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2014年02月06日

小型衛星

小型衛星(こがたえいせい、英: miniaturized satellite, small satellite)は小規模な人工衛星。明確な定義はなく、定義を重量が1000kg以下[1]とするものや、500kg以下[2]とするものもある。

歴史[編集]

宇宙開発初期の衛星はロケットの能力的制約があって必然的に小型衛星となった。ロケットが大型化、高性能化されるにしたがって人工衛星のサイズも増加していったが、同時にコスト面での負担や開発期間の長期化が問題視されるようになった。また、そうして作製された多目的・多機能衛星が打ち上げ後に喪失した場合の影響も必然的に大きくなってしまった。

冷戦が終結した1990年代に入ると、政治的、経済的状況が世界的に変化し[1]、Smaller, Faster, Cheaper (より小さく、より速く、より安価に) の標語を元に小型人工衛星の開発と利用が注目を集めるようになった[3]。特にアメリカは小型で開発期間の短い人工衛星開発構想を次々に打ち出していった(イリジウム衛星、ニュー・ミレニアム計画、SMEX)。

教育機関では、イギリスのサリー大学(英語版)がベンチャー企業サリー・サテライト・テクノロジー(英語版)を設立し、大学での教育・研究を目的とした小型衛星事業が始まる[1]。1999年にはCubeSatが開発され、現在世界各国の大学や研究所が教育的衛星の開発事業に参入している。アメリカでは複数の大学や研究機関が共同して、CubeSat90機を軌道上に配置する地球観測ミッションを計画している[4]。

近年の観測機器の発達により要求される衛星の大きさが減少し、数十年前の大型衛星と同等の能力を持つ超小型人工衛星も登場し始めている[5][6]。また、ナノサットクラス(5kg以下)の衛星でもスラスター装置を搭載するものが出始めている[4]。このような推進装置によって、超小型衛星による衛星コンステレーションの構成や軌道の変更、運用終了時の大気圏再突入処分といった利用が期待される。

日本[編集]

日本初の人工衛星おおすみは1970年に打ち上げられ、重量は23.8kgの小型人工衛星だった。

日本アマチュア無線連盟は1986年にふじ1号を開発した。大学機関では、2002年に千葉工業大学が鯨生態観測衛星を開発したのをはじめとし、いくつかの大学の人工衛星がピギーバック衛星として打ち上げられている。民間企業ではかがやきやまいど1号が2009年に打ち上げられている。

JAXAなどの国家宇宙機関でも技術実証実験を兼ねて若手研究者に経験をつませるために小型人工衛星(れいめい、μ-LabSatなど)の開発を行ってきた。

2008年には超小型衛星のベンチャー企業、アクセルスペースが設立された[7]。2009年には小型衛星に補正予算が2200万円付けられた。ただしその後の見直し事業において600万執行停止となっている[8]。

2011年には国立天文台、東京大学、京都大学による超小型位置天文観測衛星ナノ・ジャスミンが打ち上げられる予定であり、超小型衛星の本格的な科学利用が始められている[6]。公益財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構が開発している地球観測用の小型衛星ASNAROは、海外への輸出を狙って開発されており、2012年に光学衛星が、2014年にレーダー衛星が打ち上げられる予定である。

分類[編集]





ナノサット – ESTCube-1
小型人工衛星はさらに重量によって以下のように分類される。しかし、この値も資料によってバラつきがある。
ミニサット(英語: mini satellite) − 500kg以下 [2]
マイクロサット(英語: micro satellite)− 100kg以下 [2]
ナノサット(英語: nano satellite)− 10kg以下 [2]
ピコサット(英語: pico satellite)− 1kg以下 [2]

ナノサットとピコサットの間に入るものとしてはキューブサットCubeSatがあり、1U(10cmの直方体で重さ1kg)から3Uまで大きさが規格化されており、搭載装置が標準化されて安価に打上げられることから、大学や後発国も含めて世界中で急速に採用が増えている。

上記の分類とはまた別に、日本固有の分類が存在する。以下に記載するものは2009年に制定された日本の宇宙基本計画における定義である[9]。
小型衛星 - 100kgから1000kg程度
超小型衛星 - 100kg以下

超小型衛星の課題[編集]

超小型衛星はほとんどがピギーバック方式によって打ち上げられてきた。それによってコストを大幅に抑えることが出来たが、この方式では主衛星が常に最優先されるため、小型衛星側に打ち上げ時期や軌道といった様々な制約が課せられてしまう。そのため、今後の超小型衛星の市場発達のためには、超小型衛星専用の打ち上げ手段の確立が求められている[5]。

