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2018年07月29日
2018年7月30日〜8月3日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
前7月16日〜7月20日週の主要通貨ペアの動きを下図に纏めます。この図の始値は先週終値を採用しています。
日足と見間違うぐらい動かない週でした。
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JPYが買われた理由は、31日の日銀金融政策決定会合でETFの購入配分見直しを検討すると日経新聞が報じたため、です。米欧の貿易交渉がひとまず合意されたことによって、日本(と日本との貿易額が大きい中国)との交渉が残っていることが意識されたことも、JPY買の一因かも知れません。日銀は先週2度の指し値オペを行い、金利上昇を抑え込む姿勢を見せたものの、USD買材料への反応が小さかった週だったので、USDJPYはJPY高側に動きました。
USDは、買材料に小さく、売材料に大きく反応しました。
欧州との貿易合意はEUR買に繋がり、それが結果的にUSD売に繋がりました。また、フェイスブックやツイッターの株価が大きく下げたことが報道されました。今週も米企業決算が続くため、米株価が日経株価に影響してUSDJPYの動きに影響を与える状況が続きそうです。
米GDPは市場予想通り+4.1%と高い伸びを示したものの、事前に米大統領ほかがこの結果を話していたため、たいしたUSD買は起きませんでした。米大統領はUSD高を歓迎していないので、やり口がさすがでした。
EURは、25日の米欧貿易合意で買われ、26日のECB金融政策発表で売られました。
貿易問題での米欧合意が25日に行われ、EURは買われました。合意内容は、@ 自動車を除く工業製品に対する貿易障壁の撤廃に向けて取り組むこと、A EUは米国産大豆と原油の輸入増を目指すこと、です。
ECBの金融政策の現状維持は市場予想通りで、政策発表後のECB総裁会見では「(貿易摩擦などのリスクは)現時点で金融政策の道筋変更を正当化しない」との見解を示されました。金融政策の道筋とは、@ 債券買入プログラムの年内終了、A 政策金利は2019年秋に変更、を指しています。@は時期の変更に関わる話が材料となり、Aは時期の変更(2019年10月との見込み)と程度見込みの修正(+0.1%との見込み)の修正が今後も材料となります。
GBPは、24日に今後のEU離脱交渉を首相自ら主導する旨、報道されました。そして、25日には関税同盟に関する英国提案をEUが拒否した旨、報道されました。
8月中旬にもEUとの交渉が行われるそうですが、自然に考えれば、今後は合意なし離脱に備えた話題が増えるでしょう。EU側では既に19日、欧州委員会が期限内の離脱交渉合意に至らなかった場合のサプライチェーンの混乱に備えるように域内企業に注意喚起を行っています。
AUDは、米中貿易摩擦が収まるまで大きく買えません。
USDJPY以外は、貿易摩擦は経済好調なUSD高に、その緩和はUSD安に繋がることが、ここ最近の動きです。米豪金利が逆転したことも影響しています。
【2. 今週予習】
今週は、8月2日にFOMCとMPCが行われます。
FOMCは、米大統領が(USD高に繋がる)利上げを歓迎しない旨を発言以来、最初のFOMCになります。これまでの淡々と利上げを続ける方針が影響を受ければ、USD売に繋がります。
MPCは利上げ予想が多数を占めているものの、政権混乱時に政策変更するのかという疑問を呈した解説記事も一読に値します。市場予想が利上げでも、ちょっと安心できません。
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今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月30日(月)
注目指標無し
7月31日(火)
15:30 日銀総裁会見
18:00 7月集計分欧州HICP速報値、4-6月期集計分欧州GDP速報値
21:30 6月集計分米国PCE
23:00 7月集計分米国CB消費者信頼感指数
8月1日(水)
17:30 7月集計分英国製造業PMI
21:15 7月集計分米国ADP雇用統計
23:00 7月集計分米国ISM製造業景況指数
8月2日(木)
03:00 米国金融政策(FOMC)
20:00 英国金融政策(MPC)
8月3日(金)
10:30 6月集計分豪州小売売上高
17:30 7月集計分英国サービス業PMI
21:30 7月集計分米国雇用統計
23:00 7月集計分米国ISM非製造業景況指数
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
注記以上
欧州物価指標「消費者物価指数(HICP)速報値」発表前後のEURJPY反応分析(改訂版)
欧州物価指標「消費者物価指数(HICP)速報値(以下、本指標と略記)」の指標発表前後の反応分析には、
@ HICP前年比速報値(以下「HICP」と略記)
A コアHICP前年比速報値(以下「コアHICP」と略記)
を用います。
HICPは、毎月、速報値と改定値が発表されます。速報値では前年比のみが発表されます。
この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年6月発表分)の42回分です。この間の指標結果と反応方向から、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことが本稿テーマです。
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは、景気指標の推移の分析よりも、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思って構いません。
本指標の意義は、ECB金融政策に影響を与えることだと言われています。ECB(欧州中央銀行)は、実質的なインフレ目標(HICP前年比2%弱)を設定しているからです。よって、FX各社のHPでは、本指標の重要度・注目度を高く位置づけています。
それにも関わらず、本指標結果による反応は短時間で小さく、発表結果が市場予想より良くても悪くても56%しか素直に反応していません。
反応が限られている理由は、本指標発表前に欧州各国の物価指標が発表されることが一因です。特に、独仏伊といった主要国分は、発表毎にEURレートへの織り込まれてしまっているので、本指標発表結果はその追認の意味しかないのでしょう。
事実、後掲する指標結果推移を示すグラフをご覧頂ければ、速報値であるにも関わらず、発表結果の市場予想との差異が小さいことがわかります。
また、本分析で扱っているのは速報値で、HICPは後日改定値も発表されます。けれども、改定値の市場予想の精度はもっと高く、取引上の魅力がなく絶望的に反応しません。そもそも改定値は速報値と一致しがちなのです。
つまり、速報値ですら市場予想の精度が高く、そして改定値はもっと市場予想の精度が高く、その結果、指標結果への反応が短時間で小さい、というのがHICPです。
HICPとコアHICPの過去推移を下図に示します。速報値ではいずれも前年比しか発表されません。
赤●は改定値です。速報値と改定値とが一致している箇所の赤●は見えないようになっています。ご覧の通り、改定値は速報値と一致しなかったことの方が少ないことがわかります。
これでは、改定値発表時に反応が小さくなるのも当然です。
また、市場予想の精度が高いことも特徴です。それなら、発表結果が市場予想からズレた回数を踏まえて、HICP<コアHICP、と考えていれば良いのでしょうか。日頃はその通りです。
けれども、前述の通り、ECBの実質的インフレ目標は、コアHICPでなくHICPです。ECBの金融政策変更が噂される時期になると、HICP>コアHICP、が市場の関心順となります。
分析には、事前差異(=市場予想ー前期改定結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前期改定結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
下の左右2図をご覧ください。左がHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)で、右がコアHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)です。
どっちのグラフを参考にしてどっちにポジションをオーダーすれば良いかがわかりますか。わかりゃしません。どっちにせよ運任せの取引になってしまいそうです。というのも、無理に傾向を読み取れば、全体的に右上がりな傾向を示しているものの、ばらつきが大き過ぎるのです。
本指標はあまり素直な反応をするとは言えません。素直な反応をしない指標は、このブログのように経済や金融に素人が行う分析に向いていません。EURはとても玄人向きの通貨なのです。だから嫌いです。
次に、下図をご覧ください。下図は、直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を表しています。
黒線は対角線で、赤線が回帰線です。両者ほぼ平行なことはさておき、ドット分布はどちらの線からも大きくばらついています。
こんな特徴の指標で判別式に凝ってもあまり意味がありません。
事前差異・事後差異・実態差異のいずれの判別式も
としておきましょう。
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅は過去平均で9pipsです。
過去の反応分布を見ると、全体の半数52%が6〜14pips跳ねています。5pips以下しか反応しなかったことは24%、15pips以上跳ねたことは24%です。過去、直後1分足が最も大きく跳ねたのは、2017年4月集計分発表時の21pipsです。
反応が小さい指標です。
次に、2015年以降の反応推移を下図に示します。2018年発表分はまだ7回しか反映されていません。
毎年、少しずつ反応が小さくなってきていることがわかります。結果はわかっても、原因がわかりません。
毎年の事後差異判別式の解の大きさと比較しておきましょう。
事後差異判別式は、1✕HICPの(発表結果ー市場予想)+1✕コアHICPの(発表結果ー市場予想)、です。この式の解は、プラスになることもマイナスになることもあります。プラスとマイナスが相殺されるのを避けるため、全て絶対値(マイナスのときは、マイナスでなくその値をプラスと見立てた値)の平均値を求めます。
結果を下表に示します。
この間の反応が小さくなったことは、市場予想の精度が上がった訳ではありません。
2017年以降、HICPがECBの政策目標である2%弱に達しているから、というのは理由になりません。それでは、2016年以前の説明がつきません。
