2022年04月28日
吉野家「人事評価の改ざん、暴力・暴言あった」、現役社員の男性が被害訴え団交開始
元常務の暴言が大きな批判を浴びた吉野家。しかし問題はそれだけではない。吉野家の社員が労働組合を通じて団体交渉を開始した。暴力や暴言、人事評価の改ざん……精神疾患で出社できなくなり、休職しながら組織との交渉を続ける男性に話を聞いた。
人事評価が無断で修正・加筆されていた
「あれ……おかしいな」
吉野家の本社で正社員として働く男性(50代)が、自身の人事評価に違和感を覚えたのは、2021年10月だ。
吉野家では年に2回の業績評価を行っており、本人の自己評価を起点に、直属の上司による1次評価、さらにその上の上司による2次評価などがなされ、最終的な評価に至る。
当時、男性が自己評価欄に記入した自身の総合評価は「B」。しかし、いつの間にか「C」に書き換えられ、さらに「本人アピール欄」の自由記述も約半分が削除された上で、代わりにネガティブな反省の弁が加えられていたのだ。
男性はすぐに、直属の上司であり1次評価を担当したA氏にメールで問い合わせた。複数回のやり取りの結果、A氏からの返答は、
「符号(=自己評価)があまりにも甘すぎるからです」
「失礼しました」という謝罪の言葉はあったものの、その後、部署内の社員らに一斉に送られたメールには「評価符号(=自己評価)入力に誤りがあるメンバーが居ましたので、その部分は○○(A氏名)で修正しています」と書かれていた。
「D」評価が持つメッセージは
男性は言う。
「これは明らかな改ざんです。私の自己評価に異議があるなら、指導してくれれば良かった。そもそもA氏には上司に与えられた1次評価欄があるので、意見や評価はそこに書くべきです。本人の承諾なしに修正や追記することが許されるのなら、自己評価欄自体が不要になります」(男性)
そうして下された最終評価は「D」だった。
男性は「D」評価が持つ意味と、無断で修正が加えられた経緯について、こう推測する。
「D評価には『ボーナスは期待するな』『降格されても当然だ』というような隠れた意味合いがあります。また、上司による評価を社員本人の自己評価から2ランク下げる場合は人事に報告が必要です。私の評価を“スムーズに”Dにするため、こうした改ざんが行われたのではないかと考えています」(男性)
暴言が常態化、過去には暴力も
男性が吉野家に対して不信感を抱くのはこれが初めてではない。
2019年の勤務中、同じ部署の同僚B氏(男性)から罵倒され、背後から平手で叩かれたことがあったという。
当時もすぐに人事・労務の担当部署に報告して告発状を提出したそうだが、前出のA氏から「早急に部署内の改善に努めるので、どうしても取り下げてほしい」と嘆願され、取り下げた経緯がある。
その後はB氏から男性への暴力はないものの、「アホ」などと言われるなど、暴言は常態化していたそうだ。
男性は心労が重なり、眠れない、食事を取れない状態に。精神疾患の診断を受け、2021年11月から休職している。
現在は吉野家に対して東京管理職ユニオンを通じて団体交渉中で、人事評価の改ざんや暴力・暴言などについて(1)A氏、B氏からの謝罪(2)B氏の部署移動(3)公明正大な人事制度の構築(4)暴力や暴言、パワハラが起きやすい社内風土の改善などを求めている。
「生娘をシャブ漬け」に違和感なし
吉野家といえば、常務(当時)が同社のマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」などと発言して解任されたことが記憶に新しい。男性は言う。
「ああいう発言が吉野家の社員から出てきても違和感はありません。彼本人ではありませんが、普段から社内ではもっと逸脱するようなことが話されていますから」(男性)
男性の交渉を担当する東京管理職ユニオン執行委員の神部紅さんは、これまでも複数回、吉野家との団体交渉を行ってきた。
「労働者が異議申し立てをするのが非常に難しく、ホモソーシャルで社内統制が強固な会社だという印象です。今回の(男性の)団交でハラスメント調査を要求したのですが、吉野家が実施した調査方法はかなり杜撰でした。元常務のケースもそう。“トカゲの尻尾切り”に終始するのではなく、発言の責任は自社にあると省みて、人権やハラスメントの専門家など外部の人間を入れて検証すべきです」(神部さん)
男性の訴えに対し、吉野家の回答は
吉野家HDが前出の役員の解任を発表した直後、Business Insider Japanは吉野家に対して「生娘をシャブ漬け戦略」などの発言は本人のみの認識か、それとも社内の一部で共通の認識があったり、同様の言葉を用いられていたりしたのか尋ねたところ、20分後に「個人の発言」である旨の回答があった。しかし本来であれば、これも時間をかけて調査しないと正確な検証ができないのではないか、と疑問が残る。
Business Insider Japanが吉野家に対して、今回の男性の訴えについての見解を尋ねたところ、
「団体交渉に関するお問い合わせはお相手様があることでございますので、当社から回答すべきではないと考えております。本件に関しては回答を差し控えさせていただきます」
