2017年08月29日
米国雇用指標「ADP雇用統計」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月30日21:15発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月30日21:15に米国雇用指標「ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
当月は、本発表の15分後に4-6月期GDP改定値が発表されます。よって、今回は本指標発表後に次のGDP発表に向けた動きに変化する可能性があります。今回のGDP改定値は市場予想が高めになっています。よって、ADP発表後のある時点から陽線側に引っ張り上げようとする動きが始まる可能性がある、ということです。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は8月28日時点の値です。発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。
17pipsというと、平均的な反応程度の指標です。がしかし、分布を見ると、8pips以下しか跳ねなかったことが32%、9-23pips跳ねたことが45%、24pips以上跳ねたことが23%と、ばらつきが大きいようです。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、平坦な市場予想に対し、発表結果の凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの30回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが11回(入れ替わり率37%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。
前月は発表結果が市場予想を下回りました。
ほぼ市場予想後追い型と見なせば、今回発表結果が市場予想を下回る期待的中率は63%、ということになります。
前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。
前週8月24日に発表された申請数4週平均値は23.8万人でした。一方、8月3日に発表された申請数4週平均は24.2万人でした。失業保険受給申請件数は、当月に入って減っています。
そして、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を上回る可能性があります。
過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が1回を除き全て不一致です(不一致率86%)。
項目 A 項目B
8月分差異 △0.4万人 +
7月分差異 △0.1万人 +2.0万人
6月分差異 +0.5万人 △9.7万人
5月分差異 △0.5万人 +7.6万人
4月分差異 △0.7万人 △8.9万人
3月分差異 +1.6万人 △3.0万人
2月分差異 △1.4万人 +5.2万人
1月分差異 △0.9万人 +9.4万人
項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。項目Aを求めるために、まず、7月分は8月3日発表値(24.2万人)、6月分は7月6日発表値(24.3万人)、というように、翌月最初の4週平均発表値を調べます。そして、7月分差異は、6月分24.3万人よりも7月分24.2万人が0.1万人少ない(△0.1万人)、と求めます。
項目Bは、ADP民間雇用者数が6月15.8万人、7月分17.8万人だから、7月分差異がその差の2.0万人増加(+2.0万人)、ということを表しています。
よって仮説通り、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます。何しろ今年に入って期待的中率86%の不一致率です。
8月分差異は、項目Aにまだ9月7日発表値を用いることができません。そのため、8月24日分データを用いました。
仮説通りなら、ADPの8月分差異はプラスになるでしょう。
幸い、今回のADPの市場予想は18.3万人で、前回結果17.8万人と近接しています。よって、今回のADPは市場予想を上回る、と予想します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsより小さくなっています。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。
また、直前1分足が陽線となったことは4回(頻度13%)しかありません。この4回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(75%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは2回で、この2回は直前1分足と直後1分足の方向一致率は100%です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率29%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率29%)です。戻り比率が直後1分足・直後11分足ともに30%未満で、追撃を行いやすい指標だと言えるでしょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ73%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
まず、直前1分足の陰線率が87%、直後1分足の陽線率が73%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。
以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年8月31日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前回・予想を大きく上回り、反応は陽線でした。
指標発表直前1分足が10数秒前から一気に伸びたこともあり、発表後はほとんど伸びませんでした。
これは、前日の北朝鮮リスク回避の巻き戻しで、前日日足が長い下ヒゲを残したこともあり、日中から陽線側に大きく伸びたいたことに一因があります。そして、直前1分足跳幅が15pipsとなり、これは2015年1月分以降で最大の跳幅です。何より、こうして発表前に値を伸ばした結果、指標発表直前の110.17は、日足チャート基準線の110.23のレジスタンス直前でした。その結果、値を伸ばす余地がなかったため、と考えられます。
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、上記日足チャート基準線のレジスタンスを抜けるか抜けないかを迷って、利確が一瞬遅れた結果、僅かながら損切となりました。