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率がそれぞれ26%・35%しかありません。指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値を超えていれば陰線、超えていなければ陽線で反応しがちです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は55%しかありません。方向一致した回数を見るなら、本指標はあまり素直に反応するとは言えません。2.1項に示した回帰式がアテにあらないことが確認できた訳です。
1.2項に示したHICP・コアHICPの推移が上昇中ということもあって、過去の実態差異は70%がプラスになっています。また、直前1分足の陰線率は70%と偏りが目立ちます。それにも関わらず、直前1分足は実態差異と70%の方向一致率となっています。
さてここで、市場予想が前回改定値より悪化していれば、指標発表前後10分間が陽線になりがちで、改善していれば陰線になりがちなことに意味があるのでしょうか。
EURに関してはあるかも知れません。
というのも、玄人通貨のEURでは「噂(予想)で買って、事実(発表)で売る」という動きが顕著な気がします(「気がする」です)。定量的な論拠を示さず、定性的な話で申し訳ないのですが、大きなイベントや指標を前にEURの折込は早くから始まりがちです。指標発表10分前には、玄人の売買は既に終わっているのでしょう。だから、指標発表前後10分はそれまでの動きと反対に動くことが多いのかも知れません。
ならば、この分析結果を活かした取引が有効な場面も考察できます。
市場予想が前回改定値より悪化/改善しており、指標発表1・2時間前から陰線側/陽線側に伸びているなら、直前10-1分足や直後11分足が陽線/陰線です。
伸長性分析は、反応性分析を用います。反応性分析は、指標発表から1分経過しても、同じ方向に反応を伸ばし続けたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は6pipsです。この期間の反応程度は、指標発表直後1分間とほぼ同じです。
過去の陽線率は50%、事前差異との方向一致率は26%(不一致率74%)です。1✕HICPの事前差異+1✕コアHICPの事前差異、という判別式の解の符号と逆方向にポジションをオーダーし、利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておけば良いでしょう。
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
過去の陰線率は70%あるものの、この数値は2015年にこの期間に陽線だったことが1度もないため高めの数字となっています。2016年3月以降に限れば、陰線率は59%に下がります。
その上、反応が小さいのだから、この期間の取引は避けた方が良いでしょう。
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足の過去平均跳幅は9pips、同値幅は7pipsです。過去の陽線率は65%、事前差異との方向一致率は44%、事後差異との方向一致率は55%です。
直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。
但し、その4回のうち3回の直後1分足は、逆ヒゲがあります。うち2回は10pipsの逆ヒゲです。だから、直前10-1分足が15pips跳ねても、慌てて追撃すべきではありません。この指標への反応で10pipsも逆行したら損切りせざるを得ません。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は、前述の通り68%です。その68%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは70%です。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
最後に、下図は直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後11分足の過去平均跳幅は18pips、同値幅は11pipsです。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。直後1分足に対する直後11分足分布図から、追撃を行うのは直後1分足が陰線だったときだけにした方が良いでしょう。このときの利確/損切の目安は5pipsぐらいで良いでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
2017年の本指標での取引成績を下表に纏めておきます。
2018年は本指標でまだ取引していません。何かやる気があまり起きなくて。
2017年は、本指標で2回の取引を行い、指標単位で2勝、シナリオ単位で6勝1敗(勝率86%)でした。1回の発表毎の平均取引時間は6分6秒で、損益は年間で+14pipsでした。
反応が小さい指標なので、悪い成績ではありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
@ HICP前年比速報値(以下「HICP」と略記)
A コアHICP前年比速報値(以下「コアHICP」と略記)
を用います。
HICPは、毎月、速報値と改定値が発表されます。速報値では前年比のみが発表されます。
この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年6月発表分)の42回分です。この間の指標結果と反応方向から、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことが本稿テーマです。
T. 指標説明
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは、景気指標の推移の分析よりも、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
【1.1 指標概要】
EU以外の日米独英豪等の主要国では、消費者物価指数をCPIと表します。欧州のそれだけがHICP(= Harmonized Indices of Consumer Prices)と表記されます。FX参加者にとってはHICPもCPIも同じ内容だと思って構いません。
本指標の意義は、ECB金融政策に影響を与えることだと言われています。ECB(欧州中央銀行)は、実質的なインフレ目標(HICP前年比2%弱)を設定しているからです。よって、FX各社のHPでは、本指標の重要度・注目度を高く位置づけています。
それにも関わらず、本指標結果による反応は短時間で小さく、発表結果が市場予想より良くても悪くても56%しか素直に反応していません。
反応が限られている理由は、本指標発表前に欧州各国の物価指標が発表されることが一因です。特に、独仏伊といった主要国分は、発表毎にEURレートへの織り込まれてしまっているので、本指標発表結果はその追認の意味しかないのでしょう。
事実、後掲する指標結果推移を示すグラフをご覧頂ければ、速報値であるにも関わらず、発表結果の市場予想との差異が小さいことがわかります。
また、本分析で扱っているのは速報値で、HICPは後日改定値も発表されます。けれども、改定値の市場予想の精度はもっと高く、取引上の魅力がなく絶望的に反応しません。そもそも改定値は速報値と一致しがちなのです。
つまり、速報値ですら市場予想の精度が高く、そして改定値はもっと市場予想の精度が高く、その結果、指標結果への反応が短時間で小さい、というのがHICPです。
【1.2 指標推移】
HICPとコアHICPの過去推移を下図に示します。速報値ではいずれも前年比しか発表されません。
赤●は改定値です。速報値と改定値とが一致している箇所の赤●は見えないようになっています。ご覧の通り、改定値は速報値と一致しなかったことの方が少ないことがわかります。
これでは、改定値発表時に反応が小さくなるのも当然です。
また、市場予想の精度が高いことも特徴です。それなら、発表結果が市場予想からズレた回数を踏まえて、HICP<コアHICP、と考えていれば良いのでしょうか。日頃はその通りです。
けれども、前述の通り、ECBの実質的インフレ目標は、コアHICPでなくHICPです。ECBの金融政策変更が噂される時期になると、HICP>コアHICP、が市場の関心順となります。
U.反応分析
分析には、事前差異(=市場予想ー前期改定結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前期改定結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【2.1 反応概要】
下の左右2図をご覧ください。左がHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)で、右がコアHICP事後差異(横軸)に対する反応(縦軸:直後1分足値幅)です。
どっちのグラフを参考にしてどっちにポジションをオーダーすれば良いかがわかりますか。わかりゃしません。どっちにせよ運任せの取引になってしまいそうです。というのも、無理に傾向を読み取れば、全体的に右上がりな傾向を示しているものの、ばらつきが大き過ぎるのです。
本指標はあまり素直な反応をするとは言えません。素直な反応をしない指標は、このブログのように経済や金融に素人が行う分析に向いていません。EURはとても玄人向きの通貨なのです。だから嫌いです。
ーーー$€¥£A$ーーー
次に、下図をご覧ください。下図は、直後1分足(横軸)に対する直後11分足(縦軸)の分布を表しています。
黒線は対角線で、赤線が回帰線です。両者ほぼ平行なことはさておき、ドット分布はどちらの線からも大きくばらついています。
こんな特徴の指標で判別式に凝ってもあまり意味がありません。
事前差異・事後差異・実態差異のいずれの判別式も
- 1✕HICPの差異+1✕コアHICPの差異
としておきましょう。
【2.2 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅は過去平均で9pipsです。
過去の反応分布を見ると、全体の半数52%が6〜14pips跳ねています。5pips以下しか反応しなかったことは24%、15pips以上跳ねたことは24%です。過去、直後1分足が最も大きく跳ねたのは、2017年4月集計分発表時の21pipsです。
反応が小さい指標です。
次に、2015年以降の反応推移を下図に示します。2018年発表分はまだ7回しか反映されていません。
毎年、少しずつ反応が小さくなってきていることがわかります。結果はわかっても、原因がわかりません。
毎年の事後差異判別式の解の大きさと比較しておきましょう。
事後差異判別式は、1✕HICPの(発表結果ー市場予想)+1✕コアHICPの(発表結果ー市場予想)、です。この式の解は、プラスになることもマイナスになることもあります。プラスとマイナスが相殺されるのを避けるため、全て絶対値(マイナスのときは、マイナスでなくその値をプラスと見立てた値)の平均値を求めます。