また他国の衛星や地上との電波障害を防止するための国際的な調整に時間がかかるという問題点もある[5]。
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スイスキューブ

スイスキューブ(SwissCube)はスイス連邦工科大学ローザンヌ校が運用するスイスの小型人工衛星。この衛星はスイス初の人工衛星である[1]。

ローザンヌ校を中心に、ほかのフランス語圏の高等専門学校の学生が共同で開発した[2]。CubeSat衛星であり、夜光に関する研究、および将来の宇宙機技術の発展が目的である[3]。アマチュア無線にも利用される。

元々はヨーロッパのヴェガロケットによって打ち上げられる予定だったが、ロケットの開発が遅れ、インドのロケットを使用することになった[2]。

スイスキューブは2009年9月23日6時21分(UTC)、サティシュ・ダワン宇宙センター第1射点からPSLV-CAロケットによって打ち上げられた[4][5]。

ロケットの主衛星はOceansat-2であり、スイスキューブのほかにピギーバック衛星としてBeeSat-1、UWE-2、ITU-pSat1、Rubin 9.1、Rubin 9.2が搭載されていた[6][7] 。

2011年2月18日に初の画像撮影に成功し、同年3月3日には大気光の撮影に成功した[8]。

スイスキューブは近地点752km、遠地点726km、軌道傾斜角98.28度、周期98.5分の太陽同期軌道を周回している[9]。

3ヶ月から12ヶ月の運用予定[6]を超え、2011年1月現在も運用中である[10]。

大気光

大気光(たいきこう)とは、大気光学現象の一種で、地球などの惑星の大気が起こす弱い発光。英語では "airglow"と言い、通常夜間に観測されるので "nightglow" とも言う。大気光があるため、星明かりや太陽光の散乱が無かったとしても夜空は完全な暗黒にはならない。


研究史[編集]

大気光現象は、1868年、スウェーデンの科学者アンデルス・オングストロームによって確認された。その後の研究により、大気光現象を説明する多くの化学反応が発見された。現在ではそれらの反応のうちいくつかは実際に地球大気上で発生していることが確認され、また天文学者によって発光が観測されている。

概要[編集]





大気光にかかるラヴジョイ彗星。2011/12/22撮影。
大気上層において、大気光は様々な反応によって発生する。たとえば以下のようなものがある。
日中の太陽光による光イオン化反応で生成されたイオンの再結合。
上層大気に放射される宇宙線によるルミネセンス。
酸素や窒素が、数百km上空で水酸化物イオンと反応することによる化学発光。

太陽光の散乱があるため、これらは昼の間は観察することができない。

大気光は、可視光線での天体観測の妨げとなる。地上の観測所ではどんなに条件が良いところでも、大気光があるため望遠鏡の感度は制限される。このため、ハッブル宇宙望遠鏡などの宇宙望遠鏡は、可視光線観測では地上の望遠鏡よりはるかに鮮明な像を得ることができる。

夜間、大気光は観測可能なくらいに明るくなる場合がある。その色は通常青みがかっている。大気光の放射はどこでもほぼ一定であるが、地上から観察する場合には、仰角で10度付近の範囲が特に明るく見える。角度が低いほど発光する大気が重なるが、低すぎると大気によって光が減衰するからである。

大気光を発生する機構の一つは、窒素と酸素が結びついて一酸化窒素(NO)を生成する反応である。このプロセス中に光子が放たれる。一酸化窒素分子の性質により、この光はいくつかの波長をとる。この反応で使われる窒素原子と酸素原子は、大気上層の窒素分子(N2)と酸素分子(O2)が太陽エネルギーで分解されることで発生し、それらが出合って一酸化窒素になる。大気光を発生させる他の物質としては、水酸基[1] [2] ,[3]、酸素、ナトリウム、リチウム(Li)[4]などがある。

空の明るさは、通常、1平方秒角当たりの等級 (天文)で表される(表面輝度も参照)。

天体観測への大気光の影響[編集]

