５３年目のひとりごと

自分にはもうないことであった
結婚を決めて
住む場所や結婚指輪や式場や
披露宴のもろもろや
ふたりで決めていく将来のこと
胸を高まらせて好きな人との生活を
思い描く

そのすべてはきれいに持ってかれたから

全部相手の親が決めちまったから

それでも私は
好きな人との暮らしに胸躍らせていた
楽しみにしていたんだ

だからあのときはあれでよかった

ただね
今は

勝手にマンション購入されて
それを抱えて転勤して
家賃二重払いでもう30年近く
過ぎたんです
文句言うくらいいいでしょ

最初は二人で住む部屋を探して
いずれはマイホームを購入して
って
夢は破れていたんですよ

30年前にね

だからこそ今になって
自分の人生を楽しむんだ！と断固譲らず
なぜ故ここまで頑なに
偏屈になっているのかを説明する気も
毛頭なく

絶対にこのまま終わるつもりはないんだと
自分の中だけで決心して
ほとんど進歩してないようだけど

どんどん偏屈になっている自分
これでいいのだ