結果を下表に示します。
この間の反応が小さくなったことは、市場予想の精度が上がった訳ではありません。
2017年以降、HICPがECBの政策目標である2%弱に達しているから、というのは理由になりません。それでは、2016年以前の説明がつきません。
【2.3 予兆分析】
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前10-1分足や直前1分足は、事前差異との方向一致率がそれぞれ26%・35%しかありません。指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値を超えていれば陰線、超えていなければ陽線で反応しがちです。
事後差異と直後1分足の方向一致率は55%しかありません。方向一致した回数を見るなら、本指標はあまり素直に反応するとは言えません。2.1項に示した回帰式がアテにあらないことが確認できた訳です。
1.2項に示したHICP・コアHICPの推移が上昇中ということもあって、過去の実態差異は70%がプラスになっています。また、直前1分足の陰線率は70%と偏りが目立ちます。それにも関わらず、直前1分足は実態差異と70%の方向一致率となっています。
ーーー$€¥£A$ーーー
さてここで、市場予想が前回改定値より悪化していれば、指標発表前後10分間が陽線になりがちで、改善していれば陰線になりがちなことに意味があるのでしょうか。
EURに関してはあるかも知れません。
というのも、玄人通貨のEURでは「噂(予想)で買って、事実(発表)で売る」という動きが顕著な気がします(「気がする」です)。定量的な論拠を示さず、定性的な話で申し訳ないのですが、大きなイベントや指標を前にEURの折込は早くから始まりがちです。指標発表10分前には、玄人の売買は既に終わっているのでしょう。だから、指標発表前後10分はそれまでの動きと反対に動くことが多いのかも知れません。
ならば、この分析結果を活かした取引が有効な場面も考察できます。
市場予想が前回改定値より悪化/改善しており、指標発表1・2時間前から陰線側/陽線側に伸びているなら、直前10-1分足や直後11分足が陽線/陰線です。
【2.4 伸長性分析】
伸長性分析は、反応性分析を用います。反応性分析は、指標発表から1分経過しても、同じ方向に反応を伸ばし続けたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は6pipsです。この期間の反応程度は、指標発表直後1分間とほぼ同じです。
過去の陽線率は50%、事前差異との方向一致率は26%(不一致率74%)です。1✕HICPの事前差異+1✕コアHICPの事前差異、という判別式の解の符号と逆方向にポジションをオーダーし、利確/損切の目安は5pipsぐらいにしておけば良いでしょう。
【3.2 直前1分足】
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
過去の陰線率は70%あるものの、この数値は2015年にこの期間に陽線だったことが1度もないため高めの数字となっています。2016年3月以降に限れば、陰線率は59%に下がります。
その上、反応が小さいのだから、この期間の取引は避けた方が良いでしょう。
【3.3 直後1分足】
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足の過去平均跳幅は9pips、同値幅は7pipsです。過去の陽線率は65%、事前差異との方向一致率は44%、事後差異との方向一致率は55%です。
直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。
但し、その4回のうち3回の直後1分足は、逆ヒゲがあります。うち2回は10pipsの逆ヒゲです。だから、直前10-1分足が15pips跳ねても、慌てて追撃すべきではありません。この指標への反応で10pipsも逆行したら損切りせざるを得ません。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は、前述の通り68%です。その68%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは70%です。
何か中途半端な数字で、安心して追撃ポジションを取れません。それでも追撃ポジションをオーダーするなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
【3.4 直後11分足】
最後に、下図は直後11分足の始値基準ローソク足です。
直後11分足の過去平均跳幅は18pips、同値幅は11pipsです。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしていたことは40%しかありません。直後1分足に対する直後11分足分布図から、追撃を行うのは直後1分足が陰線だったときだけにした方が良いでしょう。このときの利確/損切の目安は5pipsぐらいで良いでしょう。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
- 本指標は、ECB金融政策に影響を与えるため、多くの指標解説で重要度や注目度が高いと位置づけられています。けれども、市場予想の精度が高く、反応が短時間で小さく、発表結果の市場予想に対する良し悪しに55%しか素直に反応していません。
取引には向かない指標です。 - 指標発表前10分間は、市場予想が前回改定値より改善していれば陰線、悪化していれば陽線で反応しがちです。逆ではありません。
この間に、直前10-1分足が15pips以上跳ねたことは、過去5回あります(頻度12%)。その5回のうち4回が、直前10-1分足と直後1分足の方向が一致しています(一致率80%)。けれども、慌てて追いかけてはいけません。その4回のうち3回の直後1分足は10pips以上の逆ヒゲがあります。
安全を考慮すると、直前10-1分足が15pips跳ねたら、指標発表直前まで待ってその跳ねた方向にポジションをオーダーします。そして、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。 - 指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅は、過去数年に亘って安定して10pips程度です。指標発表直後の反応方向は、上記の通りあまり素直ではありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は68%です。この68%のうち、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が同じ方向に反応を伸ばしたことは70%あります。初期反応方向に追撃するなら、指標発表から1分を過ぎたら利確であれ損切であれ、さっさとポジションを解消した方が安心です。どうせ大きく反応する指標ではないし、もしも大きく反転して1度でも大きく負けると、年間で勝てない指標になってしまいます。
指標発表から1分を過ぎると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしていたことは40%しかありません。
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2017年の本指標での取引成績を下表に纏めておきます。
2018年は本指標でまだ取引していません。何かやる気があまり起きなくて。
2017年は、本指標で2回の取引を行い、指標単位で2勝、シナリオ単位で6勝1敗(勝率86%)でした。1回の発表毎の平均取引時間は6分6秒で、損益は年間で+14pipsでした。
反応が小さい指標なので、悪い成績ではありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年07月26日
米四半期GDPの反応分析用最新更新データ
判別式
事前差異は、1✕GDP事前差異+2✕コアPCE事前差異、という判別式(プラスが陽線、マイナスが陰線)を用います。
事後差異は、2✕GDP事後差異+1✕デフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式を用います。
実態差異は、ー2✕GDP実態差異ー1✕デフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、という判別式を用います。
反応概要
反応程度
予兆分析
伸長性分析
事前差異は、1✕GDP事前差異+2✕コアPCE事前差異、という判別式(プラスが陽線、マイナスが陰線)を用います。
事後差異は、2✕GDP事後差異+1✕デフレータ事後差異ー2✕PCE事後差異+1✕コアPCE事後差異、という判別式を用います。
実態差異は、ー2✕GDP実態差異ー1✕デフレータ実態差異ー2✕PCE実態差異ー1✕コアPCE実態差異、という判別式を用います。
反応概要
反応程度
予兆分析
伸長性分析
2018年07月22日
2018年7月23日〜7月27日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
前7月16日〜7月20日週の主要通貨ペアの動きを下図に纏めます。先週は、@ GBP売、A 前半USD高、B 後半USD安、の週でした。
結果的にはGBPを除いて変化の小さい週でした。USDJPYの全幅(高値ー安値)が177pips、EURUSDのそれが177pips、AUDJPYのそれは171pipsでした。GBPUSDは336pips変化したので、相対的に大きく動いたように見えるものの、GBPの週足全幅としては平均的な変化です。
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USDJPYは一時的に113円台の乗せました(113.17円、19日21時台)。
この付近は月足チャートにおける2015年1月からの高値を結んだレジスタンス線上になります。1円や2円の誤差など関係ない月足レジスタンスですが、日足や週足のレジスタンスの114円台前半を抜けると、月足チャートの形状がかなり違って見えるようになるでしょう。
17日、FRB議長は議会で「(米経済成長は)あと2・3年続く」との見解を示しました。これが、先週からのUSD高に最後のひと押しとなりました。
19日、米大統領がFRB利上げ牽制発言(ツィート?)し、その流れが一変しました。週前半のUSD上昇分を超えてUSDは売られました。USD高は米企業の国際競争力を奪うという内容で、この内容やそれへの反応はどの国の政府・中銀も言ったりやったりしていることです。
コイツは何かやるかも知れない、それが桁外れかも知れない、と思わせる点でやはり個性的な指導者です。
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GBP安の背景を辿っておきましょう。