との回答があった。男性と吉野家の団体交渉は第1回目を2月に終え、5月に第2回目を控えている。
人事評価が無断で修正・加筆されていた
「あれ……おかしいな」
吉野家の本社で正社員として働く男性(50代)が、自身の人事評価に違和感を覚えたのは、2021年10月だ。
吉野家では年に2回の業績評価を行っており、本人の自己評価を起点に、直属の上司による1次評価、さらにその上の上司による2次評価などがなされ、最終的な評価に至る。
当時、男性が自己評価欄に記入した自身の総合評価は「B」。しかし、いつの間にか「C」に書き換えられ、さらに「本人アピール欄」の自由記述も約半分が削除された上で、代わりにネガティブな反省の弁が加えられていたのだ。
男性はすぐに、直属の上司であり1次評価を担当したA氏にメールで問い合わせた。複数回のやり取りの結果、A氏からの返答は、
「符号(=自己評価)があまりにも甘すぎるからです」
「失礼しました」という謝罪の言葉はあったものの、その後、部署内の社員らに一斉に送られたメールには「評価符号(=自己評価)入力に誤りがあるメンバーが居ましたので、その部分は○○(A氏名)で修正しています」と書かれていた。
「D」評価が持つメッセージは
男性は言う。
「これは明らかな改ざんです。私の自己評価に異議があるなら、指導してくれれば良かった。そもそもA氏には上司に与えられた1次評価欄があるので、意見や評価はそこに書くべきです。本人の承諾なしに修正や追記することが許されるのなら、自己評価欄自体が不要になります」(男性)
そうして下された最終評価は「D」だった。
男性は「D」評価が持つ意味と、無断で修正が加えられた経緯について、こう推測する。
「D評価には『ボーナスは期待するな』『降格されても当然だ』というような隠れた意味合いがあります。また、上司による評価を社員本人の自己評価から2ランク下げる場合は人事に報告が必要です。私の評価を“スムーズに”Dにするため、こうした改ざんが行われたのではないかと考えています」(男性)
暴言が常態化、過去には暴力も
男性が吉野家に対して不信感を抱くのはこれが初めてではない。
2019年の勤務中、同じ部署の同僚B氏(男性)から罵倒され、背後から平手で叩かれたことがあったという。
当時もすぐに人事・労務の担当部署に報告して告発状を提出したそうだが、前出のA氏から「早急に部署内の改善に努めるので、どうしても取り下げてほしい」と嘆願され、取り下げた経緯がある。
その後はB氏から男性への暴力はないものの、「アホ」などと言われるなど、暴言は常態化していたそうだ。
男性は心労が重なり、眠れない、食事を取れない状態に。精神疾患の診断を受け、2021年11月から休職している。
現在は吉野家に対して東京管理職ユニオンを通じて団体交渉中で、人事評価の改ざんや暴力・暴言などについて(1)A氏、B氏からの謝罪(2)B氏の部署移動(3)公明正大な人事制度の構築(4)暴力や暴言、パワハラが起きやすい社内風土の改善などを求めている。
「生娘をシャブ漬け」に違和感なし
吉野家といえば、常務(当時)が同社のマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」などと発言して解任されたことが記憶に新しい。男性は言う。
「ああいう発言が吉野家の社員から出てきても違和感はありません。彼本人ではありませんが、普段から社内ではもっと逸脱するようなことが話されていますから」(男性)
男性の交渉を担当する東京管理職ユニオン執行委員の神部紅さんは、これまでも複数回、吉野家との団体交渉を行ってきた。
「労働者が異議申し立てをするのが非常に難しく、ホモソーシャルで社内統制が強固な会社だという印象です。今回の(男性の)団交でハラスメント調査を要求したのですが、吉野家が実施した調査方法はかなり杜撰でした。元常務のケースもそう。“トカゲの尻尾切り”に終始するのではなく、発言の責任は自社にあると省みて、人権やハラスメントの専門家など外部の人間を入れて検証すべきです」(神部さん)
男性の訴えに対し、吉野家の回答は
吉野家HDが前出の役員の解任を発表した直後、Business Insider Japanは吉野家に対して「生娘をシャブ漬け戦略」などの発言は本人のみの認識か、それとも社内の一部で共通の認識があったり、同様の言葉を用いられていたりしたのか尋ねたところ、20分後に「個人の発言」である旨の回答があった。しかし本来であれば、これも時間をかけて調査しないと正確な検証ができないのではないか、と疑問が残る。
Business Insider Japanが吉野家に対して、今回の男性の訴えについての見解を尋ねたところ、
「団体交渉に関するお問い合わせはお相手様があることでございますので、当社から回答すべきではないと考えております。本件に関しては回答を差し控えさせていただきます」
との回答があった。男性と吉野家の団体交渉は第1回目を2月に終え、5月に第2回目を控えている。
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