」なのだ。そもそも今の時代、しかも私立高校に番長がいるのか不明だが、そうらしい。
学校でいじめがあれば、その報復が必ずされる。悪いことがあれば必ず解決する。誰かが学校をみているんじゃないか?それがつまり裏番がいるんじゃないか、という話がある。
「裏番」・・・。それが奥野だとは誰も知らないだろう。
おそらくヤンキーと自分以外は。
奥野のことはそれ以外何もしらない。どこに住んでいて何が好きなのか
普段何しているのか。好きな音楽は何なのか?
・・・そこまで知ったらストーカーか?
だがそんなことはどうでもいい。
あのきれいな姿からめちゃくちゃな強さ。
そんな彼女がとても好きなのだ。
パソコンしか触ったことのないオタク気質のおれでも、初めて惚れた。
もう恋をしたと言ってもいい。
ランチにおしゃれなカフェ巡り。夜景が見える公園に行ってうんぬん
妄想が止まらない
だが、この真鍋 和也。異常に奥手。女子に知り合いどころか、話した異性は母くらいなのだ。こんな状況の俺が、話しできるはずもなく、ただ黙々と彼女を見て悶々とする日々を過ごしていた。。
・・・待て、別に変なことはしてないからな。言っとくが。マジで。
だが、今日は違う。違うんだ。こんな日々を過ごすために、今日やらなくてはいけないんだ。
なぜなら恋のライバルが出来たのだ。
なぜなんだ。小宮。 小宮 淳、身長は155cmほどの小柄な男子。これといった成績で運動神経もそれほど高くない。陸上部所属でもちろん彼女はいない。
よく女子が、小宮君はちっこくて可愛い!という。
くそったれー!う、羨ましくないんだからね!
そんな彼も、遠くで彼女を見守っている。どういうわけかやつも奥野のことが好きのようだ。
同じ女性を好きになる。これに関しては、君とはいいジュースが飲めそうだ。
だが、敵同士!俺は負けるわけにはいかんのだ。俺は、告白するんだ。玉砕しても構わない。いや、玉砕は嫌だ。恥ずかしい
チャンスは放課後、彼女は今、部活動をしていない。少し残って帰るらしい。
2人きりになるのはここしかない。ここにすべてをかけるしかない
授業が終わるとみなちりじりに帰る。友達と帰るもの。そのまま部活動に向かうもの。問題はまだちらほらクラスに残っているものがいることだ。
単純に恥ずかしい。今まで告白なんてしたことない。ましてこんな容姿の人間。告白なんてありえないと思われている。はずだ。
否、恥ずかしがってる場合じゃない。今日しかないんだ。明日になればまた悶々と過ごす日々が続くんだ。
俺は自分にあきらめるなと声を掛けた
しかし、人がいる以前に大問題が発生した。小宮がいる。なぜだ?お前部活は?
やつも自分の机に座っている。ずっと奥野 麻衣を見ている。
まさか・・・・。やつもこの機会を狙っていたのか・・・!!なんてことだ。
もし奴が何らかのアプローチをすれば、間違いなく奥野は喰い付く。そんなことはさせるか・・・・
「よ、よぉ小宮君。今日部活じゃなかったけ?」
実はほぼ初めて話す。人間普段関心がない人間に話しかけられるとパニックを起こすらしい。これは絶対に動揺する。
「いや、今日は休んだんだ。どうしてもやらないといけないことがあって・・・・」
な、なんだコイツ?! 普通、普段話したことない人間に話しかけられたときは動揺するのに・・・・。
「へぇ・・・・。用事って何?」
「なんだよ、何でもいいだろ?」
お、ちょっと喰い付いた。
「陸上部って次の県大会に賭けてるんだろ?いいの?こんなことして」
さあキレろ。切れて奥野から離れろ!
「むしろしないといけない。大会なんかどうでもいい。」
・・・何だコイツ!!ほぼ奥野しか眼中ないんじゃないのか?
・・・こうなったら、あの質問をしてやる。
「きm、君って奥野が好きなのかい?」
永〇君みたいな口調になったが、これでどうだ。
「!?べッ別にそんなんじゃない・・・関係ないだろっ!」
引っかかった。こうなりゃ手段を択ばない。俺も男だ!戦ってやる。
「実は俺、奥野がす、気になってるんだ・・・・」
「へっ?!本当?!」
完全に動揺している。効いているぞ!