月初に英首相がまとめたEU離脱方針に対し、9日にハードブリグジット派の閣僚が辞任しました。12日に発表された政府方針を巡っては、ソフトブリグジット路線への転換との報道が目立ちました。関連法案は17日に議会を通過したものの、採決は僅差でした。採決が僅差だったこともあり、2019年に再び総選挙が行われる可能性も取りざたされています。
これまで8月MPCでは利上げが取りざたされていたものの、18日に発表された6月集計分CPI前年比は対前月同値、コアCPI前年比は+1.9%に低下(前月は+2.1%)しました。ロイター報道に依れば「金融市場の8月利上げ確率が80%から70%に低下」したとのことです。
19日、欧州委員会は、期限内の離脱交渉合意に至らなかった場合のサプライチェーンの増加に備えるように域内企業に注意喚起を行いました。EU内の結束を保つには、域外になる英国に例外を設ける訳にもいきません。
EUは米大統領よりもやり方が上品で、欧州・英国間でかけこみ需要が増え始める状況です。
【2. 今週予習】
今週は、26日にECB金融政策発表と、27日に米国4-6月期GDP速報値発表と、週後半に大きな発表があります。また、GBPは来週8月2日に利上げが見込んだMPCを控えて、26日に4-6月期GDP速報値発表があります。
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過去の傾向から言えば、ECB総裁は何か騒ぎが起きているときに何か新たな見解を示したりしません。特に現在、米国との通商問題で独政府が苦境にあることを踏まえると、EUR安に繋がる発言はしないし、する必要もありません。そんなことをしなくても翌日の米GDPではかなり良い数字になりそうだという見方が広まっています。
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前週後半に対JPY・対EURで売られたUSDは、4-6月期GDP速報値が何と+4%超の予想となっています。
本指標の過去の直前10-1分足は、市場予想が前期確定値より良ければ陽線で反応したことが70%超で、指標発表直後の反応は、発表結果が前期確定値より良ければ陽線で反応したことも70%弱と、なっています。
但し、市場予想が良すぎる点が心配です。発表結果が市場予想との大小関係に素直に反応したことは約80%に達しています。
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本来なら、そろそろ次週8月2日のMPCの利上げを見込んで、GBPは買われ始めてもよい時期です。今後しばらくはBOE幹部やMPC理事の発言に注意しておいた方が良いでしょう。
金融市場が見込む利上げ確率が70%ということは、既に利上げの織込みが進んでいるということです。もし利上げ延期に繋がる発言や、実際に利上げが延期された場合、GBP安は一段・一気に進む可能性があります。
1-3月期GDP前期比は大きく下げており、今回4-6月期も下げるか1-3月期と同じレベルに留まるなら、利上げ確率は更に低下してしまうでしょう。
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今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月23日(月)
23:00 6月集計分米国中古住宅販売件数
7月24日(火)
注目指標なし
7月25日(水)
10:30 4-6月期豪州四半期CPI
17:00 7月集計分独国Ifo企業景況感調査
23:00 6月集計分米国新築住宅販売件数
7月26日(木)
20:45 欧州(ECB)金融政策
21:30 6月集計分米国耐久財受注
7月27日(金)
21:30 4-6月期米国GDP速報値
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
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2018年07月15日
2018年7月16日〜7月20日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
前7月9日〜7月13日週の主要通貨ペアの動きを下図に纏めます。今週からは、この図を使って前週の動きを見て行きましょう。
主要国通貨間で、JPYはどの通貨にも対しても大きく売られ、それに次いでUSDがどの通貨に対しても買われています。AUDはJPYに対して買われたものの、USDに対してはあまり動かない週でした。
ここ最近の市場の中心テーマは@ 米国との対中・対欧貿易摩擦で、過去に遡ると、A 北朝鮮非核化着手の首脳合意、B FRBの利上げ姿勢継続、でした。Bによって長期的にはUSD高に向かうと言われていたものの、イールドカーブのフラット化によってそうならないという状態が続いていました。
こうした状況を打破するような大きな材料が新たにないまま、この動きはちょっと解せません。
中国の対米貿易黒字は、報復関税発効前のかけこみ需要か膨らむことが予想されており、その通りになりました。米大統領の訪欧では、NATOの国防費負担の問題で独国との見解の相違が際立った印象があります。そして、前週の米長期金利は下がっています(イールドカーブもフラット化)。
「有事のUSD買」なら昔からある話ですが、有事の指す紛争が貿易紛争にまで拡張された訳ではないでしょう。
でも、新たな解釈として「リスク回避のUSD買」という解説記事が散見されます。それらを纏めて少し乱暴に要約すると、日欧豪経済も好調ですが、日豪は中国と、欧州はイランと、独国は露国との経済的結びつきが米国よりも強い点が現状でリスクと言えるとの見方です。
なるほど。
一応、筋は通っているし、米国ファーストを掲げる米大統領が緻密な戦略家のような気さえしちゃいます。でも何で今、という疑問の答えではありません。これはこじつけです。
一方、国際政治や経済の専門家ではない(株やFXの専門家?)の解説ブログでは、逆張りの多いUSDJPYで最近のレンジ上限の111円台に達してからは、ストップロス狩りに狙われていた、という話も見かけました。陰謀論です。
けれども、その理屈ではEURUSDやGBPUSDでもUSDが買われたことへの説明になっていません。
ただ、GBP安には筋の通った理由があるのかも知れません。
先々週に英首相がまとめたEU離脱方針に対し、9日、ハードブリグジット派の閣僚が辞任しました。12日に発表された政府方針を巡っては、ハードブリグジット路線からソフトブリグジット路線への転換とも報道されています。
ハードブリグジットにはEUの意向なんて関係ないものの、ソフトブリグジットならEU側にも妥協してもらわないと成立しません。離脱交渉の期限は9月と残り3か月を切っています。不安はGBPからのリスク回避に繋がったと解釈できます。
【2. 今週予習】
そして、今週は英国指標の週です。
去る7月5日、BOE総裁は講演で「英経済は5月の予想通りに成長」しており「更にる金融政策引締めが必要」と発言しています。この発言の結論は「8月に政策金利決定のための情報が揃う」というものでした。
ここ最近の雇用統計(平均所得)と物価統計の関係は改善傾向(平均所得が物価上昇を上回りがち)です。
次回MPCは8月2日に予定されています。今週、雇用統計・物価統計が終われば、来週26日に4-6月期GDP速報値発表へと繋がる小売売上高指数の発表があります。
また、前週のUSDJPYとEURUSDにおけるUSD高値は13日17時台に付けており、GBPUSDのそれは18時台でした。USDが高値をつけた時間帯から、その後の反転は週末を控えてだったと解釈できます。
けれども、日本で多数のプロたちが参加する株式市場が祝日で休場のため、規模の小さなアマチュアの売買が相場を形成しやすくなっています。もし私が陰謀を企てられるほど資金が桁外れなら、先週よりもむしろ今週月曜の欧州勢参加前に陰謀しちゃうでしょう。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
月曜11時には中国GDPの発表が予定されています。市場予想は前期より0.1%低下となっており、貿易問題への懸念に絡めた報道が行われると、JPY買・AUD売に繋がります。
火曜は英国雇用統計が予定されているものの、その30分前の17時にBOE総裁の議会証言が始まります。8月利上げの有無に関する質疑なり説明なりが、どのタイミングで行われるかがわかりません。予定時刻が迫ってよりも、それ以前にGBPが一方向への緩やかなトレンドを形成する可能性があります。
その後、同日23時に予定されるFRB議長の議会証言待ちに、どこかの段階で移行します。ここ最近の発言から利上げ継続の姿勢が示されると予想されています。
日本が連休明けということもあって、火曜はちょっと怖いですね。
今週全体を通しては、先述の通り英国指標の週だと言えます。
利上げに繋がるような話があっても、指標結果がそれを支持する内容であっても、より本質的課題のEU交渉が纏まる訳ではありません。GBP高への追撃は慎重に行う必要があります。
一方、GBP安に繋がる指標結果は、火曜のBOE総裁議会証言後に8月利上げの確度が高まっている場合に、追撃を慎重に行えば良いでしょう。
なお、データのない経験則ですが、GBPの大きな動きがあったときは19時前の一服やひとまず反転が要注意です。
7月16日(月)
11:00 4-6月期中国GDP
21:30 6月集計分米国小売売上高、7月集計分米国NY連銀製造業景気指数
7月17日(火)
10:30 7月3日分豪州RBA金融政策会合議事要旨公表
17:00 BOE総裁議会証言
17:30 5・6月集計分英国雇用統計
22:15 6月集計分米国設備稼働率・製造業生産・鉱工業生産
23:00 FRB議長議会証言
7月18日(水)
17:30 6月集計分英国物価統計
7月19日(木)
08:50 6月集計分日本通関ベース貿易収支
09:30 6月集計分豪州雇用統計
17:30 6月集計分英国小売売上高指数
21:30 7月集計分米国Phil連銀製造業景気指数
7月20日(金)
08:30 6月集計分日本CPI
以上
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2018年07月10日
2-1. 大きなゾウの隠れ方
カートヴォネガットJr.の小説のどれかに、どうやってイチゴ畑でゾウが隠れたか、という話が出てくる場面がありました。確か、爪先に赤いマニュキュアを塗っておいたのです。
ファンダメンタル分析は役に立たないという話があります。とんでもない。ファンダメンタル分析の結論を頭に入れておかなければ、テクニカル分析だけをアテにしなければならないのです。
ところが、専門知識がなくても結果(見通し)が一目瞭然のテクニカル分析と違って、ファンダメンタル分析はわかりにくいのです。そもそもファンダメンタルが何を指し示しているのかすら、良くわからないことさえあります。
ファンダメンタルといった言葉で一括りにされる対象は、
と多岐に亘ります。これでもきっと全部ではありません。ともあれ、ファンダメンタルとはこれらの一部や全部を指しています。一部や全部です。