「等級 (天文)」も参照

ここでは、天体観測に大気光がどれほど影響するのかを考える。最初に、等級 (天文)を光子束に変換する必要がある。これは光源のスペクトルに依存するが、とりあえずは無視する。可視光線範囲においてはまず係数 S0(V) を用意する。これは、0等星の星が放つ光のパワーを、平方cm単位の視口径の面積で割り、さらに㎛単位の波長で割ったものである。これによって等級を光束に変換できる。値は S_{0}(V)=4.0\times 10^{-12} W cm−2 μm−1 となる[5]。たとえば、28等星の星が、標準Vバンドフィルタ(B=0.2バンドパス、\nu \sim 6\times10^{14} Hz)を通るとすると、望遠鏡の口径の面積平方cmあたりの1秒間に通る光子の数は N_{s} で表され、以下のようになる。
N_{s}=10^{-28/2.5}\times\frac{S_{0}(V) \times B}{h\nu}
(hはプランク定数。h \nu は周波数 \nu の単光子のもつエネルギー)

Vバンド(可視光範囲。色指数も参照)では、月の無い夜に高地の観測所から観測するという条件で、大気光からの放射は平方秒角あたり22等級(可視光線での等級。以下同じ)である。最高の条件の下では、星の像は直径0.7秒角程度になるので、面積としては0.4平方秒角になる。そしてその範囲での大気光からの放射は、23等級程度に相当する。大気光から受ける光子の数はN_{a}で表され、以下のようになる。
N_{a}=10^{-23/2.5}\times\frac{S_{0}(V) \times B}{h\nu}
地上にある口径面積Aの望遠鏡の理想的なSN比は、(減衰や検出器ノイズを無視すれば)ポアソン統計によると以下の式になる。
S/N = \sqrt{A}\times\frac{N_{s}}{\sqrt{N_{s}+N_{a}}}
たとえば、口径10mの理想的な地上望遠鏡で未知の恒星を観察し、星像には毎秒35個の光子が到達するとする。一方大気光からは3500個の光子が到達するとする。すると1時間では、約 1.3\times 10^7 \pm 3500個の光子が大気光から到達し、約1.3 \times 10^5個の光子が光源から到達する。この場合S/N比は約1/100である。

これと、実際の露出時間を比較してみよう。口径8mの超大型望遠鏡VLTの場合、FORS露出時間見積によれば、28等星の場合40時間の露出時間が必要になる。一方、口径が2.4mにすぎないハッブル宇宙望遠鏡では、ACS露出時間見積によれば4時間で足りる。ハッブル望遠鏡が8mだったら約30分になる計算である。

これらの計算からわかることは、視野を狭くすれば、大気光の影響を減じて対象を鮮明に感知できるということである。残念ながら、赤外線の範囲で一桁視野を減じるという補償光学技術が使われているだけである。赤外線では空は非常に明るいからである。一方、宇宙望遠鏡は、大気光に煩わされることが無いので、視野の制限をする必要は無い。

大気光励起実験[編集]

アラスカ州ガコーナ(en:Gakona, Alaska)の高周波活性オーロラ調査プログラム 施設で、高出力の電波を地球大気の電離層に向けて大気光を励起させるという実験が行われた[6]。これらの電波は電離層と反応し、条件と周波数によっては、かすかだが視認できる発光を観測できた[7]。

衛星観測[編集]





スイスキューブからの最初の大気光画像。赤外線を緑色に変換している。2011/3/3撮影。
スイスキューブは、スイスの人工衛星であり、スイス連邦工科大学ローザンヌ校が運用している。これはシングルユニットのCubeSatであり、大気光の観測と、宇宙技術開発を目的としている。スイスキューブの大きさは10cm立方、重さは1kg以下であるが、小型望遠鏡を内蔵しており、100km上空の大気光発光現象を観測できるようになっている。スイスキューブからの最初の画像は2011/2/18に撮影されたが、真っ暗で熱雑音が映っているだけだった。大気光の最初の画像は2011/3/3に撮影された。この画像は、近赤外線の波長を可視領域(緑)に変換したものである。近赤外線領域での大気光の密度を計測できた。光子数にして、500 - 61400(解像度500)の範囲である[8]。

他惑星で見られる大気光[編集]

金星探査機ビーナス・エクスプレスは赤外線検知器を積んでおり、金星大気上層で近赤外線の大気発光を検知した。この発光は、一酸化窒素(NO)と、酸素分子によるものである[9]。一酸化窒素生成反応時には紫外線と近赤外線が放出されることがわかっている。紫外線の放射は観測されていたが、このミッションまでは実際に近赤外線の大気発光があるかどうかはわからなかった[10]。