ふと奥野の席を見ると、すでに彼女はいなかった。
なんと予想よりも早く帰宅したのだ。
「?!ちょっと・・誰だっけ?君のせいで彼女いなくなったじゃん!」
これはおれの誤算だった。時間を掛けすぎた。
「また悶々の日々が・・・」
とぼとぼと帰る俺に、小宮が話しかけてきた。
「えっと、真鍋だっけ?びっくりしたよ急に話しかけてきて。焦っちゃった。」
その割に冷静だったぞ。
「お前が奥野さんのこと好きだったなんて。正直オタクだからそんなの興味ないって思ってたよ。」
それは偏見。
話してるうちに、やはり小宮とは同士だと感じた。
彼は奥野に助けられた人間だ。ある日、部活の先輩にヤキを入れられていた。
壮絶だったらしし。もうこのまま死んじゃおうかと思うほど。そこに裏番の奥野が登場。先輩だろうがボコボコにした。
その強さ、その美しさにすっかり魅了された小宮はその日以来、ずっと恋焦がれているらしい。
恋人はこの人しかいない。そういう発想になるあたりは俺と似ている。
「でも、君って女子にもてるだろ?他に好きな人はいなかったのかい?」
「モテるというか、いじられているというか。なんか小動物を見る目で見てくるんだよな。」
なるほど、持てる男にも悩みがあるのか。
「今日、絶対告白しないといけない。なんかそう思ったんだ。じゃないと後悔するって。だから部活を休んで彼女を待ったんだ。
まさか、話したこともない奴から声かけられるとは思わなかったけどね・・・」
あ、動揺はしていたんだな・・・・
「彼女にいろいろと救われた。今度は僕が守る番だって。そう思ったんだ。
裏番だろうが関係ない。僕は、彼女のすべてに恋したんだ。」
「小宮・・・・。だが、俺も負けていない・・・・
あんなめちゃくちゃに強くて可憐な人、誰もが愛するに決まっている。俺も彼女を守りたいという気持ちは負けないさ」
「・・・まあ、結局お互いチャンスを逃したけどね・・・」
確かにそうだが、俺は同士を得てうれしく思った。
彼女のことで絆が深まった時、ふと周りにはいかついヤンキーが取り囲んでいた。
「おい、おまえら。奥野の友達か?ちょっと顔貸せや。」
・・・・え?なにこの急展開。
待って早いって。何?急いでるの?ゆっくり行こうぜ・・・作者よー
「おい、なんでこいつら連れてきたんだ?」
「いや、二人で奥野の話していたから、知り合いだと思ってよぉ」
複数のヤンキーがあれやこれや話している。
ヤバい・・・非常にヤバいぞ。これ。
「まあいい。奥野が来ればなんでもいい。」
「来ないときは?」
「そうなりゃ、そこの奴らを袋にすればいい。」
なんか物騒なものに巻き込まれたな・・・・
か、帰りたい・・・・
どこかの廃工場に連れていかれた。
2人とも拘束され、身動きが取れない。
「なんて酷い展開なんだ・・・・。彼女の話したらいきなり拉致って・・・・
漫画かよ・・・」
小宮は小さい声でいった。
「あ?何だ?なんか言ったか?」
ヤンキーどもが近づいてきた。
小宮・・・おとなしくしとけ・・・死ぬぞ・・・・
「こんなことで奥野さんは来ないよ!そもそも俺ら、話したことすらないんだし。」
小宮がいった。
「俺たちは知り合いじゃない。これからお互いを知っていくんだ。好きな音楽とか、何にはまっているのか。俺は彼女のことを知りたいんだ。」
「何言ってんだおめー・・・」
「僕は、奥野さんが好きだ!だけど今日、言えなかった。もしかしたら一生言えないだろう。でも、好きな気持ちはだれにも負けない。ここにいる真鍋だってね」
小宮・・・・
「残念だが、奥野さんはここには来ない。僕たちを助ける動機がない!お前たちは、無駄足をふんだんだ、バーカ!」
そういった瞬間、小宮が吹っ飛んだ。殴られたのだ。