事前調査分析内容を検証は省略します。
反応程度の問題はさておき、ほぼ事前分析通りでした。
但し、追撃徹底を想定したのに、それが大したことがなかった点は、分析を外しています。外した原因は、事前分析作成時点で、まさか指標発表前にここまで陽線側に高い位置まで来るとは想定外でした。
外れは外れなので、言い訳もみっともないですが、直後11分足の陰線は売りポジション取得と言うより、一部参加者がこの時点で利確したからと思われます。積極的な売ポジション取得が行われた気配はなかったように思います。
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月30日21:15に米国雇用指標「ADP雇用統計」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
当月は、本発表の15分後に4-6月期GDP改定値が発表されます。よって、今回は本指標発表後に次のGDP発表に向けた動きに変化する可能性があります。今回のGDP改定値は市場予想が高めになっています。よって、ADP発表後のある時点から陽線側に引っ張り上げようとする動きが始まる可能性がある、ということです。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は8月28日時点の値です。発表直前に確認しておきましょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
- まだ、データ数が少ないものの(2017年分のみ)、ADP民間雇用者数の実態差異(発表結果ー市場予想)の符号は、前週分新規失業保険受給申請の4週平均の今月値と前月値の差の符号と、不一致率が86%あります。最新(先週発表)の前週分新規失業保険受給申請の4週平均と、7月分のその値の差はマイナスとなっています。
よって、今回のADP発表は前回を上回り、今回の市場予想が前回発表値に近接していることを踏まえると、今回のADP発表は市場予想を上回る、と見込めます。 - 直前10-1分足や直前1分足が10pips以上跳ねても、それは直後1分足の方向と関係ありません。但し、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたときだけは、過去2回の事例でともに直後1分足が陽線となっています。
- 初期反応程度の平均は17pipsで、これは平均的な指標です。直後1分足と直後11分足の方向一致率が高く、且つ、それらの戻り比率も小さいことから、追撃は早期開始して徹底することを薦めます。
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。 - 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。この論拠は、前週分新規失業保険受給申請件数の推移に基づきます。
- 追撃は早期開始・徹底します。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標は、米国「雇用統計」を翌日(ないしは翌々日)に控え、NFP(非農業部門雇用者数)の直前先行指標としての重要度・注目度が高いものです。
本指標についてはおもしろい話があります。
確か「前月結果に対する増減を無視し、市場予想に対する増減だけに着目します。このとき、ADP発表結果に沿ってポジションを持つと、ほぼ3勝2敗で2日後のNFPの増減方向と一致する」と言われています。そして、「本指標発表後にポジションを取得し、雇用統計直前に解消するポジションの持ち方をADP手法という」のだそうです。ADP手法の勝率は60%付近だそうです。
これらについては、まことしやかに語られていたものの、調査期間や実際にポジションを持って継続的に取引を行ったという記録が見当たりませんでした。当会では真偽を調べたことがないので、責任を負いかねます。が、もし成立するのなら何となく納得できそうな話ですね。
但し、ポジションを持ち続ける期間が長すぎるため、このブログでは扱いません。ポジション保有時間が長くなるリスクの割に期待的中率が低すぎます。
このように、本指標は雇用統計のNFPの先行指標としてアテになります。がしかし、直近の雇用統計は、NFPよりも平均時給に反応しがちなので、今では更に勝率が下がっている可能性があります。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で17pipsです。
17pipsというと、平均的な反応程度の指標です。がしかし、分布を見ると、8pips以下しか跳ねなかったことが32%、9-23pips跳ねたことが45%、24pips以上跳ねたことが23%と、ばらつきが大きいようです。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
グラフは、平坦な市場予想に対し、発表結果の凸凹が目立ちます。こうした指標では、前月が良ければ翌月が悪く、前月が悪ければ翌月は良くなる、という予想解説が多くなります。
こういうことは確認しておきましょう。
確認は、データを確認できる2015年2月以降前回までの30回で行いました。この期間に前月と翌月の予想と結果の大小関係が入れ替わったことが11回(入れ替わり率37%)ありました。
市場予想後追い型(入れ替わり率30%以下)とまでは言えないものの、それに近い指標です。
前月は発表結果が市場予想を下回りました。
ほぼ市場予想後追い型と見なせば、今回発表結果が市場予想を下回る期待的中率は63%、ということになります。
ーーー$€¥ーーー
前週分新規失業保険受給申請は毎週木曜に前週分が発表されています。
前週8月24日に発表された申請数4週平均値は23.8万人でした。一方、8月3日に発表された申請数4週平均は24.2万人でした。失業保険受給申請件数は、当月に入って減っています。
そして、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます(仮説です。逆相関の一致率は定量分析していません)。
もしこの仮説が正しければ、今回の民間雇用者数は前回を上回る可能性があります。
過去に遡って調べてみましょう。
下表をご覧ください。項目Aと項目Bとは、符号が1回を除き全て不一致です(不一致率86%)。
項目 A 項目B
8月分差異 △0.4万人 +
7月分差異 △0.1万人 +2.0万人
6月分差異 +0.5万人 △9.7万人
5月分差異 △0.5万人 +7.6万人
4月分差異 △0.7万人 △8.9万人
3月分差異 +1.6万人 △3.0万人
2月分差異 △1.4万人 +5.2万人
1月分差異 △0.9万人 +9.4万人
項目Aは、2017年の前週分失業保険受給申請件数の4週平均値が、前月分に対してどれだけ増減したかを示しています。項目Aを求めるために、まず、7月分は8月3日発表値(24.2万人)、6月分は7月6日発表値(24.3万人)、というように、翌月最初の4週平均発表値を調べます。そして、7月分差異は、6月分24.3万人よりも7月分24.2万人が0.1万人少ない(△0.1万人)、と求めます。