プリズム

プリズム(英語: prism[1])とは、光を分散・屈折・全反射・複屈折させるための、周囲の空間とは屈折率の異なるガラス・水晶などの透明な媒質でできた多面体。

光学部品の1つであり、もとは「角柱」という意味。日本語では三稜鏡(さんりょうきょう)とも呼ばれた。


概要[編集]





プリズムによる光の分散
材質の屈折率は、光の波長によって異なるため、プリズムを出る光の方向は波長によって変わる。この現象を分散という。光を分散させることによって、スペクトルを得ることができる。

大型のリング状プリズムなどは、灯台のフレネルレンズを補う物として、フレネルレンズの周囲に配置される物もある。

プリズムは、内部での全反射を利用して、光の進む方向を変える用途にも用いられる。この例としては、双眼鏡内で像を反転させて正立像にするものや(ポロプリズム・ダハプリズム)、一眼レフカメラのファインダー内で、光軸を3回曲げて、ファインダーに導くもの(ペンタプリズム)などを挙げることができる。この場合、プリズムにおける光の入射/出射面は光の進む方向に垂直であり、屈折による光の分散は起こらない。

プリズムと呼ばれるものの中には、偏光によって光の進む方向を分離する、あるいは一方向の偏光だけを透過するものもある。



プリズムの分類[編集]

分光用途[編集]
三角プリズム
アッベプリズム
ペリン・ブローカプリズム
アミチプリズム

光線の屈曲用途[編集]
ペンタプリズム
ポロプリズム
ポロ・アッベプリズム
アッベ・コーニグプリズム
シュミット・ペカンプリズム
ドーブプリズム
ダイクロイックプリズム
アミチ・ルーフプリズム

偏光用途[編集]
ニコルプリズム
ウォラストンプリズム
ロコンプリズム
グラン・フォーカルトプリズム
グラン・タイラープリズム
グラン・トンプソンプリズム

グリーンフラッシュ

概要[編集]

地球の大気に斜めに入射することによって、太陽光は、プリズムによって光が曲げられるのと同じように屈折する。一方、太陽光は、大気によるレイリー散乱のため短い波長から散乱されて、波長の長い赤に近い光だけが地表に届くことになる。これが夕日の赤い理由であるが、空気が非常に澄んだ条件では、より波長の短い緑の光まで散乱されずに届く。

このとき、赤から緑の色に分離した太陽が上下に少しずれながら重なり合って見えていることになるが、赤色の方がはるかに強いため太陽は赤く見える。しかし、日没や日の出の際に赤色の太陽が地平線(もしくは水平線)で隠されたとき、最頂部の緑色の太陽のみが見えることになる。この光が、大気のゆらぎによってまたたくものと考えられる。

高い山、離島など、地平線や水平線で日没や日の出が見られ、空気の非常に澄んだ場所であることが観測の最低条件となるが、その他の気象条件にも左右されるので、その発生確率は非常に小さい。小笠原諸島の父島にあるウエザーステーションは、日没時に比較的グリーンフラッシュが見えやすい所として有名である。

見られる確率が非常に低いことから、ハワイやグアムではグリーンフラッシュを見たものが幸せになるという言い伝えがある。

夕焼け

夕焼け(ゆうやけ)は、日没の頃、西の地平線に近い空が赤く見える現象のこと。日の出の頃に東の空が同様に見えるのは“朝焼け”(あさやけ)という。夕焼けの状態の空を夕焼け空、夕焼けで赤く染まった雲を“夕焼け雲”と称する。

原理と現象[編集]

光は一般に、その固有波長が障害物よりも大きければ通過しやすい傾向にあり、この現象はレイリー散乱と呼ばれる。日中は長波長(約700nm)の赤色光などは大気中を直線的に通過し、観察者の視野には光源である太陽の見た目の大きさの範囲に収まってしまう。一方短波長(約470nm)の青色光は大気の熱的ゆらぎにより散乱するため空は青く見える。しかしながら夕方になると光線の入射角が浅くなり、大気層を通過する距離が伸びる。すると青色光は障害物に衝突する頻度が増し、かえって吸収されるなどの要因から地表に到達しにくくなる。代わって黄(約580nm)、橙(約610nm)、赤などの長波長光線が散乱され、太陽が沈む方向の空が赤く見えることになる。
1883年、世界中で鮮やかな夕焼けが確認された。これはクラカタウ火山の噴火により大気中に障害物が撒き散らされたためである。
非常に稀だが、見通しの良い場所で、夕焼けや朝焼けの太陽の上端が緑色に光るグリーンフラッシュという現象がみられることがある。
夕焼けや朝焼け時に「太陽の蜃気楼」(Sunset Mirage) と言われる現象に、太陽が“だるまさん”に見える、だるま夕日・朝日(達磨太陽・達磨朝日)がある。
火星においては大気による短波長の散乱よりちりによる長波長の散乱が卓越するため、ピンクの空と青い夕焼けが見られる。