「あんま調子乗るんじゃねーぞ。来ねーならそれまでだ。てめーらを袋にすればいい話だ。」
俺は奥野が来てほしくないと思う。彼女に頼り切っている自分に嫌気がさした。奥野が来てくれればこいつらを倒してくれるだろう。しかし、それは違う。彼女は
ドラえ〇んじゃない。何でもしてくれる便利な人間じゃない。こういうのは理不尽だが、自分で覚悟を決めるしかない。
「あんたら卑怯だよな。よく聞いてると。」
「あ?」
「こんな大勢で女の子一人を相手にするとか、ダサすぎて笑えるぜ。」
「おめーら、そんなに早く死にてーのか?」
あっという間に俺らを取り囲んだ。ああ、もう終わった。ここで死ぬんだ・・・・
ふと入り口を見ると、ヤンキーの頭をつかんだ奥野がたっていた。
「あ、かっちゃん!奥野だ!何人もやられてるぞ!」
「おうおう!女だからって甘く見てりゃー、調子乗りやがって!今日こそぜってー許さねーぞ、コラッ!!」
それは一瞬だった。
奥野が華麗にヤンキーたちの攻撃をかわしていた。まるで踊っているかのように、そして、有名格闘家並みの拳で次々と倒していった。
まるで無双ゲームだ。多くの兵士を次々と倒すさまは、まさに武将。
こんな人でも、俺・・・いや俺たちは好きになったのだ。
そんなこと思っていたのもつかの間、あんなにいたヤンキーが一気にいなくなった。
これが学校の裏番の力・・・・。
「大野さん・・・・。何で来たの?僕らなんかのために・・・」
「・・・・別に。クラスメイトだから・・・・」
ああ、やっぱりいい声!なんてすばらしいんだ
「小宮君たちが心配だった・・・。あなたたちずっと私の話してたから・・・」
え?俺たちが奥野の話してるの知ってるの?どこまで?
「奥野さん・・・もしかして、全部聞いてた?」
「・・・うん」
その瞬間、何か熱いものが込み上げてきた。なんだこれ?穴があったら入りたい・・・。
「二人の気持ち、ちょっとうれしかった。・・・けど」
けど?
「今はまだ、付き合うとかそんなのは考えていない・・・」
なんとこのタイミングで振られた。
「最初は冗談だと思っていた。こんな誰からも愛されていない私を好きになるなんて。でもここ最近の二人をみて感じた。本当に私に興味があるんだって。」
どこまでもお見通しなようだった。そんなに意識しているのばれていたのか・・・
「その、まずはお友達から、はじめませんか。わたしたち仲良くなれる気がするの」
その言葉を聞いた時、俺と小宮は飛び跳ねそうなくらいうれしかった。
「もちろん!」「よろしくお願いします!」
告白はみごと玉砕。しかしまだ可能性は残っている。
必ず、この小宮より先に俺が彼女と付き合う。この残り少ない高校生活を、今この瞬間からすべて奥野 麻衣にささげよう。
俺は固く誓った。
絶対に彼女にして見せる。
俺、真鍋 和也は猛烈に好きな女性がいる。
奥野 麻衣。 名前の文字からしてとても可愛い。そしていい香りがするように思う。文体でも気持ち悪さが出てしまった。
俺と奥野は同じクラスメイトだということしか接点がない。
いつも窓際でボーと外を眺めている彼女。
長い黒髪にグラスのようなきれいな瞳。絶世の美少女とはこのことだと俺は思う。
何をやっても様になる。本を読む姿。人と話す姿。掃除をしている姿。
そのすべてが愛おしい。
うちの学校では、ミスコンなんてないが、間違いなく一番になるだろう。
高畑〇希や橋本〇奈に負けないぐらいのポテンシャルを持ち合わせている。
毎日彼女のことで頭がいっぱいで、何も集中できない。
しかしそんな彼女には色々なうわさがある。1年上の先輩と付き合ってる。1年後輩の子の彼氏を寝取っている。パパ活や売春、あげくブルセラを売る?なんてのもあった。(いつの時代?)