項目Bは、ADP民間雇用者数が6月15.8万人、7月分17.8万人だから、7月分差異がその差の2.0万人増加(+2.0万人)、ということを表しています。
よって仮説通り、失業保険受給申請件数と民間雇用者数は、逆相関の関係にあると見なせます。何しろ今年に入って期待的中率86%の不一致率です。
8月分差異は、項目Aにまだ9月7日発表値を用いることができません。そのため、8月24日分データを用いました。
仮説通りなら、ADPの8月分差異はプラスになるでしょう。
幸い、今回のADPの市場予想は18.3万人で、前回結果17.8万人と近接しています。よって、今回のADPは市場予想を上回る、と予想します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。
この3回の直後1分足跳幅平均は18pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsとほぼ同じです。直前10-1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は1回(33%)一致しています。どちらかと言えば、直前10-1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前10-1分足と逆方向に反応する確率の方が高いものの、事例3回での2回でそれを特徴的偏りとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。
この4回の直後1分足跳幅平均は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均17pipsより小さくなっています。直前1分足跳幅が大きくても、それが直後1分足跳幅も大きくなるとは言えません。
次に、この4回の直前1分足と直後1分足の方向は3回(75%)一致しています。どちらかと言えば、直前1分足跳幅が大きいときには、直後1分足は直前1分足と同方向に反応する確率が高くなっています。
また、直前1分足が陽線となったことは4回(頻度13%)しかありません。この4回の直前1分足と直後1分足の方向が一致したことは3回(75%)です。
更に、直前1分足が陽線で、且つ、10pips以上跳ねたことは2回で、この2回は直前1分足と直後1分足の方向一致率は100%です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は5pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率29%)です。直後11分足のそれは6pips(戻り比率29%)です。戻り比率が直後1分足・直後11分足ともに30%未満で、追撃を行いやすい指標だと言えるでしょう。
【3. 定型分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ73%・81%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
まず、直前1分足の陰線率が87%、直後1分足の陽線率が73%と、異常な偏りが見受けられます。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致率が80%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは91%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
そして、指標発表から1分を経過しても、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは64%です。64%という数字は、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったり(14%)、直後11分足が直後1分足と反転したり(21%)する確率を踏まえると、他の起こり得る事象より約3倍高い確率です。
追撃は徹底した方が良いでしょう。
【4. シナリオ作成】
以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
反応一致性分析の結果、陰線率が87%と偏っています。但し、過去平均跳幅を5pipsしかないので、2・3pips取れれば利確です。 - 直後1分足は陽線と見込み、指標発表直前にポジションを取ります。この論拠は、前週分新規失業保険受給申請件数の推移に基づきます。
- 追撃は早期開始・徹底します。
反応性分析の結果、直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士の反応を伸ばした確率が高くなっています。
以上
2017年8月30日21:15発表
以下は2017年8月31日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、前回・予想を大きく上回り、反応は陽線でした。
指標発表直前1分足が10数秒前から一気に伸びたこともあり、発表後はほとんど伸びませんでした。
これは、前日の北朝鮮リスク回避の巻き戻しで、前日日足が長い下ヒゲを残したこともあり、日中から陽線側に大きく伸びたいたことに一因があります。そして、直前1分足跳幅が15pipsとなり、これは2015年1月分以降で最大の跳幅です。何より、こうして発表前に値を伸ばした結果、指標発表直前の110.17は、日足チャート基準線の110.23のレジスタンス直前でした。その結果、値を伸ばす余地がなかったため、と考えられます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだポジションは、上記日足チャート基準線のレジスタンスを抜けるか抜けないかを迷って、利確が一瞬遅れた結果、僅かながら損切となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を検証は省略します。
反応程度の問題はさておき、ほぼ事前分析通りでした。
但し、追撃徹底を想定したのに、それが大したことがなかった点は、分析を外しています。外した原因は、事前分析作成時点で、まさか指標発表前にここまで陽線側に高い位置まで来るとは想定外でした。
外れは外れなので、言い訳もみっともないですが、直後11分足の陰線は売りポジション取得と言うより、一部参加者がこの時点で利確したからと思われます。積極的な売ポジション取得が行われた気配はなかったように思います。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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