夕焼のもつイメージと関連作品[編集]

沈みゆくもの[編集]

夕焼けは空や山々、町並みを赤く染めあげて美しいものであるが、明るい昼間の時間が終わり暗い夜がやって来る合図でもあり、比較的短時間で終わってしまう現象である。そのため夕焼けの情景は文学や楽曲、映像作品において儚さやせつなさ、悲しさ、寂しさ、別れ、衰退や没落、老いや近づく死などをあらわすものとして用いられる。

ノスタルジー[編集]

また「子供の頃友達と遅くまで夢中になって遊んでいて、帰宅する時に夕焼けを見た」といった共通体験から、子供時代を懐かしむときの表現としても多用される。

例としては三木露風の童謡の『赤とんぼ』や中村雨紅の『夕焼小焼』がある[1]。また西岸良平の一連の作品に冠せられたタイトル『夕焼けの詩』(三丁目の夕日)など、まさに郷愁の象徴であるところからの命名であろう。

一日の終わり、安息[編集]





ジャン=フランソワ・ミレー『晩鐘』
前近代において日の出とともに起きて働き日没とともに一日の活動を終えていた。夕焼けは一日の労働の終わりを象徴するものでもある。

例としては北島三郎の歌う『与作』がある。

秋の夕焼け[編集]

秋の空は空気が澄み夕焼けが美しく、また日の長かった夏から徐々に日没が早くなっていくため夕焼けをとくに意識しやすい。

清少納言も『枕草子』のなかで「秋は夕暮れ 夕日のさして山の端いとちかうなりたるに、からすのねどころへ行くとて三つ四つ、二つ三つなど飛びいそぐさへあはれなり」と記している。 ちなみに俳句においては、「夕焼け」は「朝焼け」とともに夏の季語であり、秋の夕暮れを詠むときは「秋の夕焼け」などとする。

夕焼けと気象に関することわざ[編集]

夕焼けに関して、古来より「夕焼けの翌日は晴れ」ということわざがあるが、これは比較的正しいと言える。日本上空では、偏西風の影響により雨雲は南西から北東へと移動していく。そのため、夕方に西の空が晴れ渡った夕焼けの翌日に、雨雲が来る可能性は低くなるからである。

また、「夕焼けの翌日は晴れ」から派生したことわざとして「夕焼けに鎌を研げ」がある。これは夕焼けがでると晴れるため、翌日の農作業に備えよという意味である。

ブルーモーメント

ブルーモーメント(英語表記:blue moment)は夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に照らされてみえる現象。天気が良かった雲のほとんど無い、または全く無い空気の澄んだ日にだけ現れる。

夕焼けが赤く、日没の前から日没直後まで見られることとは対照的に、ブルーモーメントは青く、日没後の短い時間しか見ることができない。時間が経つにつれブルーモーメントの青色は暗くなり、夜の暗闇に変わる。

もともと薄明の時間が長い北欧で生まれた言葉であり、北欧諸国においては、白夜の時期は数時間にわたってブルーモーメントが見られる。

日本においては天気の良い日没の直後、目の前の風景が青に染まる時間が数分〜10数分間ほど訪れることがある。

大気光学現象

大気光学現象(たいきこうがくげんしょう)とは、大気そのものや、大気中の水滴や氷晶(雲や霧など)によって、太陽又は月の光が反射、屈折、回折などを起こすことによって見える光学現象一般を指す。大気光象 (たいきこうしょう)、気象光学現象 (きしょうこうがくげんしょう) とも呼ぶ。

光の経路や氷晶の形などによる分類は目安を示した。複雑なものや観測例が少ないものに関しては、分類が不正確な場合がある。

大気そのものによる[編集]





朝焼け※空 - 空の色などに関して。夜の空に関しては夜を参照。
朝焼け、夕焼け 山頂光(アルペングロー)(Alpenglow)