先生も彼女を問題児扱いをし、見放している。決して成績が悪かったり、素行が悪りわけでもないのに。
ミステリアスな部分が多い分、うわさが尾を引いている。
人間、人違うと意味もなく嫌う傾向がある。自分以外の趣味に走る人間は化け物でもみたいに扱う。
だが俺は知っている。彼女の秘密を。寝取りやパパ活なんてそんな生易しいものじゃない。
ある日、学校一のヤンキーたちが彼女を取り囲んでいた。おれはその後をこっそりついていった。いや・・・どっかで救出するチャンスを窺っていたんだ。ほんと。
で、校舎裏までいった。そしたらさっきのヤンキーどもが山積みになっていた。
最初は、学園のヒーローが助けたんだと思っていた。しかし実際は、彼女がやったのだ。その証拠に、拳にを握りしめ、その手は血で汚れていた。
いや・・・なんだこれ・・・・・
後でわかったことがある。
彼女はこの学園の「裏番」なのだ。そもそも今の時代、しかも私立高校に番長がいるのか不明だが、そうらしい。
学校でいじめがあれば、その報復が必ずされる。悪いことがあれば必ず解決する。誰かが学校をみているんじゃないか?それがつまり裏番がいるんじゃないか、という話がある。
「裏番」・・・。それが奥野だとは誰も知らないだろう。
おそらくヤンキーと自分以外は。
奥野のことはそれ以外何もしらない。どこに住んでいて何が好きなのか
普段何しているのか。好きな音楽は何なのか?
・・・そこまで知ったらストーカーか?
だがそんなことはどうでもいい。
あのきれいな姿からめちゃくちゃな強さ。
そんな彼女がとても好きなのだ。
パソコンしか触ったことのないオタク気質のおれでも、初めて惚れた。
もう恋をしたと言ってもいい。
ランチにおしゃれなカフェ巡り。夜景が見える公園に行ってうんぬん
妄想が止まらない
だが、この真鍋 和也。異常に奥手。女子に知り合いどころか、話した異性は母くらいなのだ。こんな状況の俺が、話しできるはずもなく、ただ黙々と彼女を見て悶々とする日々を過ごしていた。。
・・・待て、別に変なことはしてないからな。言っとくが。マジで。
だが、今日は違う。違うんだ。こんな日々を過ごすために、今日やらなくてはいけないんだ。
なぜなら恋のライバルが出来たのだ。
なぜなんだ。小宮。 小宮 淳、身長は155cmほどの小柄な男子。これといった成績で運動神経もそれほど高くない。陸上部所属でもちろん彼女はいない。
よく女子が、小宮君はちっこくて可愛い!という。
くそったれー!う、羨ましくないんだからね!
そんな彼も、遠くで彼女を見守っている。どういうわけかやつも奥野のことが好きのようだ。
同じ女性を好きになる。これに関しては、君とはいいジュースが飲めそうだ。
だが、敵同士!俺は負けるわけにはいかんのだ。俺は、告白するんだ。玉砕しても構わない。いや、玉砕は嫌だ。恥ずかしい
チャンスは放課後、彼女は今、部活動をしていない。少し残って帰るらしい。
2人きりになるのはここしかない。ここにすべてをかけるしかない
授業が終わるとみなちりじりに帰る。友達と帰るもの。そのまま部活動に向かうもの。問題はまだちらほらクラスに残っているものがいることだ。
単純に恥ずかしい。今まで告白なんてしたことない。ましてこんな容姿の人間。告白なんてありえないと思われている。はずだ。
否、恥ずかしがってる場合じゃない。今日しかないんだ。明日になればまた悶々と過ごす日々が続くんだ。
俺は自分にあきらめるなと声を掛けた
しかし、人がいる以前に大問題が発生した。小宮がいる。なぜだ?お前部活は?