そして、FXに必要なファンダメンタル分析には「ファンダメンタルのどの変化を原因として、どの通貨ペアがどの時点までにどう動くかを明らかにする」というテーマに沿っていなければ意味がありません。
こうした複雑な因果関係の有無を明らかにすることが分析の目的で、その因果関係は「原因」「結果」「時期や時差」の関係ということになります。
そうでないなら、それは分析というよりも単に「でっかい話」に過ぎません。
ともあれ、我々アマチュアが客観的なファンダメンタルの変化を知るには、数値化された経済指標の変化を追うのが一番わかりやすいはずです(原因の把握)。
そして、わざわざ凝った分析に興味があるのは、その変化がチャート上にどう現れるかを知りたいからです(結果の予想)。
その因果関係は、指標発表前後数分間のチャートに同じ傾向が確率的に再現されています(再現確率と再現時期の把握)。
更にその因果関係を遡れば、ある経済指標の変化が他の経済指標の変化の方向を先行示唆している場合もあります(時差の把握)。
こうした分析を当てられるようになっていくことも、FXの愉しみ方のひとつです。我々は裏付けが理解できる程度にしか、勝率に上方バイアスを加えられないのだから、いずれ赤いマニュキュアをしている正体を見たいものです。
先に、ファンダメンタル分析の結論がどのようなものか、イメージを掴んでおきましょう。
いま、ふたつの国で先に挙げたファンダメンタルが何ひとつ変化しなくなったらどうなるでしょう。
ふたつの国で互いに何ひとつ変化がなくても、既に両国の間に何かの格差があれば、相対的に劣勢な国の資金は、相対的に優勢な国へと流れがちです。
例えば、関西でみかんが豊作だったのに、関東でみかんが手に入らなかったとしましょう。このとき、船で「みかん優勢」な関西から「みかん劣勢」な関東に運べば、みかんとその代金が動いて、関西と関東のファンダメンタルが変化します。
資金が増えたり減ったりした後のファンダメンタルは、それ以前と何かが変化しています。この例だと、紀伊國屋という大金持ちが関西にひとり増えたのです(文左衛門が関西の人だったかどうか知りませんけど)。
この状態を別の言い方で説明するとこうです。
現在の為替水準は、現在までのファンダメンタルを既に全て踏まえています。ところが、劣勢な国から優勢な国へと資金が流れると、劣勢な国の通貨は売られ、優勢な国の通貨が買われます。その結果、劣勢な国の通貨価値が下がり、優勢な国の通貨価値が上がります。
通貨価値が変わると、それ以前と比べて相手国との格差が広がったように見えます。
この話は「みかんの格差」だけでなく、「金利の格差」「景気の格差」「政権による経済活動の容易さの格差」・・・、とひとつずつ通貨が動く理由を挙げながら続けていくと、無限に複雑化できます。
がしかし、そんなことをしなくても大事なことはもうわかりました。
ファンダメンタルを固定化して想定することはできても、実際には固定化できないのです。川の流れのように捉えるしかありません。資金や資源や産品や製品やサービスが、常に一方からもう一方により多く流れ続けている訳です。だから、例えばUSDJPYが常に上下どちらかに向かって動いている状態が自然で、動かなくなっているときの方が不自然(偶然)です。どちらかに早く動くときや急に動くときだけが不自然なのではありません。
ファンダメンタル分析は、この流れの方向の変化と速度の変化を掴むためのものです。言わば、テクニカル分析における移動平均線のようなものです。
本来、ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、同じ現象を違った方法で説明しているだけなのだから、我々はファンダメンタル分析なんか意識していなくても、移動平均線を見れば過去のファンダメンタル分析の結論を答え合わせできます。
ファンダメンタルの変化がチャートにどう影響するかは、我々アマチュアでも理解・分析が容易な原則がひとつあります。それが、チャートは経済指標の影響を受ける、という原則です。
そして、専門知識に劣るアマチュアの分析であっても、どっちに反応するのかとどの程度の反応するのかを当てやすいのは、多岐に亘るファンダメンタルの変化のうち、経済指標発表前後だけじゃないでしょうか。
どんな風に影響を受けるのかは、「1. FXは上達するのか」に記したように、ほとんどの経済指標発表時には、結果が良ければ陽線で反応し悪ければ陰線で反応します。それが原則ではありません。原則は、そういうことが起きるのがざっくり60〜80%に達する、という確率的再現性がある点です。残る20〜40%は結果が良くても陰線で反応し悪くても陽線で反応してしまいます。
この確率的再現性は、どの国の経済指標であれ、いつの時代の経済指標であれ、確率の差こそあれ成立します。
古今東西に通用するのだから、これはもう立派な原理原則です。
各種指標と反応方向の関係を、以下に説明しておきます。
いろいろ「おや」っと思っても、とりあえず指標結果の良し悪しと直後1分足の反応方向の関係をご覧ください。
まずは、その国の経済の好不調を直接的に示す経済実態指標から説明します。これら経済実態指標の好不調は、最終的に経済規模の拡大(成長率の改善)に直結します。
次に、好不調が上記の経済実態指標の改善や悪化を介して間接的に影響を受ける経済指標について、です。このブログでは、そういった指標を政策決定指標と呼んでいます。
こんな話を信じて個別指標の個別事例で痛い目に遭ったことがある人は、この話を「けっ」て思うかも知れません。では、下表をご覧ください。
この表は、指標種類ごとに代表的な指標を例に挙げて、その過去の傾向を一覧整理しています。
話の流れから、まずは「素直率」という列をご覧ください。ここに示された[%]は、先に挙げたような指標結果の良し悪しと直後1分足の反応方向の関係が成立していたときの[%]です。但し、比較しているのは指標発表直後1分足の方向です。
反応が基本に忠実で素直だったと解釈できるので、あまり恰好良い名前ではありませんが「素直率」です。
こうして代表的な指標の素直率を並べて見ると、先述の基本的な反応方向はアテになることがわかります。何たって、古今東西に通用する原理原則です。
そして次に「1分跳幅」の列をご覧ください。これは「指標発表直後1分足跳幅」の略記です。
指標結果の良し悪しに最も素直に反応するのは直後1分足跳幅です。
というのも、大きく反応したときは、指標発表から1分を過ぎると、チャート上のサポートやレジスタンスの影響を受けがちです。一方、反応が小さかったときは、指標結果よりも重視すべき何らかの状況が起きていることが多いようです。いずれにせよ、そうした動きは、指標結果に対する素直さが失われつつあることと同じです。
もともと反応が小さい指標ではそうじゃない理由も考えられますが、とりあえずこのブログでは指標結果の良し悪しに最も素直に反応するのは直後1分足跳幅と見なしています。
さて、もしも予め指標結果の良し悪しを事前に的確に予想することができるなら、話はこれで終わりです。予想通りに指標発表直前にポジションをオーダーし、直後1分足跳幅で利確すればボロ儲けです。
けれども後記詳述するように、指標結果の良し悪しを予想することはかなり難しいのです。だから、ボロ儲けは諦めて、そこそこ儲けられる方法論が必要になります。
ここからはその話です。
「維持率」という列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「指標発表直後1分足値幅方向と指標発表直後11分足値幅方向の一致率」です。
維持率が高くない指標は、反応が長続きしない=指標の影響力が小さい、and/or、指標発表前の早くから織込みが進み指標結果判明後のポジション解消が起こりやすい、と考えられます。だから、指標結果の良し悪しに素直で、且つ、指標発表後の反応が伸び続ける場面がいつなのか、を考えないといけません。
とは言え相場です。一定のリスクは許容しない限り、利益は得られません。あまり大きすぎるリスクや、無知によるリスクを冒したくないだけです。
そこで「跳幅伸長率」の列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「直後1分足値幅方向と直後11分足値幅方向が一致したときに、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていた事例率」です。
指標発表直後はどれだけ反応が伸びるか予想できません。だから、同じ方向に暫く反応を伸ばし続ける、と信じて、指標発表直後の初期反応方向を追撃(順張り)したいのです。その根拠となるのが跳幅伸長率です。
指標発表直後1分を過ぎても、その後に最初の1分の跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばすなら、指標発表直後の初期反応方向を追撃すれば良いのです。いわゆる、高値掴み/安値掴みへの不安が最小化できます。
ここで稼ぐのです。
でも、人の目論見に悪魔が口を挟む例えの通り、調子に乗ってはいけません。
「値幅伸長率」の列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「直後1分足と直後11分足の終値同士を比べて反応を同じ方向に伸ばしていた事例率」です。
指標発表後11分が経過時点で反応を伸ばすとは、ほとんどの指標で言えないのです。
もちろん、どの指標発表後であれ、11分後どころか1時間後や翌日まで反応を伸ばし続けることだってあります。けれども、そんなことは印象に残ることがあっても、きちんと調べてみればそれほど事例が多い訳でもありません。それに、そういった現象が指標の影響だけだったのかは検証できません。
ここに例に挙げた数値(%)は、必ずしも最新の数値ではありません。ただ、いずれも20〜40回の指標発表時を調べているので、数値修正があるにしてもここに挙げた数値から大きくは外れません。
そして、例えば米国雇用統計や小売売上高のように大きく反応する指標では、USDJPYにおける反応方向と、EURUSD・GBPUSD・AUDUSDのそれぞれの反応方向は、直後1分足に関する限り完全にここに挙げた数値と一致します。それほど大きく反応しない指標でも、直後1分足の反応方向に関する限り、指標当時国通貨の動きはその国のクロス通貨ペアでここに挙げた数値にほぼ一致します。
また例えば、米国雇用統計だとNFP・失業率・平均所得といった複数の項目が発表され、それら項目が全て改善や悪化に一致しているとは限りません。だから、過去の反応方向への寄与が大きかった項目同士の影響力を予め計算しておく必要があります。
この件は次に詳述します。
ここまでの話で、指標結果が良ければ直後1分足が陽線で反応し、悪ければ陰線で反応しがちだということについて、過去の確率で捉えられることがわかりました。これまでの説明の繰り返しになりますが、再現性があるのはこの確率です。
でも、指標結果の良い・悪いというのは、意外に判断が難しいものです。
例えば、米国雇用統計では、非農業者新規雇用者数(NFP)・失業率・平均時給などが発表されます。失業率0.1%が下がったのに、NFPが5万人減少し、平均時給0.1%が上がると、この結果は改善でしょうか、悪化でしょうか?