ブルーモーメント
薄明
グリーンフラッシュ
大気光
影 - 大気だけではなく、物体によって起こされる。 地球影、雲陰

蜃気楼 上位蜃気楼(四角い太陽)
下位蜃気楼(逃げ水、浮島)
側方蜃気楼(鏡映蜃気楼、不知火)

陽炎
大気差(大気レンズ) - 大気の高度により屈折率が異なる関係などで、天体が実際よりも少し浮き上がって見える。

環天頂アーク


環天頂アーク

環天頂アーク(かんてんちょうアーク、英語:circumzenithal arc、circumzenith arc、CZA)は大気光学現象の1種であり、太陽の上方に離れた空に虹のような光の帯が現れる現象である。 環天頂弧(かんてんちょうこ)、天頂環(てんちょうかん)、天頂孤(てんちょうこ)などとも呼ばれる。 またその形状が地平線に向かって凸型の虹に見えることから、俗に逆さ虹(さかさにじ)ともいう。

環天頂アークは天頂を中心とする円の一部をなし、太陽のちょうど上方を中心とする弧で、太陽側が赤色、反対側が紫色となっている。 その現れる高度は太陽高度によって変化する。 太陽高度が約22度においては太陽から約46度上方、すなわち外暈が現れる位置とほぼ一致している。 太陽高度がこれより高くても低くても、現れる高度はより高い側へ移動する。 太陽がちょうど地平線上にある場合の環天頂アークの高度は約58度である。 太陽高度が約32度で環天頂アークの位置は天頂に一致し、これより太陽高度が高い場合には環天頂アークは現れない。 出現する最低高度が58度であるため、空を見上げなければその出現には気づきにくい。 また弧の中心角は太陽がちょうど地平線上にある場合には約108度であるが、太陽高度が高くなるにつれて大きくなる。

環天頂アークは幻日と同様に雲の中に六角板状の氷晶が存在し、風が弱い場合に現れる。 このとき氷晶は落下の際の空気抵抗により六角形の面を地面に水平にした状態で空中に浮かぶ。 この氷晶の上面に入射した光が氷晶の側面から出る場合、氷晶が頂角90度のプリズムとしてはたらく。 太陽高度が32度より高い場合には氷晶から光が出る際に、全反射してしまうため環天頂アークは現れないことになる。 また、氷晶の屈折率は光の波長によって異なるため、色が分かれて見える。 暈や幻日などの他の多くの大気光学現象においては、それぞれの色が見える位置が重なり合い、鮮明に色が分離しない。 しかし、環天頂アークにおいては色の見える位置が重なり合わないため、鮮明に分離して見えるのが特徴である。

環水平アーク

環水平アーク(かんすいへいアーク、英語:circumhorizon arc、circumhorizontal arc)とは、大気中の氷粒に、太陽光が屈折し、ほぼ水平な虹が見える光学現象である。虹などと同じ大気光象の一種で、水平弧、水平環 とも呼ばれる。日本国内では年に数十回観測される。

上空の氷の結晶の方向がほぼそろったときに、この結晶で屈折した太陽光により見える現象で、一般の虹が太陽とは反対の方向に見えるのに対し、環水平アークは太陽と同じ方向に、ほぼ水平に現れる。ただし、低空に雲があると見えない[1]。

内暈(ないうん:いわゆる太陽に暈(かさ)がかかる現象)に似るが、結晶の中での屈折の仕方により区別される。プリズムと同じく各色の光はそれぞれ特定の方向に進むため、最小偏角に光が多く進むことにより見られる内暈よりも明瞭に色が分離する。また、内暈は太陽を中心とする完全な円なのに対し、環水平アークは天頂を中心とする円の太陽に近い側の方位角にしておよそ108°しか見えない。太陽の下約46°の位置に出現するため、太陽高度がある程度高くないと見えない。そのため、冬の間や緯度の高い地域では見ることができない。本州太平洋岸で環水平アークが見える期間は、概ね夏至を挟んだ半年の間である。彩雲と呼ばれる場合もあるが、回折により見られるいわゆる彩雲とは別の現象である。

2005年6月12日に群馬県で観測され、天文台などに不吉なことが起こる前兆ではとの問い合わせが寄せられた。

2005年7月20日10:30秋田と岩手にまたがる栗駒国定公園で観測された。栗駒山荘に写真が絵葉書として売られている。新聞にも掲載された。

2012年5月26日午前 埼玉県南部で観測された。
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