やつも自分の机に座っている。ずっと奥野 麻衣を見ている。
まさか・・・・。やつもこの機会を狙っていたのか・・・!!なんてことだ。
もし奴が何らかのアプローチをすれば、間違いなく奥野は喰い付く。そんなことはさせるか・・・・
「よ、よぉ小宮君。今日部活じゃなかったけ?」
実はほぼ初めて話す。人間普段関心がない人間に話しかけられるとパニックを起こすらしい。これは絶対に動揺する。
「いや、今日は休んだんだ。どうしてもやらないといけないことがあって・・・・」
な、なんだコイツ?! 普通、普段話したことない人間に話しかけられたときは動揺するのに・・・・。
「へぇ・・・・。用事って何?」
「なんだよ、何でもいいだろ?」
お、ちょっと喰い付いた。
「陸上部って次の県大会に賭けてるんだろ?いいの?こんなことして」
さあキレろ。切れて奥野から離れろ!
「むしろしないといけない。大会なんかどうでもいい。」
・・・何だコイツ!!ほぼ奥野しか眼中ないんじゃないのか?
・・・こうなったら、あの質問をしてやる。
「きm、君って奥野が好きなのかい?」
永〇君みたいな口調になったが、これでどうだ。
「!?べッ別にそんなんじゃない・・・関係ないだろっ!」
引っかかった。こうなりゃ手段を択ばない。俺も男だ!戦ってやる。
「実は俺、奥野がす、気になってるんだ・・・・」
「へっ?!本当?!」
完全に動揺している。効いているぞ!
ふと奥野の席を見ると、すでに彼女はいなかった。
なんと予想よりも早く帰宅したのだ。
「?!ちょっと・・誰だっけ?君のせいで彼女いなくなったじゃん!」
これはおれの誤算だった。時間を掛けすぎた。
「また悶々の日々が・・・」
とぼとぼと帰る俺に、小宮が話しかけてきた。
「えっと、真鍋だっけ?びっくりしたよ急に話しかけてきて。焦っちゃった。」
その割に冷静だったぞ。
「お前が奥野さんのこと好きだったなんて。正直オタクだからそんなの興味ないって思ってたよ。」
それは偏見。
話してるうちに、やはり小宮とは同士だと感じた。
彼は奥野に助けられた人間だ。ある日、部活の先輩にヤキを入れられていた。
壮絶だったらしし。もうこのまま死んじゃおうかと思うほど。そこに裏番の奥野が登場。先輩だろうがボコボコにした。
その強さ、その美しさにすっかり魅了された小宮はその日以来、ずっと恋焦がれているらしい。
恋人はこの人しかいない。そういう発想になるあたりは俺と似ている。
「でも、君って女子にもてるだろ?他に好きな人はいなかったのかい?」
「モテるというか、いじられているというか。なんか小動物を見る目で見てくるんだよな。」
なるほど、持てる男にも悩みがあるのか。
「今日、絶対告白しないといけない。なんかそう思ったんだ。じゃないと後悔するって。だから部活を休んで彼女を待ったんだ。
まさか、話したこともない奴から声かけられるとは思わなかったけどね・・・」
あ、動揺はしていたんだな・・・・
「彼女にいろいろと救われた。今度は僕が守る番だって。そう思ったんだ。
裏番だろうが関係ない。僕は、彼女のすべてに恋したんだ。」
「小宮・・・・。だが、俺も負けていない・・・・
あんなめちゃくちゃに強くて可憐な人、誰もが愛するに決まっている。俺も彼女を守りたいという気持ちは負けないさ」
「・・・まあ、結局お互いチャンスを逃したけどね・・・」
確かにそうだが、俺は同士を得てうれしく思った。
彼女のことで絆が深まった時、ふと周りにはいかついヤンキーが取り囲んでいた。
「おい、おまえら。奥野の友達か?ちょっと顔貸せや。」
・・・・え?なにこの急展開。
待って早いって。何?急いでるの?ゆっくり行こうぜ・・・作者よー
「おい、なんでこいつら連れてきたんだ?」
「いや、二人で奥野の話していたから、知り合いだと思ってよぉ」
複数のヤンキーがあれやこれや話している。
ヤバい・・・非常にヤバいぞ。これ。
「まあいい。奥野が来ればなんでもいい。」
「来ないときは?」