パッとわかりにくいですよね。
指標結果の良し悪しを判断するためには比較対象が必要です。指標発表直後の反応は、今回発表値と前回発表値の差(実態差異)よりも、今回発表値と市場予想値の差(事後差異)によって生じがちです。比較対象は市場予想なのです。
ここに挙げた例では、
という判別式が有効です。
この判別式の解の符号がプラスなら直後1分足の陽線、マイナスなら陰線に対応します。過去に遡ってこの対応通りに直後1分足が反応したことは、先に挙げた通り86%です。
ここで疑問が湧くのが当然だと思います。
指標発表直後の反応が事後差異(発表結果と市場予想の差)によって生じるのなら、経済指標が前回結果より改善したか悪化したの実際の良し悪しは、いつ為替レートに反映されるのでしょう。
それは、指標発表前の市場予想値と前回発表値の差(事前差異)によって反映されており、それが事後差異で修正されているのです。
この関係は、
と表せるので、これら3式を代入整理すれば
と、市場予想を介して指標結果の良し悪しが影響していることがわかります。
残念ながら、この式が表しているのは指標結果に対してであって、それへの反応ではありません。なので、いちいちこの判別式の解の符号と直後1分足の反応方向を過去に遡って確かめなければいけないのです。
話を整理しておきましょう。
勝つために何でも良いから分析の方法論(事例)を学び、自分の分析時間が取引時間よりも長くなれば、それが何よりも上達の第一歩だと言えます。
ただ、テクニカル分析というのは複雑な事象を単純に表記して、誰が見てもわかるように考案されています。そんなテクニカル指標を無視することは決してできないものの、そこに理由をつけるために自分用のファンダメンタル分析を行うことが、相場観を養うためには大切です。
でも、専門的なファンダメンタル分析は素人にとって難しすぎます。よって、初心者やアマチュアを想定読者とするこのブログでは、経済指標発表前後の分析と取引を薦めています。
勘には上達方法なんてなく、確率上のムラが自信過剰や自信喪失に繋がります。度胸をつけても勝てるとは限りません。我々は裏付けが理解できる程度にしか、勝率に上方バイアスを加えられないのです。
スキルを磨くために何から始めれば良いか、仕事のように淡々と分析と取引を繰り返せる方法論がないか、トレンドを追っても勝てないなら違うやり方はどうやって見つければ良いか、というきっかけを作るのが経済指標の楽しみ方です。イベント発生日時が明確で、その影響が過去に遡って調べやすく、プロの視点での解説記事も事前・事後に参照できます。
経済指標発表前後の分析と取引を楽しむことをきっかけにして、いずれ赤いマニュキュアをしている正体を見てみたいものですね。
さて、FXを始めても暫くは練習期間です。練習期間でFXに慣れたり、いろいろなやり方を試してみるためにも、キャッシュバックはとても魅力的ですよね。せっかくのキャッシュバックは、そういうことのために使ってください。通常、キャッシュバックを受けるためには条件があるので、詳しくはこちらでご確認ください。
また、色々な取引手法を試してみるためにも、複数のFX会社に口座を開設しておくと便利です。
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ファンダメンタル分析は役に立たないという話があります。とんでもない。ファンダメンタル分析の結論を頭に入れておかなければ、テクニカル分析だけをアテにしなければならないのです。
ところが、専門知識がなくても結果(見通し)が一目瞭然のテクニカル分析と違って、ファンダメンタル分析はわかりにくいのです。そもそもファンダメンタルが何を指し示しているのかすら、良くわからないことさえあります。
ファンダメンタルといった言葉で一括りにされる対象は、
- 【基盤】人口・面積・歴史・政権・教育・国際的地位・経済規模・産業構成・資源有無・軍事力など
- 【状況】政治的/経済的動向・財政/金融政策・法規整備/運用体制・インフラ・リスクなど
- 【裏付】株価・経済成長・貿易収支・産業/小売/消費活動・雇用状況・物価水準・景況感など
と多岐に亘ります。これでもきっと全部ではありません。ともあれ、ファンダメンタルとはこれらの一部や全部を指しています。一部や全部です。
そして、FXに必要なファンダメンタル分析には「ファンダメンタルのどの変化を原因として、どの通貨ペアがどの時点までにどう動くかを明らかにする」というテーマに沿っていなければ意味がありません。
こうした複雑な因果関係の有無を明らかにすることが分析の目的で、その因果関係は「原因」「結果」「時期や時差」の関係ということになります。
そうでないなら、それは分析というよりも単に「でっかい話」に過ぎません。
ともあれ、我々アマチュアが客観的なファンダメンタルの変化を知るには、数値化された経済指標の変化を追うのが一番わかりやすいはずです(原因の把握)。
そして、わざわざ凝った分析に興味があるのは、その変化がチャート上にどう現れるかを知りたいからです(結果の予想)。
その因果関係は、指標発表前後数分間のチャートに同じ傾向が確率的に再現されています(再現確率と再現時期の把握)。
更にその因果関係を遡れば、ある経済指標の変化が他の経済指標の変化の方向を先行示唆している場合もあります(時差の把握)。
こうした分析を当てられるようになっていくことも、FXの愉しみ方のひとつです。我々は裏付けが理解できる程度にしか、勝率に上方バイアスを加えられないのだから、いずれ赤いマニュキュアをしている正体を見たいものです。
【2.1.1 分析結果が示すこと】
先に、ファンダメンタル分析の結論がどのようなものか、イメージを掴んでおきましょう。
いま、ふたつの国で先に挙げたファンダメンタルが何ひとつ変化しなくなったらどうなるでしょう。
ふたつの国で互いに何ひとつ変化がなくても、既に両国の間に何かの格差があれば、相対的に劣勢な国の資金は、相対的に優勢な国へと流れがちです。
例えば、関西でみかんが豊作だったのに、関東でみかんが手に入らなかったとしましょう。このとき、船で「みかん優勢」な関西から「みかん劣勢」な関東に運べば、みかんとその代金が動いて、関西と関東のファンダメンタルが変化します。
資金が増えたり減ったりした後のファンダメンタルは、それ以前と何かが変化しています。この例だと、紀伊國屋という大金持ちが関西にひとり増えたのです(文左衛門が関西の人だったかどうか知りませんけど)。
この状態を別の言い方で説明するとこうです。
現在の為替水準は、現在までのファンダメンタルを既に全て踏まえています。ところが、劣勢な国から優勢な国へと資金が流れると、劣勢な国の通貨は売られ、優勢な国の通貨が買われます。その結果、劣勢な国の通貨価値が下がり、優勢な国の通貨価値が上がります。
通貨価値が変わると、それ以前と比べて相手国との格差が広がったように見えます。
この話は「みかんの格差」だけでなく、「金利の格差」「景気の格差」「政権による経済活動の容易さの格差」・・・、とひとつずつ通貨が動く理由を挙げながら続けていくと、無限に複雑化できます。
がしかし、そんなことをしなくても大事なことはもうわかりました。
ファンダメンタルを固定化して想定することはできても、実際には固定化できないのです。川の流れのように捉えるしかありません。資金や資源や産品や製品やサービスが、常に一方からもう一方により多く流れ続けている訳です。だから、例えばUSDJPYが常に上下どちらかに向かって動いている状態が自然で、動かなくなっているときの方が不自然(偶然)です。どちらかに早く動くときや急に動くときだけが不自然なのではありません。
ファンダメンタル分析は、この流れの方向の変化と速度の変化を掴むためのものです。言わば、テクニカル分析における移動平均線のようなものです。
本来、ファンダメンタル分析とテクニカル分析は、同じ現象を違った方法で説明しているだけなのだから、我々はファンダメンタル分析なんか意識していなくても、移動平均線を見れば過去のファンダメンタル分析の結論を答え合わせできます。
【2.1.2 チャートへの影響】
ファンダメンタルの変化がチャートにどう影響するかは、我々アマチュアでも理解・分析が容易な原則がひとつあります。それが、チャートは経済指標の影響を受ける、という原則です。