「そうなりゃ、そこの奴らを袋にすればいい。」
なんか物騒なものに巻き込まれたな・・・・
か、帰りたい・・・・
どこかの廃工場に連れていかれた。
2人とも拘束され、身動きが取れない。
「なんて酷い展開なんだ・・・・。彼女の話したらいきなり拉致って・・・・
漫画かよ・・・」
小宮は小さい声でいった。
「あ?何だ?なんか言ったか?」
ヤンキーどもが近づいてきた。
小宮・・・おとなしくしとけ・・・死ぬぞ・・・・
「こんなことで奥野さんは来ないよ!そもそも俺ら、話したことすらないんだし。」
小宮がいった。
「俺たちは知り合いじゃない。これからお互いを知っていくんだ。好きな音楽とか、何にはまっているのか。俺は彼女のことを知りたいんだ。」
「何言ってんだおめー・・・」
「僕は、奥野さんが好きだ!だけど今日、言えなかった。もしかしたら一生言えないだろう。でも、好きな気持ちはだれにも負けない。ここにいる真鍋だってね」
小宮・・・・
「残念だが、奥野さんはここには来ない。僕たちを助ける動機がない!お前たちは、無駄足をふんだんだ、バーカ!」
そういった瞬間、小宮が吹っ飛んだ。殴られたのだ。
「あんま調子乗るんじゃねーぞ。来ねーならそれまでだ。てめーらを袋にすればいい話だ。」
俺は奥野が来てほしくないと思う。彼女に頼り切っている自分に嫌気がさした。奥野が来てくれればこいつらを倒してくれるだろう。しかし、それは違う。彼女は
ドラえ〇んじゃない。何でもしてくれる便利な人間じゃない。こういうのは理不尽だが、自分で覚悟を決めるしかない。
「あんたら卑怯だよな。よく聞いてると。」
「あ?」
「こんな大勢で女の子一人を相手にするとか、ダサすぎて笑えるぜ。」
「おめーら、そんなに早く死にてーのか?」
あっという間に俺らを取り囲んだ。ああ、もう終わった。ここで死ぬんだ・・・・
ふと入り口を見ると、ヤンキーの頭をつかんだ奥野がたっていた。
「あ、かっちゃん!奥野だ!何人もやられてるぞ!」
「おうおう!女だからって甘く見てりゃー、調子乗りやがって!今日こそぜってー許さねーぞ、コラッ!!」
それは一瞬だった。
奥野が華麗にヤンキーたちの攻撃をかわしていた。まるで踊っているかのように、そして、有名格闘家並みの拳で次々と倒していった。
まるで無双ゲームだ。多くの兵士を次々と倒すさまは、まさに武将。
こんな人でも、俺・・・いや俺たちは好きになったのだ。
そんなこと思っていたのもつかの間、あんなにいたヤンキーが一気にいなくなった。
これが学校の裏番の力・・・・。
「大野さん・・・・。何で来たの?僕らなんかのために・・・」
「・・・・別に。クラスメイトだから・・・・」
ああ、やっぱりいい声!なんてすばらしいんだ
「小宮君たちが心配だった・・・。あなたたちずっと私の話してたから・・・」
え?俺たちが奥野の話してるの知ってるの?どこまで?
「奥野さん・・・もしかして、全部聞いてた?」
「・・・うん」
その瞬間、何か熱いものが込み上げてきた。なんだこれ?穴があったら入りたい・・・。
「二人の気持ち、ちょっとうれしかった。・・・けど」
けど?
「今はまだ、付き合うとかそんなのは考えていない・・・」
なんとこのタイミングで振られた。
「最初は冗談だと思っていた。こんな誰からも愛されていない私を好きになるなんて。でもここ最近の二人をみて感じた。本当に私に興味があるんだって。」
どこまでもお見通しなようだった。そんなに意識しているのばれていたのか・・・
「その、まずはお友達から、はじめませんか。わたしたち仲良くなれる気がするの」
その言葉を聞いた時、俺と小宮は飛び跳ねそうなくらいうれしかった。
「もちろん!」「よろしくお願いします!」
告白はみごと玉砕。しかしまだ可能性は残っている。
必ず、この小宮より先に俺が彼女と付き合う。この残り少ない高校生活を、今この瞬間からすべて奥野 麻衣にささげよう。
俺は固く誓った。
絶対に彼女にして見せる。