そして、専門知識に劣るアマチュアの分析であっても、どっちに反応するのかとどの程度の反応するのかを当てやすいのは、多岐に亘るファンダメンタルの変化のうち、経済指標発表前後だけじゃないでしょうか。
どんな風に影響を受けるのかは、「1. FXは上達するのか」に記したように、ほとんどの経済指標発表時には、結果が良ければ陽線で反応し悪ければ陰線で反応します。それが原則ではありません。原則は、そういうことが起きるのがざっくり60〜80%に達する、という確率的再現性がある点です。残る20〜40%は結果が良くても陰線で反応し悪くても陽線で反応してしまいます。
この確率的再現性は、どの国の経済指標であれ、いつの時代の経済指標であれ、確率の差こそあれ成立します。
古今東西に通用するのだから、これはもう立派な原理原則です。
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各種指標と反応方向の関係を、以下に説明しておきます。
いろいろ「おや」っと思っても、とりあえず指標結果の良し悪しと直後1分足の反応方向の関係をご覧ください。
まずは、その国の経済の好不調を直接的に示す経済実態指標から説明します。これら経済実態指標の好不調は、最終的に経済規模の拡大(成長率の改善)に直結します。
- 【消費指標】個人消費や企業投資が改善(増)すれば通貨高、悪化(減)すれば通貨安の関係があります。
- 【小売指標】売上改善(増)は消費指標改善に直結して通貨高、売上悪化(減)は通貨安の関係があります。
- 【生産指標】製造量や生産量の改善(増)は小売や投資の増加が期待されて通貨高、悪化(減)は通貨安の関係があります。
- 【住宅指標】建設件数や販売件数や販売価格の改善(増)は消費指標改善にも繋がり通貨高、悪化(減)は通貨安の関係があります。
次に、好不調が上記の経済実態指標の改善や悪化を介して間接的に影響を受ける経済指標について、です。このブログでは、そういった指標を政策決定指標と呼んでいます。
- 【雇用指標】雇用増(失業率低下)や賃金上昇は投資や消費をもよおす要因と捉えて通貨高、それらの悪化は通貨安の関係があります。
- 【物価指標】それでも売れるのだから値上げは通貨高、物価低下は通貨安です。インフレ率がある水準を超えると、それを抑え込むため利上げが期待されて通貨高へのバイアスが生じ始めるようです。
- 【景気指標】景気改善は雇用増や適度な物価高に結び付くため通貨高、その逆は通貨安です。
こんな話を信じて個別指標の個別事例で痛い目に遭ったことがある人は、この話を「けっ」て思うかも知れません。では、下表をご覧ください。
この表は、指標種類ごとに代表的な指標を例に挙げて、その過去の傾向を一覧整理しています。
話の流れから、まずは「素直率」という列をご覧ください。ここに示された[%]は、先に挙げたような指標結果の良し悪しと直後1分足の反応方向の関係が成立していたときの[%]です。但し、比較しているのは指標発表直後1分足の方向です。
反応が基本に忠実で素直だったと解釈できるので、あまり恰好良い名前ではありませんが「素直率」です。
こうして代表的な指標の素直率を並べて見ると、先述の基本的な反応方向はアテになることがわかります。何たって、古今東西に通用する原理原則です。
そして次に「1分跳幅」の列をご覧ください。これは「指標発表直後1分足跳幅」の略記です。
指標結果の良し悪しに最も素直に反応するのは直後1分足跳幅です。
というのも、大きく反応したときは、指標発表から1分を過ぎると、チャート上のサポートやレジスタンスの影響を受けがちです。一方、反応が小さかったときは、指標結果よりも重視すべき何らかの状況が起きていることが多いようです。いずれにせよ、そうした動きは、指標結果に対する素直さが失われつつあることと同じです。
もともと反応が小さい指標ではそうじゃない理由も考えられますが、とりあえずこのブログでは指標結果の良し悪しに最も素直に反応するのは直後1分足跳幅と見なしています。
さて、もしも予め指標結果の良し悪しを事前に的確に予想することができるなら、話はこれで終わりです。予想通りに指標発表直前にポジションをオーダーし、直後1分足跳幅で利確すればボロ儲けです。
けれども後記詳述するように、指標結果の良し悪しを予想することはかなり難しいのです。だから、ボロ儲けは諦めて、そこそこ儲けられる方法論が必要になります。
ここからはその話です。
「維持率」という列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「指標発表直後1分足値幅方向と指標発表直後11分足値幅方向の一致率」です。
維持率が高くない指標は、反応が長続きしない=指標の影響力が小さい、and/or、指標発表前の早くから織込みが進み指標結果判明後のポジション解消が起こりやすい、と考えられます。だから、指標結果の良し悪しに素直で、且つ、指標発表後の反応が伸び続ける場面がいつなのか、を考えないといけません。
とは言え相場です。一定のリスクは許容しない限り、利益は得られません。あまり大きすぎるリスクや、無知によるリスクを冒したくないだけです。
そこで「跳幅伸長率」の列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「直後1分足値幅方向と直後11分足値幅方向が一致したときに、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしていた事例率」です。
指標発表直後はどれだけ反応が伸びるか予想できません。だから、同じ方向に暫く反応を伸ばし続ける、と信じて、指標発表直後の初期反応方向を追撃(順張り)したいのです。その根拠となるのが跳幅伸長率です。
指標発表直後1分を過ぎても、その後に最初の1分の跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばすなら、指標発表直後の初期反応方向を追撃すれば良いのです。いわゆる、高値掴み/安値掴みへの不安が最小化できます。
ここで稼ぐのです。
でも、人の目論見に悪魔が口を挟む例えの通り、調子に乗ってはいけません。
「値幅伸長率」の列をご覧ください。もっと誤解のない名前を付けるなら「直後1分足と直後11分足の終値同士を比べて反応を同じ方向に伸ばしていた事例率」です。
指標発表後11分が経過時点で反応を伸ばすとは、ほとんどの指標で言えないのです。
もちろん、どの指標発表後であれ、11分後どころか1時間後や翌日まで反応を伸ばし続けることだってあります。けれども、そんなことは印象に残ることがあっても、きちんと調べてみればそれほど事例が多い訳でもありません。それに、そういった現象が指標の影響だけだったのかは検証できません。
ーーー$€¥£A$ーーー
ここに例に挙げた数値(%)は、必ずしも最新の数値ではありません。ただ、いずれも20〜40回の指標発表時を調べているので、数値修正があるにしてもここに挙げた数値から大きくは外れません。
そして、例えば米国雇用統計や小売売上高のように大きく反応する指標では、USDJPYにおける反応方向と、EURUSD・GBPUSD・AUDUSDのそれぞれの反応方向は、直後1分足に関する限り完全にここに挙げた数値と一致します。それほど大きく反応しない指標でも、直後1分足の反応方向に関する限り、指標当時国通貨の動きはその国のクロス通貨ペアでここに挙げた数値にほぼ一致します。
また例えば、米国雇用統計だとNFP・失業率・平均所得といった複数の項目が発表され、それら項目が全て改善や悪化に一致しているとは限りません。だから、過去の反応方向への寄与が大きかった項目同士の影響力を予め計算しておく必要があります。
この件は次に詳述します。
【2.1.3 指標結果の良し悪し】
ここまでの話で、指標結果が良ければ直後1分足が陽線で反応し、悪ければ陰線で反応しがちだということについて、過去の確率で捉えられることがわかりました。これまでの説明の繰り返しになりますが、再現性があるのはこの確率です。
でも、指標結果の良い・悪いというのは、意外に判断が難しいものです。
例えば、米国雇用統計では、非農業者新規雇用者数(NFP)・失業率・平均時給などが発表されます。失業率0.1%が下がったのに、NFPが5万人減少し、平均時給0.1%が上がると、この結果は改善でしょうか、悪化でしょうか?
パッとわかりにくいですよね。
指標結果の良し悪しを判断するためには比較対象が必要です。指標発表直後の反応は、今回発表値と前回発表値の差(実態差異)よりも、今回発表値と市場予想値の差(事後差異)によって生じがちです。比較対象は市場予想なのです。
ここに挙げた例では、
- 1✕NFP増減の事後差異[万人]ー10✕失業率の事後差異[%]+30✕平均時給の事後差異[%]
但し、事後差異=発表結果ー市場予想
という判別式が有効です。
この判別式の解の符号がプラスなら直後1分足の陽線、マイナスなら陰線に対応します。過去に遡ってこの対応通りに直後1分足が反応したことは、先に挙げた通り86%です。
ーーー$€¥£A$ーーー
ここで疑問が湧くのが当然だと思います。
指標発表直後の反応が事後差異(発表結果と市場予想の差)によって生じるのなら、経済指標が前回結果より改善したか悪化したの実際の良し悪しは、いつ為替レートに反映されるのでしょう。
それは、指標発表前の市場予想値と前回発表値の差(事前差異)によって反映されており、それが事後差異で修正されているのです。
この関係は、
- 事前差異=市場予想値ー前回発表値
- 事後差異=今回発表値ー市場予想値
- 実態差異=今回発表値ー前回発表値
と表せるので、これら3式を代入整理すれば
- 実態差異=事後差異+事前差異=(今回発表値ー市場予想値)+(市場予想値ー前回発表値)
と、市場予想を介して指標結果の良し悪しが影響していることがわかります。
残念ながら、この式が表しているのは指標結果に対してであって、それへの反応ではありません。なので、いちいちこの判別式の解の符号と直後1分足の反応方向を過去に遡って確かめなければいけないのです。
【2.1.4 まとめ】
話を整理しておきましょう。
勝つために何でも良いから分析の方法論(事例)を学び、自分の分析時間が取引時間よりも長くなれば、それが何よりも上達の第一歩だと言えます。
ただ、テクニカル分析というのは複雑な事象を単純に表記して、誰が見てもわかるように考案されています。そんなテクニカル指標を無視することは決してできないものの、そこに理由をつけるために自分用のファンダメンタル分析を行うことが、相場観を養うためには大切です。
でも、専門的なファンダメンタル分析は素人にとって難しすぎます。よって、初心者やアマチュアを想定読者とするこのブログでは、経済指標発表前後の分析と取引を薦めています。
勘には上達方法なんてなく、確率上のムラが自信過剰や自信喪失に繋がります。度胸をつけても勝てるとは限りません。我々は裏付けが理解できる程度にしか、勝率に上方バイアスを加えられないのです。
スキルを磨くために何から始めれば良いか、仕事のように淡々と分析と取引を繰り返せる方法論がないか、トレンドを追っても勝てないなら違うやり方はどうやって見つければ良いか、というきっかけを作るのが経済指標の楽しみ方です。イベント発生日時が明確で、その影響が過去に遡って調べやすく、プロの視点での解説記事も事前・事後に参照できます。
経済指標発表前後の分析と取引を楽しむことをきっかけにして、いずれ赤いマニュキュアをしている正体を見てみたいものですね。
以上
さて、FXを始めても暫くは練習期間です。練習期間でFXに慣れたり、いろいろなやり方を試してみるためにも、キャッシュバックはとても魅力的ですよね。せっかくのキャッシュバックは、そういうことのために使ってください。通常、キャッシュバックを受けるためには条件があるので、詳しくはこちらでご確認ください。
また、色々な取引手法を試してみるためにも、複数のFX会社に口座を開設しておくと便利です。
2018年07月08日
2018年7月9日〜7月13日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
週明けUSDJPYは110.67円で始まりました。前週末終値が110.63円だったので、ほぼ窓のないスタートでした。週足終値は110.41円で、週足値幅は26pipsでした。週足高値は111.13円、安値は110.28円、全幅は85pipsでした。
週足でなく日足かと思うぐらい動かない週でした。米国雇用統計の発表された週の全幅としては、ちょっと記憶にないほど小さな全幅でした。
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6日、米国で340億USD相当の中国製品に25%の制裁関税が課されました。直ちに中国は報復関税を発動し、双方ともに更に追加関税の対象範囲を拡大する旨を言明しています。事の是非や経緯については、ここでは扱いません。ただ、米国の利上げに匹敵する(ような気がする)ほど世界経済への影響が大きい割に、為替への影響が小さかった気がします。
なぜでしょう。
- 米朝会談に至る序盤がそうであったように、ブラフの応酬がまだ続くと見なされており、既にプロたちは売買ポジションを中立化して備えており、現在は規模の小さなアマチュアしか取引していない
- この騒ぎの終り方のイメージがまだ定まっていないため、既にプロたちは…(以下同文)
- ただ単に、米中対立があっても米欧対立があっても、貿易戦争に留まる限り、それほど影響が大きくないと見込まれている
どれでしょう。あるいは、どれでもないのでしょうか。
ともあれ、まだUSDJPYに関する限り、まだリスク回避的な目立った動きが見られません。何だかオオカミ少年みたいで、おまけに手前みそですが、こんなときは経済指標発表直後にちゃちゃっと稼ぐしかありません。
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あまり目立つニュースにはならなかったようですが、5日、BOE総裁は8月利上げを決める可能性を示唆したそうです。EUとの離脱交渉期限は9月とされており、その期限が迫るにつれGBP安(物価高)が懸念されており、先行対策を講じるということでしょうか。
そして翌6日、英首相はEU離脱方針に関する閣内合意を取り付けたそうです。
この内容がよくわかりません。「EUとは共通ルールに基づく自由貿易圏を創設し、企業に優しい関税モデルを新たに整備すること」という方針は、今さら何を言うとるんじゃと思った企業も多いでしょう。
ともあれ、米大統領の訪英が13日に予定されています。米英は、ともにEUに色々と妥協を迫りたいという思惑が一致している上、ともに産油国で貿易赤字国で移民問題を抱えています。
変な合意や共同声明があっても構いませんが、それがあるとすれば週末になりそうなので、日本の3連休前にGBPが動くかも知れません。
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3日のRBA金融政策は、市場予想通り現状維持でした。以前とは違って、もうほとんどAUDJPYは反応していません。
RBA総裁は「世界経済見通しの不透明要因のひとつは、米国貿易政策に起因する」と述べ、そんなことならワシでも言えると思ったAUDファンは多かったことでしょう。
6日、FOMC議事要旨(6月12-13日分)は、利上げ方針堅持という解釈によって市場の年4回の利上げ観測(年内あと2回)が再確認されました。
もっとも、議事録ましてやその要旨が会議の実態を表しているとは限りません。
例えば、FOMC議事録には、ある理事が「世界中がのけぞるぐらい利上げをしたろうか」と言ったという話は載っていません。だから、そんな話をした理事が居たのか居なかったのか、そんなことはわかりません。
「イールドカーブがフラット化し始めた以上、いずれ景気が悪化に転じるだろう。景気の良い今のうちに利上げを急いでおかないと、前の資産購入分を減らし始めたばかりだから、次は前みたいにFRBの資産規模を増やす訳にはいかないのだ。だから、利上げを急ぐ必要がある」
「誰に言うとるんじゃ。判り切ったことを言うな、ドあほ」
「あんたはテイノーだから、わからないかもしれないと思ってただけだよ」
「なっ、なんだとぉ」
そんな議事だったかも知れません。
【2. 今週予習】
そんなわけで、あまり予習なんかしても意味がありません。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月9日(月)
08:50 5月集計分日本貿易収支
7月10日(火)
17:30 5月集計分英国鉱工業生産指数・製造業生産指数
18:00 7月集計分独国ZEW景況指数
7月11日(水)
21:30 6月集計分米国生産者物価指数
7月12日(木)
21:30 6月集計分米国消費者物価指数
7月13日(金)
21:30 6月集計分米国輸入物価指数
23:00 7月集計分米国UM消費者信頼感指数速報値
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上
2018年07月01日
2018年7月2日〜7月6日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
週明けUSDJPYは109.91円で始まりました。前週末終値が109.98円だったので、ほぼ窓のないスタートでした。週足終値は110.63円で、週足値幅は72pips(先々週は63pips)でした。週足高値は110.94円、安値は109.37円、全幅は157pips(先々週は101pips)でした。
あまり動かない週が続いています。
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どこの政府もどこの中銀も、投機的な売買による自国通貨の急激な為替変動を嫌っていました。その解決方法が、いつ何を言いだすかがわからない米国大統領というのは、かつて誰も想定していなかったと思います。
その伏線は、移民流入への欧米社会の不安・不満があり、新興国製造業の追い上げへの焦りがあり、特に中国の影響力増大への将来の危機感がありました。
移民流入の部分を除けば、日本にも同じ焦り・危機感があるように感じます。
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ともあれ、先週の米国では、大手バイクメーカーが欧州の報復関税に対応して輸出用バイクの生産拠点を海外に移すと発表したことが大きく報道されました。続いて、カナダも米国への報復関税を発表しました。
今週の焦点は、7月6日に迫った対中制裁関税が実施されるか否かです。それに比べれば、雇用統計結果なんて大した問題ではないのかも知れません。
【2. 今週予習】
7月4日は米国独立記念日のため、その前日の米国株式市場は半日で閉まります。祝日明けは5日で、5日は対中制裁関税実施日の前日です。7月3日中に米中間で何らかの合意がなければ、リスク回避のため米株が売られる可能性があります。
3日中に米中が歩み寄るかどうかが来週最大の関心事だという気がします。
【3. 経済指標】
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
7月2日(月)
08:50 4-6月期日銀短観
17:30 6月集計分英国製造業PMI
23:00 6月集計分米国ISM製造業景況指数
7月3日(火)
13:30 豪州金融政策
7月4日(水)
米国祝日(独立記念日)
10:30 5月集計分豪州小売売上高
17:30 6月集計分英国サービス業PMI
7月5日(木)
21:15 6月集計分米国ADP雇用統計
23:00 6月集計分米国ISM非製造業景況指数
7月6日(金)
米国の対中制裁関税発動日
03:00 米国6/12-13FOMC議事録
21:30 6月集計分米国雇用統計
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
以上